ふうかく
「”姉さん”」…声の主は、まきちゃんの弟、英くん。まきちゃんは、「”あー英。珍しい。どうしたの?”」 とテーブル席に歩み寄って行く。スタッフの1人が声をかけたが、まきちゃんは、「”大丈夫です。ありがとう。あの”2人”を、お席に案内して下さい”。後…。」 まきちゃんの経営者としての風格が垣間見える。凛としていて、それでいて、細やかな指示。「”…すごいなぁ…瞬時に把握しちゃうんだ”」 けいちゃんと私は、窓側の席に座る。遅れて、まきちゃんも席に付く。スタッフが飲み物を尋ねた。3人ともソフトドリンクを注文した。私はけいちゃんに、アパートの”保証人”の件を話した。だけど…それは、”断る”話し。
「まきちゃん、けいちゃん、本当にありがとうごさいます。せっかく、まきちゃんがアパートを、紹介してくれたんだけど、私、まきちゃんにおんぶに抱っこだから、ちゃんと自分で、アパート探します。これ以上、迷惑かけられないよ。英くんにも助けてもらってるし。けいちゃん、”保証人”の件は…。」 それを聞いたまきちゃんは、心配してくれたけど、しばらく考えて、こう声をかけてくれた。
「…うみちゃんが決める事だし、そこは、私は止めないよ。でも、本当に困ったら頼ってね。」
けいちゃんも同じように、応援してくれた。注文したドリンクが届いたけど…”あれ”?…注文してない、ドリンクもある。”?”となってると、スタッフの1人が、「…”弟さん”から皆さんにと。」 まきちゃんが振り返ると、英くんが軽く、手を挙げる。まきちゃんも軽く手を振る…「”あれ?”」 …まきちゃんは、手を振ると同時に、英くんの席を見ていた。その様子に、けいちゃんと私が同時に声をかけた。
「「まきちゃん、どうしたの?」」
けいちゃんも私も、まきちゃんが見ている方へと視線を移した。 「……?…え!?!」
そこには、英くんとPC科の豊川夏樹さんと…河本主任がこちらを凝視していた。けいちゃんも私もびっくりして、凝視してしまう。そして、4人とも…「「”なんで!?”」」 と混乱しているのが手に取るように解った、まきちゃんと英くん。まきちゃんは、スっと席を立つと、スタッフの1人に近寄り……「”個室、準備出来る?”」 と尋ねた。すると、スタッフの方が、「”ご用意できております。…弟さん3名様のお部屋……ご一緒されますか?弟さんと?”」 まきちゃんは、”弟にはまだ” と話すと、英くんもまきちゃん達に、歩み寄よる。…何かを話している様に見える。ある程度、話して、まきちゃんと英くんが戻ると、まきちゃんは、けいちゃんと私を見て…
「ごめんね。あ、2人が良ければ、食事一緒にどうですか?って英が…。…どうかな?けいちゃん?うみちゃん?」
英くんも同じ様に2人に話している。けいちゃんは、賛成してくれた。「うみちゃんは?」…と聞かれて、私は、戸惑いながらも、「うん…いいよ。」 と答えるしかなかった。まきちゃんが英くんに、サッと手を振る。そうすると、英くんは、さっきのスタッフさんに、「”個室へ”」と話しかけた。あちらは、大賛成のようで、私たちを見ている。私は、「なんで?…」 と頭の中はパニックになっている。




