然るべき
廊下に出た俺は、支配人と中村にこう告げた。「明日の朝、9時には此処を出ます。」 「…分かりました。」 「…早めに警察を呼んでください…。」 すると…「ま…待ってください!!」 と…「奥様に手を挙げてしまい…申し訳ございませんでした。…どうか…お願いです…警察には…」 泣きながら、中村は、土下座した。「…立って下さい…。支配人さん…貴方ならどうしますか?…」 「…中村さんがした事は…。なので…警察に…」 「…そんな…」 「…分かりました。中村さん…明日、警察に被害届を出させて貰います…。失礼します。」 「ま…待っ…」
「…俺の大切な妻を傷付け…他人を傷つけた…報いです…。さよなら…。」
そう…告げて…部屋へと戻った…。傷の手当てが終わり…俺が選んだ浴衣を着ているうみ…。
「…綺麗だ…。」
その一言しか…出なかった…。しばらく見惚れていると…。
「…ご主人様…。この度は、本当に申し訳ございませんでした…。とんでもない御無礼を…どうか…お許しくださいませ…。中村には…然るべき処遇をさせて頂きます…。御手間をおかけ致しますが…よろしくお願い致します…。申し遅れましたが、当旅館の女将…涼子と申します…。」
「…よろしくお願いします…。…夕食の時間…過ぎてしまいましたね…。うみ…食事は…摂れそう?」 「…少し…。」 「…少しでもいいから…食べよう…。行こうか…。」
「ご案内致します…。それから…お部屋を変えさせて頂きます…。此方には居たくないと思われますので…。離れの方に…。お荷物は、私がお持ち致します…。…夕食も…離れの方にお持ち致します…。」
そう伝え、部屋の電話から、すぐに別のスタッフに…
「離れを用意してください…。えぇ…。利休に…。はい…お願いします。後…御夕飯もお部屋で…私が対応します…。 よろしくお願いします。」 そう…スタッフに伝えて…受話器を置いた。
「…ありがとうございます…。女将さん…。実は…。」
俺は、女将さんに話した。まだ、夫婦では無い事…。それから、中村とは、同じ同郷の同級生で、幼なじみだと言う事を…。
「まだ…これから…彼女に…」 と…女将さんは…
「…お話をして下さいまして…ありがとうございます…。ですが…重大な事ですので、中村には、然るべき処遇を取らせて頂きます。警察にきちんとお話しして…。ご夫婦で無くても、大切な方なのは、すぐに分かりました…。それだけ…。」
「…それだけ…?」 と…うみ…。
「尊愛されていらっしゃる…。…あ、失礼します…。」 部屋の電話がなり…女将さんが電話に出た…。
「お部屋の用意が整いましたので…ご案内致します。離れ宿になっております。露天風呂になっておりますので…ご利用ください。…では…こちらでございます…。」
女将さんが荷物を持って、離へと案内してくれた…。




