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70話 カルロッタの企み

 下級貴族が集まる自堕落なパーティーからジュディチェルリ家に帰り着いたカルロッタは荒れていた。


「どうして誰もシュゼットの不倫について知らないわけ?」


 カルロッタの予想では、王妃と国王補佐の密会の噂がとっくに社交界に出回っているだろうと思っていた。


 しかし、いくらかまをかけても誰も引っかからない。

 あげく、悪い冗談はよせだとか、不敬罪になるぞとか注意される始末だ。


「王太后のことだから、すぐに言いふらすと思ったのに! なんでシュゼットをかばってんのよ。腹がたつわ!」


 赤いネイルをがじがじと齧る。


 最近、アンドレからのお呼びもかからなくなってきた。

 カルロッタより若い酒場の娘たちはひんぱんに宮殿に上がっているらしいから、飽きられたのかもしれない。


「あの男、今さらあたしを捨てるつもりじゃないでしょうね!?」


 カルロッタは憤った。


 生まれてからずっと一番だったカルロッタは、自分が人の上に立つべき存在だと信じていた。


 しかし、ジュディチェルリ家は侯爵位。

 上流貴族とはいえ他にも名家はあるし、頂点に存在する王族には敵わない。


 その王族に、よりにもよって妹のシュゼットが嫁ぐことになった。

 美しいカルロッタを差し置いて、陰気に物と話すようなシュゼットが選ばれたのだ。


 そんなの許さない。


 カルロッタは、シュゼットを徹底的にいじめ抜いた。


 自分のおさがりしか使わせないようにして、〝おさがり姫〟というあだ名まで広めて、お前は永遠に二番手なのだと刷り込んだ。


 シュゼットの夫になるアンドレに愛されて、ようやく妹の上に立てたと思ったのに、ここで別の女に乗り変えられたら妹よりみじめではないか。


 どうしたらシュゼットの上に行ける?


 爪がパキッと割れて、カルロッタは我に返った。


「あたしが王妃になればいいんだわ」


 アンドレの妻になれば、名実ともに国中の貴族や民にかしずかれる存在になれる。


 絶対的な一番の座に目がくらんだカルロッタは、赤い唇をニイと歪めた。


「シュゼットを王妃の座から蹴落としてやるわ」


 切り札は、シュゼットがアンドレを裏切り、ラウルと恋仲になった一件だ。

 大勢の前で明るみにして、忌ま忌ましい妹を宮殿から追い出してやる。


「協力者が必要ね」


 カルロッタは鼻歌を歌いながら、シュゼットを陥れる計画を立てていったのだった。


ここから一気に終幕まで駆け抜けていきます。

最後まで「おさがり姫の再婚」をよろしくお願いいたします!

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