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79話 おさがり姫の再婚

 白いベールを被り、麗らかな陽の光に照らされながら、シュゼットは窓辺で本を読んでいた。


 最近になって発売されたエリック・ダーエの新刊だ。


 姉のおさがりを押し付けられていた侯爵令嬢が、悪王に見初められて王妃になるも姉のせいで夫にないがしろにされ、支えてくれた国王補佐と恋に落ちる物語。


 まだ中盤までしか読んでいないが、どこかで見たことがあるようなエピソードだらけでおかしい。


「ラウル様ったら、あのとき、こんなことをお考えになっていたんですね」

「シュゼット様、ここにいらしたんですか!」


 乱暴に扉を開けて、メグが部屋に入ってきた。

 彼女は、びっくりするシュゼットに「もう時間ですよ」と注意した。


「皆様お待ちです。花嫁が読書に没頭していて遅刻したなんて、笑い話にもなりません!」


 ぷんぷん怒るメグに、シュゼットは微笑んだ。


「大丈夫ですよ。小説だと、式に遅れそうになる主人公は、ヒーローが華麗に迎えに来るものですから」


「期待されると出にくいんだが」


 窓の外から、白い礼服を着たラウルが顔をのぞかせた。

 彼は、窓枠に腕をのせてウェディングドレスを着たシュゼットをながめると、甘いため息をついた。


「なんて綺麗なんだ……。ここで独り占めしておきたい」

「何言ってるんですか! 二人ともさっさと行きますよ。今日は国王陛下もいらしているんですからね!」


 メグに急かされて、シュゼットは立ち上がる。

 ラウルも窓枠を乗り越えて、彼女の手を引いた。


「仕方ないから、みんなに君を見せびらかしてやろう」

「私もラウル様を見せびらかしたいです。新しい旦那様は、こんなに素敵な人なんですって」


 二人で微笑みあって、式場への道筋を歩き出す。


 おさがり姫の再婚はハッピーエンド。

 続きの物語は、これから二人でつむいでいく。


        〈了〉


「おさがり姫の再婚」を読んでいただきありがとうございました!

不幸な結婚からはじまる恋物語、楽しんでいただけたでしょうか?

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[良い点] 辛く、そして苦しく切ない王妃としての生き方。諦め、手に入らないものだと王妃としての矜持を自分なりに精一杯努めようとするヒロイン、健気で泣けます。 そんな彼女がやっと幸せになれる、その過程が…
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