①小学5年生の三学期まで
元々うちの夫は自分がお受験で小学校に入った経験から「☆子にも国立小を受けさせよう!」と小さい頃から言っていました。私は経験も知識も無いので「ふーん、ほーん好きにすれば」というスタンス。
そもそも国立や都立の小中高一貫校って、公立ですから学費がめちゃくちゃ安いんです。当然通わせたいご家庭は多いですよね。ですから応募者多数です。実は、受験の前にくじ引きで応募者を半分や、もっと少なくふるい落とすところが多いんですって。
くじ引き。運です。どんなに優秀な子でも、運が無ければそもそも試験すら受けさせてもらえないそうです。まずそれに驚きました。
因みに夫は物凄く強運です。商店街のくじ引きから雑誌の懸賞まで、必死にやってないのにちょいちょいアタリを引いてきますし、競馬も昔2000倍超を当てた事がある(その馬券は親に渡した)そうです。
夫は保育園児の☆子を言いくるめてうまく乗せ、受験をさせました。確か三つの学校に申し込んだかな? 途中でめんどくさい手続きを私に投げてきそうな雰囲気があったので「私は全くわからないし、別に賛成も反対もしないし興味もない。そもそも私は運が悪い(これはガチのマジ!)から」と言う態度を貫き、最後まで夫自身でやって貰いました。
結果、一校だけくじ引きに勝ち抜き、数回だけ予備校の模擬テスト的なものも受けた後、受験をしました……が、不合格。
☆子は何があったのか良く理解していなかった感じで、特に悔しがってはいませんでした。夫は一瞬だけがっかりしてましたが「ま、こんなもんだよね」とあっさり切り替えていました。
それで地元の公立小学校(仮にY小とします)に通うことになったのです。それは良いのですが、学区の地域的な話でY小に通う子は中学受験をしない限り、あまり評判が良くない近所の公立中学校(仮にX中とします)に全員が進むことになるんですね。
Y小に上がるタイミングで、X中でちょっとした事件が起きたと関係者から聞いてしまい、私の中で不安が生まれてしまいました。
「これは、中学受験も視野にいれた方が良いのじゃないか」と。
この不安を夫に言ったからなのか、それとも元々そのつもりだったのかはわかりませんが、☆子が2年生の2月、夫は中学受験専門で有名なN塾に☆子を連れていきました。
「全国一斉テスト」的な物を受けさせたのです。そこそこの成績を出し「入塾するなら3クラスあるうちの真ん中のクラスに入れるくらいです」と言われた夫は気を良くし、3年生のプレクラスに入れようと私に提案し、入塾しました。
はい。ここからちょっと愚痴になります。
こういう経緯があるんで、明らかに私よりも夫の方が熱心ですよね?ところが、ここから夫の悪い癖が発動します。塾と私に☆子の事を丸投げしたんです。
塾の手続きや、☆子の宿題を見てあげたり、2駅離れたN塾までの送り迎えは全て私の仕事。
そこそこ高い塾代金は生活費から捻出。
しかも塾のある日はご飯を作る時間がほとんどなく、総菜などに頼りがちでエンゲル係数も上がる。
なし崩し的に私の負担が大きくなっていきました。
それでも☆子は「塾がとても楽しい!」と笑顔で塾に通い、勉強も頑張っていましたので、それを糧に私も頑張っていました。
その甲斐があり、☆子は3年生の3学期にはクラスが上がりました。つまり一番上のクラスに入れたのです。ところがこれが逆効果で、☆子の悪い癖も発動しました。
一番上のクラスに入れる=優秀な子の証であるというステータスを手に入れた☆子は、それに満足しました。満足しちゃったんです……なんと、今まで熱心だった勉強の手を抜き始めたのです。
一番上のクラスは成績順で座席が決まっています。一番前の席に座る子は、志望校が御三家などのガチ勢。たまたま上位クラスに入れた上に、手を抜き気が緩んでいる☆子は一番後ろの席ですが、そこから上がるどころか授業に徐々についていけなくなりました。
そして4年生に上がってからの塾内テストで事件が起こります。このテスト、正確な点数は後日採点されて知らされますが、それには日数がかかります。その前に生徒自身が○付けや出来なかったところの復習をできるように、答案用紙(塾にてスキャン済み)や正答を持って帰るのです。
☆子は、私たち親に見せる前に正答を見て自分の答案用紙を書き直した上で○付けをして8割は正解しているように点数の水増しをやらかしました。後日採点結果(スキャン付き)が親に送られるからバレるというのに。
当然そのアホな所業はバレ、私たち夫婦は激怒しました。勉強のやる気が明らかに落ちている事もあり、夫は「もう中学受験はせずに地元の公立(X中)に行けばいい」と完全に見放します。N塾も退塾させました。
その後、☆子も公立中に行く事に納得したのか勉強は学校の宿題程度しかしていませんでした。私が突発性難聴を患った事もあり、もう送り迎えなども一切できないのでこのまま公立中に行くものだとばかり思っていました。
しかし、小学5年生の三学期、突然☆子は言います。
「やっぱり私立中学に行きたい」と。