不倫関係
出勤して4日経った、朝。私は、出勤と同時に、近衛部長から、呼び出された。部長室に向かい、ドアをノックする。「”はい?…どうぞ”?」 1拍置いて、中に入る…。「”失礼します”…。?…。」 福山課長も来ている…。一体、何があったの?近衛部長も福山課長も、深刻な顔をしていた。…。
「おはようございます。青野さん。どうぞ、こちらに座ってください…。」
小さな応接用の椅子に座る私。「”失礼します”…。」
対面で座った…。私の、目の前の、左側の席に、近衛部長、その隣の、右側の席に福山課長…。2人とも、深刻な顔をしながら、私を見ている…。「私…何かしたっけ?」
そう思っていると…。近衛部長が静かに口を開いた。
「青野さん、実は、2階である噂を聞きました。単刀直入に伺います。PC科の河本主任とお付き合い、されていますか?」
私は、は?…と一言、声に出した。その様子を黙って見ている福山課長…。
「お付き合いしていません。」
そう一言、伝えた。近衛部長は、私の目を見て、すぐにわかってくれた様だけど、福山課長は、苦い顔をして、こう私に話しかけた。
「本当に?…その…”関係”は持っていない?」
…関係?…。!!…不倫関係…!
「…関係持ってません!一体、何ですか?!」
怒りで、耐え切れず、大声を出した私。その大声に、驚いた福山課長。近衛部長は、驚きもせず、顔色1つ変えずにいる。それどころか…。
「噂を聞きました。河本主任と青野さんが、不倫関係にあると。…私は、青野さんに限ってそんな事は、絶対にないと信じています。…何か知っているのであれば、話して貰えませんか?」
真剣な目で、それでいて、少し強めの口調で、尋ねる、近衛部長。私は、河本主任との関係を話した。
「河本主任は、私の親友の、弟さんの友人なんです。それで、仲がいいだけです。決して、その、不倫関係は、ありません。」
そう、近衛部長と福山課長に伝えた。
「そうでしたか…。分かりました。」 と近衛部長。
近衛部長の、返事の後に、福山課長は、疑問に思っている事があるらしく、私に問いかけた。
「青野さん、近衛部長と私、1階でその噂を聞いた事、無いのよ。2階でしか…どこから、そんな噂が出たのか、心当たり無い?…。」
…。私には、全く心当たりが無い…。そもそも、私は、物品を届けに、2階には行くけど、その時は、その科の倉庫に届けるだけだし、顔を合わせるとしたら、PC科と介護福祉士科くらい…。あれ?…待って?…そう言えば…4日前…平澤さんに、更衣室の近くで「”今度は、男を”…」 とかって…。でもちゃんと聞こえたワケじゃないし…。私が色々と考え、黙っていると、近衛部長が、何やら妙な事を口走った。
「そう言えば、ここ2、3日の間に、噂になってるのよね…。それに…。」
それに?…
「どうも、”介護福祉士科から環境整備”をして貰った直後に、噂話しが酷くなったりしているの。午前中は、さほど、話にはならず、午後から酷くなるのよね…?」
近衛部長のが話した、”環境整備の直後”…。この次の日…この環境整備の後に、とうとう、平澤と渡賀…この2人と…ぶつかる事になる…。




