色ブタ
あれから、1年位か?…相変わらず、平穏な日々が続いて…。…「久しぶり!加藤君!!」 ……河本が戻って来ていた…。…本部から、また戻ってきたか…。またなんかヤったのか?…。適当にあしらいながら、休憩室にいた。…そういや、河本って、一人暮らし、してんのかな?…俺の住むアパートの近くで、よく見かけんだよな?…。でも、コイツ確か、嫁と子供居たんじゃねーっけ?…。あのアパートに?…あのアパートって前に、内見に行ったことが…確か…一人暮らしには向いてたけど、家族で暮らすにはムリだろ?…単身赴任…?…あれ?でも、河本って、長沢だったよな?確か?…通勤デキねー距離じゃねーし?…。別居してんのかな?…まっ俺には関係ねーか。ンな事、思いながら、しばらくは、また変わらない日々を送った……が!!…。俺が、少し早めに出勤した朝…。「おはよ~ございま~す。」 …。?…初めて聞く声…。振り返って、声の人を見てみた。…?…!?…。な…なんだ…この…?…初対面でその人見て、俺は、ビビる…。
「あ~…初めまして。介護福祉士科の渡賀はつめです♪よろしくお願いします…。」
…甘えてんのかな?…この声…それに、この辺りの訛りではない…話し方……後、ワザとか?この…喋り方?…。それに…。そう思った時だ…。
「…♡…ねぇ、キミ幾つ?私より若いよね?…?」
…。声は違うからまだ、いいのか…?ソレにしたって…体型は、あのオバサンリーダーより、一回り位、デカい…髪形は…オバサンリーダーと…い?!…小顔の割に…そ…の…あご…の肉…。に…?…さすがに、引いた。それでも…「PC科、加藤朔夜です。…よ…」
「声…カワイ~イ♡…ねぇ…」
…ゾッ…!!……全身トリハダの俺…。…。さすがに
「すみません!用があるので、失礼します!!」
慌てて、その場から、1階の男子更衣室まで、走って逃げた…!!と、”キャ?!…ワッ!?”…1階の女子更衣室の近くの廊下で、”藤原”さんと鉢合わせた!…。「…び…ビビった…。」 と俺…。ん?…。藤原さんもビビって、固まっている…。
「あ、すみま…せん。だ…だい…じょうぶ…ですか?」
…息が上がっていた俺…。そんな俺に…”藤原”さんは、
「…あ…加藤さん?…うん。大丈夫です。加藤さんこそ…大丈夫?…私、足踏まなかったかな?…?…大丈夫みたいだね。…気を付けてね?」
…そう話して、業務課へと戻って行った…。あんなモン見た後での…藤原さんの声。それと、優しい言葉が、まるで、安定剤のみたいに、俺の焦りと恐怖を落ち着かせていった…。…「…あ…はい…」 藤原さんが、居なくなった後に言っても…。その日から、渡賀の俺に対しての接し方がキモくて仕方がなかった…。その度に、”藤原”さんの声が、聴きたくなる…。優しくて、穏やかで、たまに、強い口調も聞こえるけど、それでも、聞きたかった…。
「……俺…藤原さん…好きかも……。」
だけど…。




