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輪廻のFate Line  作者: 怪人アホ面男
第一章 全ての始まりというのは得てしてろくでもないものだったりする
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問題で重要な人ほど存在を忘れやすい

「……あり?」


俺の一言でここに居る全員が静まり返った。一瞬、俺が絶大な発言力を持つ王族か何かかと思わなかったぜ。思わないのかよ。そりゃそうじゃ。


俺はどう頑張っても『盗賊E』位が関の山だろう。で、盗賊退治に来た奴らにも気づかれなくて俺だけ取り残される所まで見えた。どこの世界線の俺だろ。


「えぇ〜これが男ぉ?奏士、夢見すぎだぞ」


「この世界に、明らかに女の子な男の娘なんて、いるわけが無い。二次元じゃなくて3次元を見て」


うんはい分かってましたよ。二人とも当たり強いな〜。


「俺にとっての現実は二次元だ。そんなことよりもーー」


そう言って俺はたーーた何とかさんの方を見る。二人も目線を向ける。


「そこに立っているのは紛れもなくリアル男の娘だ。諦めろ」


「うん、ボク男だよ?」


た何とかさんは、笑顔で肯定した。うわっ!笑顔眩しっ!直視出来ません。


「うへ〜ホントに居たのか」


悠ちゃんは驚きつつ微妙な興味感で返事をする。それとは対照的に紅葉の方はーー


「滝鞠君は本当にリアル男の娘なんだよね?じゃあなった経緯は?好きなブランドは?パンツは男物女物どっちを履いてる?まさかブラも?」


「え、あの、ちょっと、きゅ、急に距離感が、近い……」


超がつくほど興奮状態だ。目を光らせて口はにやけて、手にはどっから取り出したのかスケブとペンが握られている。あんなに堂々としていたた何とかさんが滅茶苦茶引いてる。


「紅葉、ステイハウス!」


「私を飼い犬のように扱わないで。大丈夫、私は平常。ただ、リアル男の娘を目にしてちょっと揺らいだだけ。別に発情とかしてない」


「だったら涎吹けよ」


「はっ!」


「ああもう制服の袖で拭こうとしない。ほら、ウェットティッシュあげるからこれで拭いてこい」


「ん、ありがとう?新人しもべにしてはよくやる」


「誰が僕だダメ女。俺の優しさ返せコンチクショウ。その顔で学園内一周してこい」


「あうっ!」


 そんでもっていつものキリッ()っとしていながら口元涎つけてる姿を皆に見られて「キャ~あの聡明で凛々しい会長が涎も吹かないで堂々と歩いてる~マジダ~サ~い~」とか言われてきてくんないかなぁ……つか、なんだ今の阿婆擦れ。考えておいてなんだけど普通にうぜぇ。


と言うか、今のすげぇ『スコーン!』って感じて入ったな。おでこの中心赤くなってる。そしてそれを抑えながらこちらを睨む紅葉。自業自得だアホめ。


「ね、ねぇ、楽しそうに話してるのになんだけどーー」


と、依頼人さん、略して『Cさん』がちょっと困ったように、話しかけてきた。それにしても『Cさん』のモブ感は凄い。いっそAをEに変えて『Cせん』にしたらいいと思う。飲み物になっちゃった。


「あ、悪い。普通に存在丸ごと忘れてたわ」


「えぇ~そんなぁ……ガーン!」


「うるさい似非あざといお前が男の時点で俺には効かんぞ」


 こっ、こいつ……超うぜぇ!ウソ泣きで「よよよ……」とか態々自分で言ってやがる。殆ど知らないけどもうホント今すぐにでも帰ってくれないかな。そして2割くらいごめん。すっかり忘れてた。なんなら元から覚える気があったかどうかも怪しい。答えは『普通に無い』でファイナルアンサー。ライフラインを使うまでもない。


「それで、以来の内容は?」


「お前今のスルーするとかすげぇな」


 ホント紅葉さんのスルースキルは昨今の日本人も見習うべきだと思います。俺も今のスル―したかった。でも、なんだか俺に向かって言っている気がしてつい……無意識で反応してしまいました。


「あ、そうそう。ボクの依頼はね~」


「ニヤニヤ勿体付けてないでさっさと話せ」


「んも~そう焦らないの。依頼はねーー」


そう言うと目も前の此奴は満面の笑顔で


「男の友達が欲しいんだ☆」


「あ、お帰り下さい」


「えぇっ、そんなぁ~」


 両肩を掴んで扉の方へと移動させる。無理です俺には荷が重いです。


「無理だ。お前本気で俺らに友達作りそんなもん頼むのか?言っておくが、紅葉こいつは言わずもがな、俺は生まれてから一度も友人どころかクラスメイト超えて隣の席の奴とまともに会話と呼べる行為が皆無だ!」


「胸張って言うことじゃない」


 あ、また紅葉さんがジト目でこっちを見てる。このままだとどっかの異世界転移したぼっち(?)高校生と同じになっちゃう。


「だったら聞くが、紅葉、お前は今までに『友人』と呼べる相手が居たか?居ないよな。居るわけないよな……居ないよな?」


「最後に不安にならないで。私に友人……多分、小さい頃に一人だけ」


「そうかー居たのかー」


ちょっとは同類だと思ってたのに……私たち、ここまでのよ「でも、」ん?


「もう、顔も名前も性別も声も思い出せない」


「……そうかよ」


紅葉は残念そうに、それでいて少し悲しそうな表情を浮かべる。余程大切な友人だったのか、或いは、思い出せない理由に対する思いか。俺にはわからんが、ここは詮索しない方がいいだろう。


「つっても友人ねぇ……一応生徒会執行部への依頼なら受けなきゃダメだよな?」


紅葉は無言で頷く。そうか……至極面倒臭いし無理ゲーすぎる。クソゲーなら兎も角無理ゲーはなぁ……ちょっと?出す前にデバックとか調整ちゃんとしたの?どう考えても技術じゃどうにかなるレベルじゃないんだけど。俺の初依頼(目安箱は別)はこうして失敗に終わーーれませんね、はい。今度は却下の意志を含めて紅葉が首を降ってる。


はいはいやりますよやればいいんでしょ。これでも入ったからには俺の仕事でもあるしな。


と、仕事振られた社畜のように言い訳をして何とかやる気を出させる。


「取り敢えず、友人候補とか居ないのか?こう、こんなのがいいとか」


「別に特段……あ、でも男の友人が欲しいかな。ボク、女の子の友達は居るし。後はボクの見た目に引かない人かな」


「ふむ……男で、男の娘が平気しゃなかった平気なやつか……あいわかった」


「お、本当!?」


「とりあえず俺の情報網を使って集まるから明日の放課後まで待て」


と、言っても俺の情報網は俺以外に居ないが。まぁ、俺には取っておきの奥の手がある。一般生徒には絶対に使えない特別な一手だ。とくとご覧あれ。その瞬間を見る人いないけど。


「分かった!じゃあ明日の放課後にまた来るよ!」


「あ、おい、名前」


「え?」


「だから苗字と名前。俺お前のこと知らんし、依頼受けた以上は依頼中にその他Jとか呼ぶ訳にはいかんだろ」


「絶妙にその他の位置が酷いと感じるのは置いといて……滝鞠焔だよ。さっきも説明したと思うけど……」


滝鞠?とか言うやつは呆れたように溜息をつき、腰に手をやりジト目で見てくる。そんなにジト目成分は要りません。


「悪い、人の名前とか覚えないようにしてるんだ」


だって過去に一度も話したことどころかあったことないやつを呼んだら「え、なんで名前知ってるの?キッモ」とか言われて思わず「あ、死のう」って考えが浮かんだくらいの出来事があったもの。友達いないやつは大抵同じイベントがある。ソースは俺。わぁなんて信用性の無い情報源。どっかの新聞みたい。でも、日付間違えないだけ俺の方がまだ上。わぁ醜い。でも、苗字にさん付けで呼んだのにその対応は酷すぎると思うの。絶対許さん小二のクラスメイトの下田。


また話ズレた。色々戻そう。話の路線とか。後は時とか?時を戻す魔法とか詠唱するとかっこいいよね。必死に考えたあの頃が懐かしいぜ……今?今はもうあの時の心は封じ込めたぜ。俺の中にな。


あれは絶対に消し去ることは不可能なのだ。なぜなら男は皆、心のどこかは厨二病だからだ。ちなみに俺は邪気眼系じゃない。


またズレた。どっかの荘かよ。


滝鞠ーーめんどくさいから焔でいいや。焔は「バイバーイ」と手を振りながら扉の向こうへと消えてゆく。さて、お仕事開始としますかね。その為には先ずーー


「おい、起きろ悠ちゃん。仕事だ」


うぉー今のすげぇカッケェ。人生で言ってみたいセリフ第19位くらいのやつだ。地味に低いのか高いのか分かり辛い順位だこと。


「すぴー、こぴー、るぴー……」


「……おい、起きろ悠ちゃん。起きないなら夜寝る前に何してるか校内放送でバラすぞ」


「理事長の、寝る前?」


お、丁度いいや。ここに|紅葉(実験台)が居るじゃん。こいつにバラして反応を見てみるか……これでダメそうならプラン6を試す。


「悠ちゃんは寝る前な、お気に入りの白k」


その瞬間、悠ちゃんの眼が「クワッ!」っと開いたと思うと素早い身のこなしで俺に肉薄しーーあ、やばい。反応が遅れた。また避けられん。なら肉体を硬めてーー


「鉄拳!」


「どらごなっくるっ!?」


悠ちゃんの拳とは名ばかりの地獄突きを受けてそのまま後ろによろめく。と言うか危ないから止めなさい。


「おい奏士、貴様、何処でそれを知った?」


悠ちゃんが寝起きも合わさって機嫌が頗る悪そうに睨んでくる。全く怖くない。


「ゴフッ!ゴホッゴホッ……こ、この前家に泊まった時に場酔いしてない時があっただろ……ゲホッ!その時に客間から悠ちゃんがお気に入りの白kーー」


「もういい黙れ」


「二度も同じ技を食らうか!」


「避けるなバカタレ!」


「断る!」


悠ちゃんは連続でじごくづきを繰り出して俺はそれをひらりひらりーーとは行かずに悠ちゃんの頭を掴んで進ませないように止める。やばい、めっちゃ楽しい。


ちなみに、その後数日観察した結果、『悠ちゃんは寝る前にお気に入りの白くまさんに話しかける』ということが分かった。マジ要らねぇ情報。俺は何がしたかったのだろうか。多分、暇だったんだろうな。


「そんなことよりも、滝鞠君の依頼はどうやって解決するの?」


紅葉はさっきまでのやり取りを『そんなこと』で済ませて元の話に戻す。そんなことよりって……


「ああ、取り敢えず、選別は簡単だ。この学園で俺にだけ使えるやり方だ」


「?奏士にだけ?」


「ああ、俺に出来るのは選別までだがーー」


そう言うと俺は両手の指を鳴らして


「この学園のデータベースに侵入して生徒情報を見ればいい」


取り出した自前のノーパソのキーボードに指を添えた。

はい、月2投稿の第1弾です。これが続けばいいですね。次回は五月末辺りになりそうです。もしくは中旬。気が向いたら三本上げるかも。

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