7.心のままに
食堂に食事を待つ俺一人。
どうやら特大の地雷を踏みぬいてしまったようだ。
「あれぇ?帰っちゃったんですか?食事の用意運んできたのにー」
「遅いんですよ。……どうやら俺特大の地雷踏んじゃったみたいで」
「ま、ぼっちゃんは気が利かないですしねー。どうせ心の声をバッサリ切ったんでしょぉ?早く呼び戻して食事食べてもらってください」
「そうは言ってもな……」
思いっきりやらかしたぞ俺。それを今更……まるで逃げた魚を追いかけてるみたいじゃないか。
「彼女の服装、おかしいと思いませんでした?あなたを篭絡させるのが目的なら道中上着くらい着てきてもいいはずなのに」
よく考えると確かにそうだ。もう冬になる。夕方でも結構冷えるのに、だ。
「彼女は彼女なりに一生懸命なんですよ。悪い人じゃない、っておもったなら彼女の意思、受け止めてあげてもいいんじゃないですかぁ?」
それは、そうだ。俺には何も損がないはずだ。
「それよりも、モノだ妾だなんて言われて、意識しすぎちゃって。これだから」
「俺が悪い流れだった?」
「そうですよほんといやらしい。手出さなきゃいいだけじゃないですか。このまま返しちゃうと彼女、もうここには来ないですよ」
「なんで?また来る、って言ったじゃん」
「……はあ……ほんとにバカ。次の条件のいいところに行かされるに決まってるじゃないですかぁ。いいんですか?美人さんでしょぉ?」
ほんとによくわかってるね会長は。……そうだよ、俺が意識しすぎてたんだ。何が協力ならする、だ。
『彼女の願いを叶える』
今はそれだけで十分だ。……あんな美人が誰かの手に渡るのは耐えられないしな。
「むふふ、それでいいんです。早く呼び戻してあげて。――夜は魔物が出るから」
「そうだな、襲われでもしたら大変だ。せっかくの美人に傷がつく」
「その意気ですぼっちゃん。――頑張って下さいね」
「おう!野生動物くらい何とかしてやるさ」
「魔物」だなんて大げさな。じーちゃん仕込みの体術で何とかして見せるさ。
「――て、待て。何の冗談だこれは」
彼女を追いかけて城を出た俺の目の前に現れたのはオオカミの群れ。
既に日が暮れて辺りが薄暗くなっているがそれでもわかる大きさだ。
その多くは倒されているが、とにかくデカい。
大型の狼、なんてもんじゃない。これが「魔物」?
――ああ、あなたでしたか。すぐに立ち去るので少し待ってください。
こちらに心で話しかけてくるリトさん。……とっても強いのねお嬢さん。
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