かいわする
介護福祉科に戻った私。軽くお昼ご飯を、食べてから部長室に行き、その後、”近寄りたくない”けど…仕方なく行ったPC科。介護福祉科科の時計は、まもなく13時30分になる所…。「”…後、30分位休める…。”」…私は、介護福祉科の休憩室に入る前に、手を洗う。冷たい水で手を洗うと、頭に上った血が、すぅーっと下がるような感じがした。手を洗う事で少し落ち着き、冷静になってきた。洗い終わった手を備え付けのペーパータオルで水気を拭き取る…。休憩室に向かうと、まだ皆が休憩をしていて、持ち寄りの食後のコーヒーを飲みつつ、お菓子を食べている。「”バリッ…”ボリ…ガリッ”……」
お菓子を貪るように食べているのは、介護福祉科のチームリーダーの平澤つぐみさん。煎餅なのかな?凄い噛む音が聞こえ…「”ズズズッ”」……コーヒーをいきよいよく啜る音と同時に…「”ゲホッゴホッ!!…」……一緒に休憩していた、ベテラン介護福祉士の浅田智さんと佐藤恵子さん、私と同い年の根岸蛍さんが一斉に声を出した。
「「ちょっと大丈夫?!」」
私は平澤さんの姿を見て、驚くと同時に引いた。…「”……す…凄い…。”」…これが、介護福祉科の休憩。食べなきゃ持たないのは解るけど…あまりの食べっぷりに驚いている。毎回コレだから、慣れるものだけど…流石に今日のは驚きを通り越して引いた…。私が休憩室に入ってきたのに気がついた、根岸さんが声をかけてくれた。
「あ、うみちゃんどこ行ってたの?…ご飯食べたの?」
根岸さんの一言で浅田さんも佐藤さんも私に気がつく。浅田さんはニコと笑いながら
「あ、おかえり。部長室に報告してきたんでしょ?コーヒーまだ飲む時間あるよ。」
私は「”うん…でも、いいかな?…歯磨き終わったし…。」
そう私が答えると、むせたのが落ち着いた平澤さんがティッシュで口元を拭きながら、
「随分かかったね。…なんかあったん?」と私に尋ねた。私は今までの経緯をざっと説明した。”ふむふむ…”と私の話しを聞いた4人。先に口を開いたのはさすが、ベテラン2人組。
「それは、河本主任が悪いね。きちんと”記録”読んでなかったんでしょ?」
「怯えてたって…可哀想に…よっぽど恐かったんだねぇ…。」
浅田さんと佐藤さんが交互に話す。
「だから、PC科に寄ってからきたんです。」
根岸さんと平澤さんがほぼ同時に、「部長には、その件報告したの?」と聞いてきた。私は首を横に振る。「丁度、部長室からの戻りだったから。それに、仁科室長にも話してないし、たまたま近くにいた田山みれいさんに話して対応してもらったよ。…これ以上…は。…?!!」
私は休憩室の入り口を見て固まった…。その姿に話しを聞いていた4人が小首を傾げている。浅田さんが私の視線に気がついたのか、「”どうしたの”?」と私に聞いてから、休憩室の入り口の方に振り向いた。
休憩室の入り口に、気配無く佇んでいた河本主任がいた。




