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たずねる

部長室を後にし、介護福祉科へと戻る私。丁度、介護福祉科とPC科の廊下で、受講者の相川莉央さんと鉢合わせた。相川さんの顔色が優れない。「”どうしたのかな?”」…私がそう思っていると

彼女は怯え震えていた。…気になった私は相川さんに話しを聞いてみた。…彼女は潤んだ瞳を私に向け、今にも泣き出しそうな状態だった。

「…”何かあったな”?…」

私は廊下の近くにある小さな面談室へと相川さんを連れて行き訳を聞いた。最初彼女は、怯えて震えていたけど、徐々に落ち着きを取り戻し、ポツリとこう話してくれた。

「……新しく来た男性の先生に、”手”をイキナリ掴まれた……。」

そう話したきり、何も言わなくなった。私はすぐに理解した。

「”…ア・イ・ツ・かっっ……。”」

そう新しく星野里香主任の代わりに本部から来た

”河本”とか言う奴…。私は相川さんに声をかけた。

「…ごめんなさい。びっくりさせたね。”河本”さんには私から注意しておきます。相川さん…良く話してくれましたね。ありがとうございます。」

相川さんに優しく声がけをし、相川さんを自動ドアまで送る。彼女がエレベーターに乗ったのを見届けると、私は”PC科”へと向かった。

「私は確かに、追記に記入していたハズ…何故?」

私はPC科に入室し、誰も居ないパソコンルームを通り、”PC科休憩室”のドアをノックした。「”どうぞ”」…と中から声が聞こえた。私は「”失礼します”」

と伝えて休憩室への中へと入っていった。丁度、目の前に、PC科の田山みれいさんがいた。

「あ、藤原さん。」

声をかけると同時に、田山さんに軽く頭を下げ、歩み寄る。私は、田山さんに今の相川さんの件を伝えた。すると、慌ててパーテーションの裏側に駆け寄り、”彼に”…いや…”アイツ…”に声をかけている。

「”河本主任…ちょっと”」

パーテーションの裏側で食事中だった”アイツ”が顔を覗かせた。これが私の中での”初対面”だ。

「”この人”が…河本…主任…?」

見た目は私より”歳上”に見え、タヌキの様な顔つきをしている…。昼食を摂っていたのか、口元も拭かず慌てて、パーテーションの裏側から出てきた。「”……あの…”」河本主任が何かを話す前に、私は相川さんの件を話した。その時の視線…いや、目付きがめちゃくちゃ怖かったんだと思う。…よく、「”海は怒ると目が恐いからなぁ”」…と主人の蒼空に言われていた。多分、その目付きになっているが、今はそれどころじゃない。

相川さんの件を忠告して私は、休憩室を後にした。私はこれから先、この”河本主任”こと河本雷斗に振り回される事になるとは、思ってもいなかった。

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