…温もり
河本主任が全てを教えてくれた後に……
「……青野 海さん……俺が一番、護りたい女性です。好きです。付き合ってください…。」
……全てを教えてくれた河本主任を真っ直ぐ見ることが出来なかった……。いつの間にか…泣いていた…。不安だったものが、全て消えたから…。ずっと、恐かった……。雷斗さんを信じられるか…。不安で仕方なかった…。でも、あの時…あの人達から、護ってくれた…それ以上に…かわ…雷斗さんを信じられる……。
「話し…て…い…あ…あり…が…とうござい…」
言えなかった…。…
「…泣かせて…しまいましたね…。ごめんなさい…。…でも…不倫で家庭を壊したのでない…それだけは…信じて…くれた?」
そう話して、微笑み、優しい眼差しで見てくれている、雷斗さん…。私は、首を縦に振った。涙を手で拭って、泣き顔の状態で、かわ…雷斗さんを見て…。
「最初、雷斗さんに出会った時、私は、馴れ馴れしくて、余計な事に、人を巻き込む男性…でしかなかった…。私…あの人と別れた時…もう、恋愛は、イヤだって思っていました…。でも…時間が経つにつれて…雷斗さんに惹かれていきました…。…ある方から、雷斗さんの離婚の話を聞いて…仕事の悪い噂は、信じてしまうけど…プライベート的な…噂は…信じないと…でも……そうじゃなくて…雷斗さんの、想いも心までも…信じてなかった……。でも、あの時、平澤達から護ってくれた時……大切な女性って…話して…あれから…ずっと…」
涙がまた…。涙で雷斗さんが滲ん…??
「…もう…泣かないで……。…信じてくれたなら、それでいい…俺の事…好きになってくれた?」
いつの間にか、雷斗さんが私を、包み込むように抱きしめていた…。さっきまで、とても、冷たい身体が、凄く温かい身体になってる…。
「…雷斗さん…が…好き…です。…付き合ってください…。」
「……このまま…帰したくない……。」
そのまま…抱きしめたまま、何もしない雷斗さん…。泣き止むのを待って、ようやく…
「…落ち着いた?…。…」 「…うん…。」
「……歳上…に見えない…。」
…雷斗さん、私より歳下だった…。そう思っていると…。
「…河本主任から、雷斗さんに変わったね…。なんか…いや、嬉しいな…。ずっと、河本主任て呼ばれてたから…。…。また、メ…いや、ご飯作ってくれる?……海さ…海ちゃんのメ…ご飯食べたいです。」
「…もう、メシで大丈夫です…。」
そう話して、私は、河本主任…雷斗さんのアパートを後にした。
夕方、また夕飯を作って、届けた…。買い物に行っているのか、雷斗さんは、留守だった。紙袋を、雷斗さんのアパートのドアノブに下げて、帰ろうとした時…。
「海ちゃん…?…どうしたの?…」
雷斗さんが買い物から帰ってきた…。私は、慌てて、逃げようかと思ったけど…
「……もしかして、夕メシ?…。」 と目を輝かせている…。観念した私は…「はい…」 とひと言、返事をすると…
「マジで…?!…幸せだ…。謹慎に…こんな…ご褒美だ!!」
……謹慎中にヤバい……と私は思った…。




