表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
30/793

にている

アパートを飛び出して、4日目。この日は土曜日。私は、知り合いのビジネスホテルの部屋にいた。着の身着のまま、アパートを飛び出し、ビジネスホテル近くの、公園まで車を運転した。公園に着くと、私は車の中で、声を張り上げて泣いた。涙と鼻水でぐちゃぐちゃになる顔…。それでも泣いた。…しばらく泣いていた…。と、スマホがなる。スマホを鞄から取り出して、画面を見た。涙がスマホの画面に落ちて、光を反射している。スマホの画面に表示された、名前「秋田 まき」

彼女がビジネスホテルの経営者で私の知人。泣き声の私。「”ばい…。”もじもじ”……?」 構わず電話に出た。私の声にすぐに状況を察知し、すぐに、「”…どうした?…何かあった?」…と聞き返す。私達は阿吽の呼吸と言われた程、大の仲良し。私はこれまでの経緯を話した。それを聞いて、すぐにまきちゃんは、「”うちのホテルに居ていいよ。アパート決まるまで!今どこ?…運転出来る?”」

私は「”…ぐん…ばい…びょうぶ…ばんどがいげる”…」

泣き過ぎて、声にならない声で話すと、電話を切った。袖で目だけを拭って、公園から車を走らせた。服が涙で濡れて、冷たいけど、そんなのは関係無かった。むしろちょっと、ヒヤリとして気持ちいい…。ホテルに着いた私は、まきちゃんに電話をかけた。まきちゃんは、すぐに裏口から、出てきて、運転席の窓にノックした。私は、窓を開けると、「”うみちゃん、車庫に停めて。こっち…。”」…まきちゃんの誘導で私の車を、車庫に入れた。そして、エンジンを切って、車から降りてすぐ、まきちゃんに抱きついた。しばらく、泣いた。子供が母親に縋る様に…。まきちゃんは私の背中を擦りながら、「”部屋準備出来てる。3階の西側の角部屋。この部屋だと人目に付かないから…落ち着くまで、居ていいから。…部屋行こう。…裏から行けるから。”」

私はまきちゃんの案内で、部屋まで連れて行ってもらった。部屋に入っても、泣き止む気配がない私。まきちゃんは、スマホを取り出し、何処かへ電話している。

「…もしもし?…今大丈夫?…ちょっと”頼みたい”事があるの…。協力してくれない?…親友のうみちゃんに。…了解。着いたら電話して。」

そう話して電話を切った…。あれから大分時間が過ぎた、夜7時過ぎに、私の居る部屋に、まきちゃんと一緒に来てくれた彼。私は泣き止んでいたけど、放心状態だった。まきちゃんが私に近寄って、そっと声をかけた。

「うみちゃん、弟の英。分かる?…弁護士やってる。」

私は、掠れた声で、「”弁護士…?”」と答えた。

「 英です。お久しぶり。海ちゃん。」

私は、懐かしい声とまきちゃんの優しさに今は落ち着いている。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ