講義と家庭事情
俺の名は河本雷斗。この部署では”主任”だ。この職場は本部と支部があり、俺は2年前に本部から異動してきた。この支部は2階建ての建物で上は、とある施設になっていて俺はそこで、利用者さん達に講義を行っている。俺の専門は、身体が不自由な人達やこれから新しい就職活動を始める方々にパソコンの技術を教える事。長時間パソコンを教えるからか眼精疲労が凄まじい。利用者さん達には、”先生の教え方が1番分かりやすいなぁ゛とよくお褒めの言葉をもらう。その度に俺は、こう返している。「いや…パソコンのみで他はからきしダメなんですよ…。この前も奥さんから叱られてバツ悪くて…。」…と利用者さんと話していた。”奥さん”と言う言葉に利用者さんは意外と言う顔をし「結婚されてるんですか?…独身に見えますね。」
とマウスを動かしながら話す。…まあそれなりに身をカタメタ訳だが…今は後悔する時もある。理由があった。それは妻の”お酒”に対する事だ。妻は週に1度、金曜日の夜に飲みに行く。帰ってきても、リビングでひたすら飲んでいる。夜通し飲んで、寝るのは朝の5時…俺が朝起きてリビングに行くと、酒の缶と夜食に食べたカップ麺の匂いがする、土曜日の朝…。妻はリビングの炬燵で眠っている。
「……おはよう……。」
声をかけても起きやしない…。子供達が起きてきて、妻に声をかけている。
「ママおはよう。朝だよ!」
子供の声が耳に触るのか、妻は炬燵の中に潜り込んでしまう始末…。土曜日の朝は毎回コレ…。
俺は子供達に「”ママ寝てるからそっとしとこうね。”」と言って、子供達様に朝食の準備をする。
「パパ、今日の朝ごはんナーニ?」
「何にしようかなぁ…。何食べたい?」
子供達に聞いてみた。
「卵焼き。後、ウインナー食べたい!タコさんの!後、フレンチトースト!」
俺は思わず、”おにぎり”でダメ?と聞き返した。こういう時の子供は強い…1度機嫌を損ねると大泣きする。…やっぱり泣いたか…。子供の泣き声は容赦なく響く。その声に妻が起きた。
「…うるさい!一体何だ?!朝っぱらから…。」
半分男性の様な話し方…台所に立つ俺を見て、妻は「…朝ごはんか…フレンチトースト?」
卵と牛乳だけでよく分かったなぁ…と関心するものの…酒臭い…。…”作るからどいて”と台所に立つ俺と子供達をリビングへ追いやった。朝ご飯を食べ終えると子供達はゲームで遊び始めた。妻は飲んだ酒の缶とカップ麺の空容器を片付け、寝室に行く。「もう少し寝るから。なんかあったら叩き起して。」…そう言って起こしたら激怒した妻。…利用者さんにその愚痴をこぼす俺…。利用者さんはクスクス笑いながら、「ナカナカな奥様ね。」と言われる始末。今週の金曜日もまた…。俺は憂鬱な週末を過ごす。