切ない…より
けいちゃんは、「それは、きっと、河本主任が”好き”…。」そう私に伝えた。と、急に、何を思ったのか、けいちゃんは、「”…何か、少し食べない?…コンビニから、買ってくるよ?…少しお腹に入れた方がいいから”…。」 と、けいちゃん…。首を横に振った私。”何も要らない…”…すると、けいちゃん。「”ごめん。ちょっと台所、借りるね…。後、冷蔵庫、開けるよ”。」 そう断ってから、立ち上がり、冷蔵庫に向かった。……。
冷蔵庫から、何かを取り出している…。「”……”」 なんか…いい匂い…。サッと手際良く作る、けいちゃん。「…”出来た”。」 お椀に盛り付けるけいちゃん。お椀と木のスプーンを持って、私の元へと持ってきてくれた。「…”タマゴと豆腐のお味噌汁…。これなら、食べられる…?」 部屋は、それなりに暑いけど、さっき冷房を付けたから、少し寒い…というか、冷房の寒さではない…。身体が冷えきっていて、寒い。「”少しでも、食べないと…身体、冷えてるから”…。」 そう諭すように、話す、けいちゃん…。私は、けいちゃんの作ってくれた、お味噌汁を1口飲んだ…。「…”おいしい”…。」 タマゴを入れたからかな?ほのかに甘いお味噌汁。お豆腐を食べてみた。熱いけど…甘さがある…。少しずつ、食べている私を見て、安堵した顔を見せた、けいちゃん。私が食べているのを、静かに見守っている。食べ終わった私…。私は、ぽつり、ぽつりとけいちゃんに話した。
「…最初は、大苦手な男性…でも、少しずつ、印象が変わっていったの…。」
静かに頷く、けいちゃん。
「…水族館で、河本主任に付き合ってって言われた…。私、河本主任に、帰りの車の中で、みんなが眠ってるうちに、こう返事を返したの。河本主任の”隠している事”を知っている…。ある人から、噂で聞いたと。でも、河本主任から、直接聞いてないから…。仕事の悪い噂は、信じる時も、あるけど、”プライベートの悪い噂は、一切信じてない”。って。河本主任の口から、話してくれたら…その時は、”お付き合い”よろしくお願いしますって…。…いつの間にか…好きになってて…だけど…急に抱き締められて…。」
けいちゃんは、それを聞いて、
「なら、なおさら…切ないね。まだ、河本主任本人から、直接、”隠している事”…奥さんと別れた事…聞いてないなら、尚更…。」
うん…。と頷く私…。ちゃんと、本人の口から、”離婚した”と…聞く前に…。河本主任は、私を抱き締めた。…切ない…そして、不安。だけど…それ以上に…。
好きだけど、不安になっていた。…。それ以上、何も話さいない私…。そんな私を静かに見ているけいちゃん…。時間だけが、静かに過ぎた。




