くだらないことに本気を出せる人は強い
昼飯。 昼餉とも言う。 おランチとも言う。 意識高い系は「ブランチ」なんて言い方をするが、本来のブランチは朝飯と昼飯の間の飯を指す。 つまりは10時くらいの飯。 それ作者の朝兼昼飯じゃん。
「焼きそば4つ。 紅しょうがマシマシで」
「あいよ!」
海の家のおっちゃんに金を払って焼けるのを待つ。 なお、焼きそばの内訳は俺1:紅葉3だ。 相変わらずの大食らいである。 その内紅葉のキャッチコピーに「エンゲル係数は私が育てた」とか追加されそう。 生徒会長選挙のポスターこれで完璧じゃね?
そうだ。 散々忘れていたが、生徒会の任期は半年。 10月になれば俺は自由の身だ。 紅葉は部屋探す素振りも無いしベルと莇は多分卒業まで居座るだろうから真の自由は得られないわけだけども。 広かった我が家も今では手狭に。 紅葉はいい加減に部屋探せ。 忘れてるだろうからもう一度言うけど部屋探せ。
なんてモノローグで言っても、隣の紅葉には伝わらんのは知ってますよもう悪足掻きだ悪いかこんちくしょう。
「お待ち! 焼きそば4つ紅しょうがマシマシ! サービスでちょっと紅しょうが多めにしといたからね!」
「あ、ああ。 ざっす」
奏士くんは人見知りなので基本反応はこんな感じです。 気のいいおっちゃんで助かった。 こんがり小麦肌に白タンクトップとねじり鉢巻とかいう昭和感満載のファッションなのはどうかと思うけど。 海の家っていうか海の漢の家って感じがする。 そういうの嫌いじゃない。
それよか、マシマシトッピングなのに更に少し多めにするとかそれに意味はあるのだろうか。 いや多分意味とか無いな。 ノリと勢いか。
「ほら、お前の分」
「……♪」
焼きそばを持って上機嫌になる紅葉。 音符飛んでら。 これ音階は? ドレミの歌で言うどれ? レーはファイトのシー!
「じゃ」
「……ばい」
紅葉と別れて食い場を探す。 昼飯は各自自由との事で、俺はいつも通りの安息のぼっち飯。
一人もとい独りとは最高だ。 人に合わせることなく、己の感覚で進められる。 ぼっち飯とか時間が切り離されたみたいに速度変わるからねマジで。
「おっ、ビンゴ」
焼きそばパック(クソ熱い)片手に辺りを散策していると、丁度人の居ないスペースを発見した。 日陰でちょっと薄暗く、虫1匹存在しない。 それでいて1人に丁度いい広さがあって辺りに砂も無い。 店の裏手だからエンジンの音が煩いことを除けば最高だ。 しかもエンジン音程度簡単にシャットアウトできる。 完璧かよ。 2人ならちょっと狭いが、俺は1人なので問題無い。 孤高の異端児奏士くんだから問題無い。
……この前「あ、いたんだ」って言われたからね。 いやあの同じ授業グループなんですけど……夏休みなのに5月のメンタルブレイク再発しそう。 いや別に嫌とか泣きたいとかそんなんじゃないけどなんかさぁ……死にたくなる。(作者実話)
「いただきまーす」
手のシワとシワを合わせて割り箸を錬成。なんて出来ないから普通にこの世の全ての食材に感謝を込める。 割り箸はちゃんとある。 というか箸は会長の技だ。 四天王1の大食いの技じゃねぇや。
「……美味っ」
ブチブチと千切れる麺。 火の通りきってない硬い野菜。 大雑把に切った肉。 そして焦げすぎなソース。 塩コショウの下味も雑だ。 こんなもん店で出すとか頭いかれてやがる。
でもそれがいい。 だからこそ美味い。 海の家の飯なんて美味さを求めていない。 雰囲気を求めているのだ。
ここが遊園地だとか、水族館みたいな金払って入るレジャースポットで、飯が名物になるような場所なら美味さを求めるよ。 ハム串とか。 最近アクアワールド行ってないから今の名物がどうなってるかは知らん。 でもやっぱり水族館でシーフードはどうかと思う。 海近いけどさぁ……
ここは海。 そして海の家。 海の家で食う飯はとりあえず腹拵え第1で、美味さは二の次三の次。 こういうテンプレな「微妙に不味い焼きそば」こそ至高。 まぁ美味いに越したことはないけどね。 俺は多分美味さ重視で作っちゃうし。 胃に入れば一緒でも、変に凝っちゃう奏士くんの悪癖。そんな料理を作るぜ即席。 出来上がったのは懐石。 即席なのに懐石作るとか凝りすぎってレベルじゃない。
焼きそばをズルズル啜る……と言うよりは塊を掬う感覚で食っていると、俺の安地は崩壊した。 具体的に言うと人が来た。 ちょっと救世主のバリアはどうなったの。 ちゃんと領域展開しておいてくれないと困りますよ絶傑さん。 攻撃してないんだからバリアってくんないと。
「あー! こんなとこに居たー!!」
声が聞こえたし足音が近付いてくるけど無視して焼きそばを食う。 意味は無いけど歩きながら食おうかな。 逃げるわけじゃない。
例えるならそう、某高校生の日常のOPみたいな感じ。
「一緒に食べようと思って探してみたら……こんな人気の無い場所で何やってるデスカー!」
しっかし、本当に火が通ってねぇな。 キャベツの芯とかなんかもうゴリゴリする。 味もほぼついてねぇし、なんかネイチャーを感じる。 キャベツの芯って甘いはずなんだけどな……これは無味。
それにしても「ネイチャーを感じる」って1文の宗教色の強さは異常。 俺は賛美教だから改宗しないけどな。
「無! 視! するなー! デス」
食ってた焼きそばを取り上げられた。 食事妨害は拳で対応するぞコラ。 食事中とアニメ視聴中と慰め中は邪魔厳禁って法律を知らねぇのか。 懲役9億年か1200兆ジンバブエドルの罰金だぞコラ。 圧倒的罰金の安さだけど、ジンバブエドル(本物限定。 両替その他諸々不可)で払わないといけないから難易度が地味に高い。 本物と確認が取れた札のみ有効。
「何しやがる。 返せ俺の焼きそば」
「これでもなおワタシより焼きそばを優先するか! そんな女の子に優しくしない子に育てた覚えは無いデス!」
「育てられた覚えもないわ」
お前にも母ちゃんにも育てられた覚えはないわ。 俺は子供の頃から自律してるから。 めちゃくちゃ立ってるから。 俺のムスコは最近自立してないけど。 いや不能とかじゃなくてそういう暇が無くて。 朝は自立するのになぁ……ほんと朝部屋に入ってくるの勘弁して欲しい。
「……そんなに焼きそばを返して欲しいデス?」
「それは勿論返────いややっぱいいや」
「なんで取りやめるデスカー!」
「お前が俺の焼きそばを自分のと取り替えたからじゃボケ」
「なんで!? これは代わり映えのないただ一つの焼きそばデス!」
「コードレス掃除機かなにかかよ」
「私の啜る力も変わらないデス!」
「蕎麦啜れねぇお前の吸引力じゃ皆無じゃん」
どうにかして自分の焼きそばを取り返そうと立ち上がってベルの腕を掴む。 よく考えたら俺の方が背も高いし腕も長いんだから簡単に取り返せたわ。
「キャー! 犯されるー!」
このアマ腕掴んだ瞬間にとんでもないこと叫びおった。 だが甘いわ。
「残念だがここに人は来ないし聞こえない。 何故なら周囲のエンジン音の方がデカいし死角になってるから見えにくい。 孤独メシに最適と言ったであろう」
俺はありとあらゆるイベントを想定して動く男。 今だって
「万一誰かがやってきたら」→「それがベルだったら」→「食事の邪魔してきたら」
これらが起きた場合の対策はしてある。 ちなみに紅葉が来た場合は焼きそばを対価にお帰り願う。 楽園が滅んでいいのは1度だけなのだ。 既に「我が家」という楽園が滅んだ今、その他の楽園まで滅ぼす訳にはいかない。 失楽園ダメ、絶対。 幸楽苑ラーメン、摂待。は?
「返してもらうぞ俺の焼きそば(食いかけ)」
「あー! ちょっ、ソージ身長差を使うのはズルデスよ!」
「なんだこいつ面倒くさっ」
そんなことより飯だ飯。 焼きそばは冷めると麺がくっ付いて食い辛いしソースの味が無くなる。
「……やっぱ硬ぇ」
野菜をゴリッ、ゴリッと噛み砕く。俺は今何を食べてるんだろうか。
不味さが美味さの海の家焼きそばでもさ、野菜くらいはサイゼのくたくた並に柔らかくしてよおっちゃん。 いやそれはそれで歯応え無くなるけどさ。 焼きそばの野菜はしんなりしつつ硬さもある感じが丁度いい。
決して、紅葉作の焼きそばのように黒焦げにしろって意味じゃない。 自称「お菓子は得意」の紅葉さん、今のところその設定生かせてませんよ。 というかまだ生きてますかその設定。 生存報告皆無なんですけど。 作者が忘れてた訳じゃない。 作者が忘れたのはせいぜい今までに張り巡らせた伏線となんか忘れてるキャラが2,3人居る程度。 なんか喧しいお嬢様と男の娘みたいなやつが居たような気がする。
「こ、この男…………美少女放置して焼きそば一目散とか、どれだけ性欲皆無デスカ……」
失礼な。 俺だって性欲はある。 というか残ってなかったらそれは多分ヤバい人。
でもさベル。 お前興味無い・好みじゃない人に好意抱くか? ラブになるか? 俺は無い。 そういうことだ。
あと俺嫁居るから浮気できないわ。 奏士くんこれでも一途だから。 まぁ俺(アバター・主人公)の数だけ1つの想いがあるから一途(複数形)なんだけどさ。 それでもその世界では1つだからセーフ。
という事を懇切丁寧にできる限り心撃ち砕けるように説明すると
「じゃあその理論ならこの次元のソージはまだ空きがあるデス!」
なんて返された。 そ、そんな馬鹿な!
こいつにまだそんな思考能力が残っていたとは! もっとこう、
「カバのバナナ、カバナナ( ᐙ )」
とか
「1+1は田んぼの『るぇ』( ᐛ)」
とかそれくらいの思考回路だと思ってた。「るぇ」ってどうやって発音するんだ? 「る」と「りぇ」の間を狙おう。
ってことも言ったら
「さすがに失礼すぎる!」
とか言い出した。 じゃあ普段を振り返れよ。 そしてそのまま首ちぎれてくたばれ。
「こうなったらワタシが馬鹿じゃないことを証明するデス」
「いやそんなことする必要ないだろ」
「ソージ……それはやっぱり本心では馬鹿じゃないと思ってたってことデス?」
「いやもう覆せない領域の馬鹿だからやっても意味ないって言ってんの」
「よっしゃぁ戦争デス!」
なんて言いながらベルがチョップを繰り出してきたので軽く受け止めて脳天に返す。
「お゛お゛お゛お゛……………」
頭を押えて蹲るベル。 ねぇもうやめない? さすがの俺も弱い奴を甚振る趣味は────相手次第だけど無いぞ。
「何するデスカ!」
「いや正当防衛」
「正当防衛は力量差も加味されるデス!」
「社会的な力量差はお前の方が上だからそれ加味して問題無し」
「ソージの圧倒的モラルの欠如が心配デス……」
失礼な。 俺の倫理観はまだぶっ壊れちゃいない。 少なくとも「NTR・強姦・催眠調教」が嫌いな内は正常だし好きになることはないから永遠に壊れない。 道徳? 知らん。 なんだその曖昧すぎる心は。 「良心に訴える」って良心皆無の人にとって意味ねぇじゃん。 じゃあ泉ちゃんを除いた全登場人物に意味ねぇじゃん。 あ、俺抜くの忘れてた。
「で、お前がバカだって話に戻るが」
「いやもう戻さなくていいデスよ」
「ぶっちゃけると割と心配な領域だからちょっと確かめたい」
「ソージが心配するレベル!?」
「今から簡単な四則演算を言うから答えを言ってみろ。 5秒以内に」
「あれもしかしてバカのレベルって小学生以下だと思われてるデス?」
「じゃあ行くぞ。 正答率4割以下で人権ボッシュートだから気をつけろ」
「ワタシの人権ヒトシ君人形と同等!?」
ちなみに焼きそばはもう食い終わった。 美味かったけど味濃いめの何かが食いたくなってきた。
「ふっ、ワタシも舐められたものデス……良いでしょう、ワタシの本当の実力、見せつけてやるデス!」
「セリフが完全にやられ役じゃん。 じゃあ行くぞ。 1+1」
「3!」
「初手不正解はまだしもこれを間違えるとは思わなかったわ」
「確かに1+1は数学的には間違いかもしれないデス。 でもこれが『絶傑最強は誰か?』って話題だったら?」
「不正解じゃん」
結局最強は誰なのか。 まぁ前と後で順位は変わるよね。9はガラッと変わった。
「冗談デスよ〜w 3っていうのは、例えるならソージとワタシが結婚したとするデス」
「おぞましい例えだな」
「で、(無視)結婚したら色々ヤるデス。 具体的には○○○や☆☆☆とか□□□□□とか△△△△とか☆♪☆♡@.??[_]とかデス」
「誰も具体例聞いてないし最後母星の言語出てんぞ」
「人を侵略者みたいに言うなデス! 襲うデスよ!」
「襲う時点で侵略者であることに変わりはねぇだろ」
「まぁソージを襲うのは後にするとして、話を戻すデス」
「後にも先にもそんな機会は無い」
「で、(無視2)なんやかんやあって子供が産まれるデス」
「それで3ってか? 馬鹿かお前は」
「いやワタシ子供は3人欲しいデス!」
「じゃあ5じゃねぇかどっちみち不正解だろお前の答えもお前の生き様も」
「あれ今流れで全否定されたような……」
「安心しろ勘違いじゃない」
「はっはーんさてはソージはワタシを泣かせようとしてるデスね?」
「いや至って平常運転だけど」
「そうはいかないデスよ!「聞けよ」 女の涙は安くないデス!」
「いや格安だろ。 ワゴンセール特価30円くらいだろ」
「ソージの涙は?」
「プライスレス」
「在庫処分の間違いデス」
「おっ何だ喧嘩か? セール品まとめ買いしてやるぞコラ」
「お、女の子を泣かせたらいけないんデスよ!」
「大丈夫ここから先日本国憲法適応外だから」
「やっぱりソージの道徳心は皆無デス!」
「お前はゴミに対して『お前はゴミだ』なんて態々言うのか?」
「うーわこの男開き直ったデスうーわ」
少し後退るベルを放置して俺は次食うものを考える。 かき氷よりたこ焼き系が食べたい。 もしくはまたクソまずい焼きそばを食うか。 店を変えれば味比べだ。
「用がないなら俺は場所を変える。 飯の邪魔をするようなら今ここで埋める」
「素で脅迫するの控えめに言ってイカれてるデス」
そうか……最近は脅迫と隣合わせの生活だったから麻痺していた。 主に委員会とか生徒会長とか理事長とか。
「ソージはこの後予定はあるデス?」
「ありありありまくり。 だからお前に付き合えないわ」
「まだ何も言ってないのに振られた!?」
だってお前が予定聞くって事は十中八九それだろうし。 僕これから砂で1/1スケールヘカトンケイル作るから忙しいの。 神話の怪物にこの世の法則(筋量と体重とか)が適応されてるか分からんから作ってみたい。 空想科学読本に依頼したらやってくれたりすんのかな。 似たケースでウノレトラマンがあったけど。
「まぁソージに予定があろうがなかろうが強引にでも付き合ってもらうデス」
「何故聞いたし」
ワード数の無駄遣いか? ゲームじゃないんだから金なんて発生しないしそもそも鼓膜破れてるから声なんて聴こえないし無駄話なんて作者の仕事が増えるだけだしあのクソニートが仕事なんてする訳ないし。 つまり無駄話を入れる度に話が削れていくという事。 働け作者、無職、クソニート。
「さあ行くデス! 海デートデス!」
「嫌だ。 数ヶ月ぶりの休暇を俺から奪うな!」
「いやいや数ヶ月ぶりなんてそんな社畜みたいなことある訳────もしかしてマジデス?」
俺は無言で頷く。 紅葉が引っ越してきたあの日から俺の真の意味での休暇は消え去った。 あれが5月くらいだから約2ヶ月ぶりの休暇だ。 でも世の社畜は休暇なんて存在しないらしい。 怖い。 俺もニートになる。ニートピアのニート王「ニートリア・ニートックス38世」になる。 ニートしかいないくせに無駄に長続きの王国だな。 いつだって国全体が一丸となって働かない。
「え、えーっと……」
さすがのベルも困惑している様子。 ここで強引に連れ出すのは良心が痛むのか。 良心なんてこいつに残ってるかはさて置き。
「じゃあそういう事で。 遊んで欲しかったら紅葉なり悠ちゃんなり、あそこで幼女観察してる莇なり捕まえて遊んでもらうナリよキ○レツ」
「キ……え、誰デス?」
「そうか……もう伝わらんか」
世代の差にメンタルが崩壊しつつも持ち堪える。いや、たぶん年齢差は殆ど無いんだろうけど……知ってる側としてはね。
※ この作品の登場キャラは全員年齢不詳です。18歳以上かもね。
「そういう訳だから他を当たれ。 紅葉なら多分付き合ってくれるだろうし」
なお、莇は海で女児観察に。 悠ちゃんは知らん。
以上、『作者が昔話風にしようとしたけど途中でめんどくさくなってきた諦めたモノローグ』でした。 完
…………作者暇なの? いやただ阿呆なだけか。
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現在お砂遊びなう。
お砂遊びと言っても、ただ砂固めて積み上げるだけの幼稚な遊びじゃない。 いやどれだけ凄い作品作っても言ってしまえば固めて積んだだけになっちゃうんだけどさ。
俺は砂遊びのプロ。 ちゃんと基本の霧吹きも切削用スプーンもその他道具も持ってきている。 このためだけに持ってきた。
「……よし」
揃えた道具と集めた砂を見てちょっとワクワク。 何事も準備期間が1番楽しい。
さて、どうするか。
今回作る予定はヘカトンケイル。 ギリシア神話に登場する、めっちゃ手のある巨人。 要するにデカい千手観音。
3兄弟のヘカトンケイルだが、ぶっちゃけるとそこまで詳しい外見が記されていない。 「あまりの醜さにタルタロスに幽閉された」と記述があるが、それ以外は殆ど無い。 「五十頭百手」ともあるが、それを忠実にやろうとすると確実に砂が足りない。 あと時間と気力とやる気と気力と時間。 要するに1からキャラデザしないといけない。 どうするか。
「…………ふむ」
とりあえず軽く何かしら作りながら考えることにした。 ここはやはり砂遊びの定番:城を作るか。 機能美の日本の城か、美しさの海外の城か。
やはりここは海外の城にするか。 忠実な再現と言うよりはオリジナルになるけど。
なお、選択理由は「固めた砂を積み上げて削れば完成する」これだけ。 いや、日本の城って細かいから作りにくいのよ。
そうじくんの〜 \はじめてのおすなあそび/
誰でも出来る砂遊びを教えちゃうぞ。
手順はたった2つ。 これだけで君もプロの砂使いだ!
1.砂を固めて大体の形を作ります
2.余分な箇所を削れば完成
どうだい、簡単だろう? んなわけあるかボケ。 梟の描き方と同じじゃん。
まぁそれでもできちゃうのが奏士くんなんですけどね。 あっという間に『レギルアルバス城』の完成だ。 ちなみにレギルアルバスは「魔法が発達した世界において唯一化学と機械が発達した国」という設定。 だからちょっと外見が城っていうより工場感ある。 作者に画力が無いから挿絵とか無理ですまんな読者よ。
いや無いのは画力よりやる気か。 友達とか信頼とかそういうのも無い。
完成品はそのままに、次は「石に刺さった剣」を作る。 アーサーが王である証明の為に抜いた剣だ。 これをエクスカリバーと混同する人が多いが、実際は別物である可能性が高いそうな。 俺はどっちでもいいと思ってる。
まぁエクスカリバーは「湖の貴婦人」から渡される剣だし、やっぱり別物かなぁ。 そういや瑠姫さんも湖の貴婦人って別名があったな。 俺がつけたやつ忘れてた。
こういった剣類は割と簡単だ。 縦に積み上げて削るだけ。 難点は剣の装飾を削る時に崩れる事と長さ調整を間違えたら自壊する事。
でも天才の奏士くんにかかればそんな問題関係ないんだなぁ。 天才的センスと感覚で作れちゃうものなんです。 やっぱり僕ちゃん凄い。 こうやって自分をべた褒めしないとやってらんねぇよ。
今年新卒の皆! 「強いメンタルを手に入れましょう」とか言う奴が居るけどメンタルはどう足掻いても強くならねぇから諦めろ! 変わりにメンタルを治す速度を上げろ! 俺みたいに!
あれだ、メンタルのスタッツ上げるんじゃなくて、ダメ軽減系ダメージバリア貼るとか、回復スペル用意しておくとかそういう事だ。 アニマルセラピー最高。 毎日重政触ってないと生きていけないね。 つまり俺は明日死ぬってこと。 これが遺書になるとは誰が予想できただろうが。 とりあえずPCとスマホのデータ消してクレメンス。
「…………」
そんなことより、だ。
「…………何してんのお前」
「別に、ただ見てるだけデス」
さっきから前にしゃがんでじっと見てくるベルを無視しきれずに聞く。 俺の意思の弱さよ。
「いやお前さっき別れたじゃん。 なんで憑いてくんの?」
「漢字違う! ワタシは悪霊デスカ!」
「お前は悪霊よりタチが悪いだろうが」
悪霊は祓えば消えるからまだマシだ。 いや、こいつの方が物理攻撃の効果あるからマシか? いややっぱり悪霊の方がマシだ。
「ワタシが就くとしたらソージの隣に永久就職デス」
「俺今崖っぷちだからそのまま海に落ちて地獄に永久就職してくんない?」
何が崖っぷちかは言わない。 やっぱ言っちゃおうかな。 絶対言わない。 情緒不安定かコイツ。 いやコイツって俺じゃん。 なるほど色々と崖っぷちですね。
「失せろ金髪。 お前が居るだけで俺の精神は擦り減る」
「もう名前すら呼ばない!? こんな美少女連れてなんて傲慢な人デスカ!」
「…………ちっ」
「あれ今舌打ちした? 舌打ちしたデスよね。 聞き違いじゃないデス?」
「聞き違いじゃねぇ失せろ。 足つって首吊って魚釣って消えろ」
「いや首吊ってる時点で魚は釣れないデス」
「つっこむ所はそこじゃねぇ」
「なんかソージが初体験で入れる場所が分からない童貞みたいなこと言い出したデス……」
「なんだこいつ」
それはさておき、ゲームやってると初体験シーンで主人公がヒロインに誘導されるってやつを多々見るけど、俺的には無し。 さっきまでさんざんエグめの猥談してたしAV見てる発言もしてるのに穴の場所分からないとかマジばっかじゃなかろかルンバ。 でも創作の世界にあれこれ言うと怒られそうだからここまでにしとく。
まぁ俺がどれだけ性知識を入れようと実際に挿れることは無いんですけどねはーっはっはっはっはっは…………はぁ。
「まぁまぁそう声を荒げない荒げないデスよ」
「原因お前だし荒らげてないし『荒らげる』が正解だし」
「日本語警察ソージ」
でも言葉なんて時代で変わるもんだし、言葉ってのは音で意志を伝える手段にすぎないんだし、そもそも論として意味は地域で変わるんだからちょっと違くても伝わればいいと思うんだけどな。 姑息とか確信犯とか。
「ソージは1人でゆっくりしたい。 ワタシはソージと遊びたい。 ならばソージが1人でゆっくりしてる姿を私が傍で見てれば万事解決。 OK?」
「NO」
それ俺にメリットありませんよね。 お前一人勝ちじゃない? お前も湖の貴婦人って呼ぶそ。
「それに、ワタシはソージと居ればナンパ回避が出来て安全、ソージはワタシが居ることでナンパ回避────は不要デスけど「あ?」不審者として扱われないメリットがあるデス」
「メリット説明する上で俺を傷付ける意味は?」
いや知ってるけど。 俺が声かけられるのってポリスオンリーだけど。 監視員は逆に放置する。
「ワタシは見てるだけなので、居ないものとして扱って構わないデス。 さぁ、ソージは砂遊びを再開するデス!」
「ちっ、わーったよ」
「だから舌打ちするな舌打ち」
結局俺の平穏は完全に取り除かれる事がないらしい。 いや、ベルと莇は夏休みの間に帰省するだろうし、紅葉も同じく実家に帰るだろう。 大体お盆の時期と仮定すると、その間生徒会の仕事は無し。 まぁ俺は夏コミがあるが、帰省期間中は1人! オンリー! えーとえーと…………ロンリー! 寂しいとかそういった感情は無いからロンリーではないな。
つまりあと1ヶ月の辛抱だ。 1ヶ月待てば俺は休暇を得られる。 1ヶ月なんて刹那だ刹那。 1ヶ月過ぎれば有給。 生きよう。 この刹那、遠き有給! ブラック企業かな?
俺は諦めが早い男。 鱗滝さんもニッコリの判断の速さで砂遊びを再開する。 ベルの視線を感じながら。
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「ソージは巨乳と爆乳のラインは何カップからだと思うデス? ちなみにワタシは最近また大きくなってきたデス!」
「…………(無視して骨格作り中)」
「そういえばソージはクレハに膝枕してもらってたデスけど、やっぱりアレデス? クレハの程よくムチムチな太ももは最高デス?」
「…………(腕の耐久テスト中)」
「最近サツキに触発されたのか、ハルカもお料理の勉強頑張ってるデース。 ソージも今度一緒にやるデス?」
「…………(折角だから山川のジオラマ制作中)」
「きゃー♡ 水着が外れて胸がー」
「…………(写メ中)」
「見ろや! せめて女の子のラッキースケベは見ろや!」
「さっきからうるっさいわボケ」
─────────────────────────
「お前邪魔しねぇつったよな? さっきから邪魔してばっかだよな? 何? お前もしかして阿呆少女?」
「ヒドイ!」
でも事実だし。
「ワタシはただ独り言を言ってただけデス」
「その言い訳は無理がある」
明らかに俺に問いかけてたよね? 最後の方無視に対して反応してたよね。 独り言じゃないよね。 俺のモノローグは独り言。
「でもほら! なんだかんだ言ってソージの作品も完成したデス!」
「それとこれとは別」
ちなみにヘカトンケイルはそのままだと自重で潰れるし立てないしで無理だったので手前に山を置くことで支え変わりにしました。 これ映そう。 バズりたいとは思わないけど。
「ならもうソージのやることは終わった……じゃあデートするデス! デート!」
「めんどいからパス」
「今世紀一くだらない理由で断られた!」
今世紀一さっきから塗り替えられすぎ。 新記録連発とか黄金世代かよ。
「俺はまだやることがある。 じゃあな」
「えちょ待っ────」
そう言って立ち上がって後にする。 次は何しようか。 釣りが出来ないのは痛い。
「ホントに置いてったー!?」
なんて声が聞こえたけど無視することにした。
ゴリラパーティ




