バレた…けど…
絶句している皆…。俺は、茫然とみんなを見ている…。「…”また…衣織が……”…。」 ていうか、俺が余計な事を言わなければ…。ところが、
「…やっぱりりね~…。」 とまきさん。え?と呟く俺。「”やっぱり…って…何がです…?…まきさん”?」 震えた声で、俺は、尋ねた。
「変だなと思ったのは、クラゲ水族館で、お土産選びしてた時に、衣織ちゃんが、こう話していましたよね?”パパのお兄ちゃんとママ”とおばあちゃんとおじいちゃんにお土産買うって。…それで、あれ?って。もし、同居されてるのであれば、ママと、おばあちゃんとおじいちゃんに、お土産買うって言うなのら、解るけど、”パパのお兄ちゃん”…て?話したから。」
「…そ、それだけで??」 と河本主任。「”それだけじゃないですよ”?」 とまきさん。
「流石に、河本さんとお兄さん、一緒には暮らせないと思うし…。後は、少し痩せた感じがしたし、…雰囲気が変わったというか…。衣織ちゃんの話しはするけど、奥さんの話しは、殆どしないし。だからもしかしら、別居している。或いは…と思ったんですよ。」この人…マジで、鋭過ぎる…?
「そ…そうなんです。実は…。」
「それ以上は、言わなくていいですよ。」と、まきさん。
「人それぞれ、事情があります。河本さんが話したくなければ、それでいいです。だけど、もし…。」…もし…?
「もし、”ソレ”が本当なら、私たちが、その事に、口出しする権利はありません。ですが、”どちらとも”…となると、そんな失礼な話しは、ありません。どちらも、傷付ける事になります。キチンとケジメをつけてからです。自由になるか、新しい女性を見つけるかは、その後です。」 とまきさん。…。「……。その時が来たら…キチンと報告します…。」 俺は、この答えを返すので精一杯だった。「…”衣織、どうする?…先に”…。」 「”みんなといっしょに帰る”。」 俺は、静かに、車を出して、まきさんのホテルへと向かった…。車内で流れる、気まずい沈黙と空気…。と、「”あ!お月様”!」 衣織が車の窓をさして、みんなに話しかけた。「”今日は、満月かぁ…。…なんか…大きく見えない”?」 と彼女。「”本当だ!大っきいね!しかも、金色に見える”?」 とけいさん。「”そういえば、満月の夜にお祈りすると、願いが叶うって、あれホントかな”?」 と彼女。「”どうかなぁ?叶うかもね”?」「”でも、それって、七夕なんじゃ?”」 と豊川君。「”もしかしたら、あるかもよ”?」 とまきさん。「…”そういえば、七夕”…」 いつもの賑やかな車内に戻った。「”そういえば…七夕から付けたんだ。衣織の名前”。」




