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登校初日!たけのこ狩りの宿命!

読んで下さりありがとうございます!

色んな方に読んでもらえて嬉しいです!

PV数とか分かる機能があるのでめっちゃ作品書く時の励みになっています。


「ハイドスパイダー、姿なき森の暗殺者、クモだ。」

グレイドの言葉に森に静寂がおとずれる。鳥の鳴き声が無駄に響き渡っている。


「ハイドスパイダー?」とメイスを片手にマモダが聞き返す。

街の外に出る機会が少ないと馴染みのない魔物の名前であることが改めてその反応から伺える。

「そう、ハイドスパイダーだ。ちなみに近くに一匹いる。分かるか?ここから左に20歩程歩いた箇所の落ち葉の周りの量が多いところだ。積もっている箇所の近くは逆に、落ち葉の量が少なく枝の一本も落ちてなく傍の植物は土の栄養が多いからな活気にあふれていることが多いのが特徴だ。」と指を指した場所を見ると落ち葉の蓋が確かにあった。

まわりには一足先に花が咲き春の訪れをつげている。


ハイドスパイダー、土の中に隠れ落ち葉の蓋の下から獲物が巣の糸に掛かるのを待っているクモの魔物。枝などがないのは糸に掛かかると間違って反応してしまうので定期的に掃除して取り除くらしい。糸に掛かった際の襲ってくる速度は速いもののその牙や糸はそこまで脅威ではないが油断していると話が違う。

急に襲われて反応できずに大怪我を負う子供や冒険者が出ることもある危険な魔物だ。


「襲われたときは焦らないことだ。焦らなければそこまで脅威じゃない。いいか、よく見とけよ!」と言うが早いか教官であるグレイドは巣に向かって歩く。

ポン!と音がしたかと思ったら小さな子供くらいの茶色い塊が飛び出して来た。フサフサの毛、鋭い牙、そして赤い複眼、ハイドスパイダーである。

「この特徴的な音がしたら構えろ!そして!こう!武器で斬るのではなく叩きつける!」と嚙みつかれたままの体勢からハイドスパイダーの頭を複眼ごと叩きつけた。

「飛びつかれたときに倒れてもあわてずに振り返れよ!こいつで怪我するのは慌てて攻撃や逃げることをせずに糸でぐるぐる巻にされちまう時だ。1本、1本の糸の強度は体を動かせば切れる程度だが巻終えられちまうと手も足も文字通りでねぇ。」


「複数人で組むことも効果的だ、巣さえ分かっていれば飛びついてきたところを叩くだけだからな」

今日は俺も近くにいるから危ないと思ったらすぐ呼べよと言いながらグレイドは森の奥へ向かっていった。恐らく奥から魔物やイノシシが来ないか確認がてらに狩りに行ったのだろう。


なにはともあれ、たけのこ狩りの開始である!

たけのこ狩りの旨い所は、たけのこだけではない。綺麗な竹の皮も洗って干せば使い捨ての弁当入れになるでそこそこ需要がある。家の酒場宿で使うのもよし余っているのなら売店に売ればよい。

そう考えながら周りの森の風景に目を凝らす。

教官であるグレイドがいったハイドスパイダーの見つけ方の様に風景の1つ1つに情報が眠っている。それは生物の生きた証。命のやりとりが多い世界だからこそ、他の生物への敬意を払うのは当たり前であるという考え方の者も少なくない。

最近は王都に近くなれば近くなるほど生物への敬意は薄れ拝金主義にちかいものが多いと聞くが俺はすくなくともそうではない。確かに金稼ぎは好きだ。

だが、それは俺という生き物とその他の生き物との命のやり取りがあった結果金が生まれている。だから他の生物への敬意は大事だ。敬意を払うだけで失われる尊厳プライドなんて役に立たないのだから捨ててしまえと思うが世界はそうではないらしい。

変わってるなと考えながら、先行している孤児院コンビ達に声を掛ける。


「そこで止まってあと5歩進んだらハイドスパイダー飛んでくるぞ。」

『え?落ち葉溜まってるとこないし枝もちょこちょこ落ちてるよ?』とエイエが振り返り盾の裏から顔を出して聞いてくる。マモダに至ってはすこし睨んできている。からかわれていると思っているのだろう。

「メウトト、今日の風はどうだ?弱い?つよい?」

『ちょっとつよい時もあるけど。でもハイドスパイダーと関係なくない?』と首を傾げる。

「ハイドスパイダーには関係ない。矢を当てるわけじゃないからな。」と肯定しながら俺は指を指す。

「だが、ハイドスパイダーの巣には影響するんだ。よく見てくれ。枝が少し離れたところに溜まっているだろう?あと、近くの木にはヤドリギがついているのというのに葉は周りよりイキイキしている。加えつけに浅い森には珍しいサカモリ草が少し生えてる、ラッキーだな。」


『おー!高く売れるやつ!あれ日持ちいいから人気だよねー、私は肉の方が好きだけど。』と動きだしそうになったメラトトを掴みながらマモダが聞いてくる。クラモモも気になるのか頷いている。

『で、そのサカモリ草がなんなんだ。珍しく生えてるだけだろ?』

「かもな。ただサカモリ草はスナックウサギやフォレストボアも好んで食べてるんだ。だが、この周りに獣の気配は無い。ということは」とサカモリ草のすぐ近くの少しだけ盛り上がっている落ち葉を指さしながら話を続ける。

「そこにハイドスパイダーがいる可能性は十分高い。ハイドスパイダーはその素早い奇襲を成功させるために巣から6-8mが捕食範囲にしてることが多いからな。パーティで動いてるから大丈夫だけど分かっている奇襲に声を掛けないほど嫌な奴じゃない。まぁ、いない可能性もあるけどな。」と警戒心が強いマモダに苦笑いし背を向けて離れることにする。さっきから後ろの方から微かにボッス!ボッス!と不吉な音が聞こえているから気が気ではないのだ。

歩き始めて数秒後、ポン!と乾いた音と共に『『おっー。』』と感嘆の声が聞こえる。

盾の音とメイスのにぶい打撲音が1度だけ聞こえる。苦戦することなく無事に仕留めたようだ。

巣を違う場所に変えている可能性もあったから良かったと胸を撫でおろす。



「ところで…」


「なにをやっているんだ?アイボリー?」


音の元へと向かうとそこには、一心不乱に森を耕しているアイボリーの姿があった。

休暇が終わって長期出張がそろそろきそうなので更新ペースが1週間に1度くらいになるかもしれません。

ゆっくりとしか物語が進まないかもしれません。

また読んでいただける日を楽しみにしながら頑張ってきます!

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