轟雷
「…言いたい事は…他にありますか?」
その穏やかな口調は、急に変わった…。優しい表情が、冷徹な表情に変わり…優しい口調は、低く、それでいて…。その表情に、顔色が変わり、
ギョッとする、平澤。しばらく…沈黙が続いた…。
そして……
「いい加減にしろよ?!!!…俺の大切に想っている女性や、大切な友人を、心が汚い貴女の、醜く、歪んだ嫉妬に巻き込まないでいただきたい!!!」
河本主任の怒号が、2階の全体に響いた!!その怒号は、私達だけでなく、他の科の職員にも聞こえたのか、慌てて、職員が、部屋から出てきた。
河本主任に怒鳴られ、愕然としている平澤。そんな平澤を見ても、まだ河本主任の怒りは収まらない。
「…貴女は…他人を傷付けるのが、仕事ですか?…それとも、趣味?生き甲斐ですか?…そうやって他人を傷付け、貶めて…そうしなければ、幸せを感じられないようですね?…そんな貴女には、何れ、罰が当たりますよ?…貴女にでは無く…貴女が1番大切にしている、家族や友人…とかにね。それでもいいなら、勝手にしてください!!ただ、俺の大切な女性や友人を傷付けた事は、絶対に許しませんから!!」
そう伝え終わった時…。
「加藤君…こ…怖い…。」
渡賀が加藤さんに、また甘えた様な声を…。
「…俺より歳上の…ていうか、ババァが、何やってんの?!…嘘まで付いて…アンタら2人の性悪さ…信じらんねーし…。アンタ、ここに来て、まだ2ヶ月位しかたってねーのに…青野さんより、歳上だからか…?…歳下の先輩だからか?…それでも、先輩に平気で、そんな事、言えるな?…性格が、歪んでっから?それとも、心が汚ねーから?…その汚い顔に、化粧したって、中身が腐りきってからな…。変わんねーよ…。それに、その二重アゴ…。身体に、肉か?脂肪か?無駄につけて…。それで、いい女?…マジでドン引き。キモいし。」
そう、淡々と渡賀に話し、ズケズケと、人が1番嫌う身体の事を、話す加藤さん。それでも、
「…身体は、関係ないでしょ!…先輩でも、悪い事して注意…。」
そう話す、渡賀…。と
「河本主任…”あの事”、もう話したら?…コイツら、またやりますよ?……人じゃねーから?」
加藤さんが河本主任に、そう伝えたけど、河本主任は、加藤さんの顔を見て、そっと、首を横に振った。と…加藤さんは、渡賀を平澤の隣に並ばせる様に、渡賀の腕を引っ張った…。2人とも、こうやって並んで見ると…声だけ違って本当に…。と
「俺が、海さんと不倫関係にあると周りに、話したのは、貴女方ですか?」
少しだけ、落ち着いた声で河本主任は、平澤たちに尋ねた。
「い…いえ…私達は…」
そう答えようと平澤が声をだした時…
「…私、平澤さん達から聞いたけど?」
と、ある部署の女性の職員が声を出した。次第に、私も、俺も…うちも…と徐々に人数が増えていく…。終いには、私も聞いた…。と木原室長…。いつの間にか、他部署の職員が、集まっていた。
「…言い逃れ…できねーよ?平澤さん?渡賀さん?」
と加藤さん…。
周りに囲まれても、尚も、言い訳をしようとした、平澤…。
「私は…ただ、周りの人に…その…事実を…確認…」
その往生際の悪さについに…。
「貴女は、どうしようもない人ですね…。そんなに、人を傷付けるのが好きなら、もう勝手にしてください…ただ、貴女方が、軽蔑され、信頼、信用をも…全て、無くしても、俺には関係ない事です。それと、俺と海さんと加藤君には、仕事以外でも、近寄らぬ様、この件を近衛部長と施設長、池澤施設長にも報告させて頂きます。」
河本主任がそう静かに伝えていた。と…。
「河本主任。平澤さん、渡賀さん。」
近衛部長が、静かに声をかけた…。




