処分が下った後
近衛部長たちと話しが終わった後、私は、業務課に戻った。福山課長に仕事の引き継ぎをして、休憩室のロッカーへと向かう。村木さんも帰ろうとしていた。「”お疲れ様です”…。」 疲れきって、覇気の無い私の声を、心配してくれた村木さん。「”海ちゃん大変だったね…。でも、良かったよ。海ちゃんは絶対そんな事しないって信じてたからね”。」村木さんは、私が2階から、なかなか戻らないのを心配して、様子を見に来てくれていた。2階着いた村木さんは、私が平澤たちと揉めていそうな感じがしたから、慌てて、近衛部長を呼びに行ったと…。近衛部長は、私たちの揉め事を陰で聞いていた。…だから、部長が…”大切な女性”…と。「”ありがとうございます…本当に助かりました”…。」 そうお礼を述べて、私は、業務課を出ると、その足で、PC科へと向かった。誰も居ない、パソコン室を抜け、休憩室のドアをノックした。ドアを開けようとした時、中から、加藤さんがドアを開けた。さっきと変わらない…私に会釈した時見たいに、優しい眼差し。私は、加藤さんに言われるまま、休憩室の中に入った。
「そこの裏のイスにどうぞ。コーヒーでも飲みます?」
私は、すぐに帰ると言った…。加藤さんは、自分用のコーヒーを入れると、私の元へと来て、向かいの席へと座った。
「今日は、大変な1日でしたね。…大丈夫ですか?」
そう私に尋ねた。私は、大丈夫です。と呟く様に加藤さんに返した。元気がない私の声を、聞いて、加藤さんは、心配そうに私を見ている。
「…今日は、助けて頂き、ありがとうございました。あの…河本主任は…?」 と加藤君にお礼を述べた後、河本主任がドコにいるのか、尋ねた。
「河本主任は、帰られましたよ。…青野さん、俺もしばらく、謹慎になります。」
私は、びっくりして、加藤さんに、問い質した。
「ど…どうして加藤さんが?!…!まさか、河本主任も…?!…」
黙って首を縦に振る、加藤さん…。
「…そんな…だって…私が、平澤たちを殴ろうとしたのを止めただけ…で…。」
”殴ろう”とした…。その言葉を聞いても、顔色1つ変えない加藤さん…。そして…加藤さんは、こう私に、話してくれた。
「河本主任と俺が、青野さんを止めた…。それでも、これは、上が決めた事なんです。それは、別にいいんです。ただ…青野さんの心が、傷ついて…このまま、潰れてしまうんじゃないかと…心配です。…青野さん…俺は、”ずっと”、前から、心配していました。噂がたち始める前から…。青野さんが、平澤らを殴って、手に怪我をしたり、殴り返されて、顔や、身体に、怪我をしなくて、良かったと思っています。」
加藤君の冷静な口調…。
「介護福祉士科にいた頃、俺がここに入ってすぐ位に、平澤から、揶揄われ、さらに、馬鹿にした…。その後で、”ごめんなさい。迷惑かけて”…と、言ってくれたのを覚えてますか…?」
…あ…。私は、思い出した。加藤さんが入って来た頃の事を…。その当時、平澤の揶揄いグセは、酷く、しかも、新しく入ってきた職員…特に若い人を、揶揄っては、大笑いして、楽しんでいた…。他の部署の方も、その事で、参っていた。まだ、入ってきたばかりの間もない方を…。いきなり知らない女性から…しかも、その人が気にしている事を平気で揶揄う平澤…。加藤さんは、その時の事で…?




