山ぶどうジュース
あ、じゃぁ…と、伊原さんが炬燵から出て、冷蔵庫から、炭酸水とレモンの炭酸水…何か瓶に入った飲み物を手にしていた。新しい紙コップを手に取ると「…氷…」 と呟いて、冷蔵庫へと向かう…。…?…とみんな…。紙コップに氷を入れてきて、炬燵へと戻ってきた。…「なんです?その…」 と雷斗さん。「山ぶどうジュース。」 「山ぶどう?」
「貰ったんだ。水割りや炭酸割り、ホットでもイけるよ。」 と、新しい瓶のフタを開けた。「…やっぱ、香りいいな…。」 そう言いながら、氷の入った紙コップに注いだ。炭酸水の入ったペットボトルのフタを開け…そっと注いだ。氷がパチパチと音を立てている…。新しい割り箸で軽く混ぜて、私に 「飲んでみ?」 と渡してくれた。伊原さんから、紙コップを受け取って、1口飲んで見た。…!…美味しい!甘さが凄い!「防腐剤無添加。砂糖も入ってない…。レモンの炭酸で割ると、レアチーズみたいな感じの、味がする。」 「俺も1口…」 と河本主任。「…間接キス(笑)」 とまきちゃん。赤くなる私。「…アレ?酒じゃねーよな?」 と伊原さん。「違います。」 と答えると、「…焦った。…氷、持ってくっから。待ってて。」 とまた氷を…”ガシャン”!…?…。音が止んで、伊原さんは、黒い氷入れに氷を持ってきてくれた。「…アイスペールに入れてきた。トングとマドラーもある。」 紙コップに氷を入れて、山ぶどうジュースとレモンの炭酸水をそっと注いだ。マドラーで軽く混ぜ、雷斗さんに渡した。1口飲む雷斗さん…。「…甘い!…後、ホンノリとレアチーズだ。」 「イける?」 「美味い。」 「私も!」 と…けいちゃんとまきちゃん。「美味しい♪」 「甘い!」 …「良かった。」 「…伊原さんて、酒飲みなんですね?」 と加藤主任。「時と場合。明日は、暇を貰ったし…。」 と伊原さん。「暇?」と加藤主任。「…母さん休みだから、ばあちゃん任せた。明日は、父さんに会いに行けないから…時間あるんだ。」 そう話して、酒を飲んだ。「…おばあちゃん、幾つになった?」 とけいさん。「87かな?…大分進行したよ…。月、水、金、が、デイサービスに行ってたんだけど…夜間徘徊が始まったから、家ではもう無理。来週の火曜日に施設に入所するよ…。ホタルの里に決まった。…うちの事も…ボンヤリ分かる感じかな?後、夜間せん妄も酷くなった。」 「…そっか…。以前、食欲不振による、脱水を起こしたんだよね?」 「…うん。」 「徘徊?夜間せん妄?…。」 と英君…。「…アルツハイマー型認知症。」 「…父さん?」 「…胃がん。だって。オペ受けて、胃の3分の1取った。入院中」 「…だから…時間勤務。火曜日と木曜日休み。……次から次へとあるな…全く…。」 そう言って、おでんの鍋から、笹かまぼこを取り出した…。「…おでんにも、合うんだな…笹かま。遠い親戚が送ってくれたんだ。ばあちゃんの兄弟…。」 とうみに話した。「そう言えば、加藤主任って、こっちの人?…なんか…訛りがないね?」 と伊原さん。「…俺は、宮城の出身です。」 「…じゃぁ、ばあちゃんと同じ兄弟がいる所だ。」 「おばあちゃんの旧姓は…?」 とけいさん。「ばあちゃんは、加藤。確か兄弟は、7人兄弟で、ばあちゃんは、5番目だとか…。親戚は、1番末の人で…加藤…トヨ…だったかな?」…そう伊原さんが話した途端!
「加藤トヨ?!?…俺の、父方のばあちゃんと同じ名前ですよ?!」 「…は…?…。マジで?!」
マジで…か…(汗)