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2-35.いよいよ明日

今回は2000字超えてます

 俺は気を取り直して明日の行動の指示を伝える。

 「俺が能力を奪ったことはすぐにバレる。今日は少しだけ町を見て回ってすぐに帰る。明日は夫妻側からアクションがあるだろうから君はリトさんと城に残ってほしい」

 それまでに何らかの対策を練っておかないとな。

 「それなら私も何か協力を――」

 「相手は人を魔物に変える者達とつながっているかもしれない。あと、何かあった時のためにリトさんを頼みたい」

 「最悪俺が死んだら、あの屋敷は君たち二人で使ってくれて構わないから」

 エミネンザが一人で仕掛けてくるとは思えない。恐らくは先に逃げた仲間と共に俺を襲うつもりだろう。その中にこの子に黒い霧を与えている者がいればこっちとしては都合がいいのだが。

 「……わかりました。でも、死ぬのはなしですからね」

 あーそうか、隠し事はできないんだっけ。

 「善処するよ。……それじゃあもう少しだけ町を周ろうか。出来れば皆にそれとなく忠告しておきたいんだけど……」

 洞窟入り口での戦闘の時とは違って今回は会長がいないのだ。町への被害を抑えられる保証はない。

 まあそのための修練だ。大丈夫、何とかやってみせるさ――。


 ――――

 ――

 「ホントに私のこと、気づいてないのかな」

 出ないと私にだけこんな都合のいい能力渡したりしないよね?

 この独り言も町の人と会話をしている彼には届いてはいない。

 彼から発せられる色も形も、私を疑う様子はみられない……不自然なくらいに。


 私が彼の計画をシパリオさまに伝えて、明日リトさんを見張っておけば確実にこの人を捕らえることができる。

 そうすれば後はリトさんを追いだせば私はあの屋敷を自分の物にだってできるのだ。

 リトさんだってずっと体調が悪いんだ、彼がいなくなればご実家に帰るなりするだろうし何も怪しいところはない、はず。

 「覚え書きを残しておいてもらわないと……怪しいかな?」

 あの屋敷を手に入れてどうしたい、ってわけじゃないけど多分これまでより苦しくなくて済む、と思う。


 「あ……残り6日って今日までだった……」

 ふと思い出したが、シパリオさまとの約束には期限があって、それが今日だったはず。

 「すみません! ちょっと忘れ物を取りに行ってきます! またあとで!」

 そう言って彼をその場に残し私はお店へと走る。彼のことは町の人たちが足止めしてくれるだろう。最近親しくなってきているようだし。

 

 「はぁ、はぁ、……っ。ただいまー」

 暗く静まり返る家に私の声が響く。誰もいないのはわかっているけど、これをしないとどうにも不安なのは相変わらず。

 「っとそんなことよりも」

 私は部屋に置いてある予備の通信機を取りに行き、誰もいないお店で起動させる。

 「……もしもし、シパリオさま。今お時間いいですか?」

 すぐさま反応が返ってくる。

 「おお、どうした? てっきり逃げたかと思ったが……」

 「いえとんでもない! 彼が仕掛けるそうです、明日になってしまうのですが」

 「そうか、そちらからきてくれるのか。で? 俺の存在は気づかれているのか?」

 「いえ、町長夫妻の裏に複数いるとは感づいているようですが、私には俺が死んだら屋敷をあげる、などと言っているくらいで、気づかれてはいないかと」

 「……ほお? 随分と上手く取り入ったな? さすがは卑しい女だ」

 通信越しにも伝わる冷たい気配。……もしかして、この通信越しにもあの力って使えたりしないのかな?

 「……なんだ? この私に何か言いたいことでもあるのか?」

 「いえっ! そんな恐れ多い!」

 迷ってる暇はない、使ってみよう……!

 「そうか、まあ奴から仕掛けてくるならこちらとしても都合がいい。今回は特別に許してやろう」

 「あ、ありがとうございます」

 あれ……なんだか冷たい感じの色が視界を覆っていく気がする。

 「今から準備できたなら町中を使って奴を確実にとらえられるだろう。お前は城から仲間を向かわせるなよ、いいな?」

 「はい、それは確実に」

 「そうだな町長たちにも教えておいてやろう。せいぜい私の役に立ってもらわないとな」

 「そうですね」

 「……ああ、もういいぞよくやったな、下がれ」

 「はい……失礼します」

 通信が終わる。……私の見間違い、じゃないよね。あの後赤くなった色が、私に下がるよう命じた時には暗い黒のような青が見えた。それになんだか気味の悪い形も。

 「よかったんだよね、これで」

 これで私はここでの生活からも解放されるし、シパリオさまに褒美だってもらえるかもしれない――。

 

 「よかったんだよ、うん」

 おじいちゃんを失った時から決めていたんだ。おじいちゃんを追い詰めた町長たちや領主に同じようにつらい目にあってもらうって。

 だから、これでよかったんだよね……?



 「そうだ、お城に着いたらさっきの約束、紙に書いて残しておこうか。口約束だけじゃ町の人が信じてくれるかわからないし」

 「えっ……あっ、はい。お願いします」

 「そうだよね、やっぱり残るかたちにしておくのは大事だよね」

 一瞬何のことだかわからずに返事が遅れてしまった。お屋敷のことか。

 ……この人、本当に私たちに渡すつもりなのかな? 受け継いだものだろうに惜しくないのかな? 他に誰かいたりもしないのかな?

 そんなこと、既に密告してしまった私が考えるのはおかしいが、やっぱり少しだけ気になった。


 その日もリトさんのお部屋に食事を運び、私たちは食堂で夕食をとった。

 彼はおいしそうに食べてくれたが、私は味を感じなかった。

 その後彼は片付けなんかを私に任せて急ぎ足で訓練場に向かっていった。彼にとっては明日が決戦の日になるのだから気合が入っているのだろう。

 

 それでも彼が思っているよりもずっと大変なものにしてしまった罪悪感からか、片付けを終えた私はすぐには眠れずにいた私は昼間にもらった力を一人試しながら眠気が襲ってくるのを待った。……少しだけ、明日が来てほしくないだなんて都合のいいことを思いながら。

「次の日」でこの章が終わりエンディングになるのですが、

今の私だとどうしてもうまく表現できずにいます。

ですのでこの続きは納得のいく終わりが書けた時に公開したいと思います。



結果だけ知りたいよって方いたら。タイトル通りの終わり方です。

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