貝がら
月丘温泉から…約1時間…。
「そろそろ…あ、見えたね。」 「…日本海に来たの…2回目です。 いつも太平洋側だから…」「…宮城だったね。」 「はい。仙台市です。」 「…今度行きたい…。」 「いいですよ。」
「…あそこのショップ…。服欲しい。」
「…服…?」 「着いたよ。」
つきさんが連れて来てくれた、魚市場…。
「…前来た時は、冬…。ばあちゃんと来た。認知症だったけど…ドライブに来た。」 「…冬…。」
「…白い宿…。」 「あ…あの止まらなくなるお菓子。」
…白い宿…ミルクショコラ…。あれは、ヤバかった。食ったら最後…。止まらなくなるヤツ。
「冬しかない。溶けちゃうから。」車を駐車場に停めたつきさん。
「シャケ買う。後、鰹節とジャーキー…。」
「ジャーキー?」 「うん。」
車から降りると…トランクへ向かい、保冷バッグを取り出すつきさん。
「…行こうか…。」 「はい。」
魚市場の店内に入るとつきさんは、赤いカゴを手にし…
「鰹節…ないな。あ、バラ海苔がある。これと鰹ジャーキー。後は…シャケ。」
つきさんは、干物コーナーに向かうと…店員さんに
「塩シャケ2つ。後、メロ2つ下さい。」
「はい。後は…?」 「以上で。」
ケース内から、シャケと…メロ?…をトングで取り出し、パック詰めされた干物を受け取るつきさん。「お待ち!会計はあちら。」 「どうも…。」
「あの…メロって、何ですか?」 「銀むつ」
「ギンムツ…。」 「うん。」「…なんか、買わねな?」 「…何買ったらいいか悩んでます。」
「…1人暮しだからな…。」 「…はい。」
「…後は、塩。」 「?…塩?」 「うん。」
つきさんは、干物コーナーと反対側の、乾物が置いてあるコーナーに向かった。…後を着いて行く。
と…。
「この塩、美味い。」 「…粒が大きいし光ってますね。」 「粗塩。平釜で作ったヤツ。中々無い。しかも…この辺りの海水産。」
「??」 「後で教える。」 「はい。」 「…会計しよう。」
つきさんは、レジに向かうと、
「袋付けて下さい。後、氷もお願いします。」
「分かりました!全部で4520円です。5520円…1000円お返し!どうも!」
威勢のいい、店員さんだった。
「なんも要らないのか?」 「はい…。」 「お待たせ!ありがとうございました!」 「ありがとうございま…。」
袋を受け取り、店員さんにお礼を言った、つきさん。
店から出て、車へと戻る。保冷バッグを後部座席に置くと…つきさんは、運転席に乗り込んで…
「すぐそこの、公園に行くか。」
「公園?」 「うん。」
魚市場から2分の海浜公園へと向かう。坂をくだり…広い駐車場。何台か車が止まっていた。
「…釣り…やってんな。」 「何が釣れるんですかね?」 「…アジとか?後は鱚かな?」 「キス?」
「うん…。少し歩くか…。」 「はい…。」
車から、降りて、浜辺を散歩した。
「…この貝がら…持って帰ろう…。」
小さな…貝がら…。丸みがあるけど…少しだけイビツな形…。
しばらく…歩いてると…。あれ?…居ない?つきさんは、スマホを手にし、立ち止まって…写真を撮っいた。
「…いい写真…とれた…。」…と…言って、俺の元に歩み寄って来た…。
「…そろそろ…戻ろう。」 「はい…。」
そう言って、車へと戻った。




