でていく
職場を早退した私は、アパートに帰った。車の運転をしながら、途中スーパーへと寄り、惣菜を買う。「”今日は…これでいいか”。」…疲れきっていた私。夕飯を作る気力も無かった。アパートに着いて、車を降りた。…ふと、駐車場を見た私。「”…蒼空の車が無い”」私はアパートのドアの鍵を開けて、玄関に入った。”…はぁ…”と帰ってきた安堵感からか、ため息がでた。居間へと向かう。買ってきた惣菜を台所に置き、手を洗いに洗面所に行く。部屋着に着替えようと、寝室へ向かうと…違和感を感じた私…。”なんか…変…何か……あ!!”…私は慌てて、ドレッサーに近寄り、引き出しを開けた。
「…ない…?!…ない!!」
私が感じた違和感…開けたはずのない引き出しが、勝手に開いていた。そしてその中に、入れてあった、ペンダントと指輪が入ったケースが、無い。血なまこになって、探していると、「ただいま…。」と声が聞こえた。蒼空が出かけ先から帰ってきた。一旦、探すのを止めて、蒼空に聞いてみた。
「蒼空…ここにあった指輪とペンダント…知らない?」
蒼空は悪びれる事もなく、「あー、あれなら、売った。海、”つけない”からいいだろ?…今日夕飯なに?」
私は、愕然とした。そして…身体が震え、ざわめく。蒼空は、何も言わず、台所の惣菜を見て、”これ食べていい?”
”謝りも…?”…我慢の限界を超えた私…。
「…人の物を勝手に売って、メシだって?!!
何考えてんだテメェ!!」
私の罵声が居間全体に響いた。私はとうとう、本気で蒼空にキレた。罵声を浴びせながら、テーブルに置いてあった、TVのリモコンや蒼空が出しっぱなしにしている漫画本、ありとあらゆる物を蒼空に向かって投げつけた。そして、結婚指輪も外して、蒼空に投げた。
「…離婚する。…もうアンタとはいれない。犯罪者とは暮らせない。」
私は、鞄とスマホの充電機のみを持って、アパートを出て行った。何か蒼空が喚いていた…。私は車に乗り込むと、車で20分くらいのビジネスホテルへと向かう。ここのホテルは、私の知り合いが経営しているホテル。ホテルに行く前に、私は、知り合いに連絡を取った。




