恩人
「河本!加藤! 大変だ!海が!!」
「海が菊池に!早く!」
業務室に飛び込んで行く施設長!俺たちも向かった。業務室の倉庫近く、うみに…馬乗りになっていた、菊池を見つけた!施設長が菊池を引き離し…そして…
「俺の大事な方に!何してやがる!!!」
と…菊池の頬を殴った…。
殴られた菊池は、近くにあった、デスクにぶつかり、転がり込んだ…。そこを加藤主任が馬乗りになって抑えつけた。
うみは…ガタガタと震えて…慌てて声をかけ、抱きかかえた。
「うみ!!」 「ら…らい…」
声を聞いて落ち着いたのか…そのまま…気を失った。…。休憩室のソファに…うみを運び…寝かせた。…傷は負っていない…。ショックで…気を失っただけか…。安堵し…加藤主任の近くまで歩み寄った…「すみません!!…魔がさして…!…離し…」
…魔が差して…?…
怒りで…堪らず…俺は菊池に蹴り飛ばそうと思った瞬間。”ゴッ”!!
鈍い音とともに…馬乗りになっていた、加藤主任が、菊池を殴りつけた。その時、唇を切ったのか…血が滲み始めていた。…騒ぎを聞きつけた、福山課長と梶原室長も来てくれた。…。
「河本主任は、青野主任の傍に居てください。福山課長、梶原室長、近衛部長に連絡し、会議室3で待っていて下さい。その間、暴れると悪いので、菊池は、拘束します。」
「分かりました。倉庫に結束バンドがあります。それで、拘束します。」
梶原室長と2人で手を拘束し、菊池は、2階へと連れて行かれた…。
「河本主任…う…青野主任は?」
「…ショックで気を失ってるだけです…。」
「…怪我は…?」 「していません。」
それを聞いて、安堵したのか…施設長は、
「…私の…大事な…命の恩人に怪我なくてよかった…。」
……え……?…今…何と?…。
「河本主任、加藤主任。青野主任には秘密にしておいて下さい。2人には、話しておきます。青野主任は、私の妻の命の恩人なんです。昔…妻は流産した影響で…入院していました…。その時、同室だった海さんのお母様が、海さんを抱いて、妻の傍に来て、海さんを抱かせてくれた。その小さな手や温もりに癒して貰ったと…。そして…妻は、また元気になった。新たな命を宿す事も出来ました。…だから、海さんは、私の妻の恩人なんです。」
うみを見ている…施設長の目は、優しくも…悔しいさが滲み出ていた。
「…こんな目に合わせた…。妻の恩人に…申し訳が立たない…。青野主任のお母様にも…。」
「施設長…。大丈夫です。青野さん…いえ、うみは必ず…私が…いや…俺が絶対護ります。だから…」
カサっと音が…うみが気が付いた…。




