表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
35/793

欲の”代償”

沙織のアパート。仕事を仮病で休んだ俺は、昼近くになって、ようやく目が覚めた。彼女はまだ、眠っている。相当酒を飲んだのか、起きる気配がない彼女。俺の腕の中で、静かに寝息をたてる彼女を、ジッと見ていた。

「”……?”」

彼女が目を覚ました。俺は、「”……起きた?…”」 と

寝起きの枯れた声で、聞いた。静かに頷く彼女。

「…。何があった?……あんなになるまで飲んで…?」

彼女はずっと黙ったままだったけど、しばらくして、ポツリ、ポツリと理由を話した。聞けば、彼女には彼氏がいて、その彼氏から振られたと。…原因は、彼が彼女の友達に、寝盗られた…。そう話すと、また彼女は、泣いた。また別れ際に彼から言われた一言が…「”お前より、アイツ弱いし、護りたい。”」 …それが彼女が酒に溺れた理由だった。俺は、泣いてる彼女に、抱きしめたまま、

「……俺と…いるか?」

と聞いてみた。泣き止まない彼女。ずっと抱きしめたまま、彼女が落ち着くのを待った。それから、付き合っているのか、付き合っていないのか、解らない関係が続いた。互いが貪るように、”身体”だけを求めた。俺が彼女を欲しがったり、彼女が俺を欲しがる。”欲を”ぶつけていた。ベットの中の彼女…時折、「”せんぱい”」と呼ぶ…。求めているのか?探しているのか?解らない声で俺を呼ぶ…。俺はそのたびに、キスをする…「”ここにいる。”」…とつたえるように…。好きなのかも、嫌いなのかも解らずただ…只管に、”欲に”溺れた。ある時、”欲”をぶつけた、”代償”が俺の耳に刺さった。

「”子供が出来た…。”」

”欲”をぶつけ合った”代償”は、かなり重い。それでも…俺は、何故か嬉しかった。”順番”を間違えたが、改めて告白した。

「…沙織さん。ちゃんと”護れる”か、どうかは解らないけど、俺と付き合って…いや…結婚してください。」

彼女は、不安そうな顔をしている。それでも…

「…はい…。…」 と

返事をした彼女は、嬉しそうに、恥ずかしそに、微笑んだ。それから、彼女と籍を入れ、子供が生まれた。女の子だった。嬉しくて、可愛くて仕方がなかった。その後に、もう1人生まれた子は、男だった。俺は、嬉しさのあまり、妻と産まれた子供に抱きついた。……そんな細やかな幸せが…。

ずっと車の中で、ふりかえる。

いつの間にか、眠っていた俺。車の時計を見た。”10:04”と表示されている。

「……。腹減った…。」

少し眠って、冷静さを取り戻しつつあった俺は、急に腹が減ってきた。…「”1度帰って”……。」…俺は車のシートを起こして、エンジンをかけると、1度自宅に戻る事にした。小鷹町から長沢市へ入り、コンビニ寄った。財布は車に置いてたから、持ち合わせはある。コンビニに入り、レジに目をやった俺は、一瞬にして、目が釘付けになる…。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ