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面談室

一昨日の夜、彼女が、俺の車に忘れていった、旅行の土産を渡すため、早めに職場にきて、1階の更衣室の近くで待っていた。介護福祉士科の、平澤さんともう1人?が仲良く話しながら、更衣室へと入って行く。彼女は、それから5分位してから着いた。少し疲れた表情の彼女…。「”…やっぱり”…」 …一昨日の夜…彼女をイキナリ抱き締めてしまった。俺の告白の返事を返してくれたが…。俺の口から、”離婚”した事。その理由(わけ)をキチンと説明しないまま…好き過ぎて、耐え切れず…愛しさのあまり抱き締めた…。まだ、触れた感触が忘れられなかった…。彼女に声をかけ、忘れ物を渡すと同時に、付き合って欲しくて告白が成功したら、渡そうと思った、ストラップ…。彼女の…誕生月の…小さな誕生石を埋め込んだ、クラゲのストラップ…。「”今回、世話になった”」と話して、忘れ物と一緒に渡した…。「”あ…ありがとう…ございます”…。」 何処と無く…ぎこちない…と言うか、破棄が無い…。そう思っていた時だ。平澤さんともう1人が更衣室から、出てきた。俺は、彼女に「あ、では、失礼します。青野さん…」

頭を下げて、平澤さん達とは、別のルートで2階へと向かった。連休明けの今日は、新しい受講生と入れ替わる。最初の受講生は、たどたどしい手つきで、パソコンのキーボードを打ち込んでいく…。

最後の受講生が帰り、ようやく昼飯…。昼飯を食べ終わり、ぼんやりとスマホのストラップを見ていた。あの時、”揃いで”付けられる様に買った、クラゲのストラップ。そんな事を思いながら、出勤して、3日目…何時もと変わらない…いや、何故か、2階総合ステーションの職員達や他の科の職員達が、俺を見かけると、何か、ひそひそと、話していた…。特に気にもとめないでいた、その日の夕方…。仁科室長が俺に面談室に来るようにと、言われた。夕方、退勤する少し前…。面談室に行く。険しい顔の仁科室長。…「”俺…また、ナニか…ヤラカシた”?」…そこに座ってください。と仁科室長…。冷や汗が…。「”は…はい。失礼します”…。」

仁科室長と、対面で座る…。…こ…怖ぇぇ…。ジッと、仁科室長は、俺を見て、こう尋ねた。

「…河本主任。最近、この2階での、ある噂を聞いていませんか?」

「…?…噂…?…い…いえ、何も…?」

また、俺を見て、しばらく黙っている仁科室長。マジでこの沈黙…勘弁

「…本当に?…ここ2、3日位…。」

思い当たる節が全く無い俺は、仁科室長に尋ねた。「”すみません…噂ってなんです”?」と、仁科室長に尋ねた。仁科室長は、また、ジッと俺を見ている。その目は、「”とぼけるのも、大概にしろ”!」 と言わんばかりの、

怒りにも見える…。そして、険しい顔と声で…

「君の噂…業務課のふ…いや、今は青野さんか。その青野さんと、”関係”を持っていると、聞いたんだが?」

…?…関係?…それって…。……!!…不倫…。


俺は、びっくりして、椅子から立ち上がり、仁科室長に問いただした。

「誰がそんな事、言ってるんです?!!俺が、不倫してるわけないじゃないですか!!!」

俺が突然、立ち上がり、声を荒らげたせいか?その剣幕と、怒号に、さっきまでの、険しく、怒りの表情を見せていた、仁科室長は、ビビったのか、急に焦りだした。

「い…いや、そうじゃないんだ…その…。」

焦る仁科室長。だが俺の怒りは収まらない!!怒りで身体が震え、そのまま、仁科室長を殴りつけそうになっていた。だが…。仁科室長は、焦りながらも、訳を話す。

「…介護福祉士科の”2人”が、噂していたのを耳にしてね…。君に限って…と。だからその。」

そこまで話して黙った仁科室長。介護福祉士科の”2人”…。一体誰だ?…。怒りで、理性が飛びそうになりながらも、その”2人”って誰です?と仁科室長に、尋ねた。だが、仁科室長は、黙ったまま。俺は、”ハア”…とデカいため息を付いて、椅子に座り直し、仁科室長に話しをした。

「確かに、ふ…青野さんとは、仲良くさせて頂いてます。不倫関係では無く、私の友人のお姉さんと青野さんが親友なんです。その関係で、仲が良いだけです。」

そう仁科室長に伝えると、焦っていた仁科室長の表情が、拍子抜けしたような顔つきになった。

「な…なんだ…そうなのか…?オレはてっきり…。」

拍子抜けした、仁科室長に、俺は、この場を借りて、あの話しを…伝える事にした。

「仁科室長。この場を借りて、話させて貰います。俺は、最近ですが、妻と離婚しました。今は独り身です。」

「……え?!……マジで……!?」

…仁科室長のタメ語…。は…初めて聞いた。


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