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対話

PC科の時計が朝の9時50分を示した頃、受講希望の2名がPC科へと入室してきた。1人は、女性で相川莉央さん。もう1人は、男性で小田健大さん。相川莉央さんの見た目は、大人しそうな無口な感じ。だけど芯はしっかりしているタイプ。身なりは、シックな装いに対して、控えめなペンダントに控えめなピアス…少し大きめのバックを持っている。だけど、よく見てみるとハイ・ブランドばかり身に付けている…。持ち物にはこだわりがある様に見えた。男性の小田さんは電動車椅子に乗り、気難しそうな感じ。だけど、持ち物を見てみるとゲームのキャラクターのキーホルダーを鞄に沢山付けている。私はこの2人を仁科室長の案内で、私が借りているデスクへと来て貰った。私は2人の正面に立つと、先に相川莉央さんに挨拶をした。「”本日講習を担当させて頂きます、藤原と申します。よろしくお願いします。”」

相川さんは、「”相川莉央です。よろしくお願いします。」…ハスキーな声の彼女。次いで私は隣の小田さんに身体を移した。そして、彼の目線に合わせて、膝を付き、目線を合わせて挨拶をした。

「本日講習を担当させて頂きます、藤原と申します。よろしくお願いします。」

その様子を仁科室長をはじめ、パソコン科の講師達は不思議そうに見ていた。”介護福祉士科”の癖で実習の際と同じ様に接したからだ。私は「”あ…ここ”PC科”だった…。」と挨拶をしてから気付くも、”…まっ…いっか…。”と開き直る。だけど、この”挨拶”が良かったのか、小田さんの緊張が少し溶けたのか、「小田健大です。よろしくお願いします。」と強ばってた表情が和らいだ様に見えた。

挨拶を終えて、2人にPC科の教科書を渡した。

「お二人に渡した教科書を見ながら、今日は講習を進めて行きます。事前にお預かりした、希望書を拝見させて頂きましたが、お二人とも、パソコンを使うお仕事がされたいとの事で間違いはありませんか?」

私の質問に2人は「ハイ。」と答えた。

「では、教科書を持って、パソコンの前に座りましょうか。…相川さんはこちらのデスクに。仁科さん、相川さんを案内して…」

「あ、私が案内します。」

私は声の主が近衛部長だと知って驚いた。

「”まだ居たの!?……心配だから居てくれてるのかなぁ?……」

颯爽と相川さんの前に立ち、案内をする近衛部長。その様子を見てみいると、不意に「藤原さん」

と声をかけられた。慌てて我に返った。私は小田さんに近寄ると膝を曲げて、

「小田さんは私が案内します。電動車椅子を手動に切り替えますね。」

電動車椅子を手動に切り替え、後ろに周り小田さんに声をかけた。

「動きますよ…こちらになります。」

静かに車椅子を押した。その様子を仁科室長と近衛部長、他の受講者達が静かに見守っていた…。

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