毒づく
翌日…うみと衣織へのクリスマス・プレゼントを選んだ俺は、朝出勤して、うみから弁当を受取る。相変わらず、毎朝、女子更衣室前近くの廊下で手渡される紙袋。空の紙袋をうみに手渡し、新しい紙袋を貰う…。そこには、うみの手作りの弁当や、作り置き…。俺は、うみに料理を教わった…。初めて習った料理は、ナポリタンとオニオンスープ。今週の土日は、何を習おうか…。外食は殆どしない俺たち…。デートなら、どっか行って…とも、思うが、この雪だし…。秋は、近くのダリア園なんかを見に行ったが…。俺もうみも、どちらかと言えば、インドア…。キャンプはやって見たい。ガキの頃、親戚に連れられて行った、キャンプ。…。アレとは違う…彼女とのキャンプ…。なんて昼飯を食いながら、考えていた…。今日の弁当は、ミニハンバーグに、はんぺんのチーズ挟み焼き。アボカドとエビのサラダ、カボチャの煮物…。綺麗に詰めてある。おにぎりの具はおかか。後、わかめと若菜の混ぜご飯…。後、俺のアパートから持ってきた、みかん…。ハンバーグを1口…。やっぱり美味い…。これ、手作り?なんて考えていると…。
「…手作りですね…。」 と加藤君…。
…なンで…わカんの…?(汗)
田山さんも
「手作りですね…。」
何で分かるんだ?
「形。冷凍なら、成型が均一。手作りなら、少し歪。それに、真ん中が少し窪んでる…。」
と加藤君。
(汗)
「朝、更衣室の前で受け渡し…。毎回、毎回…。見せつけてくれるな…(怒)…。俺も、青野さんのメシ喰いてぇのに…。」
…ど…どうした?…加藤君…何時にもまして…毒が強い(汗汗)
「…クリスマスは…デートですか?…休みでしたよね?…。俺も付いて行こうかな(怒)…」
ま…マ、じ…デ…言って…る? 口調からは、イラつきが分かり、目も鋭い加藤君…(汗)…。このままだと…俺、マジで…。と…。
「そう言えば、田山さん。彼に、クリスマス・プレゼントか…買いました?」 と莅さん。「うん。買ったよ♡…今年は、名刺入れにしちゃった。」
それで更に…火がついた、加藤君…。
「…買ったですか?…青野さんに?」
な…何を?…かな(汗)
「クリスマス・プレゼント…。」 加藤君…。「何送るんです?」 と莅さんと田山さん…。2人とも…め…目がマジ…。
「は…はい…。買いました…。スノードーム型のペンダントケース…」
「…へー…。中身は?」 と加藤君…。
「可愛い(笑)」 「河本主任、意外!」 莅さんと田山さんさん…。
中身…ペンダントを込みで買うと…その…値段…。
すると…加藤君。
「値段?…そんなのを気にしてたら、送らない方がマシ…。」
と加藤君…。ヘコむ俺…。と…。
「私は、それでいいと思いますよ。」 仁科室長…。
近衛部長から呼び出されて、これから休憩で戻ってきた。
「前、妻にその、ペンダントを送ったら、趣味じゃない…と言われたよ。」
仁科室長…愛妻家…。なんて思った矢先…。
「村山さん、体調不良で、今日で退職します。それとは別に、新しい方が入って来ます。…加藤さん、明後日、部長室に、朝の9時に行ってください。」
「…は?…河本主任じゃなくて?…」
そう話して、昼の休憩は、終わった…。




