よく考えたら何もしてないな。 いつも何もしてないけど
あー終わった終わった人生終わった。 諦めてさっさと瑠姫さんを殺人犯にしないと。
いやまだだ。 まだその時ではない。 満を持すのだ。 こう……ネタが降りてくるのを待つのだ。 さすれば延命できるだろう。
※ 彼は度重なるネタ切れと原稿の詰まりによっていつも通り現実逃避しております。 しばしお付き合いください。
例えばそう、目を閉じ感覚を研ぎ澄ませ、丹田に力を流すイメージで気を練って神秘学的なエネルギーみたいなやつを貯めればなんか起きるはず。 今だけ神様超信じる。
あーなんか降りてきた。 なんかすんごいの降りてきたよ。 来てます来てます……あーこれはヤバいの来てます。
来るよー 来るよー めちゃめちゃめっちゃなやつ来るよー カモン³ ベイビー
おし入ってきた。 完全に降りた。 よーしこれでいける! これで勝つる!
そうと決まればタブペン握って原稿に書き込まないと。
……
…………
……………………
…………………………………………
まぁ人生そんな上手く行きませんわな。 こんなんでアイディア出たら苦労しないし世の中の作家は全員スピリチュアルなヤバい人になるわ。
はーもう2時間経過してんのにまだ2ページしか終わってないのヤバいわ。 今月まだ1枚2枚3枚以下略10枚以上が輝かしい純白のパンツみたいなのに。 例えもうちょっとなかったかな。 そもそも作者お前紐パン派だろ。
皿屋敷でも9枚なのに、この俺はその更に上を行く。 やはり俺は他とは違う特別な存在なんだ。 異端者なんだ。 その証拠に、踏み絵の時4つ並べてDANCE aR○UNDしたし。 それただのイカレポンチじゃね? 俺江戸時代を生きてねぇし。
こんな時は回復術士たる重政に癒されて切り替えよう。 アニマルは全てを解決する。 暴力以上に。
「zzz……」
そういや重政寝てるんだった。 猫だからね。 基本的に寝てるもんね。
じゃあどうしよ。 重政同等の癒し効果があり、それに加えて撫で・抱き・温もりを兼ね備えた存在……猫って体温高いよな。 つまり子ども体温で小柄で毛がさらモフの存在、か。 それ全てに当てはまるのって1人しか居ないな。 やめだやめこの案は却下だ。 本人は今勉強会(勉強抜き)だし。
つーかなんだよ青春って。 春が青くなる前に俺がアレルギー真っ青になるわ。 むしろアナフィラキシリトールで真っ赤になるわ。 症状名ガムかなんかかよ。 アナフィラキシーが正解。
あー なんで俺ラブコメなんか書いてんだろ。 0普通に異世界とかファンタジーとか書けよ。 お前ファンタジー得意分野だろ。 あの頃の消し炭にせずに封印したノート使えよ。 小っ恥ずかしいノート使いきれよ。 そのノートの中身だけで多分2、3本は書けるから。 本人の技量除いて。
そういやなんで兄妹ラブコメにしたんだろ。 俺の趣味嗜好云々抜きにして。
うーん……こ。 あーくっだらね。 おぴょぴょおぴょぴょうぺゅぴゅぱぴぺぱんぱんぺぇあっ!?
嗜好じゃなくて思考取ってね? 脳みそカートリッジ入れ替えないと。 なお、このカートリッジち上昇負荷を肩代わりするような効果は無い。
まぁ俺の場合常に人気とか色々下降してるからそれで上昇は相殺できるでしょ。 ここまで悲しい理由中々無いね。 我が作品の人気はその殆どを伊吹童子先生(作画)に支えてもらっています。 原作なんて余程個性が無いとそんなもんよ。
……はぁ……言ってたらさらにやる気が下降してきた。 重政寝てるしそろそろ昼時だから気分転換に飯でも作るか。
「にゃっ(飯か)」
飯のこと考えてたら重政飛び起きたんだけど。 なんだコイツ。
「にゃ(飯か)」
膝を前足でテシテシ叩いて呼ぶから「飯だ」とだけ返しておいた。 直接脳内に。
「にゃ(俺も連れてけ)」
そう言って重政は俺の頭に飛び乗ってダラダラ。 お前頭の上で伸びるとバランス取りにくいんだが。
まぁいい。 重政のカリカリも用意すればいいだけの事。 人間の俺はどうするか。 俺はちゃんと人間ですぞ? 最近「お前は人間じゃねぇ!」って糸目の人に言われたけど。 「ら」が無い辺り俺の孤高さが表現出来てるね。
そうだ、暑いし麺にするかな。 蕎麦にするか素麺にするか冷麦にするか。 うどんは断然クロ────じゃなくて、断然『とろろうどん』派。 料理名じゃなくて、そういう名前の乾麺があんのよ。 詳しいことは言えないけど緑のやつが好き。 これ完全に作者の好みだな。 無駄に凝りやがって。
あー暑くてもうやる気出ないし暑くなくてもやる気出ないから、最近作者がスパイス集めにハマってる話する? こんな時にクソみたいな話とか罰ゲームか何か?
─────────────────────────
厨房に向かう途中、ふと気になってリビングをそっと覗く。 音を立てないように襖開けて
「…………」
そっと閉めた。 予想通りというかなんというか……やはり勉強に飽き始めたな。
女子グループはノートを閉じてファッション誌かなんか広げてワイワイ談笑してるし、男は男で集まって盛り上がってる。 女子グループに何故か滝鞠焔とかいう男が混じっていたが俺は何も知らない。 どうでもいいやもう。
微妙にムカつくのがノートやペン類は邪魔にならないように綺麗に仕舞って退けてる所。 最初から勉強する気無いな?
見なかっかとこにしとこ。 そう思い、そっと離れて厨房へ向かう。 重政は降ろす。
その時
「……奏士の気配」
「ソージの気配がするデス!」
その声が聞こえ、一拍遅れてリビングの襖が開いた。えぇ……怖ぁ
「うわ本当に居るし」
なんでちょっと引いてるんださっちゃん。 バナナ半分だけ食わすぞ」
「あんた声に出てるわよ」
やべ
「どうしたデスカソージ! やっぱり寂しくて混ざりたくなっちゃったデスカ!」
「自惚れんなカス」
「すっごいどストレートで言われた」
既に慣れたやり取りをスルーして装着。 料理する時に着けるコレの名前なんだっけ。 あのー……あれだよあれ。 なんかフライパンのやつ。 テフロンだっけ? あ、そうだエプロンだ。 もう最近料理シーンが無いから忘れかけてたぜ。 良いのかそれで。
服の裾引かれた。 振り向く。 何故にカタコト。
「…………」
なんかすっごい「気になるオーラ」出してる。 でも言葉や態度で示さないと何も伝わらないぜ紅葉ガール。
「……今日の昼は饂飩と天麩羅だ。 莇が魚市場で大量の海老貰って来たから、処理するためにも1人3つは海老天食えるぞ」
「……青葉もいい仕事をする」
ナチュラルに上から目線だが俺はもう慣れた。 生徒会長っていう人の上に立つ仕事は向いてるのかもしれない。 いやそんなことないなS嬢の方が向いてるかもしんない。
「……見えるわ」
皐月さんの呟きは俺でなきゃ聴き逃しちゃうね。
見えるって何? 薄着だからパンツかブラ透け? ベルは珍しく外向けの服着てるけど下着は────あれ、大丈夫って確信出来ない。 いやいや大丈夫でしょ。 うん、そうしよう。
というか普通に服着てるのが珍しくと言えるのおかしい。 部屋着とかラフを除外しておかしい。 まぁちょっと前まで自室のみ全裸のラフもとい裸婦な格好だったし、成長したってことで。 成長の基準は人それぞれだよね。
「紅葉ちゃんに犬のしっぽが見えるわ」
ああそういう事ね。 へそごま。
なるほど→なるへそ→へそ→へそごまってこの変換は無理ないか? もう原型が無いじゃん。 つーかなるへそ死語やろがい。
ヤバい。 作者の若者言葉不得手が年代に現れてる。 なんだよマジ卍って。 最初死神代行関連かと思ったわ。 もしくはマジ汝。 古語が蘇ったのかと思った。 意味を定義しろ意味を。 言葉なんて朧みたいに曖昧なもんだけどさ。 形を成せ形を。 変わってもいいから形を保て。
なーんて、作者の私怨がちょっぴりひょっこりはんしたけど今は置いておく。 室伏に頼んでぶん投げてもらう。 でもハンマー投げって距離だけなら100m無いよな。 じゃあ投げやり選手に頼むか。 それ作者じゃね?
「あんたの前じゃ、あんな表情見せるのね」
「かわい〜」
なんか遥さんまで来た。 紅葉が捕まって撫でくり回されてる。
「よしよし〜」
「……苦しい」
とは言いつつも素直に受け入れて遥さんの2つの母性、通称ビッグ・マムに顔を埋める紅葉。 なんか四に関係してそうな名前。
「じゃあワタシもクレハにぎゅ〜♡」
「むぷっ」
それにベルも加入し、四方八方から圧迫される紅葉。
す、すげぇ……あの空間平均バストサイズが100を超えてやがる。
あ、でもそうなったら紅葉が最低でもB98くらいある必要があるな。 だとしたらギリ平均100に届かないか。
「…………何」
「いや別に」
混ざらないのかな〜とか思っただけです。 大丈夫、貴方が混ざっても平均サイズは既に100以下だから変わりありません。 まぁ90以下になるかもだけど。
「……柳、後で覚えてなさい」
「え?」
殺意の波動が見えるんだけど俺に特殊な眼とかあったっけ。 柳家一子相伝の瞳術とか何? 赤と黒とか白とかそんな感じのやつ? 作者は常に脳がイカれてる意識ここに在らずの白目状態みたいなもんだから実質日向一族。 ちなみに使おうが使わまいが、どっちにしろ何も見えない節穴確定だから無意味。
「皐月ちゃんもおいで〜」
「サツキも一緒にどうデスカ〜?」
「えちょ待っ」
こうして4人全員1つになりましたとさ。 でまかせでまかせ。 嘘なんかい。 まぁこの物語はフィクションだから間違っちゃなし。
あれ、なんか一人足りない気がする。 女性陣はもう1人居たような……なんか黒髪ポニテの人。 えーと誰だったかな…………
まぁ思い出せないしたぶん大した事じゃないか俺の記憶違いだろ。
この百合百合クンカクンカは放置して、リビングに向かう。 空間の入力ミスで俺が変態みたいになってるじゃねぇか。
「おいそこのサボり共。 昼飯はどうすんだ?」
「俺ら? 俺らは適当に外で食ってくるつもりだけど」
「はーん」
じゃあ飯は莇抜いて5人分でいいか。 全員ご存知の通り紅葉が3人前。 まぁ俺も流石に2束くらいは食うが。 育ちきってるけど男ですから。 だから身長伸びないのか。 次の身体測定の時には180突入してるといいな。 日々の鍛錬と紅葉からの理不尽な暴行によって俺の身体は損傷と回復を繰り返してるからたぶん伸びてる。
※ 暴行の原因の大半は奏士です。
「そっちは────いやいいや」
男は百合空間に近付けんし。 正直近付きたくないし。
「! みんなで一緒にお昼食べるデス」
「公園でシート敷いて食うのか?」
炎天下で飯食うとか自殺でもする気か? あと麺食うのに外は適さないだろ。
「そうじゃないデス! ここでご飯食べるデス!」
「俺ん家で? 器足らねぇぞ」
俺の一人と一匹暮らしとなった今、来客(ダメ大人3名)用しか置いてないし、紅葉は自分の持ってきたしベルと莇は来日で買ったものしか置いてないから実質それ以上は無い。 多少俺の趣味で集めた(料理盛り付け用)皿とかがあるくらい。
「んふふ〜」
なんかベルが凄いニヤニヤしてる。 きんもー
「きんもー」
「え?」
やべ口に出ちった。
「何笑ってんだお前」
「いや〜 ソージが真っ先に拒否しなくなったな〜と思いマシテ〜」
「いや断るのは最初から決定してるからいいかなって」
「という訳でそこのボーイズとボインズ! 良かったらソージがお昼を作ってくれるらしいデス!」
色々ツッコミたいけど、ガールズをボインズって言うのやめろ。 ボインが無い人も居るんだぞ! 主に2人!
「ボイン……」
「…………」
ほら2人とも胸に手を当てて虚しそうな顔してるじゃん。
「ふっ……くくくっ……」
「んお? どうした神鳴。 思い出し笑いか?」
「いや……ちょっとね……」
性格悪い神鳴に殺意を向けるイチャイチャっぷりを見せつけるポニテさん。 イチャイチャするなら殺すぞ。 他所でやることも許さないスタイル。
「そんな……あたし達の分まで頼むのは悪いわよ。 ただでさえリビング貸してもらってるのに」
「まぁ貸したけど誰も勉強してないよね」という言葉は飲み込んだ。 「清濁飲めたね」と一緒に。 薬と飲みたくねぇなこの服薬ゼリー。 ちょっと若本節効かせると「服薬ゼェリィイ」になる。 なんかスクラッシュしてそうなイントネーション。
「……奏士」
「お前はまずそっから出ろ」
ぬぽん! と遥さんの抱擁から抜け出る紅葉。 少し汗かいて髪が張り付いてるぞ。
「……みんなで食べると楽しい」
「でも俺一人がいいし……どっちにしろ何を食うにも器が足らないぞ」
「……問題無い」
そう言うと紅葉はてとてと部屋に戻った。 あ、すぐ帰ってきた。
なんか箱持って。
「……これ」
「何これ」
渡されたから開けてみれば中には器がいっぱい。 わぁ沢山。
「……何これ」
「……ほしい物リストに入れて消すの忘れてたら届いた」
「何を持ってしてお前はこれをリストに入れたんだよ」
取り出して数を数えてみればひのふのみの9人分あります。 リストに入れる紅葉も紅葉だが、送るやつも相当だな。 何故作家に対して9人分の食器を贈るのか。 三角コーンじゃねぇんだぞ。まぁその場合は3桁とかm越えが送られてくるけど。
「……これで解決」
「こいつ……」
あれ、でもぶっちゃけ飯食うだけならそこまで問題無いよな。 我が家の食器使うとかじゃないし、あくまで飯食うだけ。 アリかナシかで言うと紅葉が上機嫌になることを予想してアリ。 でも正直部外者を我が家に入れるってだけで結構な拒絶感あるのも確か。
「……お願い」
「うーん……いやしかし」
「ソージィ〜 おねがい♡」
「お前のクソみたいな強請りで一気に嫌になってきた」
「そんなっ!」
「……ベルは静かにしてて」
「クレハまで!」
ヨヨヨと遥さんに泣きつくベル。 胸に顔を埋めに行ったなあいつ。 そんでもって遥さんも喜んで受け入れるなよ。
「……お願い聞いてくれたら奏士だけに特別な絵を「喜んで受け入れよう」……判断が早────い?」
俺のちっぽけな願望なんて推し絵師の特別描き下ろしイラストに比べたらぽぽいのぽいだね。 やったぜ自慢とかは出来ないけど額縁用意しなきゃ。
「……皐月、奏士が良いって」
「……そう、ならお言葉に甘えさせてもらうわね」
「ありがと〜」
お礼言われちゃった。 言われることかね。 言われたこと少ないからアレルギー反応が出そう。
「ほらあんた達、お昼ご馳走になるんだから手伝うわよ」
「へーい」
皐月さんの一声で一斉に机や床を片付け始める不知火達。 これが姉御というやつか。
「お昼は確かうどんだったわよね。 私も作るの手伝うわ」
「いや料理は俺がやるから座ってていいわ」
「私も手伝おうか〜」
「絶対やめて」
「ひど〜い」
少なくとも目玉焼きもまともに作れない料理レベルの人を厨房に入れる気は無い。 紅葉も同じく。
「……奏士」
「何? メニューの追加か?」
「……」
プルプルと無言で首を振る紅葉。 俺も大概だけどこいつも行動で示すタイプだな。 俺は独り言多すぎてそれ感無いけど。
「……うどんが入る人数分の器が無い」
「ぬ?」
9人分の食器があるのに?
「……お椀とかならある」
「じゃあ大皿に持って取り分けて食うか?」
「……男の子はいっぱい食べるから、一人2人前とすると16人前になる。 天麩羅含めるとテーブルに乗り切らない」
サラッと自分を3人前にして滝鞠を女子に入れてるのは無視しよう。
「じゃあどうする? 机をリビングと食堂の2つに分けるか?」
「……もっといいのがある」
そう言って再び紅葉は部屋に戻って……
「……これ」
庭に出た。 竹を引きずって。
それを見た全員がポカーンとしてる。 なぜなら紅葉の持ってる丈が異様にデカいから。 長さ30メートル、直径25センチはありそうな竹を引きずって持ってきた。
「……一応聞くけど、それどうした?」
「……貰った」
「誰に」
「駄菓子屋のおばあちゃんに」
「あのババアか」
こんなデカいの何処で手に入れたクソババア。 平均サイズ上回ってんじゃねぇか。
「……これで流しそうめん出来る」
「え、もしかしてそれで俺に作れと?」
紅葉は無言で頷いた。 えぇ……お前やれよ。
「俺よりお前がやった方が早いだろ。 力的に」
「私はか弱い乙女」
「ダウト。 か弱い乙女は重量2桁はある竹を丸々1本持って歩けません」
「……そこはおっぱいで鍛えられた」
「それで鍛えられるのは胸周りの筋肉だけだと思う」
お前のそれは明らかに異常発達の類だ。 もしくは1人だけギャグの世界。
「……暑いからこれ任せる」
紅葉が庭の地面に竹をぶっ刺して中に上がる。 か弱い乙女じゃなくても硬い地面に竹(30m)をぶっ刺すことは出来ませんよ。
「しゃーねーな……じゃあベル」
「ハイハーイ」
「5分くらいで竹割ってくるから、その間に素麺茹でて天麩羅は──そっちは俺が作るからとりあえず茹でておくこと」
「Sir Yes Sir!」
ビシッと敬礼してベルはエプロンを装着して厨房へ。 手はちゃんと洗いましたよ。
というか英語圏の人がSirとか言っていいのかしら。 日本は一応非軍国家だからジョークで済むけど、英国は正規の軍がある。 大丈夫なのかしら。 ここ日本だし大丈夫か。
「じゃあ俺は解体してくるから」
「……私も見る」
「あ、あたしも」
「俺も見たーい」
「全員好きにしろ」
そうじは なかまを てにいれた! 勇者パーティみたいに1列になるな。
全員が日陰の縁側に座り、俺は念の為に安全確認。 えーと、多分大丈夫。
「ねぇ……そういや5分くらいって言ってたけど、竹ってそんなに早く加工出来るもんなの?」
「いえ、普通は長さを決めたり葉や枝を落とすだけでも相当時間と体力を必要としますわ」
なんかヒソヒソ越えが聞こえるけどやっちゃおう。 麺茹で上がる前に解体して天麩羅揚げないと。
解体ナタを軽く振って確認。 ちゃんと手に馴染んでる。
さて、と。 軽く準備運動して、首を2回鳴らしてナタを頭上にぶん投げてっと。
「どっせい!」
紅葉がぶっ刺した竹を引き抜いて、片手で鷲掴みして倒れないように固定。 落ちてきたナタをもう片方の手でキャッチして、真横に薙ぐ。 すると竹に遅れて横一線が入り、分割される。 それを蹴って横に倒せば上の部分が落ちてきて、それを切って横に集める。 それの繰り返し。
あっという間に竹が綺麗に分割されて短くなったので、それをナタで縦に割る。 スパンと一息で。 割ると言うより切る感覚に近い。
2つに別れた竹を横に集めてまた切る。 集めて切って集めて切って、枝はその過程でついでに切り落とす。
枝が密集してる上の部分は残し、使う部分を2つに切り終えたらハンマーで節をぶち抜いていく。 節を取る時、削る作業を減らすために綺麗に抜くとグッド。
余った竹材で高低差を出すための3脚やカーブの際の水受けを作り、念の為に熱湯を流して消毒。
井戸から水を引っ張って流して動作確認。 これにて完成作業時間は4分32秒。 3分目指して君も頑張れ!
最後に笹の葉を水で洗って熱消毒して、船の形にして薬味船を作る。
「出来たぞ」
「いやちょっと待ちなさい」
えー
「何? 暑いから家ん中戻りたいんだけど」
今から天麩羅揚げるし厨房は麺茹でる時の熱で爆熱ストームだろうけど。 そんな時はイナイレ3やれば威力下がるしたぶん暑くなくなる。
※ お忘れかもですが、彼は現実逃避の真っ最中です。
「その前に聞かせてくれるかしら。 今何をしたの?」
「竹切って流しそうめんセットを作った」
「どうやって?」
「このナタでサクッと」
「……竹ってあんなにスパッと切れるものかしら」
「竹でもなんでも、流れに沿って力を入れて切ればスっと切れるぞ」
「……これ私がおかしいのかしら」
皐月さん頭痛が痛いの? 薬飲む? あ、もしかしてあの日? その薬は流石の俺も持ってないな。
「大丈夫だ皐月。 僕も正直今見ていたことが空想の世界に見えてる」
「柳くんすご〜い」
「あれを凄いで済ませちゃう遥ちゃんもすげぇよ」
ここまで凄い凄い言われるとなろう系俺TUEEEE主人公になれるかもしんない。 なーんて、冗談だ。 俺現実世界で既に俺TUEEEEやってるから今更危険な異世界行くとかアホらし。
俺YOEEE主人公の間違いだって? 否定はしない。 つーか出来ない。
というか俺異世界行ったら多分即死するから無理だわ。 重政とかと一緒に居ないと2日の命だし。 やはり「猫と妹さえいればいい」は真理や。 こんなに妹言ってるとシスコンに間違われちゃうかな。 そしてそんなにエセ関西弁を烈発すると関西人と間違われちゃうかな。 関東人やで。 一言で矛盾するなよ。
「……この先端部分はどうするの?」
「んー……正直使い道がないしな……来年の七夕まで保管したくないし、ババアの店にぶち込むか竹炭にするか、ババアの店を炭にするか」
「……奏士はおばあちゃんに容赦が無い」
「聖人君子な俺でもこんな粗大ゴミを押し付けた賭け狂いな人外ババアに優しくする気は無い」
「……(プススー)」
お? なんで笑ったお前。
「……奏士が聖人君子なら神鳴が四聖人に入ってもおかしくない」
「あれなんで僕引き合いに出された?」
「普段の行いですわ」
「普段の僕の何処にそんな悪い部分がありますか」
「ほほぉーう……では私をおちょくって弄んでいるのは悪気が無いと?」
「あ、弄ばれてる自覚あったんですねお嬢様。 微々たる成長を僕は嬉しく思います」
「なら鼻で笑うのを辞めなさい! お爺様に言いつけますわよ!」
「はいそこイチャつくなら殺す」
「誰が!」
顔真っ赤にしたポニテさんに扇子を突きつけられた。 どうでもいいけど、これ小説だから扇子持ってても上手く活用できてないよね。 そこんとこハウスダストより知性が無い作者さんどうお考えですか? 答えは聞くまでもなく何も考えてませんね。 お嬢様っぽいから持たせただけですねこれは。
「ソージー お素麺茹で終わったデース」
走行してるうちにベルが戻ってきた。 変換ミスで走ってますけど。 やっぱり作者に知性ないんじゃないの?
「ん、あーサンク。 ちゃんと水分補給しとけよ」
「そうするデース……夏場に茹でるともう汗ダラダラでヤバいデス」
そう言いながら服を摘んでパタパタ風を送るベル。 俺も半袖着ようかしら。 作務衣も長袖長ズボンじゃなくて半袖長ズボンに。
なんかアレなのよ。 半ズボンって気になるのよ。 脛とか防御力とか日焼けとか。 2次元的表現で肌ツルツルだけど実際ちゃんと髭とかすね毛とか生えてるからね。 俺はちゃんと手入れしてるけど。 俺が髭伸ばしたら確実にホームレスみたいになる。 その逆でこんな立派な家持ってんのに。
「じゃあ天麩羅とか揚げてくるから、もう少し待ってな」
「ワタシも手伝うデスカ?」
「いや、そっちで涼んでていい。 茹でるのはまだしも、夏の揚げ物はキツイぞ」
あと不意の油はねとか。 女性の服は高いからはねて溶けたらシャレにならない。
「じゃあお言葉に甘えるデース……クレハー ワタシの火照って(やること無くて)持て余した身体を冷やしてクダサーイ」
「……言い方が気になる」
ベルのことは紅葉に任せて俺は厨房へ。 エプロン着たままだった。 一応厨房入る前に払っとこ。
「ねぇ、ちょっといいかしら?」
エプロンパンパンしてたら後ろから声かけられた。 ち、違うぞ! これは唐突にゴリラの霊が乗り移ったとかそんなんじゃないぞ! 俺のドラミングは細胞の悪魔を呼び出さなくても威嚇が出来る。 虹の実ゲットだぜ。
「何? なんか食えない食材でもある?」
「いや、そういうんじゃなくて……その〜」
もごる皐月さん。 何? あ、悪いけど告白されても俺心に決めた人が居るから……冗談だけど。 禍塚ガチ恋勢のこの人が流石にね。 フラれる前にしないよな。 キープ目的なら俺は死ぬ。
「皐月ちゃんが揚げ物を教えて欲しいんだって〜」
そんな皐月さんの後ろからひょっこり顔を出した遥さん。 全然隠れられてなかったけどね。 体格差とか1部の大差があるから。 何とは言わない。
「ちょっと遥!?」
「だって〜 ここで言わなかったら、皐月ちゃんまたビビって引き返しちゃうし〜」
「うっ、それはそうかもだけど……」
「という訳で柳君、揚げ物教えてあげてくれないかな〜」
揚げ物だけに教えて揚げちゃう。 なんつって。
「今日は揚げ物つっても、メジャー何コロッケとかじゃなくて割と使う機会が限られる天麩羅だけど。 それでいいなら教えられるぞ」
「いいの?」
「いや正直あそこのアホカスボケ鈍感クソ野郎が更にラブコメすんのは気に食わないけど」
「い、言い過ぎ────じゃないわね。 鈍感なのは合ってるわ」
「まぁそれは後で亡き者にすればいいし。 良いぞ」
「ねぇあんた今サラッととんでもないこと言わなかった?」
「(無視)そっちはどうする? 」
「私〜?」
「教えて欲しいならついでに教えるけど」
こっちも天パクソメガネがラブコメすんのが気に入らないけど後で埋めれば良し。
「そ〜ぉ〜? なら〜 お願いしちゃおうかな〜」
遥さんがニコニコ笑顔をしながらポムンと胸の前で手を合わせた。 揺れた。
「ん、じゃあ2人ともここで手を洗って、そんで────前掛けが足らんな……ベルー! お前のエプロン遥さんに貸して大丈夫かー?」
「OKデスヨー!」
ベルに許可も貰ったので、ロッカーから黄緑のエプロンを取り出して遥さんに渡す。
さて、さっちゃんもとい皐月さんの分はどうするか。 紅葉のはほぼ特注(形とか、身体のラインにフィットする素材とか使ってて違うらしい)だから使えんし……莇はそもそも料理しないし。
……あ、そういや1着あったな。
「えーと……あ、あったあった。 これ使ってくれ」
タララララララ〜
はいカーテンシャー!
そして1分後
「……ねぇ、何これ」
「エプロンだろ」
顔を真っ赤にして震える皐月さんはいかにもギャルっぽいファッションの上に白生地にピンク線、そしてフリルをふんだんに使用した『新婚エプロン〜デザートはわ・た・し♥〜』を装着している。
「皐月ちゃん可愛い〜」
「ちょっ、遥やめてよこんなの。 あたしのキャラじゃないでしょ」
いやあんたは十分カワイイ系キャラだよ。 普段は気が強いくせにいじると途端に弱くなるハリボテ系萌えキャラだよ。 と、紅葉とベルは熱弁していた。 遊びに行く時何してんだよ。 ツッコミ役1人で大変だろうけど俺は絶対に混ざらないから頑張って。
「一体どうしたのよこんなの。 あんたまさか……」
「ああ、これは以前絵の参考に「その顔で女装趣味があるんでしょ!」……なるほどバカキャラも混じっているのか」
あと「その顔で」は余計だ。 自分が美少女枠だからって舐めんなよ。 性転換したらなぁ! 見た目が普通に近いほど、むしろ悪い方がイケメン・美少女になる確率が高いんだぞ! ちなみに俺はその理論だと超絶美少女になる! 俺は自称イケメンなので、どう足掻いても美少女になれる。 悲しい。
「失礼だよ皐月ちゃん。 趣味は人に迷惑かけていないなら自由なんだから」
「あんたも充分失礼だよ」
俺に女装趣味は無い。 メイクとかは人に施せるけど女装趣味は無い。 なぜ施せるのかは見て覚えたから。 あと如月遊とかいうロリババアの介護ゲフンゲフン、お世話をしたからと、お猿編集におもちゃにされかけたことがあるから。 おっと殺気が。
「まぁあんたの趣味はどうでもいいわ」
だからそんな趣味無いわボケェ!
「洗ったけど、これで大丈夫かしら」
「大丈夫。 終わったらそこでスリッパ脱いで、厨房専用の靴に履き替えて。 あ、サイズあるか分からんから確認して」
「えーと〜……うん、大丈夫〜」
「……ちょっと小さいわね。 これ紅葉ちゃんの?」
「イグザクトリー」
小柄な紅葉は足も小さめです。 悠ちゃんはそれより小さいけど。
今更だけど、だいぶ前に悠ちゃんが車運転してたじゃん。 そんでその後「足が届かないから買うのを辞めた」つってたじゃん。
じゃあどうやって教習所卒業して免許取ったんだ? 出すなよそんな奴。 そして免センも交付するなよそんな奴に。 さっさと老人と一緒に返納しろ。 そして免許返納したらそんな名前のガールズバー行け。 確か指名料無料になるから。 それはとあるお笑い芸人のネタの中だけですね。 無形さんです。
「ちょっとキツイけど……大丈夫そうね。 いいわよ」
「それじゃあ始めるぞー」
「「はーい」」
─────────────────────────
ぱらぱぱぱ
ぱらぱぱぱぱ
ぱらぱぱぱらぱぱぱらつぱっぱっぱー
I’m rabbit!
以上、ネタの使い回しゲフンゲフン、リサイクルでした。 流石は無能を極めた作者だ……後書きなんかでネタを浪費することで本編のネタ切れを引き起こすとは。 マジ無能。 マジぐう無。
そういや、あのリズムの歌詞って正しくは「ばだっばっばっばー」らしいね。 どっちゃでもええわ。 もうとっくに「公式が勝手に言ってるだけ」状態なんよな。 公式ってなんだろう。
その点この作品はそういうの無くていいね。 まずまともに考察するような頭のおかしくなる行為をする人は居ないだろうし。 確実に時間の無駄なので普通に読んだ方がマシだぞ。 どうせ考察しなくても作者のガッタガタな構成力じゃあ先の展開がすぐ分かるだろうから。
というわけで始まりました。 柳シェフの杞憂○3分ルッキング。 なんで今規制音入ったんだろう。
本日作るのは夏野菜天麩羅盛り合わせ。 大量に入手した海老天と旬の野菜をふんだんに使用した素麺の付き合わせを作ります。
「というわけで本日のゲストは恋する乙女のお2人です。 この3名でお送りします」
「どこに向かって何言ってんのあんた」
「いや視聴者もしくは読者に説明しなきゃなって」
「夏の暑さで頭いかれたんじゃないの?」
ちなみに遥さんは特にこれといって何も言わないけど確実に不知火との恋フラグビンビンビンなので恋する乙女枠にぶち込む。 そしてそのフラグへし折って不知火の脳天にぶっ刺さないと。 禍塚は自らへし折ってるから後回し。
「という訳で食材紹介です。 メインは大量の海老と夏野菜。 南瓜や茄子、とうもろこしなんかです」
「え、とうもろこしなんか揚げてポップコーンになったりしないの」
「ポップコーンになるのは皮が硬く、乾燥させて水分を抜いた爆裂種と呼ばれる品種だ。 普通に店に並んでるスイートコーンと呼ばれるものは乾燥させてもポップコーンにはならん」
「ふーん。 以外に詳しいのね」
逆に今の今まで市販のとうもろこしがポップコーンになると思ってたの? これ小5~中3くらいで知る知識だぞ。 雑学の範疇だけど。
「次は衣だ。 水と卵、小麦粉と片栗粉だ。 片栗粉は無い場合は抜いてもよし。 小麦粉は薄力粉を使う。 水は予め冷蔵庫や氷で冷やしておくこと」
「なんでお水を冷やすの〜?」
「詳しくは科学的なことになるが、衣を冷やすことでカラッと揚げる事が出来る。 逆に温かったりすると衣がサクッとしません。 だから低音にするために冷水を使う訳だ」
「へぇー そういうのって調べてみると結構しっかりとした理由があるのね」
「料理ってのは要するに化学と先人の知恵だからな。 ちなみに今回は小麦粉でやってるが、市販の天ぷら粉には予め色々混ぜられてるから普通に常温の水でも大丈夫だ」
説明しながらまな板と包丁、バットを準備する。 キッチンペーパーも。
「料理に慣れた人は全てを同時進行でやった方がいいが、今回は説明のためにあえて順にやっていく。 まずはエビの殻を剥いて、背わたを取る。 殻は足の方から剥くとスルッと取れる」
「その黒いの────背わた、だっけ? よく取れって言われるけど、それってなんなの?」
「エビの腸。 何とは言わないが、色々詰まってるから下ごしらえの時に取っておく」
「へー」
「揚げる際に全部食べるために海老の尻尾を取る派と見栄え重視で取らない派があるが、今回は分かりやすくするために尻尾は残しておく」
「そんな派閥があんの?」
知らんし俺が今勝手に作ったけどそういうことにしとこ。 説明めんどいし。
「下処理終わったエビをキッチンペーパーに並べて、余分な水分を取っておく。 水分が多いとさっきも言った通り衣に影響出るし、油はねの原因にもなる」
「へ〜 柳くん物知りだ〜」
この人逐一人を褒めてくるな。 もしかして褒めて褒めて人を持ち上げてから地の底へ落とすつもりか? そうはさせんぞ。 人間不信極めた俺を舐めるなぁ!
「次は夏野菜を切ります。 家にある三徳包丁でもいいが、野菜用の菜切り包丁を使いましょう。 具体的な差は使って確かめるとよろし」
「そこ教えるの重要じゃない?」
「作者が三徳しか持ってないから知らん」
あ、そういや果物包丁とお子様包丁も持ってたっけ。 なんでお子様包丁持ってんだアイツ。 なんのために買ったし。
「まずかぼちゃを両断します」
スっと包丁を入れてかぼちゃを切る。
「その過程で私には無理そう」
「料理を諦めるのか」
「普通、遅れて切れるなんて芸当は不可能よ」
何故だ。 人の身体で可能ならいずれ君も可能になるさ。 今は無理でも。
「じゃあ普通に切るか。 縦に2つに割って、刃先でヘタの下を切って取り除きます。 そしたら使う分……今回は1/2を使うので残りはラップで包んで保存」
「これってどのくらい日持ちするの〜?」
「長くても1週間くらい。 なので早々に煮物かスープにでもしておくといい」
「煮物のスープも作れないわよ」
「その時は『これで作ってー』と親に言いなさい」
美味いチャーハン理論だ。 世の中の母ちゃんは凄いらしい。
「スプーンで中の種とワタを削ぎ取り、サッと水洗いしてあとは薄く切るだけ。 繊維に沿って包丁を入れると切りやすい」
「あれ、もう終わり?」
「終わり。 あとは衣付けて揚げるだけ」
「下処理って聞くとあれだけど、案外すぐ終わるものなのね」
「今回はあくまで初心者向け講座だから、難しいことはやってないからな。 揚げ物は油と火の管理と後処理がクソ面倒なだけで準備は簡単だ」
会話をしながら残りの野菜も切っていく。 俺の好みで大葉も追加して。 大葉天バチくそに美味いやん。
「次は天ぷら鍋に油を入れて加熱。 温度計で逐一管理して、一定温度になったら食材を投入。 一気に入れると温度が下がるから、順に入れていくように」
「そういえば、揚げ物をする時はなんか順番があるって聞いたわよ」
「そうなの〜?」
「それは油に関係している。 葉野菜、根菜類、野菜、肉魚、かき揚げの順で揚げることで油が綺麗なまま揚げることが出来る。 逆に肉や魚、かき揚げなんかを先にやると、臭みが移ったり油が汚れたりするんだ。 これも先人の知恵ってやつだ」
「はー 凄いわね」
天麩羅液に食材を通して鍋にぶち込む。 この瞬間が1番油はね怖い。 熱いぜあっっ! 教えてる手前平静を装ったけど手あっつ! めっちゃ跳ねたしマジふざけんな。
大葉を揚げたら南瓜やさつまいもを揚げ、最後に海老を揚げる。 鶏天も作るか迷ったけど今回はご縁がなかったということで。
「揚げ終わったら網を敷いたバットに移して余分な油を切っておく。 二度揚げをすることもあるが、今回はこれでよしにする。 みんな待ってるだろうし」
後はバットから油取りシートを敷いた大皿に盛りつければ、夏の天麩羅盛り合わせの完成。 莇の分は別盛りで残しておく。
「使い終わった油は、濾し機なんかで天かすなんかを取り除いて油用の保存容器に入れて保存出来る。 だいたい3回くらいは揚げ油に使えるし、普通に料理に使っても良し。 捨てる時は自然発火しないように手順に沿って捨てること」
これにて杞憂なんとか終了。 だいぶ端折ったな。 作者眠いから仕方ない。
「出来たぞー」
「……」
揚げたての天麩羅持って行くと真っ先に紅葉犬が寄ってきた。 なんかそういう品種ありそうだな紅葉犬。 たぶんめっちゃ赤毛。 本家は銀髪だけど。
全員が麺つゆの入った器と箸を持って庭に出る。 船に薬味を乗せで水に浮かべ、素麺を掴んで上流から流す。 流す係は俺です。 俺も腹減ってるんだけど。
つーか重政どこ行った? 飯食ったら早々にいなくなりやがって。
まぁいい。 どうせ昼寝してんだろ。 熱中症に気をつけなきゃ。
それじゃあ流s
─────────────────────────
ええええええええええええ
普通あの流れで切るかね。 今からみんなで楽しい昼飯(笑)だったのにあそこでぶった切るかね。 時間無いからって甘えずに書けよ作者。
という愚痴は置いといて、昼飯後。 色々頑張って片付けた。 めっちゃ頑張った。 特に竹。
洗い物を終えてリビングを確認すると、全員食休みでダラーっとしていた。 食べてすぐ寝ると食道癌とかになるよ。
クイクイ裾を引かれる感覚。 紅葉、もしくは紅葉の振りをして気を引こうとするが真似が下手すぎてバレバレなマーゲイみたいなことしてるベルか。 そんな例え出されても誰もマーゲイ知らんやろ。 いや最近有名になってるか。
「何?」
振り向けば普通に紅葉でした。 残念。
「……この後皐月達とお部屋で遊ぶ」
「決定事項伝えに来ただけ?」
もうそれ覆らないよね。 俺がなんと言おうと無理だよね。 もーいいもう知らん。 好きにしなさい。
「もう自由にしなさい。 あまり大きな音出すなよ?」
俺向かいの部屋で原稿進めてるから。 煩いと重政が怒って暴れて最悪コンセント抜きかねん。
「……許可取れた」
果たしてこれを許可と呼ぶのは俺は知りたい。
「……奏士は後で飲み物とか持ってきてくれると好感度上がる」
「そんなクソの役にも立たないもの要らんわ」
持ってってやるけどさ。
「……5人分よろし」
「はいはい」
ピューっと紅葉は去った。 何持ってってやるかな。
でもその前に
「お前らどうすんだ?」
リビングでゴロゴロしてる野郎共をどうにかしないと。 珍しく滝鞠もここに居る。 ガールズトークもしくは女子会に混ざると思ってたんだが。 男だけど。 立派なオスだけど。
「ん、あー……恭平、いいんじゃね?」
「……そうだね。 丁度いいかな」
その一言を切っ掛けにノソノソと起き上がるメンズ共。 何? もしかして俺これから秘密裏に処分される? もしそうなったらここの全員道連れにして死ぬぞ俺は。 丁度心臓の薔薇も咲く頃だし。 使うと被害がこいつらだけじゃすまないよねそれ。
「柳君、少し……いいかな。 大切な話があるんだ」
「悪いけど流石の俺もノン気だからお前の想いは受け取れないわ」
「そういうことじゃないんだけど」
でも字面が明らかせそれっぽかった。 流石に男は対象外だ。 男の娘は不明。 滝鞠は3次元なのでどっちにしろ対象外だけど。
「相談……というか、手伝って欲しいことがあるんだ。 その話をしたくてね」
「えぇ……」
「凄く嫌そうな顔をするね」
わざと分かりやすくやってんだよ察しろ。 それくらい嫌ってことだ。
「お前の相談とかなんだよ。 恋か? てめぇその顔とモテっぷりで恋の相談か? ぶち殺すぞコラ」
「待て待て柳落ち着け。 確かにファンクラブはあるけど基本的に告白とかされないからこいつ」
んなもんどうせ「隣に皐月さんが居るから」だろ。 知ってるならあの乙女っぷりに勝てる気がしない。
「そもそも宿学はボンボンが多いだろ。 そいつらは大抵縁談とかで決まるから、今は恋するより将来親の事業継ぐ為の準備で忙しい」
等とボンボンが言っており。 お前たしか検事か弁護士かの息子だろ。
さぁ正解する確率は50%、つまりだいたい100%という訳だ。 四捨五入にも程があるけど常に小数点の世界を生き抜いてきた俺からしてみれば50%とか確定演出と同じだ。 まぁこの前4thアニバの限定ピックアップガチャで30k石溶かしたけど。癖になってんだ。 説得力消すの。
「……まぁ、恋と言えば恋なんだけど」
えぇ……めんどくさ。 もう帰っていい? ここ俺ん家しゃねぇか。 もうやだぁ……泣きたい、お家帰るぅ。
─────────────────────────
「入れ」
色々あって渋々部屋に入れる。 俺の楽園は今完全に失われた。 は、初めて男を部屋に入れたんだからねっ! 莇とかいう変態は下宿人だからノーカン。 そしても助とかいうヤニカス酒カスパチカスはそもそも人間として見てないからノーカン。
「へー ここが柳の部屋かー」
「やっぱり本が多いんだね」
キョロキョロ部屋見られると落ち着かんな。 俺の部屋に男が4人も追加された。 怖い。
「…………」
と、1人だけ異様にキョロキョロと当たりを見回してる滝鞠の姿が。
「何やってんだお前」
「いや〜 やっぱり男の部屋に入ったら真っ先にやる事があるじゃん」
「そんな当然のように言われても知らん」
「皆! 奏士のエロ本探そう!」
「「「おーっ!」」」
「させるかボケ」
とりあえず主犯格の滝鞠の脳天に「ぶった切ってやる!」とチョップをぶち込む。 技の代償として俺のHPが少し減った。
「何すんのさー!」
「人の部屋に来て早々エロ本探し始めるからだろ」
「だって気になるじゃん!」
「微塵もならない」
人の趣味嗜好とか知りたくないわ。 知ったら後戻り出来ないぞ。
「でもほら、柳ってそういうとこオープンにしないじゃん? そういうとこ以前にあまり自分のこと話さないから謎だし」
まぁ自分のこと云々以前にクラスの人と話さないんだけどね。
「要するに?」
「柳むっつり疑惑があるから真実を知りたい」
「なんだコイツ」
なんでこんなキリッとした顔出来んだこの天パは。 そして俺まだ探していいと言ってねぇぞ滝鞠。
「エロ本読みたきゃそこの棚にあるから好きに読め 」
「えぇ普通に置いてあんの!?」
だってエロ本なんて所詮ただの本だし。
「見られて困るもんじゃなし」
「もっとこう、ベッドの下とかさ!」
「俺敷布団派だからベッド無いわ」
「本棚の裏とか!」
「んな汚い場所に本置くか」
「机の二重底とか!」
「今ので不知火がどこにエロ本隠してるかだいたいわかったわ」
後は国語辞典とか参考書のカバーケースに偽装してたりしてるなこいつ。
「えぇ……まぁこれで奏士の趣味が分かるかもしれないならいいが」
「あ、そこのエロ本は全部資料用だから俺の趣味は一切介入してないぞ」
「もうちくしょう!」
それでも一応は読む滝鞠。 今更だけどここで処理とかしないでよね。 お前スカートだから下手すればジョニーが見えるぞ。
「というか……資料用って言ってたけど、なんの資料だい? 妄想?」
「妄想の幅広げるためにエロ本買うか神鳴。 絵の資料だ」
「絵の? そういや柳の机に本格的なタブレットがあるけど……柳ってもしかして……」
「禍塚、勘違いしてるみたいだけど俺はあくまで趣味で絵を描いてるだけだからな? 」
というか俺は相談されに来たんじゃなかったっけ? なんでエロ本談義してんの?
「禍塚、相談する気無いなら俺はやる事あるからリビング戻れ」
「っと……ゴメン、そうだったね」
「ったく……」
とりあえずとして、人数分の座布団を引っ張り出して全員に渡す。 俺はお手製超特大ビーズクッションに背を預ける。 もうこれないと背中とか腰が痛くて痛くて……そのうち痔用の穴あきのやつ使いそう。 痔の主人公嫌すぎる。
「じゃあ、真剣な話だから落ち着いて聞いて欲しいんだけど……」
そう言いながら手を組んでゲンドウモードに入る禍塚。 何この空気。 なんか重い。
「僕には好きな人がいる。 その人は常に清く、正しく美しく。常に綺麗に輝いている人でね。 根暗なオタクだった僕にとって、正に理想と言えるような人なんだ」
ああ反応とかめんどくさいからしばらく禍塚に喋らせるから。 最近水仕事で手が荒れちゃってもー。
「めんどくさい前置きとかいいからスパッと本題は言ってくんね? スっと「紅葉が好きだから告白する手伝いしてください」って言えよ」
「柳君空気読んでくれないかな」
あーもうめんどくせぇ。 スパッと言えスパッと。 作者にぶっ刺すけど前置き長すぎんだよ。 今涙目でこれ書いてるぞ作者。
「というか、僕1度も君に好きな人云々を言ってないんだけど」
「いや言わなくても視線とか態度で分かるし……家来た時もお前だけ紅葉見た反応違ったからそうなのかなって」
「…………」
「生徒会室来る時も、お前明らかに紅葉を意識して話してたし割とチラ見してたし座る時とかも紅葉の近くになるようにそっと移動してたしお前の中身から童貞臭がプンプンするし」
「OK柳そこまでだ。 恭平が死ぬ」
「なんかもう……羞恥心とか罪悪感とかで死にたい」
やったぜクラスの人気者に勝ったッ! 第3部完! まだ終わらねぇぞぉ!
「うわぁ〜……奏士、やりすぎ」
「柳君容赦無いね」
え、なにこれ俺が悪いの? 童貞過ぎる禍塚に言ってよ。
「で、どうすんの? お前は紅葉と付き合いたいのか」
「えっと……それは……」
「学園中の皆が尊敬して崇める敏腕美少女生徒会長と○○とか×××とか△△△△とか□□□□□□とかしたいのか」
「柳君もうちょっとオブラートに包んでくれないかな」
おっとこれは失礼。 さっき杞憂○とか言ったのに早速ピー音入っちゃった。
「で、どうなんだ? 恋愛突き詰めれば性欲だ。 お前はそれくらいの想いがあるのか?」
「柳もだいぶ極端だな」
そりゃ2次元大好きなラブコメ作家なんてやってると恋愛に対してドライになってくるさ。 最終的に「ヤリたい」に収まるんだから。
「……したいです」
「あ? 声が小さい」
「したい! 幼い顔立ちなのに身体だけは立派に成長してる彼女と○○とか×××とかしたい!」
「大声でうるせぇキモイわ!」
「「えぇぇぇぇぇぇえ!?」」
あー吐きそう。 大声で言うなよんな事。
「まぁお前の想いは分かった。 俺としても面白そうだし乗ってやろうかと思うが……」
「お、思うが?」
「……いや」
皐月さんとの契約が先だし、紅葉が恋愛にかまけて原稿とか絵を全く描かなくなったら俺死んじゃうし、何よりお向さんがギシアンしてるとか色んな意味で無理。 知りたくないそんな生々しい事情。 事情ってか情事だけど。 Hey 情事だよ。 ペ○スワイズになっちゃうよ。 それだと2本以上あることになっとゃうよ。
でも男視点での恋愛のデータも欲しいんだよな。 漫画に行かせそうだし、何より俺が恋愛に不向きな以上、禍塚は貴重なサンプルだ。 どうすっかなー
「……告白までは手伝うけどその他一切の責任は負わないし、俺の関わりが露見しそうになったら迷いなくお前を切るからな?」
「本当かい!? 途中ちょっと気になること言われたけど協力してくれるってことでいいのかい!?」
「待て恭平! 途中のやつはスルーしていい問題じゃなかったぞ!」
とりあえず皐月さん優先で、禍塚はサンプル集めとして活用しよう。 それで紅葉が告白を受け入れたらそれでお終い。 その前に皐月さんが振り向かせられたら成功ってことで。
どっちにしろ所詮は他人の人生だ。 俺は関係ない。 せいぜい楽しませてもらおう。
「まずは何がしたいかだ。 禍塚、お前はどうしたい」
「……彼女の情報が欲しいかな。 君は僕が知る以上に知っているだろうし」
「プライバシーに反しない程度なら答えてやる。 何が聞きたい」
なんか情報屋やってる気分で少しワクワクしてきた。
「じゃあ彼女の3サイズを」
「お前プライバシーって言葉の意味知ってる?」
「すまん……普段なら恭平はもっとまともなんだけど」
俺は最初からこいつがマトモとは思ってないがな。
「じゃあ好みとか、そういった感じのものを」
「好きな物は美味いもの、菓子類、2次元、絵を描くこと。 それと、百合的な意味は無く可愛い女の子が好きな傾向にある」
「な、なるほど……」
「好きな色は白や青系、ワンピースを多く所有しており、部屋着から普段着に至るまで殆どがワンピース。 最近はベルを見習ってちょっと活発系や派手系の服を着るか迷ってる」
「な、なるほど?」
「最近の悩みは肩こりが酷くなったこと。 これは確証が無い情報だが、体重が300g増加した」
「……うん?」
「飲み物は緑茶より紅茶派。 苦い物が苦手で、細かく刻んでもピーマンを出すと無言で避け始める。苦味抜きしたゴーヤチャンプルーは平気。 辛いものも割と平気。 甘い物は好きだが甘さの種類によって好きの度合いが違う。 砂糖類は好きだが黒糖はちょっと苦手。 最近てんさい糖にハマりかけてる。 それと」
「ちょちょ、ちょっと待ってくれないか」
「何? まだ紅葉の情報はあるぞ」
「いや……僕の予想を遥かに超えていたからつい」
「何言ってんだ。 恋愛は情報戦だ。 相手の趣味嗜好を知ってるだけで有利に働く」
「そうかもだけど! ちょっと整理する時間をくれないか」
そう言って禍塚はポーズを崩すことなくブツブツと呟き始める。 正直怖いぞ。
「……なぁ、柳はなんでそんなに知ってんだ?」
コソッと不知火が話しかけてきた。 お前の天パが目に入りそうなんだけど。 俺の前髪バリアを貫通しないでくれない?
「この家で一切の家事をしてるのは俺だ。 洗濯物や食事で全部分かる」
「……え、洗濯も料理だけじゃなくて?」
「え、うん」
「つまり柳は女子の下着も触って見てるってことか?」
「そうだけど。 興味無けりゃ価値はボロ布と大差無いぞ」
「……会長ちゃんとベルちゃんってどんなの着けてんの?」
「お前に言う義理はない」
「そこをなんとか! どうか教えてくれ! この通りだ!」
「その台詞を言うならせめて土下座しろ」
不知火の熱意にドン引き。 そんなに知りたきゃいつもみたいにセクハラ仕掛けて聞けばいいのに。
「お前普段から女子にセクハラしてるだろ。 自分で聞けよ」
「いや〜……遥ちゃんにお説教されちゃうからどうしても難しい」
「は? なんだコイツ」
惚気か? 惚気なのか? おまマジぶっ飛ばす。
閑話休題
「……で、だ。 紅葉と告白云々以前に、お前に聞くことがある」
「……僕に?」
「…………お前、今貯金なんぼだ」
「……え、貯金?」
驚きつつも指で示す禍塚。 そうか……そんくらいか。
「次、学園卒業後はどうするつもりだ?」
「一応、法学部に通って弁護士になるつもりだけど……」
「……ふむ」
つまり学園残り1年、法学部4年と大学院2年、そして試験や司法修習含めたら就職までざっと9年か……一応収入面に大きな問題は無さそうだな。 就職まで時間がかかるが。
「次、お前料理はどのくらい出来る」
「料理? 親が家に居ないこともあるから最低限くらいは出来るけど……自身は無いかな」
「次、料理以外の家事能力」
「そっちも一応。 親が家政婦雇っているから殆どを任せっきりだけど」
ふむふむ。
「紅葉はかなり気まぐれだが、それにつき合えるだけの根性というか懐の深さはあるか?」
「それは自分で言うものでは無いと思うけど……うん、皐月に鍛えられているからね」
「そうかそうか。 なるほど……」
「聞きたいんだけど、これは一体何の質問なんだい?」
「ああ、今説明する」
えーと、整理すると収入面は心配無さそう。 収入0でも紅葉が余裕で養えるから心配は無い。 まぁ稼げない人に任せる気は無いが。
家事面は問題有り。 というかヤバめ。
そして心の広さと言っても、皐月さんと紅葉じゃ振り回すジャンルが違うからな……
「禍塚、悪いが諦めた方が良さそうだぞ。 告白して付き合えたとしても安心して任せられん」
「奏士は紅葉ちゃんの父親かなんかなの?」
「いや切実に。 よく食う紅葉と付き合っていずれ結婚すると仮定した場合、紅葉はスイーツ(和菓子含む)は作れると自称しているが、料理の方はてんでダメだ。 それを補うために料理が超出来るとかそんなレベルじゃないととてもじゃないが安心できない」
「そ、そんなに……」
「紅葉はあれでも忙しい身分だから、代わりに家事も出来ないとダメだ。 繊細な女性服の洗濯や部屋の掃除、生活リズムを壊さないために紅葉を朝起こしたり、徹夜明けにサポートしたりしなきゃならん。 あと紅葉は割と手が早いのでそれなりに耐久力もしくは回避能力が無いと死ぬぞ」
「最後の一文で急に物騒になってない!?」
でも実際俺は何度か死にかけてるし。 紅葉だけマジギャグの世界。
「……気付いたんだけど、君がそれを言うってことは、それ全てを君がやってるってことかい? 身の回りの世話を」
「え、うん。 毎朝起こしてる」
そう答えたら神鳴が何やら目を光らせた。 お前糸目だから分かりにくいのよ。 もっと瞼を開け。 シリアスシーンで開くのかその眼は。
「……参考、あくまで参考になんだけど、柳の一日の流れを教えて貰っていい?」
「俺の? 平日休日どっち」
「平日、学園が普通にある前提で」
そんな細かいの作者が考えてたかな……
「えーと、朝5時~5時半頃に起きます」
「早くない?」
「まぁ聞け。 起きたら奥の道場で1時間程鍛錬。 その後はシャワーで汗を流して、洗濯機を回す。 それくらいで米が炊けるから、4人分(6人前)の弁当を作る。 朝飯も並行して。 作り終えたら弁当を冷ましてる間に紅葉を起こして洗濯物を干す。 紅葉が1回で起きることは稀だから干し終わったらもう1回起こしに行く」
「その時点でだいぶハードだね……」
「朝飯食って、弁当持たせて洗い物と戸締りしてから学園に。 授業受けて放課後は生徒会業務や食材の買い出し。 洗濯物畳んで夕飯作って、風呂の準備して紅葉らを入らせる。 後は家計簿つけたり紅葉とか金髪の相手したりアニメ見たりして、だいたい2時半くらいに寝る。 その繰り返し」
「「「「……………………」」」」
何故か全員が戦慄の顔で見ている。 まさか俺の後ろに幽霊が? なーんて、我が家に御札貼ってあるから悪霊は入れないはずなんだけどね。
「なんというか……これが柳の恐ろしさか……」
「よく考えたら睡眠時間3時間も無いけど、よく生きてるね」
「そんなスケジュールはボク死んじゃうよ」
各々が感想を言う中、禍塚だけが無言で俯いてる。 意気消沈したか?
「柳君が可能であることを示したなら僕でも……いや、これはあくまで柳君の能力ありきであって僕とは違うから僕なりにやり方を変えると……」
……割と真剣にどうにかしようと考えてたらしい。
「柳くん! 僕に料理を教えてくれないか!」
「いやそこは真っ先に頼るより自力で頑張れよ」
どっちにしろお前の応援はしないことにしてあるから無理だけど。
「そうか……じゃあ皐月にでも頼んでみるよ。 最近料理の腕を上げたみたいだし」
「お、お前……なんて残酷なことを」
好きな人のために料理勉強してる人に向かって好きな人がいるから料理教えろなんて大罪だろ。 つーか人に頼るなつったでしょうが。
「とりあえず料理から始めてみるよ。 柳君、彼女の好きな料理を教えてくれないかな」
「それより基礎を固めた方がいい気がするが……まぁいいだろう。 紅葉の好物は────」
─────────────────────────
一方その頃、向かいの紅葉部屋では
「も、もう勘弁してください……」
「こんなんでへばったら全然楽しめないデスヨ〜」
「……まだまだ」
「あらあら〜」
真っ赤な顔で俯いて震える皐月と、そんな皐月に這い寄るベルと紅葉、それを楽しそうに見守る遥という構図が出来上がっていた。
「……」
ちなみに小百合は真っ先に撃沈している。 白旗の代わりに白無地の扇子を広げて。
「だいたい! なんで私だけ好きな人の好きな部分を言わなきゃいけないのよ! 卑怯よ卑怯!」
「皐月から「ゲームに負けた人が1つずつ言うのよ!」って言い出したんじゃないデスカ」
「……ルールを守ってるだけ」
「皐月ちゃんの完全な自爆よね〜」
「遥まで!」
皐月が起き上がって叫ぶ。 ついでに小百合もフラフラと起き上がる。
「さっきから思ってたけど、皆あたしを狙い撃ちしてない!?」
「……してない」
「気のせいデスカ〜」
「してないよ〜 ただ〜」
「「「1番反応が面白いから自然とそう思うだけ」」」
「つまり狙い撃ちしてるじゃない!」
皐月の反応が面白いのか、さっきからずっとニヨニヨしてる3人。 紅葉は普段と変わりないが。
そして小百合は1人でも仲間を増やしたいのか見て見ぬふりを続けている。
「というか4体1で紅葉ちゃんに誰も勝てないのおかしいでしょ!」
「……世界ランク1位の座は安くない」
「くっ、何も言い返せないわ」
先程から5人でとある格闘ゲームをしていたが、紅葉の無双状態となっていた。 しかも紅葉は皆が楽しめるようにある程度調整をして戦っている。
「……一旦辞めましょう! 辞めて普通に恋バナしましょう恋バナ」
「……勝てないと悟って切り替えた」
「サツキ……」
「皐月ちゃんそんなだから未だに恭平くんに振り向いて貰えないのよ〜」
「う、うるさいわね! 勝てないなら別の手段で行くだけよ!」
と、強気で弱気な発言をする皐月。
「それはいいですけど、一体どうするおつもりですの?」
「そうね……とりあえず何とかして紅葉ちゃんを負かせたいわ」
「協力しますわ」
ノータイム。 ノータイム承諾である。
「……小百合」
「ごめんなさい紅葉さん……ですが私と貴方はライバル、つまり高め合う友であり、敵同士ですわ。 手加減は出来ませんの」
「……小百合……私たち友達だったの?」
「そこからですの!?」
「……冗談」
紅葉が小百合の頭を撫でる。 小百合は悔しそうな顔をするが、心地いいのかトロンと表情を緩ませる。
「そ、そんなことより! 紅葉ちゃんの話を聞きたいなぁ!」
「……私の?」
小百合の頭を抱いて撫でながら紅葉が反応する。 小百合の扇子には「チョモランマ」と書かれていた。
「ほら、ベルちゃんはもう分かりきってるし、あたしと小百合ちゃんはもう言ったから後残ってるのは紅葉ちゃんと遥だけでしょ! 遥のことは知ってるから残るは紅葉ちゃんだけよ!」
「……でも、私好きな人いない」
「え、柳とかそうなんじゃないの?」
「……私の名誉毀損」
「そこまでのこと!?」
心の中で奏士に謝罪しつつも話を立て直す皐月。
「で、でもほら! 学園中の噂になってるわよ! 孤高の生徒会長に男の影が〜とか、生徒会に謎の男現る〜とか!」
「……就任式もやったのに謎扱い……」
「まぁソージは気にしてないみたいデス」
本人は「謎」をカッコよく思ってるとは口に出さなかったベルであった。
「で、実の所どうなの? 柳と付き合ってたりとか片思いしてたりとか」
「……奏士は美味しいものくれる人。 それだけ」
「……なんか危なっかしいわね」
確実に不審者ホイホイな発言だ。 いや、奏士の料理に慣れた以上、生半可じゃ満足出来なくなって逆に安全になったと言うべきか。
「じゃ、じゃあなんか柳とイベントか何か無かったの?」
ついに皐月が奏士をアレ呼びした。 さて、次はどう呼ばれるか。
「……特に何も」
「……夏休みなのに? 水着買いに行って、海行って、海辺でお泊まりして、さらに一緒に住んでるのに何も無かったの?」
紅葉は無言で頷く。 客観的に見ればイベントだらけなのだが、本人がそう思ってない以上は大したことでは無いのだろう。
「……もう柳に問題がある気がしてきたわ」
「あー……」
皐月の発言に否定せず、寧ろ思い当たることがあるような反応をするベル。
実際奏士に問題ありまくりなのだが、事情を知ってるベルはとやかく言えない。
「あ、でもみんなでお風呂入ったデス」
「……え、ごめんもう1回言ってくれない?」
「? ソージとクレハと、みんなでお風呂入ったデス」
「とんでもないことしてるじゃない!」
皐月のリアクションに慣れてきたのか、全員叫び出しても特に気にしなくなった。 至って普通の感性の持ち主のはずなのに不憫な人だ。
「どうしてそうなったのか聞いてもいい?」
「えーと、確か海行って、ソージを振り回しすぎて疲れてるだろうからお詫びに癒してあげよう〜みたいなノリでソージが入ってるところに乱入したデス」
「……え、そんな軽いノリで入っちゃうものなの?」
「まぁどっちにしろソージは追い出そうとするし、ソージのソージは全く反応しないから普通に入りマス」
「なんで……なんでこんな可愛い女の子がタオル一枚だけでお風呂入ってるのに無反応なのよ……」
「? ワタシはお風呂入る時タオルは巻かないデスヨ?」
「もっとヤバいじゃない!」
「ちなみにクレハもお湯に浸かる時タオルを取るデス」
「もうあの柳病院に連れていきなさい。 病気の可能性があるわ」
「いや〜 でも朝起きたらテント張ってる時がアリマス。 つまり単純に興味が無いだけデス」
「テンっ……ちょっと待って。 それ知ってるってことは一緒に寝てるってこと?」
「……何度かオールで遊んでて落ちる時がある」
「寝込み襲おうとしたら失敗して簀巻きにされて一晩中放置されたことがあるデス」
「ごめん柳、おかしいのあんただけじゃなかったわ」
奏士に謝りつつ、頭痛がするのか頭を抑える皐月。 奏士の苦労が少しだけ伝わった。
「…………」
突然、紅葉が上を向いて固まった。
「何、してるの?」
「……奏士に頼んだ飲み物が来ないから念を送ってみた」
「そんなんで来るわけ無いでしょ」
「そうデスヨ〜 念なんて現実にある訳無いデス」
「……そうとも言えない」
そう言って紅葉がスマホのトークアプリの画面を見せた。 丁度奏士から来たばかりだ。 そこには
『今淹れてるから待ち』
という文言と共に、『高いところからティーカップにコーヒーを注ぐ千利休』のスタンプが送られてきた。
「……偶然よきっと」
\ピロン/
『偶然とかどうでもいいけど、コーヒーと紅茶どっちがいい?』
「……た、たまたまよ。 でもカフェオレを頂こうかしら」
「私ミルクティ〜」
「ワタシもー」
「……」
\ピロン/
紅葉が注文を返信する前に来た。
『カフェオレは本格的な奴を作ると面倒だからコーヒーに牛乳ぶち込むだけの簡単なやつと皐月さんに伝えとけ』
「見てるんでしょ! どこかで監視してるんでしょ柳!」
「落ち着くデスサツキ! 全くの偶然が重なっただけデス!」
立ち上がってカメラもしくは奏士を探し始める皐月を羽交い締めで宥めるベル。
「こんなピンポイントな偶然が重なったらもはやホラーよ! 絶対監視してるわよあいつ!」
その時、再び紅葉のスマホから通知音が鳴った。
『私奏士 今厨房にいるの』
続けて鳴った。
『私奏士 今部屋に向かっているの』
また続けて
『私奏士 今貴方の部屋の前にいるの』
そして────
\トントントン/
と扉がノックされた。
部屋の空気が変わる。 偶然だと連呼していた皐月も、取り押さえていたベルも動きを止めて全員がドアに注目する。 小百合の扇子の文字が「ガクブル」に変わった。
次の瞬間、再び通知音が鳴った。 恐る恐る紅葉が確認するとそこには
『私奏士 今扉の前に居るって言ってんじゃん。 開けてくれなきゃ両手塞がってるから足で開けるぞ』
それを見て皆がホッとする。 空気が緩んだ。
「なーんだ、ただのあいつのお巫山戯ね。 開けてくるわ」
そう言って皐月がドアを開ける。 しかしそこには誰も居なかった。
「あれ……ちょっと柳ー?」
呼んでみるが反応は帰ってこない。
すると紅葉のスマホがまた鳴った。
『私奏士 今貴方の』
「後ろにいるのぉぉぉぉ!!!」
「嫌ァァァァァァァっ!!!」
「あ゛ぁぁぁぁぁぁっ!!!??」
─────────────────────────
あ……ありのまま今起こった事を話すぜ
呼んでも開けてくれないから先に野郎共に飲み物渡しに行ったらなんか叫び声が聞こえて見に行ったんだよ。 そしたら不知火が死んでた。
まぁどの道後で殺す予定だったし俺の手を汚さなくて済むんだからいいか。
でも一応は心配するフリしとこ。
「大丈夫か不知火。 今霊柩車呼んだからな」
「きゅ、救急車呼んでくれよ……」
「……何色の霊柩車?」
「赤いやつ」
「……それ死ぬやつ」
どっちにしろ霊柩車乗ってんだから死んでるだろ。
「一体何が……」
「……これ」
紅葉がスマホの画面を見せてきた。 あーなるほどね。
「これ最後途中で送っちまってな」
「そんなくだらない理由デスカ」
「……ところで皐月さん立てそう?」
「……」
皐月さんは無言で首を振る。 涙目だ。 腰抜けてるらしい。
「皐月、大丈夫かい?」
「む、無理……立てない」
「そうか……なら!」
「きゃっ」
そう言って禍塚はあっさりとお姫様抱っこ。 皐月さんは顔真っ赤で震えております。 これが萌えキャラか。
「なななっ……」
「これで大丈夫だろ?」
「……ふぁい」
真っ赤で俯く皐月さんは呂律も回らない。
「急だけど僕らはこれでお暇するよ。 皐月も送らなきゃだし」
「え、ああうん。 気をつけろよ」
主に俺という狙撃兵に。 いつでも貴様の脳漿をぶちまける準備は出来ているぞ禍塚。
「それじゃあ柳君、また。 よろしくね」
そうして禍塚と皐月姫は帰って行った。 そろそろ羞恥心で皐月が死ぬから解放したげて。
「……これはどうするの?」
紅葉が指さした床には蹴り飛ばされた股間を抑えて死んでいる不知火が。 この粗大ゴミどうすっかな。 ちょっと怪しい精肉業者に売り飛ばすか、ワイン工場のぶどう潰す所に放置するか。 濃縮不知火汁の完成になっちゃう。
「じゃあ不知火くんは私が責任もって連れて帰るよ〜」
そう言って遥さんは不知火の死体を肩に担ぐ。 不知火を撃ち殺すのは後ででいいかな。 でも今無防備だし殺っちゃおうかな。 お前を殺すよここで今。 冗談じゃないよぉ♥
おいこのネタ前にもやっただろ。ネタ被り気にしろぐう無が。
「それでは私達も帰りますわ。 神鳴、迎えを呼びなさい」
「あ、僕本屋寄って帰るから自分で呼んでください」
「貴方私の従者ですわよね!?」
なんて騒がしく2人も帰り
「ボクも帰ろうかな。 今日は楽しかったよ」
最後まで空気だった滝鞠も帰った。 久しぶりの登場なのに片方は名前忘れてキャラ性残して帰ってもう片方は名前出てるのにキャラ性残さず帰る。 つまり2人合わされば完璧もしくは最悪になる。
後に残された俺と紅葉。 ベルは後片付けをしてくれている。
「…………」
「……何?」
「……いや」
禍塚という鈍感の権化に惚れられるなんてこいつも大変だなぁ……でも他人だし干渉しすぎない方がいいか。 とか思ってない。
正直学園一の爽やかイケメンと学園一有名な美少女生徒会長のカップリングとか合わなそうだなとかは思った。 イケメンとび美少はカップリング不成立だろ。 たとえ見た目がイケメてでも設定上フツメンと美少女、イケメンと普通の少女とか、アンバランスがいいのよ。
「鈍感系主人公ってまだ絶滅してなかったんだなって」
「……何の話?」
進学デビューした鈍感根暗オタクが美少女生徒会長に惚れるけどクラスのギャルに惚れられる話とかいかにもなろう系って感じがするけど傍観者としては面白い。 というか、そもそもこれもなろうで書いてるんだった。
「ただ今戻りましたー────どうしたんですかお二人とも。 並んでお出迎えなんて」
莇が帰ってきた。 そういやここ玄関前じゃん。
「お前を出迎えたわけじゃねぇよ」
というかこいつ意外と早く帰ってきたな。 まだ午後2時くらいなのに。
「意外と早く用事が終わりまして。 何方かいらっしゃったのですか?」
「ああ、ちょっと迷い人がな」
「……難題」
「? そうですか」
「とりあえず靴脱いで上がれば? お前がくれたエビを天麩羅にしたのをお前の分も残してあるぞ」
「そうですか。 有難く頂きます」
莇は靴を脱いで、手を洗いに洗面所へ。 そして再び俺と紅葉だけが残された。 玄関閉めてから行けや。
「…………」
「じっと見てどうした? 俺の顔に何か付いてるか?」
「……不快なパーツが不快な構成で付着してる」
「あ?」
「…………こっちも難題」
「それよか急に喧嘩売られた俺の心情どうしてくれんの?」
「……それは愉快な顔でも見て心を落ち着かせるといい」
「なるほどじゃあお前の顔見るわ」
「…………奏士の顔を握り潰せば少しはマシになる」
「止めるんだぁぁぁぁっ」
「…………2人とも何してるデスカ……」
ベルが現れたことで難を逃れた。 また俺の顔が歪んじまうよ。
さーて、開放されたし弓と矢と石と靴下と対物ライフル用意しなきゃ。
後書きです
残暑だってのに暑さやばいですね
暑すぎて体力根こそぎ持っていかれて最近昼寝と居眠りが増えました。 そして目覚めると汗びっしょりでさらに暑い地獄……皆さんも同じ不快感を味わってください。 道連れは1人でも多い方がいいって私の祖父は言ってました。
ちなみに次回の更新まで通常の半分しかありませんが普通に更新します。
ただ、今回は08/31です。 この5日間で短めの話を1本書きます。 言わばおまけコンテンツみたいなものです。
本編もろくに進んでないのにおまけ書いてる暇あるのかって? ふっふっふ……無いけど書きますだって本編だと長すぎるネタが大量にありますから。 なのであまり本編に関係無い話を書きます。 楽しみにしててね♡
そういえば、私教習所に通い始めました。 これで2輪免許ゲットだぜ!
なんでしょうね。 教習所って強制じゃない分行くのがめんどくさくなりますよね。 送迎バスとか大抵自分の住んでる場所を通りませんし。 かと言って自力で行ける距離じゃなかったりする……難儀です。
というわけで次回もお楽しみに。 ちなみに9月からは今更コミケの話を書きます。 時期遅れです。 普通に家に遊びにこさせないでコミケの話書くべきですよね時期的に。




