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輪廻のFate Line  作者: 怪人アホ面男
8章ってことは、これが8番目ってことなんですよ。 つまり前に7つあるという意味
87/133

お酒は20歳からだけど年齢不詳だから問題無し

「…………」


なんか居る。 砂浜から首から上を出している人が。 出しているってか、首から下が埋まってる。


そこまでは大した問題じゃない。 夏の海だ、仲間の1人を砂に埋めて遊んだりする輩も存在するだろう。 炎天下の砂は表面こそ熱いが、内部はひんやりとしているから意外と気持ちいい(らしい)


それに、砂に埋めるのは何も仲間だけじゃない。 ムカつく奴を潮が満ちる前に顔だけ出して埋める処刑方法もある。 もしくは自ら埋まりに行くドM。 顔だけ日焼けしたい系の人かもしれない。 可能性は無限大。 そんな可能性は要らん。


だからと思ってスルーするしようと思った。 したかった。


でも出来なかった。 何故なら埋まってる奴の顔に見覚えがあるから。 なんでこいつの顔ROMに入ってないの?


黒髪短髪に切れ長の目。 顔だけならクール系イケメンだが、その実態はJS大好きなド変態。 時折行きつけの小学校付近を歩いて警備しているらしい。 行きつけの小学校の時点でおかしいし行動が完全に不審者だし。 何よりダークスーツ姿でそれをやってるのもおかしい。


「…………! おや、奏士殿ではないですか」


しまった気付かれた。 逃げよう。


「おやおや何処へ行かれるのですか? 見捨てるなんて酷いではありませんか」


違うんだ。 俺はただ変態とは関わりを持ちたくないだけなんだ。 1人ポツンと砂に埋まってる奇人と会話なんてしたくない。 帰ろう。


「……邪魔したな」


「あのちょっ…………逃げる前にここから出して貰えませんか?」


背後から藻掻く声が聞こえる。 砂に埋まると身動きが取れないのは本当みたいだな。


「奏士殿ー? ちょっ、奏士殿ー? ────────置いていくなんて酷いではありませんか」


「自分で出られんのかい」


渋々振り向くと、「ズボァッ!」と音を出して砂柱を建てながら莇が飛び出してきた。 身体中砂まみれで。 砂って固めると結構な力でも出て来れないとかそんなことより微塵も動けないはずなんだがな。 こいつ細身に見えて骨密度とか筋力が半端ないのか? ちなみに骨密度を並べ替えるとドツ蜜子になる。 売れないもしくは一発屋感半端ない。


「…………警察に突きだす前に聞いてやるが、なんでお前埋められてんの?」


「いえあの……私流石に警察沙汰になるようなことはしてないのですが」


「しかねないから先に捕縛しておこうかなって。 平和なビーチで惨殺事件は起こしたくないし」


「おっともしかして私を殺そうとしてますか?」


「…………まぁ死体1つくらいならどうとでもなるか」


「その呟き聞こえていますよ」


「で? なんで埋まってたんだ?」


「切り返し凄いですね。 貴方水泳やってみたら如何です?」


「で? なんで埋まってたんだ?」


「無視ですかそうですか。 久しぶりとも言える個別登場なのに無視ですか」


「で? なんで埋まってたんだ?」


「〘で? なんで埋まってたんだ?〙botですか貴方は」


「言う気がないなら別にいいけど俺を巻き込むなよ?」


「だから警察沙汰になるようなことはしていませんって。 ただ可愛らしい迷子の少女が居たので手を繋いで親探しをしていたら誤解されて埋められただけです」


「それは不幸なこって。 で、本音は?」


「小さなお手手がとても柔らかくて暖かかったです。 私は基本従う立場ですしお嬢様はお礼なんて言いませんが『ありがとうお兄ちゃん』と言われるのも中々に乙なものですね」


「親御さんこいつ埋めて大正解だよ」


こいつ登場回数少ないくせに確実に爪痕どころかクレーター残していくのなんなんだよ。 クレーターだらけの月に放置したらこいつも影が薄くなったりするんだろうか。 まぁ影が薄くなる前に帰る望みが薄くなるだろうけど。 大丈夫月で生き残ったお巡りさんとかいるから。


「ところで、奏士殿は何をしておいでで?」


「休暇満喫中。 分かったらお前も失せろ」


「おや手厳しい。 それはそうと泉殿はどちらで?」


「お前には教えん」


そもそも俺も知らんし。 でもこいつに教えるメリットが無いしデメリット豊富だし。 デメリット詰め替えタイプなら確実に8回分は入ってる。 お値段なんと300円! デメリットなのに金取るのかよ。


「おっとご心肺無く」


「その字が間違いじゃないとしたら焦った方がいい」


心臓と肺が無いならなんでこいつ生きてんの? 死ねよそうじゃなくても。


「私も流石に外で泉殿に興奮するなんて真似は致しません」


「ここまで信用ならない言葉は中々無い」


例えば血塗れの男が血濡れの包丁持ちながら血溜まりに沈む死体を前にして「俺は殺してない!」と言われるのと一緒。 つーかお前さっきの写真会で興奮しまくりだっただろ。 いや、あれは俺もちょっとあれだったけど。 語彙力の低下が心配。


「それに、泉殿でしたら大凡の位置は分かりますのでご心配なく」


「ここまで心配強まる言葉も中々無いな」


心配蘇生されたんだけど。 こいつ素でAED持ってない?


ちなみにAEDとは、心肺蘇生の際に使うお手軽キットのことで、正式名称は自動体外式除細動器。 AEDは


A: Automated

E: External

D:Daisuke


の略。 自動的に突然踊り出すの怖いわ。 それ多分踊ってるんじゃなくて電気ショックの痙攣よ。 もしあの動きが痙攣だとしたら神経に異常起きてそう。 なんか最近モノローグのボケとツッコミが自己完結してる気がする。 初期はまだマシよ。


※ あくまで当社比です。 なお、彼はシラフですし薬物もやっておりません。 正気です。 狂気ですけど正気です。


「何より、泉殿の事でしたら私より貴方の方が理解っていますし。 貴方と居れば泉殿と直ぐ出会えそうだ」


「コバンザメか何かか?」


もしくはキングボンビーかハイエナ。 さっさとポリスメンとすれ違って擦り付けよう。


「そうと決まれば早く行きましょう」


「おい押すな」


莇に肩をグイグイ押されて渋々歩く。 こいつもしかしてボッチか? 友達は居るけど生徒会役員に居ないタイプのボッチか? 俺は友達のいないフレンズじゃない。 フレンズとしてノーカン! ノーカン! らしいから。


もしかして俺とこいつが友達だとしたならそれは恥意外の何物でもないので友達じゃない。 友情なんて煩わしから不要だ。


軽く会話をしながら灼熱の砂浜を男2人で歩く。 何が悲しくて夏のビーチを男だけで歩かなきゃならんのだ。 流石の俺もこれには二つの意味で遺憾です。


「あ、ほら奏士殿。 あそこに泉殿が」


「うっそだろ」


目標『泉ちゃん』ってだけで何処にいるかも分からん1人の人間探してプラプラ歩いてただけだぞ。 それで見つかるのか……やっぱり俺と泉ちゃんは運命の糸で結ばれたロリオとジュエルペット。 うーん微妙に違う。 ロリ男って性別ややこしいしジュエルペットとジュリエットはもう字面というか響きが似てるだけの別物だし。 俺はレディ派。


俺が・・、泉ちゃんに買ってあげた(遅めの入学祝い)水着を着た泉ちゃんを発見次第声をかけようとして踏み止まる。 よく考えたら別人かもしれないしそもそも泉ちゃんは悠ちゃんと(偽)姉妹仲良く遊んでいるはずだ。 俺は空気を読めちゃう系だからここは消えよう。


…………いや悠ちゃんそういえばパラソルの所に居た。 あのアマ泉ちゃん放置して何やってんだ。 後で尻叩き500回の刑だな。 8回/sで叩く。


「おー いーずみちゃ────────」


「なぁ良いだろ? 俺と一緒に遊ぼうぜお嬢ちゃん」


「あ、あの……私一緒に来てる人がいるので…………」


「大丈夫大丈夫。 ちょっとお茶するだけだから。 なんもしないって」


「い、いえそう言われましても……」


ふむ。 泉ちゃんがナンパされてるな。 あの日焼け金髪グラサン男虚しくないのかね。 いくら泉ちゃんが世界一の美少女だからって見た目は子どもなのにナンパするとか。


まぁそんなことはどうでもいい。 さて…………


『あの男沈めましょう』


『異議なし』


友情とはかくも素晴らしきものなのか。 一瞬で俺と莇の意見は一致した。


そうと決まれば早速行動に移すのがこの友情の良い所。 友情マジ万歳。


「だからさ〜ぁ? マジ俺と一緒に────」


「いョオ兄ちゃん…………ちょっと俺らと一緒に夏の海でランデブーしようぜ」


「安心してください。 当プランは貴方の手足を縛った後は重りと一緒に海底探索して頂くだけとなっております」


「はァ? お前ら一体どこのどいつだよォ! 関係ねぇなら引っ込んでろ!」


色黒のお兄ちゃんはいかにもチンピラなイントネーションで声を荒げる。 なんでチンピラは語尾を高くするのか。 そしてなんで金平は牛蒡ごぼうが高くなるのか。 最近牛蒡の値段が上がった気がするのは俺の気の所為?


「おっとこれは失礼した…………俺達はこの娘の保護者であり──」


「貴方のような人を処理する者でもあります」


「おいお前らなに近寄って──おい待てそれはちょっ待っ、あ゛ーっ!!!!!」


男を岩陰に連行してその後は…………分かるな? そういう事だ。


─────────────────────────


ビーチの端の岩肌地形に、何かを運ぶ二つの人影が。


「ここか?」


「ええ。 ここで入れ替わりの受け渡しとなっております」


「おい足の方もっと上げてくれ。 こっち重心偏ると投げた時変な方行くぞ」


「これ以上は岩の地形的に難しいです。 それに足の重りが重くて持ち上がりません」


「仕方ねぇな……じゃあ321で行くぞ」


「いつでも構いませんよ」


「はいさーん、にー、いーーちっでっ!」


「はいっ!」


\ドッボーンッ!/


「……ふう。 これで問題無いな」


「ええ。 証拠は残しません」


「怪しまれる前にずらかるか」


「そうしましょう」




その会話を切りに、岩陰から二つの人影は消えた。


後にその場所付近で死体遺棄の目撃情報が出たり、夜の海に現れては何かを呟いて消える金髪日焼けグラサンの男が現れたりする噂が流れたが、その実態は誰も知らない。


確かなことは、奏士が妙にスッキリした顔をしていたという事だけだった。


─────────────────────────


「なんだ今の」


「さぁ? あ、そっちもうちょっと強めでお願いします」


「はいよ」


「も、もうやめ…………」


現在岩陰で精肉中です。 このままこの肉塊をあずにゃんに送り届けてやろう。


「安心しろ。 殺しはしない。 身体は生かしてやる。 身体はな」


「貴方も可哀想な人ですね。 嫌がってる少女にしつこく声を掛け続けるどころか、あまつさえロリに手を出すなんて」


いや拙者じゃなかった。 泉ちゃんはロリじゃござらぬけど。


「幼子は愛でるものです。 自然体をありのまま、離れた場所から見るだけです。 手を出していい訳がありません。 紳士の風上にも置けないゴミです」


その紳士はたぶん変態紳士という意味なんだろう。 つーか莇お前……普通に手ェ出してたじゃねぇか。 全部(逮捕したので)未遂だけど。


「そんな人の道を外れた者をこの手で最後に人にしてあげるのが同胞の勤め。 私が送って差し上げましょう」


何その「あいつはもうアッチに呑まれちまった! もう救うには斬って全てを断つしかねぇ!」みたいな理論。 ちょっと言ってみたい。


はっはーん莇お前見た目冷静だけど相当お怒りだな? 俺は逆に超冷静。 冷静過ぎてギャグまで冷たくなっちゃう。 つまり今ならどんなゴミギャグも超冷静を言い訳に吐き放題。


「まぁ待て。 今回は声をかけただけという事で見逃してやれ」


「奏士殿にしてはやけに冷静ですね。 貴方はもっと怒り狂うというか、日本四大怨霊になるかと思ったのですが」


「流石の俺も直接的な危害加えてなきゃ殺さん。 それと四大怨霊になってたら俺死んでるよな」


ちなみに元ネタの日本三大怨霊とは、数ある怨霊の中でも特に強い力を持った3人を指し、そのどれもが不本意の死を遂げている。


日本三大怨霊に当てはまるのは


天神と呼ばれ、学問の神として有名な菅原道真。

死してなお怨みと共に身体を求めてさ迷った平将門。

そしてイチャイチャなカップルを見て憤死した悠ちゃん。 末代までの恥だが、末代までこの従姉の話を残す人が居ないので実質無問題。


「ほれ、お前はさっさと帰って泉ちゃんの警護でもしてろ」


「…………貴方がそう言うのでしたら……後始末は頼みます」


「はいよ」


そう言って莇は海水で手を洗ってこの場を後にした。 今は俺とこの肉塊の2人きりだな。


「おい」


「はっ、はいぃ!」


一声かけると肩を震わせて反応する砕けたグラサン男。 少しやり過ぎたか? でも敵には容赦しないって決めてるから。


「お前がしつこく声をかけた女の子はな、ああ見えてタフだ。 だがな、その分色々と溜め込みやすいんだ」


現代社会において致命的な欠点。 それは対人メンタルの弱さと発散が下手という事。 泉ちゃんはオールジャスティスで満たしている。 要するに、鬱憤とかストレス発散がド下手なのに対人メンタル最弱だから知らない人と関わるだけで溜めまくる。 その溜まる速度はガソリンのメーター。 気がついたらえげつない金額になってるよね。


話を戻すが、泉ちゃんの発散が下手なことはまだいい。 しっかりしてても泉ちゃんはまだ子どもだ。 これから上手になっていけばいい。


だからこそ、俺ら大人がその捌け口になるべきなんだが……当の本人が優しいからなぁ。 頼んでも愚痴とか言ってくれないし。


そんな泉ちゃんでも、理性で抑えてる以上限界は来る。 具体的には、理性が働かない時。 この前の熱出した時とか、後は酔っ払った時とかか? 泉ちゃんは酒飲まんが。


理性を失った泉ちゃんはこう…………百面相だね。 感情表情意思疎通方法がアレコレ変わるのが見てて面白い。 あれ、なんの話ししてたっけ? まぁあいい戻ろう。


「お前みたいな奴と関わるだけで身体を壊すくらい繊細なんだ。 自分の欲だけじゃなくて人の事考えろ。 それが分かったら二度とあの娘に近付くな」


それだけ言って俺も去る。 返事は聞かない。 もし次また近付いたら消すだけだ。


…………ふむ。 これはもしかすると俺もだいぶ頭に来てたみたいだな。 激情はしてないと思うが、今考えると割と冷静じゃなかったかもしれない。 じゃああの時の自分を激情版と呼ぼう。 スクリーンでみんなに見られちゃう。


ちなみに作者は昔映画館で見てたら屁を出したくなって、こっそりと消音・消臭モードで出そうとしたら思いっきりぶちかましてちょっと恥ずかしかったって話する? 上映中で拘束状態だから席立てないけどちょっと恥ずかしくて席立ちたい相反する願いを兼ね備えた作者は拘束状態ならぬもう即醜態つって。 これが言いたかっただけの余談ですが何か? もし話のオチを予測して先に行った読者よ。 そんな予断は許しませんよ。 つまり俺も読者も余談(予断)を許さないってことだ。 作者アホなん?


でも後悔はしない。 泉ちゃんを守ることは俺の最優先事項の1つだ。


さて、と。 ゴミ掃除も終わったし、俺も戻るかね。 休暇だってのに余計な手間かけさせやがって…………決めた! 俺今日はもうなーんもしない。 自由気ままに過ごすんだい!


─────────────────────────


「さぁ泉殿! 私と共に向かいましょう!」


「あ、あの……でもまだ奏士さんが戻ってきてなくて……」


「ああ、あの方なら大丈夫ですどうせ精肉に夢中でこちらまでは考えが及んでいませんからぁっ!?」


莇の顔面に飛び蹴りをかます。 『そういえば、ゴミもう1つ残ってたな』と思いながら。


「泉ちゃん元気? 大丈夫なら行こうか」


「えっ!? あ、はい……でもあの、たった今莇さんが元気じゃ無くなりました」


「ああそれは大丈夫。 どうせ後で沈めるし」


「? 奏士さん何か言いました?」


「気のせいじゃない?」


片手に莇の死体ゴミを引っ張って泉ちゃんと歩く。 良いなあ……The兄妹って感じで。 実際は赤の他人なんだけどな。 真っ赤っかな他人です。


でも泉ちゃんは名誉柳一族だから実質兄妹。 名誉柳一族とかいう最上級不名誉。 そりゃそうだこんな頭おかしい一族の仲間入りとか。 真人間の泉ちゃんが無事でいられるはずがない。


水着姿の泉ちゃんはいつにも増して美しい。 小柄で灘らかな身体も、恥ずかしがり屋な泉ちゃんが冒険した青いビキニも、纏めてツインテにした髪も全てが可愛い。 正直今すぐに撫で回したい。 写真撮りたい。 撮ったけどまた撮りたい。


でも社会的にアウトだからこれ以上はやれない。 つまりビューティープリティーソサエティ。 俺の場合は魔法少女的年齢がアウトだから無理だな。 性別は関係無い。 だって男でも魔法少女になれるから。 むしろ魔法少女になりたい男は結構な数存在する。


そう考えるとあれだな。 男ってヒーローになりたがったりライダーになりたがったり、魔法少女になりたがったりと変身願望強いな男。


まぁかっこいいものに憧れるのはDNAというか本能だな。 俺も幼い頃は世界を破壊する存在に憧れたぜ。 ちっちゃな頃から厨二病で15で目を覚ました。


流石に今はもうそんな夢は持ってない。 せいぜい魔術をかじったりちょっとした儀式を行うくらい。 なるほどこれは永眠してますね。 目を覚ます気配が一向にない。 キスされたら目覚めたりして。 白雪姫かよ。 王子じゃなくてお姫様のキスで目が覚めたらちょいと男としてどうなんかね。


さぁーて海終わりだ終わり! 1日終わらせるのに何ヶ月かけてんだ無能が! さっさと俺を別荘へ帰らせろ! もしくは我が家!




─────────────────────────


という訳で別荘到着! いやーほんと時間かかったわ。


「ここが別荘だ。 部屋割りは各自で相談して決めるように」


「飯の時間はどうするよ」


「それも好きにしろ。 今回の主役はお前らだ。 飯の時間になったら呼んでくれ」


The他力本願というか丸投げな悠ちゃんは、車から降りると1人で別荘へと消えていった。 鍵かけてやる。


結局、消えたも助は見つからないから先に別荘来ちゃったけど大丈夫なのかしら。 この時期の海辺のホテルも旅館もだいたい埋まってるから部屋は無いと思うんだが。 まぁ死にはしないだろ。


「それじゃあ飯は各自でな。 俺は一足先に部屋にこもる」


「いや逃がさないデスよ」


俺も悠ちゃんに続こうとしたらベルに止められちゃった。 HA☆NA☆SE!


「ソージが疲れてるのは知ってマース。 でもご飯はみんなで一緒に食べるデース!」


この年でBBQは胃もたれしそうなんだけど。 俺死んじゃうよ? いいのか俺死んじゃうよ。 こんなもんダーウィン賞受賞もんだろ。 流石の俺もダーウィン賞はちょっとあれだぞ。


「…………一緒に食べる」


「おいお前も離せ」


「…………料理出来る人は、奏士だけ」


「お前は忘れているようだが、ここにいる金髪の似非外人も料理は出来るぞ」


「あれなんで今悪口言われた?」


「…………奏士も一緒に」


ギャァァァァァァァァァッス!! 肩が! 肩が砕ける!!! 紅葉てめぇどんな馬鹿力で掴んでんだHA☆NA☆SE! 割とマジでHA☆NA☆SE! バイオリン奏者? それHA☆KA☆SE! 流石の俺もバイオリンはやったことない。


「諦めましょう奏士殿。 このお2人に狙われた時点で貴方に逃げ場はありません」


「これがモテ男の気持ちってか? ざけんな」


「…………自意識過剰乙」


「ワタシは別に3Pでも4PでもOKデス! でも最初はやっぱり2人っきりで……」


「なんだこいつ出られない部屋に1人で閉じ込めたろ」


「いや1人でもヤれるから出られるデスヨ?」


「それ含めるのはルール違反だからアウトです」


「っっ…………」


「泉ちゃん顔真っ赤〜」


「ああ頼金おまえ居たのね。 海で見かけなかったから忘れてたわ」


「そりゃもう私プロですから! 自然体を撮るための隠形術は会得済みですよ!」


「具体的にどのようなものが撮れたのですか?」


「そーですねぇ……今はあまり公開出来ないので、私が私用で撮ったものなのですが…………これとかですかね」


そう言って頼金は部活用のゴツイカメラ────よりも更にゴツイカメラ(+交換レンズ数種)を取り出した。 え何お前部活支給品より私物の方が凄いの? 俺もカメラは少しかじったけど、一言で表すなら俺でも手を出さない値段のやつじゃない?


とか言いながらもこの前4万の1/3.5フィギュア買ったんですけどね。 置くのに最適な場所は無かったから俺用の保管庫に入れてある。 玄関にアレを置くのはちょっとね。


「あーそういや最近10万を超える買い物してねぇなぁ」とか考えながら俺も画面を覗く。 何が写っているのかな? 心霊写真ならちょっと欲しい。


「まずはこちらですね。 『ラーメンを啜る生徒会長』」


紅葉おまえかい!


と心の中でツッコミを入れる。


「頼金お前、もしかして暇なの?」


「失礼ですねこの人。 バリバリ忙しいに決まってるじゃないですか」


「見えねぇ」


バリバリ忙しい人はこんなクソどうでもいい食事写真なんて撮らないと思うのですが。


「見てくださいよこれ! 会長さんが太陽の光を反射して輝く銀髪を耳にかけて啜ってるんですよちょっと色っぽいでしょう?」


「いいえ全く」


「は?」


「は?」


えなんでこの娘こんな「信じられない何この人」みたいな目で見てくんの? 怖い。


「じゃあこっちはどうですか? 「先輩のお財布で甘い汁を啜る生徒会長」」


「お前啜ってる写真しか撮ってないの?」


あとそれ飯を同卓で食ってるだけの写真じゃねぇか。


「……ちょっと照れる」


「照れてないで驚け。 立派な盗撮だ」


「先輩落ち着いて聞いてください。 これは上に許可をとって本人に許可を撮ってない写真撮影です」


「うんそれ紛うことなき盗撮ですよね?」


本人に通達してなかったら盗撮ですよね?


「まぁまぁまぁ。 こちらは無料配布とかしませんから安心してください」


「お前自分の裏商会で売るつもりで写真撮っただろ」


「ちょっとゴキっとしますよ」


「ギクッとしろ」


たぶんその音はもう助からない音だと思う。 待ってろ今霊柩車呼んでやるからな! 念で!


「お次はこれですねー 『砂遊びに夢中な先輩に抱きつく機会を伺ってるベル先輩』」


無言でベルの方を見るとベルはサッと顔を背けた。


「ちょっと何言ってるか分からないデス」


「まだ何も言ってませんが」


まぁ未遂なら許そう。 被害が無いなら被害届は出せない。


「そういえば先輩。 先輩が作ったあの砂のやつがなんかフォトスポット的な感じになってましたけどどうします?」


「どうするも何も、アレさっき帰る前に見た時はもう無かったぞ」


「流石に邪魔なので海の藻屑にさせていただきました」


「いや既に壊したのかよ別にいいけど」


そこまで思入れある訳でもないし。 暇つぶしの作品は作り上げては壊してまた作る程度で丁度いい。(子どもを除く) みんなは暇潰しに子作りして子どもを作るのはしないように。 というかさっきの文に照らし合わせたら子どもの扱い残酷だな。


それはそうと精子も子どもにカウントされるのかしら。 そしたら俺は暇潰しじゃないにしろ大量殺戮してますが。


「それと『思いっきり蹴り飛ばされる莇先輩』『顔真っ赤で俯く泉ちゃん』もありますよ」


「これは私の醜態を全国公開する予定か何かですか?」


「わっ、私こんな所まで撮られて…………」


「お前ほんとろくでもないな」


「そんなに褒めても人体に有害な物質くらいしか出ませんよ」


「褒めてないしお前二度と俺の半径2万キロ圏内に近付くな」


「あのそれ対蹠点+4km圏内しか居場所ないんですが」


「半径4キロの円がお前の居場所だ」


「もうそれ居場所って言うより結界ですよね」


「ところで泉ちゃんの写真は1枚幾らだ」


「何だこの人。 まぁ商売の話ならしましょうか。 遠征価格で800円、他の人より一足先に購入なら特別に2枚付けて1200円です」


「5セット買おう」


「どうも。 と言っても泉ちゃんは先輩意外買いませんが」


「不人気なのか?」


「いやあんたが市場流通禁止にしてるから先輩意外買えないんですよ」


「当たり前だ泉ちゃんを下衆の視界に入れてたまるか」


「じゃあ先輩も眼球抉らないとじゃないですか」


「ナチュラルに先輩をゲス認定するこの後輩ゴミかよ」


「いやいや私のどこがゴミなんですか。 確かにこの前ルンバに吸い込まれそうになりましたが」


「やっぱゴミじゃん」


「なので逆に詰まらせてやりました」


「バッカじゃなかろかルンバ」


「誰がうまいことを言えと」


「ほら2人ともー! 早く中に入るデース!」


ベルに呼ばれて話を切りあげる。 お金はいつも受け取り時にね。


─────────────────────────


「B・B・Q!!!!」


「うるさっ」


現在別荘のテラスで肉を焼いております。 俺がね。


いやほら、やっぱりベルは楽しみたいだろうし、泉ちゃんは危ないし悠ちゃんは使えないし紅葉は論外だし。


「うめーっ! これ何の肉だ悠! 人肉か? 人肉なのか!?」


「それはウミガメの肉だ! じゃんじゃん食えー!」


早くも酔っ払ってるバカ2人はいつも通りなので皆慣れた。


いつの間にか帰っていた────というより一足先に自分で帰っていたも助は別荘内で酒盛りをしている所を発見した。 蹴り飛ばした。


「バーベキューは久しぶりですね」


「イギリスにいた頃はよくやってたデスね〜」


海外勢の莇とベルは懐かしむように食べて飲んで雑談をしている。 やっぱり海外はバーベキュー文化がやばいのか。 日本のバーベキューは肉より魚と餅焼きたがるからな。 俺も七輪は好き。


「……うまうま」


コンロ付近で皿を持って食べている紅葉は口周りにタレを付けて頬張っている。 ティッシュで拭きなさい。


「よーし泉ー! じゃんじゃん食え食えー! 食って呑んで吐いて飲めー!」


「お姉ちゃん飲みすぎだよ……」


泉ちゃんは悠ちゃんに捕まって甲斐甲斐しくお世話をしている。 お酒ついで食べさせて零したら拭く…………なんかあの一角だけキャバクラみたい。 泉ちゃんがキャバ嬢やってるなら通わないね! 言い値で買い取って共に暮らそう!





あっつ


夏の夕方。 日は落ちても気温は下がらない。 その上コンロの前でトング持って焼いてる俺は熱気をダイレクトに浴びて汗だくだく。 俺のドクペ……ドクペを飲めば復活する。


と思ったけどドクペを家に忘れたので俺はここで死ぬことにした。 恥の多い生涯を送ってきました。 そしてこれからも俺の恥の上塗りは続くぜ! 打ち切り乙。


「………食べてる?」


「食べてる食べてる」


紅葉が時折俺の皿から橋を向けてくれるので食ってはいる。 あと時々良さげな部位はちょろまかしてる。 豚タンは薄切り、牛タンは厚切り派だけど正直どっちでもいいや。


なんかこうあれだよね。 肉焼いてると無心になるって言うかさ。 ひたすら肉と炎との対話になるのが楽しい。 音の変化は逃さないぜ。


「…………あーん」


「ああ」


この声が聞こえた時は口開けてれば自動的に肉が食えるのでちょっと楽だと思ってしまう自分がいる。 米くれ米。 肉ばっかは胃に悪い。 野菜? そんなもんナムルにしてやるわ! うま塩きゅうりじゃい!


「……あーん」


「あん」


「……あーん」


「あん」


「アーン♡」


「ああっつ!?」


流れで食ってたらなんか別人紛れ込んできた。 なにこれあっつ!?


今箸が出てきた方を振り向くとそこには舌を出しているベルが。


「…………てへっ♡」


「お礼だ受け取れ」


「ちょっと待ってそれは流石に無理デス!」


今の今までアッツアツに熱せられたトングで生焼けの玉ねぎを掴んで差し出すと全力で紅葉の背後に隠れるベル。 なんだ。 生の玉ねぎは食べすぎると腹壊すけど少量なら健康にいいぞ。 俺は御免こうむる。 加熱しないとね。


「さて被告人。 言い訳はあるか?」


「愛する人が他の女の子とイチャイチャしてるのを見て嫉妬しちゃったデス可愛くてごめん♡」


「死ね。 そなたは醜い」


「なんか凄い辛辣な人出てきた!?」


いや外見は醜くは無いけど心が醜い。ついでに性根も。


「つーか誰と誰がイチャイチャだコラ。 訴えるぞ」


「それは勿論ソージとクレハデス!」


「…………良い眼科、教える?」


「あれもしかして目が悪いと思われてるデス?」


「ダメだぞ紅葉。 こいつが悪いのは目じゃなくて頭だ」


「おっともしかして馬鹿だと思ってるデス?」


「「それは勿論」」


「2人して肯定した!」


項垂れながらも皿の肉は食べているベル。 暇なの?


「おお良いな! 泉! お前もせっかくだからアレに混ざっていけよ!」


「むむむ無理だよお姉ちゃん! 私には無理ぃぃぃぃぃ!」


「おーい奏士ー! お前もこっち来て酒飲もうぜー!」


「飲まん」


「…………お肉焦げてますよ」


「うわやっべ」


────────────────────────


「…………飲みすぎた」


フラフラとおぼつかない足で別荘内を歩く。 一緒に飲んでたらつい飲みすぎて気持ち悪い。


「うー」


隣で肩を貸してる悠ちゃんは既にグロッキー。


「あ!先輩先輩!」


突然、前からパジャマ姿の頼金が走ってきた。 お前らガールズは風呂はいってたはずでは?


「やばいです……さっきベルさんたちとお風呂入ってたんですけど………ぷかぷか浮いてました」


「で?」


「私は浮かないのになんでなんですかね。 胸ですか? やっぱり胸ですか?」


「まぁ奏士とかいう胸無いのに年中浮いてるやつが居るんだし、浮かない方がいいだろ」


「え?」


突然目を覚ました従姉に貶されたんだけどこれ泣いていい? あと俺は浮いてねぇ。 不沈艦だけど浮いてねぇ。

5月なのに暑いので気をつけましょう。 作者はこの時期激ヤセします

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