縁もたけなわつまんねぇからエンコなたわけが は?
「はいなーな、はーちゃん、きゅーう済を始めましょう」
「2の倍数ナベアツまだ生きてんのか」
前回のネタをベルが引き継ぎ(ネタ不足)つつ、ぐるぐる回るよタライ回しにされるよ首が回らないよ奏士くん。 奏士くん悲惨すぎ。 頭は回っても首は回らない。 物理的に。
という訳で頭を回しますぐるぐるぐるぐる…………酔った。
「さーいご!」
ピタリ10回転。 その間ベルは俺の背中にコバンザメ。 ピッタリとくっついておりました。 これ絵にしたら色々ヤバそう。
「こっちも終わりましたー!」
スイカを挟んで向かい、莇の準備をしていた頼金から声がかかった。
でも俺まだ獲物持ってへん。 もしかして「心の刀で切れ」とか「尽きぬ闘志を刃に変えて」とか言われる? 俺無理よ侍じゃないし侍だったとしても無理。
俺はね、理論上可能なら俺個人の技術に限れば容易に実現できるけど、空想系は無理。 どうやんだよ念じればいいのか? 俺闘いに対する渇望とか無いぞ。
とりあえず渇望は碑文設置か2ドローでワンチャン。 やばいよね今期。 復讐めっちゃ多いやん。 伝わりにくいネタは嫌われるけどこんなことでもネタにしないとやってられないからね。
「奏士ー」
悠ちゃんの声が遠くから聞こえた。 心の目(気配察知)で確認すれば、色々抱えて近づいてくる。 あの人俺が六刀流の使い手かなんかだと思ってんじゃなかろうな。 だとしたら人族として見られてないの誠に遺憾です。
「色々持ってきたから、手に合うものを選べ」
あ、そういう事ね。 「悠ちゃんなら有り得なくは無い」って思い込みがあった。 本当にやりかねないから何も言わないけど。
「先ずこれな」
「……なにこれ」
渡されたものを掴んで確認してみる。 細くて……短い。 これもしかしてドス? いやでもドスはもっと太いし角張ってる。 何よりこれは15センチ程しかない。 いくらドスでもこれよりは長い。
「水性ペン」
「なめとんのか」
ペンを砂浜に投げつける。 これでどうやってスイカ割れってんだよ。 キャップ外してやったらスイカの黒波が1本増えるだけだぞ。 しかも水性だからすぐに元通り良かったねじゃねぇんだよ。
「冗談だ。 ほら」
「お前これも同じ水性ペンだろ」
「ちっちっち……油性ペンだ」
「握らせるもの大喜利やってねぇではよ渡してくんねぇかな」
油性ペンはまたもや砂浜に投げつけられた。 油性ペンなら落ちないよやったねじゃねぇんだよ。
「しょうがないな……ほら」
悠ちゃんが差し出したものを手探りで掴む。
「……あれ?」
が、スカスカっと空を切る。 なにこれ? 掴めないんだけど。
「悠ちゃんちゃんと渡してよ」
「いや、それはバカには見えない棒だ」
「現在進行形で目が見えてねぇ人にやるか普通」
俺今視覚封じられた状態でものを掴むとかいうドキドキMAXソウルエナジーなことしてるからね?
「じゃあこれはどうだ?」
「おいこれもバカには見えない棒とかやるんじゃなかろうな」
「いやそれはバカには掴めない棒だ」
「同じじゃねぇか」
何も手に持ってないけどとりあえず砂浜に投げつける。
「じゃあ次のお題だが──」
「お前もう『お題』つってんじゃん。 認めたな? 大喜利やってんの認めたな?」
「打ち上げられた流木と墨で何かが書かれてるなんかの板、どっちがいい?」
「おいそれなんかの板じゃなくて塔婆じゃねぇか」
「なんで海にあるデス!?」
「……岬の身投げ」
「おい滅多なこと言うな。 悠ちゃんはこの塔婆を元の場所に返して手を合わせて謝ってこい」
「へいへい。 じゃあもうお前にこれをやろう」
そう言って悠ちゃんは何かの棒をくれた。 最初からこれくれよ。
……さっきの塔婆もそうだけど、悠ちゃんはどこでこれらを拾ってきたんだろうか。 特に塔婆。
「じゃあ始めんぞー」
向かいの莇に呼びかける。 クソ茶番のおかげで俺の三半規管は完全復活してるからただ歩いてスイカ割るだけの作業だけど、それでも致し方無し退路無し。 最近異形にハマってます。 性癖とかそういう意味じゃなくてデッキ構築的な意味で。ワンパンの快感は堪らねぇぜ。
「頑張るデースヨ〜」
「……白旗をパタパタして応援してる」
「頑張って綺麗に割ってくださいね〜」
「……が、頑張ってください……」
離れた場所からガールズの黄色い声援(精一杯の譲歩)が聞こえる。 1人はほぼ投げやりだし1人は応援してんのか降参してんのか分からねぇし1人は食う時の事考えて応援してるしやっぱダメだまともな応援が1人分しか聞こえねぇ。
「おい莇ー! もうめんどくせぇからお前がちゃちゃっと割っちまえー! 俺何も見えないからちょっとスイカ割れそうにないわー!」
「そうですかー!(中指を立てながら)」
「なんかクソムカつくけどなんも見えねぇわー! …………でもお前の指の骨50回くらい後で折る」
「絶対見えてますよねー!?」
というか、見えたとしても俺の獲物はなんかの木片だしこれ割れんのか? とりあえず左斜め128°距離9.6メートル地点に居るXY染色体のホモ・サピエンスの頭蓋骨で試そう。 隣に居るのは彼女かあぁ゛? 同じ女連れでもこっちとは天の果てと冥界の底程の差があるぞ。 悲しすぎて空を見上げ涙を零しそう。
まぁ俺は寛容だ。 海ってこともあるし、女連れくらいは見逃そうじゃないか。 でも見逃し料として心停止の刑に処す。 心停止だけにハツ音脈の消失つって。 相変わらず作者のネタの偏り具合は凄まじい。 最近シ○ドバネタとかめっきりしなくなったのちょっと寂しいとか思ったけどそういやつい最近やったわ。 圧倒的無駄な1文。 無駄度で言えば全てそうってマジレスは禁止。
「……なんだか先輩から不穏な気配を感じるのですが」
「……奏士の目線の先、カップル」
「まさか本当に実行する気デスカ!?」
「ちょっとやいのやいのうるさい。 今最適ルート割り出してるんだから少し静かにしなさい」
目隠しする前に記憶した砂浜の形状、波の到達距離、太陽の角度そして気温から、最も安全な位置を割り出す。 だいたいあそこら辺が一番砂が熱くなさそう。 あの辺をスイカ探すふりでフラフラして休んでよ。
「なんだ? まだやってなかったのか」
と、そこで悠ちゃんが帰ってきた。 ちゃんとシワとシワを合わせてきた? するのは錬成じゃないぞ。
「今真剣な睨み合いみたいなやつの最中だから待て」
「待たん。 お前、それを言い訳にサボるつもりだろう」
「…………するに決まってんじゃん」
「色々言いたいことはあるが、開き直るなよ愚か者!」
「黒教ネタとか伝わらないにも程がある」
今何年だと思ってんだ。 10年以上前とか伝わら────いやまだギリか? 少なくとも爆笑赤絨毯よりは伝わるはず。
「仕方ない……こうなったら、1つ褒美を追加しよう」
「褒美?」
「まぁ聞け。 莇もよーく聞けー!」
そう言うと、悠ちゃんは息を深く吸って腕組仁王立ち。君そのポーズ好きね。
「このスイカ割り、勝者には泉より頬キスの褒賞が需要される! 勝利条件はスイカの両断もしくは対戦相手の戦闘不能! 先に割った方の勝利とする!」
「……へあっ!?」
泉ちゃんから変な声が出た。 突然の参戦に動揺しまくりの泉ちゃん。
そして「先に割る」とは何を割るのか。 スイカなのか頭なのか。
「ちょ、ちょっとお姉ちゃ「それでは決闘開始ィィィ!」……あう」
悠ちゃんの開始宣言によりここは決闘場となった。 …………が
「……う、動かないデス」
「……2人とも凄い集中」
スイカと目隠し越しでも伝わってくる莇の気迫。 そして殺気。 こいつ……やはり不穏分子だ。 俺と泉ちゃんの幸せな今後の為にも今ここで処分しておく必要がある。
※ そんな未来は訪れません。 残念でしたべろべろば〜
…………なんか知らんけど今めっちゃイラッとした。 特に理由は無いけど莇の次は作者も消しておこう。
「…………」
「…………」
欲に目が眩んだ男が2人、今ここで対峙する。 負けないけど痛いのは嫌だから主人公補正で何とかならない? この世界に極振りシステム無いし。 作者はとりあえず知性に極振りするべき。 極振りしてこれなら俺も白旗振る。 たこ焼き好きなドリル愛好家ドラゴンの如き力強さで振る。
すり足で位置を調整すると、じり、じりと砂の粒が擦れる音が聞こえる。 踏み込みのタイミングを今か今かと待ち構え、その瞬間はお互い同時に訪れた。
「……っきし!」
「「──!!」」
それは誰かのくしゃみだった。 たかが一瞬されど一瞬。 その一瞬で駆け出し、一気に肉薄。 その移動速度は、「加速」が存在しなかったかの様に思えた。
「らァァァァァァァァっ!」
「はァァァァァァァァっ!」
俺が繰り出した横薙ぎの一撃、そして莇の兜割りが交差して凄まじい衝撃をうむ。
「なんで2人ともスイカを狙ってないデスカー!?」
「……両方ノックアウト狙い」
「どうせ、『良い機会だ。今始末してしまおう』とか考えたんじゃないですかね」
「見ろ泉。 あれが欲に目が眩んだクズ同士の醜い争いだ。 ゴミのようだろう?」
「お姉ちゃん! そんなこと言ってないで早く止めないと!」
「そうは言ってもなぁ……」
そう言って悠ちゃんは未だ止まぬ剣戟を繰り広げる俺らを指さす。
「おらァァァァっ!」
「あァァァァァっ!」
剣(木の棒) による攻撃を剣(木の棒)で受け、流し、反撃する。
獲物はそれだけじゃない。 この身も、砂も、海水すら武器に変える。
「っぅら!」
「くうっ!」
剣(木の棒)を使って砂浜の砂を目潰し代わりに飛ばし、怯んだ一瞬のスキをついて莇の剣(木の棒)を踏み付けて封じてから全身の筋肉フル稼働したスイングで首を狙う。
「ぁぁぁぁああああああ!」
「!?」
莇が全身の力を使い、俺が踏みつけた木刀を俺を乗せたまま持ち上げる。 急なバランス変動。 そして全力を込めた影響により、スイングを止めることも進路変更も叶わず莇の頭上数センチを通過する。
「っぐぅっ!」
「ちぃ!」
俺の全力の横薙ぎを間一髪避けた莇はそのまま俺を飛ばすように木刀を持ち上げる。 その次の意図に気付いた俺は後ろではなく横に飛んで回避する。
「っぶねぇな。さすがの奏士君でも足を折ろうとはしないぞ」
「最初に頭部を狙ってきた貴方が言いますかそれを」
軽口を叩きながら次の手を探る。 次はどう来る……
「──! そこ!」
「甘いわァ!」
莇の突きを体を捻って避け、続きの回転斬りも木刀を抱え込むように飛んで避ける。 反撃として回転の勢いを利用して棒を叩きつけ、そのまま連撃。
「くっ! ちょこまかとよく動きますね!」
「最近運動不足だったんでな。 俺の肉体美維持のダイエットに付き合ってもらうぞ」
「お断り、します!」
鍔迫り合いが解かれ、再び激しき劇が繰り広げられる。
それは、1つの嵐であった。
「……あの2人、ちゃんと目隠しして見えてないデス?」
「そのはずだが?」
「……見えてないのに、見えてる動き」
「無駄にハイスペックですねあのアホ二人」
「クレハはあの間に入れるデス?」
「…………めんどい」
「というか、なんでソージはただの木の枝なのに打ち合えてるデス……」
「……そんなことより、私が景品って……あうあうあぅぅ……」
俺はこの時、スイカ割りなんてどうでもよかったのかもしれない。 いや、最初からどうでもよかったんだけどさ。
「あァ"ァ"ァ"ァ"ァ"ァ"ァ"ァ"ァ"ァ"!」
「はァァァァァァァァァァ!」
俺はこの瞬間、鍛えた技を、力を、何もかもを全力で使える事に歓喜していた。
武術に限らず、どれだけ鍛えても、どれだけ強くても全力のは禁止されている。 それは競技ルールであったり、法律であったり。 「競技的全力」は許されても「殺意マシマシの全力」は禁止なのだ。
俺も、我流とはいえ攻護術(ほぼ喧嘩術)の師範代、あの家に来た時から今まで毎日鍛錬を積み、祖父には負け続けたがそれでも、鍛え続けた。
動悸なんてどうでもいい。「誰かを守りたい」「なんかかっこいい」「二度と失わない為にも……俺は戦う!」でもなんでもいい。 俺は強いことに憧れただけの馬鹿だ。
なんてそれっぽくやってみたが、要するにあれだ。
「オラァァァァァァァァ!」
「っぐぅ!」
お互い殺す気満々だと戦いは楽しい。 本気で殺れるって良いね。
「──っ! 入った」
「アオバの木刀が!」
「……勝ち?」
「いえ、まだです!」
「────ふんっ!」
「っがっ!」
莇の木刀を弾き落としたと思ったら、俺も手を回転踵蹴りされて落とされたぜ。 手が痛いっす帰っていい?
「あーもうこれ完全に折れたわ。 おい慰謝料払えよ」
「慰謝料なら貴方の死亡保険から幾らでも払ってあげます、よっ!」
「うーわあっぶなお前。 何? もしかして『俺は手癖も悪いが、足癖の方が悪い』とか言っちゃう質?」
「どこの誰ですかそんなこと言ってるのは。 私はただ、貴方に消えて頂きたいだけです」
「おいおい思いは同じとか相思相愛かよ。 じゃ、せめてもの情けだ。 お前の遺体はこんがりと外はガリッと中はべっちょりに焼いてやるよ」
「外焦げの生焼けじゃないですか。 私ブルーレアでお願いします」
「より生焼けだろ。 なんなら火は通ってねぇのと同じだろ」
ブルーレアって本当に軽く表面を焼いただけで中身はほぼ生って聞いたけど。 あれって腹壊さないのかしら。 生食用の肉使ってるとか? ユッケみたいに。 でも肉の生食って可能でも忌避するのって本能なのかしら。 ゲテモノに通ずるものがある。 フグの卵巣もそうだけど、何を思ったらあれを食おうと思うのか。 たぶんとち狂ってたんだろうな。
こんな冗談を言い合ってる間にも勝負は進む。 足使うとか反則じゃね?
「その顔面歪ませてからおねんねしやがれ」
「ありがたいお誘いですが、永眠は貴方1人でお願いします」
「悪いな。 俺は限界超えないと眠れないんだ」
「なら、今ここで限界を超えてくだ、さいっ!」
再び鍔迫り合いが解かれて距離をとる。 体力的にそろそろダルい。 俺は持久力が無いんだ。 早漏って意味じゃない。 俺は早漏じゃない。 多分。 きっと。
…………早漏じゃないよね? 短小早漏問題は永遠に解けない。 早漏はともかく短小は心が壊れる。 いや見せる相手居ないけどね。 男の股間もとい沽券に関わる問題だから。
「おい、そろそろスイカが温くなってくる。 次で最後だ」
「え、ええ……この炎天下でこれ以上は危険です」
お互い汗だく肩息ふらっふら。 炎天下・砂浜・全力全開のスリーアウト、莇ですら体力ごっそり持っていかれてる。
何より脱水症状間近で視界がぼやけてる。 今ならリア充陽キャを殴っても「顔が分からなくて間違えました」で済むかもしれない。
「すぅーーー…………っ!」
「はぁ…………っ!」
莇の深呼吸からの構えに対して、俺は脱力からの獲物を振り回してから構える。 俺流のルーティンみたいなもんだ。 何か技を出す前にやる集中行為、つまりはプレリュードみたいなもん。 俺流のプレリュードつって。 限界なのにやけに饒舌なのはいつもの事。
「……次で終わる」
「ど、どっちが勝つデス……」
「どっちでもいいから早く食べましょうよ〜」
「か、かかっ、買った方に、キッ、キス…………」
全ての殺気だとか殺意だとか殺人衝動だとか殺ちゃんをこの一刀に、次の一刀に込める。 全部合わせても全て同じじゃね?
さて、どう出る? 最悪と言っちゃあれだが、俺の身体はそれなりに丈夫だ。 骨折程度なら割と早く治る。
でも木刀当たったら痛そうだなぁ……覚悟を決めよう。 鎧に勝る覚悟を。 傷も痛みもってやつ。 泣かないようにしよう。 覚悟ちっせ。
「「…………」」
場を満たすは静寂。
静寂の枷に囚われた男がそこに居る。 お互いにバカな理由でこんなことやっていたが、最後となるとどこか物悲しい。 どっちかが力尽きるまでやっていたい感もある。 俺ってこんな戦闘狂だったか? キャラにないことをするもんじゃないな。 もっといつも通り知的で寡黙なクールキャラで行かないと。
はいそこのお前ー 自分で「知的で寡黙なクール」だと思ってるそこのお前ー
そうお前だよ。 お前自分でそう思ってるってことは、周囲はお前のことを「陰キャ根暗クソぼっち」って思ってるからな? ざまぁ。
あれ、なんだか弁慶並に突き刺さってる気がする。 特に理由は無いけど泣きたいからおうち帰る。 この方程式は絶対。
さて、俺もそろそろ集中しよう。 さっきまでは本のお遊び。 準備運動これ大切。 本当の意味で全力を出すのは一瞬だけ。
莇は俺のみを狙っている。 不慣れな環境下で散々動き回った事による体力と精神力の消耗、そして獲物の差を感じさせない俺の善戦によって莇の集中力の欠如が鍵だな。 ほんと、俺ってばすっごい。 暇潰しに剣術世界大会に出場してみようかな。 流石に予選敗退にはならんでしょ。 チャンバラの大会とかあるらしいし。
あ〜、でも俺ガチガチのルール内だとあんまし強くないんだよなぁ……「ルールは1つ!」とか、最低限のルールしか存在しない、所謂力比べ系は得意。 何してもいいのって最高。
さてさて、冗談はここまで。 首を鳴らしてっと……
\ゴキッ/
…………やっべ。 首イカれた。
\ゴキンッ/
…………やっべ。戻そうとしたらもっとイカれた。 さらば俺の頚椎。
「ーーーーふーーーーっ」
酸素を取り入れて〜二酸化炭素をはーく。 以上、「深呼吸」でした。
もう一度深く吸って吐いたら後は左手を添えるだけ。 メインディッシュは右手だ。 これだけ聞くとカニバリズム精神旺盛なヤバいやつみたい。
狙うは1つ。 玉のみ。 今莇を殺さずとも、後で拷問してから殺せばいい。 泉ちゃんの身の安全と俺の幸せな生活のためにも。
※ だから幸せな生活訪れねえって言ってんだろぶっ○すぞ。
え?
お互い決めのイメージは完了。 静かだ……
誰かが唾を飲んだ音が聞こえた。 周囲は他の観光客で賑わっているというのに、この空間だけ切り離された様に何も聞こえない。 さて、どう出る?
なんてモノローグで言ってみたが、俺は普通に歩いて近付く。 構えも解いて脱力。 さっきまでてんてこ舞いだったからね。 僕の心はピクニック。 悲劇の歴史で踊ってそう。
そんな俺の動きを察したのか、莇もスタスタと歩いて距離を詰める。
そしてお互いのクロスレンジ、棒の圏内で止まる。 莇が俺をかち割るのが先か、俺が玉をかち割るのが先か。
「へっくしっ!」
「「────っ!」」
先に動いたのは莇。 木刀を振りかぶって全力の振り下ろしを繰り出す。 逆燕返しだ。
「っ! 速い!」
悠ちゃんが歴戦の戦士みたいなことを言っているが、そんなもん無視無視。 俺ちゃん怖くてチビりそうよ。
でも長男だから我慢出来ました。 長男だからって凄い便利な言葉。 乱用されそうだけどそれが長男の特徴なんだからしゃーなし。
莇の振り下ろしが俺に届く。 だが、俺はまだ棒を振り上げていない。 俺の負け? いやいやお客さん馬鹿いっちゃ困るよ。 奏士くんこう見えても才能の塊よ?
「危ない!」
「──っ!」
「ちょっ!?」
皆が声を出す。 俺が泣き叫ぶと思ってんのか? だとしたら考えが甘い。 女のダイエットする覚悟より甘い。 言ったでしよ。「左手は添えるだけ」って。
莇の振り下ろしが当たる寸前、木刀に左手を添える。 正確には、「振り下ろす速度に合わせて移動させながら剣の腹にそっと添えて横に押す」 逸らすとも言う。
「なっ!?」
起動を変えられた木刀は、速度を落とさず砂浜にダイブ。 さすがの莇も全力の振り下ろしを急に止めるのは難しいだろ。
俺はその隙に体制を崩した莇から木刀を奪い、玉に向かって全力の振り下ろし。 力任せじゃない。 筋は通ってる。 力の流れ通りの振り下ろしだ。
「…………決まったな」
悠ちゃんが呟く。 タオルをとって確認すると、見事にスイカの玉は2つに割れていた。
「…………ふぅ、やられましたね」
莇もタオルを取る。 お互い汗だくだ。
1回やってみたかったんだよね。 達人みたいな軌道の逸らし方。 あんなんちょっと間違えばアウトだからね。 実際、
「そんなもん理論上可能なだけだ」って? おいおい馬鹿いっちゃいけないよお客さん。 「理論上」「可能」なら実現可能じゃないか。理論が間違ってない限りは実現可能ってことじゃん。
いやー莇相手によくもったぜ俺。 今日は宴会じゃ。 沿海で宴会じゃ。 ひじきパーティじゃ。 何そのパーティ。 どうでもいい豆知識として、ひじきを漢字で書くと鹿尾菜。
普通に考えて莇相手に勝つとか無理っち俺っち過ち一騎打ちつってな。 真正面のタイマンは御免こうむる。
「2人ともー! 終わったデース?」
遠くから様子を見ていたベル達が駆け寄ってくる。 揺れてるのはこの際言う必要は無いだろう。 あのサイズは肩こりそう。
「終わった終わった。 作者のボケが伸ばしに伸ばしたスイカ割りもこれで終わりだ」
「……さ、作者? 作者ってダレデス?」
「気にするな。 こっちの話だ」
まぁあの作者は後で消すこと確定してるし今更問いただす必要も無い。 後でまとめ払い。 支払いと相談は金貨1枚からとは言わずに血液でいいよ。 もしくは命。 大丈夫大丈夫ちょっとくすぐったいだけ。 痛みは一瞬だ。 多分。
「……スイカ」
「ちょっと待ってな。 今切り分けるから」
「ほぇー 木刀とは思えない綺麗な断面ですね〜」
「ただ殴ったんじゃこうはならん。 木刀の角度と力の入れ具合、そして流れに〜 「あ、そこら辺は興味無いんでいいです」は?」
何この後輩。 おボコボコにするわよ?
「ほら、スイカ割れたぞー」
「……スイカ」
包丁でスイカを人数分分けて紅葉らに渡す。 ちょっと温いのはご愛嬌。
「これがスイカ……日本のスイカは初めて食べるデス」
「そうなのか」
「これが初めて……ワタシの初めてをソージにあげるデス」
「是非ともスイカにプレゼントしてやってくれ」
「少し力を入れると赤いのがポタポタと垂れて……んっ、甘い蜜も溢れてくるデス」
俺は何も言わん。 ベルがただスイカに苦戦してるだけだから何も言わん。
「ソージ……んちゅ……これ種は何処に出せばいいデス?」
「種はそこに深皿があるからそこに入れておけ。 飲み込んでもいいが……まぁ生えてこないことを祈るんだな」
なお、スイカの種は飲み込んでもほぼそのまま排出されるから大丈夫。 体内に根を張ってスイカが実るとか宿主生きてられる状態じゃないからな。
「分かったデス……レるゥ……んっ……」
どうでもいいけどさっきからお前スイカの汁零しすぎじゃないですかね。 スイカの9割が水分でもそこまで出ますかね。 いや出るな普通に食っても口周りベタベタになるし。 ちなみに1番水分量が多いのはキュウリで、96%らしい。 スピリタスといいキュウリといい、最高は96%なのかね。 4パーセントの壁かよ。
と思ったけど、仮に100%になったらそれただの水だわ。 いや96%もほぼ水なんだけどさ。
「ともあれ、これにて終幕、か」
「何言ってるんですか先輩。 まだ残ってるじゃないですか」
「おいもう嫌だぞ俺は。 たまの休みくらいゆっくりしたい」
「願いが悲しすぎますが、そうじゃなくてですね……」
頼金はそう言うと、泉ちゃんのをグイッと引っ張って俺に差し出すように押した。
「はい先輩。 勝利景品の泉ちゃんのキッスです」
「…………」
「うわー何その『果てしなく要らねぇ』みたいな顔」
「まさしくその通りだが」
「は? いやいや、何先輩程度がわがまま言ってるんですか。 本来なら生涯、来世含めてこんな機会ありませんよ」
「おっとさりげなく俺の来世を同じにしないでもらおうか。 そうじゃなくてだな……」
こう、泉ちゃん最推しだからこそ邪魔したくないというか見守っていたいというか、人生に全く登場しないのは難しいだろうから適度に登場しつつ、顔を覚えられない程度に控えたいというか……
「まぁ要するにそういうことだ」
「すいません先輩。 説明を全部モノローグで済ませるのやめてもらっていいですか?」
「ぬ」
モノローグってのは中々不便だ。 謎の読心術を披露してくる時もあれぼ、全く活躍しない時もあるときた。 読め。 もっと読め。 俺はそろそろ表情筋とか顎の筋肉が疲れてきた。
「そういう訳で報酬は要らん。 俺としては莇の野望を阻止することが目的だから、それを達成した時点で俺の勝ちだ」
「まぁ男としては先輩負けましたけどね」
「なぬ?」
「真っ向勝負仕掛けておいて最後の最後で勝つために対象を変えるっていう卑怯極まりないことしましたからね」
「何を言うかと思えば……俺は最初からあいつと真っ向勝負する気はねぇよめんどくせぇ。端からスイカを割ることしか考えてねぇ。 だってこれは『スイカ割り』だぞ? 割らなきゃ損だ」
「へー…………じゃあ次の新聞にはその言葉載せておきますね。『どんな手を使おうとも勝ちが全て、敗者は要らねぇ』と」
「ほうほうなるほどさっき『記者やめろ』と言ったのをもうお忘れか」
こいつを記者会から永久追放するべきなんじゃないだろうか。 でも追放したら強くなって帰ってきそう。
「えっと……ということは?」
「泉ちゃん。 先輩は腰抜けクソ野郎だからキスはお預けだってさ」
「酷い言われよう」
いいのかそんなこと言って。 泣くぞ大の大人が。 しかも男が。 うわぁーんわんわんおーいおいおいおーいおいおいオ○リオ。 急にサラダ油になった。
「泉ちゃん的にはどう? やっぱり『景品』っていう免罪符があるならって思ってたから残念?」
「ち、千聖さん!」
今の会話は聞かなかったことしておこう。 奏士くんは記憶消去もお手の物。 だって記憶力RAMだし。
「悠ちゃんも食うか?」
まぁそんなことよりスイカですよスイカ。 割ったらすぐ食べよう。
「いや、私はいい。 この後飯だしな」
「そうか」
悠ちゃんは要らないらしいので俺がスイカをパックンチョ。 うーん、木刀を消毒していたとはいえ、何度か砂にぶち込んだから心配だったが……うん、砂の感触は無いな。 割った時入ったらどうしようかと思った。
スイカの種機関銃ってことで、皿にぷぷっと吹く。 スイカの種って黒い固形と白くてクソ薄いやつがあるよね。 あれって白が未受精未成熟の奴で、黒が受精済みの奴らしいよ。 つまり白いやつは童貞。 もしくは卒業時に中折れ中断ボーイ。
…………俺が卒業する時は中折れなんて情けない真似はしないようにしよ。 いつ卒業かはともかく。 なんか風呂とかOKデルとかで卒業は色々負けな気がする。 やっぱりこっちが相手に初めてを求めるなら相手にも初めてをあげたいよね。 相手? そんなの居るかよ。 絶対にドールでは捨てん。
まぁ俺の俺がいつまでも虫取りしてる話はいい。 カブトムシと戯れる。
なんかあれだよね。 虫ってもう触りたくないのにカブトムシは触れる謎。 あれかな、ツノっていう硬い持ち上げ部位が存在するからかな。 クワガタは持つところないのでアウト。 そしてカブトムシでも他の外殻を触ると思ったより気持ち悪い感触で涙出る。
あれ、なんの話をしていたっけ。 そうそうオブラートの包み方についてだ。 オブラートってクソ不味い。 せめて何かしらの味をつけて欲しかった。 粉薬のイチゴ味に通じるものがある。 イチゴ味じゃねぇじゃん普通に苦いしクソ不味いし粉薬じゃなくてなんか溶けてる薬じゃん。 大人だって注射は怖いし粉薬は飲みたくない。 何より確定申告したくない。
「そういや昼飯はどうすんの?」
「昼飯か? それなら海の家で食うぞ。 BBQは夜だ」
「……飯代は?」
「無論、ワタシのポケットマネーだ」
「学園持ちじゃないんだな」
「どうせ大して変わらん」
「そう言えるのがすげぇよ」
学園の金庫も財布も変わらねぇってか。 伝え方によっては誤解されかねないなこれ。 そんなことより金あるなら寄越せ。 俺は稼いでも稼いでも金が足らん症候群、通称無金症候群を患っているんだ。 ちゃんと使って貯めて稼いでいるのに金が足らんと思ってしまうの不思議。 まぁ可能な無駄は減らしたいし。
「…………そろそろか」
スマホで時間を確認すると、もう昼時。 ちょうどスイカ食って食前の胃慣らしはできたし、運動(?)もしたから腹も減った。 海の家の不味くて美味い焼きそばでも食おうかしら。
「お前らスイカは食い終わったか? ならそろそろ昼飯のするぞ」
「……ご飯?」
「そうだ。 飯代は気にするな。 存分に食え!」
「いえーい! 理事長太っ腹!」
「……ヒューヒュー」
「ユウはデブデース!」
「ベル、それ意味違う」
どことなく上機嫌の紅葉と、ここぞとばかりに悠ちゃんを持ち上げるガールズ。 そして荷物を持たされるメンズ。 悠ちゃんが拾ってきたこの棒邪魔なんだけど捨てちゃダメ?
「ところで奏士殿。 この木刀異様に重くないですか?」
「そうか? まぁ気にするな」
「気にするも何も、何やら持ち手部分に分かれ目があるのですが」
「だから気にするなって。 ただの分解機能だ」
「分解機能って……光を反射していますし、波打ってる模様が見えるのですが」
「いいか莇。 これは仕込み刀ではなく木刀だ。 お前は何も見なかった。 それでいいな?」
「……やっぱりこれ「2度言わせるな」……分かりました」
それでいい。 決して、俺が木刀と仕込み刀を間違えて持ってきたとかそんなんじゃないことは今証明された。
「……飯か」
何気に人生初の海の家だ。 漫画の取材に行った時は周囲の写真撮ってちょっと店内見て確認しただけだったし、緊張するなぁ……緊張しすぎて胃に穴が開きかけそう。 そこまで来たなら開通して良くね? いや良くねぇな俺の身体だ。
本当に海の家の焼きそばがゴムみたいなのかは後で確かめるから別にいいとして、想像の海の家と現実の海の家がどう違うのかが気になる。 想像は現実ベースだからほぼ同じなのか、それとも全く違うのか。
気になるなぁ……きになりすぎて万有引力発見のお手伝いできそう。 あれ俺って林檎だっけ? ンゴだけならあってる。 今思えば、小中の先生が言う「掲示板に書き込んじゃダメよ」って2chのことだったのかもしれない。 今は5chか。
さーて飯だ飯。 観光地特有の「クッソ割高な飯」を他人の金で食うなんて最高だね。 いつだって「他人の金」は素敵な言葉。 「会社の金」も同じ。 「経費」も好き。 他人のお金で焼肉食べたーい。近場に無いけど叙○苑とか。 金額的に厳しいなら安い人肉でもいい。 カニバリズム思想復活してるって。
(※ 今更ながらスイカ割りは場所を変えて安全な場所で行っておりました)
※ 作者謎の失踪と血痕の発見により後書きは控えさせていただきます。
ただいま戻りました。 危うく殺されて食われるところでした。 こんなところにもカニバリ思想が。
そんなわけで久々のまともな後書きです。 1回でもまともな後書きを書いたかどうかは今指摘されると困ります。 私語厳禁ですよ。 私的な指摘も厳禁です。 お支払いは現金かクレジットカードもしくは内蔵で。 内蔵でのお支払いはお釣りが大変そうですね。
というわけで海です。 スイカ割りです。 スイカ割る前に首の上のスイカ割りしてますけどスイカ割りです。
今更ですが、作者は海水浴に行ったことはありません。 暑さとリア充への憎しみでそっと国土錬成陣を起動しそうになるので。
一応舞台のモデルは大洗サンビーチとなっていますが、話の都合上、多少の地形変更はあります。 海の家の内装もちょっと変わってます。 まぁそこはイメージで何とかしてください。 私は模写しか出来ないので挿絵不可です。
そんなことより、海ですよ。 繰り返します海ですよ。 3度言いましょうごはんですよ。 あれ、変わった。
ダラダラと書いて進めていたらまだ海に来て1日も経過してませんだからあれほど毎日書けと言ったのに……眠いんです仕方ないんです。 春眠暁を覚えず、暁って漢字でどう書くのか覚えてません。 嘘です覚えてます。 暁と書いてさとると読みます。 あかつきとも読みます。
小話を挟みますが、登場キャラ(主に奏士)が時折私のことをボロクソに言いますが、以前に話したとおり、これはメタ発言等ではなく奏士の脳内設定です。 暇つぶしとも言います。
ですが、いつか短編的なもので奏士と誰か(多分頼金が最有力)の掛け合いオンリーの回をやりたいですね。
そして私をボロクソに言った時モノローグみたいな感じで「え?」って言うやつです。 登場キャラのくせに創造神たるこの我に容赦ありません。 嘶いてもいいですか? ヒッヒッヒヒーン!
他にも色々と書きたいことあるのですが、このままだと『本編より後書きの雑談に力を入れる作者』ってレッテルがつきそうなので次回以降にしておきます。 七夕の笹のようにレッテルという名の短冊だらけかもしれませんが。
というわけで次回から本気出します。 私の本気近日公開予定! お楽しみに! 鼻の穴ほじくってよーく寝とけよ! それただの呼吸改善。 鼻詰まりと花粉症は寝ている時窒息死かけるので、どんなに嫌でも花粉症の薬は飲みましょう。 作者はそれで今年3回死にかけました。




