9.素直になって
「ところでこいつらは何だったんだ?君を狙っていたのか?」
とりあえず彼女を引き留めることに成功した俺は彼女にこの状況について聞いてみた。
――そうですね……この辺りは近年人が住んでいなかったので。夜になるとたくさん湧いて出るのでしょう。
たくさん湧いて、って。というか口を使わないのは継続なのね。
――私の声は小さいらしくて。あとどうせ読まれるなら余計なことを考えなくてすむぶんこっちの方がいいです。
「確かに。痛くもない腹を探られてもいい気分はしないしな」
別にこちらは探るつもりもないのだが。
――あの、少し質問いいですか?
彼女が遠慮がちな声を飛ばしてくる。やっぱり寒いのかな?
「ああ、寒いなら中に入ろうか」
――いいえ、そうではなくて。……このお城のお庭って、少し見たのですが、その……。
庭?到着後すぐに城内に入ってからは中のことしか見てなかったので、そういえば全く見ていない。
「庭がどうかしたのか?」
――あの、よろしければ私が手を加えてもよろしいですか?
「ああ、そんなこと。何でも好きにやってくれていいから。好きなもので埋めつくしちゃってくれて大丈夫。ほしいものがあったら言ってね」
資金がそんなにあるわけじゃないけど。
俺の微妙な顔をみてか、彼女が声を上げる。
「違うんです!……私野菜が好きで。育てたいなって思って。種があればいいので!」
――食い意地が張ってるとか思われないかな?
「そんなこと思わないって!もうここは君の家なんだから好きに使ってくれていいから。俺も君の作ったもの、もらえるんだよね?」
悪い流れは即修正!行き違いはなくしておこう。
――聞かれてるんでした……。もちろんです。ここの皆さんにも食べてもらいたいです。
ああ、やっぱりいい子だ。誰だよ悪役令嬢しか来ない、なんて言ってたの。
「そうだ、今この城はね――」
「ぼっちゃーん!引き留めには成功しましたかぁ?ってお邪魔でしたか?」
「いや、いいタイミング。今この城は俺とこの人、あとリトさん。その3人しかいないから」
「そうなのですか?てっきりもっとたくさんの人を従えていて私程度では役に立たないから遠回しに断られたのかと」
「違いますよお嬢さん。この人が臆病で、それでもちょーっとヤラしかっただけですから、ね?」
「待て、ヤラしいなら初めから承諾しかないぞ。こんな美人引き留めない方がおかしいんだ」
「いや、ビビっただけでしょぉ?私が発破をかけなきゃそのまま帰していたわけだしぃ?」
……悔しいが正解だ、何も言い返せん。だからこれも彼女に感謝だ。
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