表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
155/810

帰したくない

俺の部屋に…彼女が…居る…。しかも、彼女の作った弁当を食べて、隣に彼女が座っている…。テレビもつけて無い、静かな部屋…。彼女が作った弁当のオカズは、玉子焼き、アスパラとベーコン炒め。鶏挽き肉のハンバーグ。ナスを焼いて、鰹節と醤油をかけたヤツ…。別容器に、トマトとチーズのサラダ…?…もう1つの容器には、デザートにぶどう…。後、おにぎり。具は、梅干しとおかか…。……。俺の好きなものばかり…。嫌いなのは、梅干しくらいで…でも、その梅でさえ、美味かった…。玉子焼きを1口食べた……。「……美味しいです……。」……。ゆっくり彼女の作った、料理を噛みしめながら味わった……。彼女が、水かお茶…と尋ねた。俺は、冷蔵庫に水があるから、持ってきて欲しいと頼んだ…。…そっと立ち上がる彼女…。冷蔵庫から、水を持ってきてくれた…。…。「ありがとうございます…本当に美味しいです…。海さんのメ…いえ、ご飯……。」彼女の前では…メシなんて、言えず、ご飯と言い直してしまう…。…全部食べた…。…夜に少しは、取って置く…なんて考えずに、残さず全部食べた…。それだけ、美味かった…。俺が、全部食べたからか?…彼女の顔は、安堵の表情…。たらふく、食ったら…身体が、温まってきた…。…。彼女は、静かに、俺が食べ終わるのを、見届けると…ぽつりと…「帰ります…。」 言って、立ち上がろうとした…。…!…俺は、咄嗟に彼女を手を握って、慌てて、彼女を引き止めた…!


「待って…今なら…君に話せる……!」


咄嗟とはいえ、彼女に触れてしまった…。…あ…ヤッた…。でも、手を離せなかった…。彼女が、帰ってしまう…。すると、彼女は、座り直して、握っている俺の手を、左手で触った……。


「…身体、温まってきましたね…。」


冷たい手だった俺の手をそっと包み込むように…触る手…。温かい手…。俺は、彼女に、あの話しをする前に…。


「海さん…。お弁当ありがとうございました。…今回、”こんな事”になってしまったのは、全部、俺のせいです…。ご迷惑おかけしてすみませんでした…。」



弁当のお礼を言って、騒ぎを起こした事への謝罪をした…。そう話した…。すると彼女は、


「河本主任は、私を平澤さん達から、護ってくれただけです…。私こそ、助けていただき、ありがとうございました…。」


座りながらも、頭を下げる彼女…。


「……。海さん、俺の話しを、聞いてください…。俺がどうして、”離婚”したか…。」


そう話して、彼女の手首から、手をそっと離した……。まだ、俺の手には、彼女の温もりが残っている…。



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ