罰の理由
…加藤が…怒鳴っ…キレた…。ていうか…彼女も謹慎…?…彼女も謹慎…。彼女が何故?…。「アンタが…」 加藤君がキレたのは…俺がちゃんとしてないからだ。それは…理解っている…。だが、彼女は、悪くないのに…。寧ろ、彼女は、被害者なのに…。…。ぼう然と、スマホを手にしたまま、立っていた…。それから、4日が経った夕方。俺は、加藤君に電話した。加藤君は、何時もの加藤君に戻っていた。そして、俺に、こんな事を聞いてきた。
「あの平澤達に罰が当たらず、アイツらが大切にしている人達に罰が当たるって…どういう意味です?」
あの日、平澤達に、話した”平澤にではなく、平澤が大切にしている者に罰が当たる”…。加藤君は、その事が、ずっと気になっていると、話す。
俺は、加藤君にその理由を話した。
「俺がまだ、離婚前…別居中だった頃、色々あって、兄貴が俺のアパートに来たんだ。その時、俺は、兄貴に、殴りかかった…。で、それを止めたのが、俺の娘だった。…まだ8才の…小さな身体に、…男の力で殴ってしまった…。どんな形にせよ…子供を殴ってしまった…。」
そこまで話した。加藤君は、黙って聞いていた。だが…「…”お兄さんが何故、訪ねて来たんですか”?」
そこも気になった加藤君…。
「……。スマホに、連絡が来た日…沙織さんが自殺を図った。未遂ですんだが……その事を知らせるために、何度か、兄貴から、俺のスマホに連絡が来ていた。”ソレ”を無視してたんだ。…”ソレ”を、アパートに居た、俺に、知らせに来た…その時、一緒に、娘を連れて来たんだ…。」
「”沙織さん”?」 加藤君が尋ねた…。
「俺の元妻だよ。…俺にはこれが、罰だった。あの場から、離れた事で…。現実から、逃げた事で…俺では無く、沙織さんと娘に…。その時、俺がきちんと向き合わず、出てったから…大切にしていた女性や子供に…。俺にとっては、この上無い罰だったよ。…。その後、兄貴達と話し合って、沙織さんと別れたんだ。沙織さんが、”独り”になっていた時、支えていたのが、兄貴だったから。…。…。」
「”それ…で?”」…加藤君が、言葉に詰まりながら、俺に尋ねた。
「いや……というか…その罰の事を教えてくれたのが、青野…いや、海さんだったんだ…。彼女がその事を教えてくれたんだ…。そして、俺は、気付いたよ……。他人を傷付けたら、傷付けた分だけ…その人が大切にしている人に、”ソレ”が、当たって、”罰が何倍”にもなって、自分に跳ね返って来るとね…。」
…そう話して、加藤君との電話は終わった…。
次の日、彼女からメールが届いていたが、俺は、朝から、体調悪くて返信もせず、横になっていた…。最近、マトモな飯を食っていない。熱は無かったものの…レトルトばっか食ってるせいか?…体調が悪くなっていた。その後、しばらくして、彼女から、電話が来た。
俺は、体調が優れない事を、話した…。すると彼女は、心配そうに、俺にこう、尋ねた…。
「…もし…良かったら…何か作って…届けましょうか…?」
……え?!…。




