同じ強さ
7月12日、土曜日…。夜6時…。夕方から降り続いた豪雨は、止む気配が無かった。同じ強さでずっと降る雨。雷斗さんは、ニュースを付けて…
「…また警報出たな。」 「…避難バック準備します?」 「うん。」
2人で、避難バックを準備。前回は旅行用の鞄だったから、避難用にリュックを1つ買った。大きめのリュックに非常食と薬。携帯バッテリー。着替えやタオル。携帯スリッパ、ランタンと乾電池。サニタリー用品、携帯トイレ。
リュックに全部入れた。
「…登山用だけど、沢山入るからいいね。」
「…重くないですか?」 「…大丈夫。」
6月中頃に梅雨入り。今は7月12日だから…もう少しで梅雨明けなのかな?…今度は台風にも備えないと…。
「避難用鞄…作った。」 「…つきさん、これ登山用リュック?」 「実家から、引っ張り出てきた。」
「…登山するんですか?」 「?しないよ?」
…(汗)…。俺が想像していたリュックと違った。
よくテレビで見る、避難用バックとか言うヤツをイメージしていたが…つきさんのリュックは、ブルーの登山用リュック。
「…これ、何年前のだっけ?」
覚えてない…つきさん…。「…使えるからいい。」
「…。」「…これで最後にして欲しいなぁ…。もう災害は嫌だよ。」 「本当ですよね…。」
雨は、同じ強さで降り続いた。夜飯を食べ終え…ゆっくりしていた、夜…8時頃。
「長沢市・陽高市・小鷹町・添川町・大雨・洪水・雷 警報…。」
また…警報出たな。さっきまでは、長沢と陽高のみだったが、小鷹町と添川町にも出た…と!~♪♪~…エリアメールだ。俺とつきさんのスマホに同時に送られてきたメール。
「…また…同じ地区だね…。」 「はい。」
そして…10時半頃…。~♪~♪~ニュース速報が流れた…。
「陽高市 鳥上坂で崖崩れが発生のため通行止め。」
今回の雨…降り方がずっと、変わらなかった。ニュースでも、線状降水帯…。この前と全く同じ…。
今度こそ…ヤバいと…思っていた。
深夜になり、日付が変わった7月13日深夜12時半過ぎ…。
エリアメールが届いた。つきさんは、珍しく起きていた。
「羽織町全世帯に避難指示 織はた川危険水位…湯町全世帯に避難指示。吉野川危険水位…」
「!ヤバい!!」「…?!…」
スマホを見て、慌てて、何処かに電話をしていた、つきさん!
「もしもし?!アキラさん?!スグに逃げろ!!水が上がる!!ママは!?…帰った?…分かった!!」
つきさんのその剣幕にビビる俺!
と…また、誰かに電話している、つきさん!
「…出ないな?!…もッかい!」
何度か、電話して直して…
「けいさん!水上がる!逃げろ!」
「?!けいさん?!」
つきさんは、その2人に電話をし…
「…逃げたかな…。大丈夫かな…。」
ずっと…不安気な表情でスマホを見ていた…。
そして、その日の朝のニュースで羽織町 湯町が水害にあってしまった事を知った…。




