ダンジョンの強化をしよう!
「ふうー。疲れた」
とりあえずメリル団長は二階層に急拵えで作った牢獄にぶち込んでおく。牢獄と言っても、中は何の変哲もない部屋だ。【魔法禁止の部屋】というものがあり、罠部屋として設定できたのでそこを少し改造した。風呂とトイレ付きのワンルームみたいな造りにし、ベッドも用意してあるので普通に住むことができそうだ。捕虜に対する待遇としては破格だとは思うんだけど、俺には別に嗜虐趣味はないのだ。
最初は泣き喚きながら、俺に対しての罵言雑言を吐き散らしていたメリル団長だが、部屋に入るとすぐにおとなしくなった。『何この部屋?』みたいな顔だった。そりゃ、現代日本をイメージした部屋だから彼女からしたら不思議だろうな。この部屋にいる限り魔法も使えないが、一応手錠はかけておく。暴れられても困るし。見張りはインプに任せといた。
「ハジメ。あやつをどうするつもりなのだ?」
「カーラか。いやあ、どうするもなにもなあ。とりあえず落ち着いたら交渉の続きをするつもりだよ」
「殺さんのか?」
「お前さあ……。話を聞いてたのか? 俺は王国にケンカ売る気はないの。あくまで俺らがここでダンジョン運営していることを認めてもらえたらそれでいいわけ。なのに王国騎士団長とかいう偉そうな立場の奴を殺したら王国との全面戦争になっちまうだろうが」
「はー。なるほど?」
「あいつは一応第三騎士団団長なわけだろ? 最低でもあいつ以上に強い奴があと2人もいるわけだ。それに対してこっちの戦力はあずき1人。争いになったらまず勝てないんだよ」
「ふむ。確かに。道理であるな」
ようやく納得したか。こいつ、ほんとにわかってんのかな? 適当に頷いてない?
「そういうわけで、メリル団長の処遇だがまずはしばらく拘留して、王国のことについていろいろと尋問をする。でも、なるべく穏便にだ。そのあとは国に帰ってもらってこのダンジョンのことをなるべく良く報告するようにしてもらう。捕まえるのではなく共存していく方がいいってな。それで王国が俺たちのことを認めてくれたら万事解決ってやつだな」
我ながらいいプランだと思う。メリル団長も王国騎士団の団長って言うくらいだから、それなりに偉い立場にいるだろう。彼女の発言力に期待しよう。ふとカーラを見ると、少し呆れたようにこちらを見ていた。
「な、なんだよ?」
「いや、何でもない。まあ、実際どうなるかは私にも分からないからな。お主の采配に任せるよ」
何やら達観した目つきで去っていくカーラに胡乱げな視線を送る。何だよあいつ? 何か言いたげな顔をしやがって。
「まあいいや。それよりやらないといけないことがある」
騎士団がこのダンジョンを攻めてきたおかげで、ほとんどの部屋が壊滅状態なのだ。このまま放っておくと冒険者たちがどんどん奥まで来てしまう。戦力も結構失ったし、さっさと改修をしてしまわないとな。
「さて、コンソールを開いてと……」
ハジメ ダンジョンマスターLV3
DP19856
〈スキル〉
・ダンジョン作成/編成(第三階層まで作成可)
・ダンジョン内転移
・物質創造
・魔物強化/合成
「おお!? レベルアップしとる」
第三階層が作れるようになってる! しかもDPの量がヤバい。騎士団たちがこのダンジョンにやってきたことでかなり稼げたんだろうな。レベルアップ時のボーナスも結構貰ったと思う。
「さっそく作るしかないだろ、これ」
即座に第三階層を作る。ゴゴゴゴと地響きが起き、第二階層の下に300メートル四方ほどの空間ができる。
「ひっろい。持て余しそうだなこれ」
かなりのDPを得たとはいえ、魔物部屋や罠部屋をこの広大な空間に設置していくことを考えると心許ない。しかも第一階層が100メートル、第二階層が200メートルときて第三階層が300メートル四方だ。このままの調子で広くなっていくのだとしたらかなりとんでもないことになる。とりあえずマスタールームとメリル団長のいる部屋を三階層の一番奥に移動させる。
「お、ついに魔物部屋が追加されてる」
今までインプとウィスプしか居なかったが、新しく“ハウンド”と“迷宮蜘蛛”が追加された。どちらもEランクの魔物だ。さっそく配置してみる。
「おう……」
ハウンドは、なんか可愛さとは程遠い四足の獣が召喚された。その辺の野犬でも連れてきた? って感じだ。そして迷宮蜘蛛は体長40センチくらいはある巨大な蜘蛛だった。あまり近寄りたくない見た目だ。
「まあ、新たな魔物が増えたのはいいことだ。これで合成の幅も広がるな」
というか今までが少なすぎたよな。魔物合成がなかったらどうなっていたか。
「さて、あとは各階層の編成といきますか」
第一階層と第二階層は壊滅した部屋を復活させただけで、大きく変えたりしない。一階層はあくまでも冒険者を呼び込むための簡単な階層だから、わざわざ探索しづらくすることはない。ただ第二階層には新しくハウンドを配置する。ウィスプと弓矢インプという後衛に加え、前衛のハウンドを入れることで戦力のバランスをよくした。その分難易度も上がるけどまあいいだろ。
第三階層の前半には蜘蛛ゾーンを作る。大量の罠部屋を配置し、その全てが蜘蛛の巣に覆われたいやらしいダンジョンだ。そしてそれを抜けた先にはこのダンジョンの合成魔物たちを全て集めた魔窟を用意してある。ランクDのグレムリン、同じくランクDのエレメント、ランクCのグレムリン・ロードなどだ。…………。
「うわ、俺のダンジョンよわっ」
ランクB以上の魔物がいない。いや正確にはあずきがいるけど、彼女はうちのラスボスと言っていい存在だ。ランクSのすぐ下がランクCて。中間層の薄さがエグい。まあB以上を3体合成しちゃったのは俺なんだけど。
「しばらく合成沼にハマりそうだな……」
ダンジョンの戦力増強を図らなければ。DPはまだ余っているし、第二のあずきみたいな魔人とか作れたらいいな。
グレムリン ランクD
〈スキル〉
・地魔法
二足歩行の妖精。見た目は醜悪。体高は1メートルほど。残忍な性格をしており、長く捻れた爪で獲物を甚振るのが好き。細身な見た目に反して怪力。狡猾さも併せ持ち、多くの熟練冒険者たちがこの魔物によって命を落としている。




