にている
アパートを飛び出して、4日目。この日は土曜日。私は、知り合いのビジネスホテルの部屋にいた。着の身着のまま、アパートを飛び出し、ビジネスホテル近くの、公園まで車を運転した。公園に着くと、私は車の中で、声を張り上げて泣いた。涙と鼻水でぐちゃぐちゃになる顔…。それでも泣いた。…しばらく泣いていた…。と、スマホがなる。スマホを鞄から取り出して、画面を見た。涙がスマホの画面に落ちて、光を反射している。スマホの画面に表示された、名前「秋田 まき」
彼女がビジネスホテルの経営者で私の知人。泣き声の私。「”ばい…。”もじもじ”……?」 構わず電話に出た。私の声にすぐに状況を察知し、すぐに、「”…どうした?…何かあった?」…と聞き返す。私達は阿吽の呼吸と言われた程、大の仲良し。私はこれまでの経緯を話した。それを聞いて、すぐにまきちゃんは、「”うちのホテルに居ていいよ。アパート決まるまで!今どこ?…運転出来る?”」
私は「”…ぐん…ばい…びょうぶ…ばんどがいげる”…」
泣き過ぎて、声にならない声で話すと、電話を切った。袖で目だけを拭って、公園から車を走らせた。服が涙で濡れて、冷たいけど、そんなのは関係無かった。むしろちょっと、ヒヤリとして気持ちいい…。ホテルに着いた私は、まきちゃんに電話をかけた。まきちゃんは、すぐに裏口から、出てきて、運転席の窓にノックした。私は、窓を開けると、「”うみちゃん、車庫に停めて。こっち…。”」…まきちゃんの誘導で私の車を、車庫に入れた。そして、エンジンを切って、車から降りてすぐ、まきちゃんに抱きついた。しばらく、泣いた。子供が母親に縋る様に…。まきちゃんは私の背中を擦りながら、「”部屋準備出来てる。3階の西側の角部屋。この部屋だと人目に付かないから…落ち着くまで、居ていいから。…部屋行こう。…裏から行けるから。”」
私はまきちゃんの案内で、部屋まで連れて行ってもらった。部屋に入っても、泣き止む気配がない私。まきちゃんは、スマホを取り出し、何処かへ電話している。
「…もしもし?…今大丈夫?…ちょっと”頼みたい”事があるの…。協力してくれない?…親友のうみちゃんに。…了解。着いたら電話して。」
そう話して電話を切った…。あれから大分時間が過ぎた、夜7時過ぎに、私の居る部屋に、まきちゃんと一緒に来てくれた彼。私は泣き止んでいたけど、放心状態だった。まきちゃんが私に近寄って、そっと声をかけた。
「うみちゃん、弟の英。分かる?…弁護士やってる。」
私は、掠れた声で、「”弁護士…?”」と答えた。
「 英です。お久しぶり。海ちゃん。」
私は、懐かしい声とまきちゃんの優しさに今は落ち着いている。




