登校初日!メラトト視点。
いつも読んで頂いてありがとうございます!
初めて他の視点を書くことになるので楽しみな反面、上手く書けるかドキドキしてます!
『ごめんね。2人とも。私、私のせいで。』
私はそう前を見つめながら背中の温もりに甘えていると分かりつつも謝罪の言葉を口に出す。謝っている気持ちは嘘ではないが、後ろから帰ってくる言葉は決まっているからだ。
失敗、責める様な2人ではない。
『気にすんなってトト、引率の教官がいるんだからよ。失敗ってのは早めにしとかないとな。』
そう乱雑ながらも軽口を叩いて気分を明るくしてくれようとするマモダ。
いつも先頭に立って私たちを守ってくれようとしてくれる。お姉さん肌な性格だ。
『私達も知らなかったからね。お互い様よ。それにしても近くにいる魔物とかは図鑑だったりギルド講習会で勉強してたのに。悔しいわ、もっと調べてみないと。』と前向きな?少しずれている様な気もするが励ましてくれるエイエ。
『油断してたわね。楽に倒せてたから危険はないってそう思い込んじゃってたのね。きっと。』
『たしかに。そうかもしれねぇ。危険って思うより先に金勘定の方が頭によぎって浮かれちまったもんな。だけどさ、運はよかったよな。来るのが少しでも早かったらああなってたし。』と親指を後ろに、つまり私の方へ、振りむかずに指す。
そこには、掘り起こされたばかりの新しい土がこんもりと盛り上がっている。
傍に佇むのは大きな赤い花、周りには色とりどりの小さな花が咲いており、慰霊のための場所だと言われても納得がいく光景だ。
その周りを無数のハイドスパイダーが徘徊していなかったら、の話だが。
ツキトっていう男の子から分かれてしばらく。
あの子がいっていたコツもだいぶつかめて、いきなり飛びつかれることがなくなった。
大きな音がしたと思うと思わぬ方向からごわごわとした毛の感触、体に飛び散る生ぬるい糸、はっきり言って心臓に悪いし気分もよくないのでもう味わいたくない
『あっ!あそこにも花が咲いてる!巣っぽいね!』
『よし!任せとけ!私が受ける!』
『いい感じね。実戦でこれだけ動ければ明日からの授業も案外らくにこなせるかも。』
『だねぇ。たけのこもいっぱい採れたし!帰ったらみんな喜ぶよ!』
『土産の分残しても、売れるだけあるな!籠っ、借りたとこで買い取ってくれるっていうし!今日の晩飯は旨いもんくおうぜ!』と掘りつつこちらへ満面の笑顔をマモダが向けてくる。
仲間にはこんなにも可愛らしい子供のような笑顔を向けるのに。
騙されないように、守るためにといつも私達の分まで気を張ってくれているからかしゃべり方が喧嘩をうっていると勘違いされる事が多いのが私は申し訳ないと思っているが本人はあまり気にしていない。
『買い取りは現金払いの他にポイント変換して次の買い物に回せるらしいわ。半分はポイントにしましょう。』と堅実なエイエがそんなマモダに釘を指す。
この中で一番お金の使い方や交渉が上手く勉強家である。
だが財布の紐が今日は緩いようだ、半分も現金払いにする使い方なんて一年に数回あるかないかだ。
今日の夜の御馳走が楽しみだ。チェリーパイにお肉!フルーツジュースも頼めるかもしれない。
『あっ!あんなとこにお花畑が!いこいこ!』
前方の開けた場所に綺麗な風景を見つけそんな楽しい気持ちが後押しされる。
『おい!トト!1人で先にいくなよ!』
『ええ。移動する時は皆で一緒!これは守りなさい!』
『はーい!籠持ったらいこー!』
2人もそんな私につられたのか口では注意をしつつ苦笑いしながらも体は奥へと向かう準備をしている。
『まて!なんかいるぞ!』
花の匂いがはっきりと分かる距離まで来た時にマモダが先客に気付いた。
灰色のイノシシ?みたいなのが森の影からやってきていたのだ。
花の影になって気付かなかった。
『大きいわね。トト、幻影の準備して。気づかれないように下がるわよ。』
『うん!分かっ』返事をしようとしたその時。
ポッン!ポッン!ポッン!ポッン!
甲高い爆発音が辺りに木霊した。
一瞬だった。その表現は正しくないのかも知れないけど、一瞬だった。
逃げる隙が出来てラッキーだと頭によぎったのだが目の前の光景に動きが止まってしまったのだ。
飛び掛かられた最初は、イノシシさんが優勢だった。
軽く頭を振っただけで襲い掛かったハイドスパイダーが空気が抜けた風船のように萎んで吹き飛ぶ。
身体に纏わりついた数匹も振り払う為に転がろうとしたその時。
空気が揺れた。
花の根元から丸太のような足が生えてきたかと思うとその奥に見える赤黒い大きな沢山の目玉。
深い暗闇の中から白銀の光が見えたかと思うと、イノシシさんを捉えその自由を奪う。
さっきまで見ていたクモ達の糸とは段違いの太さ、量。
勝負はついたとばかりに戻るその暗闇からはハイドスパイダー達が無数に現れる。
ここは巣の周りなんかじゃない、巣だ。
甘い果実に誘われた、私達はもう巣に掛かっている。あとは食べられるのを待つだけ。
そう肌で感じた私たちは動く事が出来なくなってしまった。
『だね。あのイノシシさんには気の毒だけど。感謝しないと。』
『ええ。あれは流石に対処できないわ。』
『だな。あれはやばい。それもさっきの、イノシシってかシルバーボアだろ?ギルドの講習してくれて大木みたいなおっさんも本気で構えても吹っ飛ばされたっていう。』
『にしてもなんで襲ってこないんだろうね?』
『んー。暗い巣穴で過ごしてるから目はよくないんじゃね?それか待ってるとか?』
『目はよくもないでしょうけど、悪くはないんじゃない?たまに寄ってきて威嚇してきてるしっ!
恐らく夜の方が効率的に狩れるって分かってるのかもね。それか......』
『それか?なんだよ?歯切れ悪いな。』マモダがエイエに肩で小突き返事の催促をおこなう。
『それか。獲物が増えるのを待ってるとか。いずれにせよ…トトの音届に気付いてくれるのを祈って待つしかないわね。』
『だね。気付いてくれるとは思うけど。けど。』
けど、無事にこの巣から抜け出せるのだろうか。
その言葉は口にはださずとも2人も同じ事を考えている、そう背中から伝わってくる。
だからこそ、私はその言葉を出せずに天を仰ぐしかなかった。
読んで下さってありがとうございました!
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寒いので体にはご自愛ください!
それだは次回更新まで!サヨウナラ!(出来れば、もう数話更新して行きたいです!)




