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2-20.黒い人影

この作品は、『ジャンル 異世界〔恋愛〕』ですが心の交流系異能バトル小説(恋愛系約3割)となります。

今回と次回は主人公の転換点となります。

がっつり恋愛系を希望する方は適度に読み飛ばしていただけるとよいかと思います。

 目の前で形作られたのは、黒い人影。

 「お前は何なんだ。なんで人の形をしてるんだ」

 それじゃまるで……俺が魔物になるみたいじゃないか……。

 「私はお前だ。お前からあふれた感情を喰らった、お前の中にある数多いる魔物の魂……その意思だ」

 「何言ってんだ、俺は魔物じゃない。……そっちはそうかもしれないが俺は違う!」

 精神だけのはずなのに……乾いた口から何とか言葉を出す。胸の痛みが増していく。

 

 「私たちはずっと見てきた。お前が感情を大きく動かして俺たちが外に出ないようにされてからずっと、お前の中からな」

 「待てよ……蓋があったはずだ。それでも見えていたのか」

 「蓋などではない。小僧の異能を俺たちの力でお前が使えるようにするための、置物さ」

 「待ってくれよ、あいつは蓋だって、抑えてたって」

 「そういう風に変えられただけだ、お前を調整した者にな。言ってただろ? 「心を逃がした」って。それもお前が暴走しないためだ……小僧の感情に流されて、な」

 「なんなんだよ……それじゃまるで実験動物じゃないか」

 「兵器だ……魔物化実験中のその体を奪い去り、己が命令を忠実に守り感情に流されない兵器とするための、その過程に過ぎない」

 「それをじーちゃんが指揮してたってのか……じーちゃんは俺を兵器にするために助けたのか?」

 「少し違うな。その体が捕まり、幾多の魔物の魂を注ぎ終わる、その時を狙って奪ったのだ。助けたのではない」

 「違う! それは嘘だ……じーちゃんはいつも優しかった。そんなこと考えもしない人だった」

 少なくとも俺の前では。

 

 「……ある時、お前の感情が一定以上変動すると私たちの力が外に漏れ出すことが分かった。その時だ、置物に調整弁の役割が与えられたのは」

 「もう訳が分かんねぇ……そうだ、あいつはどうなった? あんた達の方へ落ちていったはずだ」

 「小僧は既に私たちの一部となった……ここに小僧の異能もある」

 黒い俺は自身の目の辺りを指し示す。

 「それじゃもう……体……返せないじゃないか」

 「その通りだ。お前が私たちを受け入れさえすれば、それで完成なのだ」

 「完成って……一体何が? 魔物の王とかいうんじゃないよな?」

 「そのような程度の低い存在ではない。お前の異能が合わさればおよそ神すら超えるものとなるだろう」

 「いきなり神様とか……俺はそんなものに興味はねぇ。じーちゃんももういないし俺を追放したってことはその実験とやらも必要ないってことなんじゃないのか?」


 「そうか、もう力は要らないのか。先日のようなことがまたじきに起こると警告を受けたのは今しがたではなかったか?」

 「それは……そのために修練を積みに来たんだ」

 「そうか……タクミとやらも私たちのことは気づいている。だから急ぎここを改修したのだ……お前の修練を急ぎ行うためにな」

 「それって普通のやり方じゃダメなのか」

 「お前は普通などではない……力も立場も状況も。どれも一刻を争うのだ……早速始めるぞ」

 その言葉と共に意識が急速に体に戻っていく。くそっ、全っ然分かんねぇよ……! じーちゃん!

ブックマーク、感想等いただけるととてもうれしいです。本当に大きなモチベーションです。


毎話読んでくださっている方、本当に感謝しております。あなたのおかげで毎日紡げている、と言っても全く過言ではありません。

今日初めて読んでくださった方、いらっしゃいませ。今後ともよろしくお願いいたします。

まだまだ続きます、どうかよろしくお願いします!

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