冬の海
うみのアパートを出て、1時間。途中コンビニに寄った。俺は、ガムを買おうと、レジに並んでいると…「…31番1つ…。」 前の人がタバコを買っていた。…タバコと紅茶…。なんて思っていた。会計を済ませ、車へと戻る。うみも戻ってきた。「トイレ混んでました。」 「ここのコンビニが最後だからなぁ…。後は、ずっと山道だし…。」 これから、また、峠を超える…。「10時半か…やっぱり、かかりますね。」 「雪道だから特にね。」 夏、海に行った時と違って、倍の時間がかかる…。そう思っていた。前方の車…。さっきのコンビニで見た車…。ナンバーは…雪で隠れて見えない。時々、運転席の人が、助手席に座っている、人に話しかけてるのか、動いている姿が、フロント越しに、微かに見えていた。…。ひたすら、海に向かって、車を走らせる…。夏と違って、山がシロクロになっていた。峠の最後のトンネルを抜けた。このトンネルを抜ければ、県が変わる。すると…うみ。「道の駅に寄ってください。飲みたい物があります♪」 「何飲むの?」 「…コーヒーです…。キッチンカーが来ていれば…飲めます。」 トンネルを抜けて、車で15分…。道の駅が見えてきた。「…来てるかな?…あ、来てる♪」 駐車場に止まっていた、コーヒーのキッチンカー…。俺も買う事にした。コーヒーを購入し、車で飲む。「…美味しい♪」 「…美味い。」 最初は、苦味が強い…と思った瞬間、甘さと香りが、口の中に広がった。コーヒーを飲み終えて、海へと向かう。「近道しましょう♪ 」 と、うみが道を教えてくれた。夏に来た時とは、別のルート…。地元の人しか知らないような道…。でも、本当に近かった。国道に出ると、そのまま、海へと向かう…。「見えたね」 「うん♪」 天気は、晴れてはいるが…夏と違って、寂しい。それに…風が強い。車に当たる風音で、風が強い事が分かる…が…うみは、嬉しそう。「冬の海もいい♪楽しみ♪」 うみ…頭の中…魚でいっぱいに、なってる(汗) 魚好きのうみにとっては、
楽しみで仕方ない様子だ。夏に来た、魚市場に着くと、うみは、保冷バッグを手にしていた。「持つよ。」 「ありがとうございます♪」 そう言って、魚市場に入っていく。「何買うの?」 「ヒラメのさくがあれば、ヒラメ。甘えびと鮭です。…鮭は、雷斗さんのお弁当に入れますよ♪あ、後、かつお節とばら海苔も♪」明日の弁当が楽しみだ。目当ての魚や甘えびなどを買ったうみは、嬉しそうだった。「お昼、お寿司にしますか?それとも、隣で食べます?」 「お寿司買って、隣で食べよう。」 この魚市場で作っている、寿司。買えば、隣で食べられる様になっていた。遅めの昼メシを、2人で食べていると、「鱈汁いかがですか?」 と店の人が、声をかけていた…。「食べます?」 「うん。食べよう♪」 そう話して、鱈汁も食べた…。出汁が利いて、タラの身もデカい。ん?…コレなんだ?…白い塊が鱈汁に入っていた。「白子ですね♪」 うみは、その白子をパクっと口に運ぶと「…クリーミー♪美味しい♪♪」 と顔をうっとりさせていた。俺も食ってみた。「…ヤバい。これ美味い。」 …。そう呟いて、昼メシを堪能した。




