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逃避

あの日、1本の電話が、俺の生活をガラリと変えてしまう。あの日…下の子を亡くした。幼稚園の帰り、妻と買い物に来ていた下の子は、妻が会計をしている隙に…店の外に出たらしく、急に駐車場に飛び出したため、車に轢かれた…。妻から連絡を受け、病院に行った時には、下の子は…。あの日から、俺と妻の関係は、徐々に悪化していった。口喧嘩が絶えず、俺は、外で飯を食う日が、多くなった。妻は、酒浸りになり、上の子が起こして、ヒステリーを起こす始末…。「”このままだと…上の子”が…衣織が…」 俺は、一時的に、長女の衣織を、俺の実家へと預ける事にした。妻と長女を離した。それがマズかったのか…更に妻が、酒に溺れた。そんな妻を、支える事が難しくなってきた俺。距離置いてしまう。妻が寝た頃に帰り、散らかったリビングを片付ける…。そんな日々を送ったていた。12月…。この日は、寒波到来…。めちゃくちゃ、寒い日だった。自宅に、忘れ物をした俺は、昼休憩を使って、職場から、自宅へと取りに戻った。”妻が酒浸りになっている”自宅に…。自宅が見えた…と…自宅の駐車場に車が停まっている。見覚えのある車だった。その車は、俺の”兄”の車。俺は、嫌な予感がした…。しばらく、路肩に車を停め、しばらく自宅を見ていた。…時間だけが過ぎていく。俺は、忘れ物を取らず、職場へと引き返した。

「……妻は…また?…”今度は兄”と?」

仕事に戻っても、手がつかず、どこかうわの空で、受講生の質問も、耳に届かず…。仕事が終わっても、自宅には帰らずに、車に居た。日付が変わった、深夜。妻が寝た頃を見計らって、自宅へと帰った。

相変わらず、酒の匂いが充満している、リビング。俺は、リビングの窓に向い、少しだけ、窓を開けた。刺さるような風が、リビングに入ってくる。妻の飲んだ酒の缶を片付ける。

「…もう…無理だ…。」

俺は、”離婚”を決意した。酒浸りになり、兄と”関係”を持っている妻…。なんの因果か今日は、土曜日…。日曜日の午後になって妻はようやく、寝室から、起きて、リビングへと降りてきた。俺は

「…もう…君を、”護る”事は出来ない…。離婚してください。」

その言葉を聞いても、妻は何も言わない。反応もしない…。立ちすくむ、妻。それだけ話して、俺は、寝室へと戻り、必要な荷物だけをまとめて、自宅を出た。

「…”ここに…この”地”に居たくない。」

俺は、職場も”異動”する事にした。この地を避けるように。

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