登校初日 優雅な朝
「特に金になりそうな記事のってないなー」
そう呟きながらも青年は数枚の紙を見ていた。
『国境付近に黒い影!魔物の動きが活発化か?』そう一面に大々的に書かれたそれは地元の冒険者ギルドの発行によるものでもちろん無償ではない。
国や地方のお偉いさん達が重要な物事を伝えたり、新しくお店が開いた時、そして品薄になった素材があるお店が依頼して発行されたものなのだ。
なぜそんなものが青年の前にあるのか?
それは青年が優雅に朝からコーヒを飲みながら今日いちの支度を出来るほど裕福な家庭にいるからであって・・・
「こら!ツキト!そこでサボってないで働くか学校に行く準備でもしなさい」
そう商売根性たくましい発言をするのは母、メルシーだ。
この青年は優雅に過ごすことが出来る程裕福な家庭ではなく、どちらかというと今の朝の時間帯は比較的忙しくなる酒場兼宿屋をなりわいとする家庭なのだった。
そもそもほんとに忙しいならサボる暇さえないとは思ったのだがそう反論したら長くなりそうなので素直に従うことにした。
「はーい、余りそうな食材弁当にもってくね」そう言うと母の言葉を聞き流しながら逃げるように学校に出かけるのであった。
青年が通う高校はこの世界では一般的な学校である、ただ小さい子が通う学校となにが違うのかというと
なんと!この学校では学生にも見習いではあるが冒険者ギルドへの登録、露天を開く、荷物を届けるなど学生証が身分の証明になりお小遣い稼ぎができるという学生にはとても嬉しい仕様なのである。
歩くこと数時間、緩やかな丘の上に平たい要塞のような建物が見えてきた。
これよりワクワクとした学生生活が始まるのであった。
試行錯誤して頑張っていくつもりです。
短編の落語でポテト売りの青年も書いていつか書いてみます。