街の駄菓子屋のばあちゃんって妙に距離感が分からない。 なんで無言でニコニコしてんの?
夏。 それは天国と地獄。 ヘヴン&ヘル。 シャングリラとパーガトリーである。 どうしよう、どれも意味対して変わらねぇ。天国が理想郷かはさておいて。
とにかく、学生にとって夏というのはとても重要な季節なのだ。 部活、恋愛、趣味、稼ぎ時。 一分一秒刹那すら無駄にできないのだ。 現に俺は毎日がエブリデイだから年中無休で予定がびっしり。
だってのに……
「なーにやってんだろうな……俺」
初日を駄菓子屋で過ごすのはどうかと思う。 はいOP入りまーす。 んなもんアニメ化してから言え。
おいそこのお前、「まだ書籍化すらしてないだろ」とか言うな。 そんなこと言うならお前をポストにぶち込むぞ。 赤いやつじゃなくて海底の。
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事の始まりは、俺が部屋で1人サムスピ王者決定戦をしていた時のこと。 1分1秒刹那を無駄にしてるとか言わない。 もったいないお化けは祓っておいたから出ませーん。
\どすこーい! どすこーい!/
「あん?」
スマホが鳴ったから電話に出てみると、駄菓子屋のババアからだった。 まだ生きてやがったのかあのババア。 はよ遺骨になれ。
「何の用だババア」
『開幕からババア呼ばわりとはとんだバラガキだよ』
これも1種のコミュニケーションである。 ツンデレの相手は疲れるぜ全く。
『あんた……今日暇かい?』
「店は手伝わねぇぞ」
『……話が早いのは助かるけど、早すぎて振り切ってるんじゃないよ』
「じゃあそのまま周回遅れで進めるぞ。 俺は暇じゃない。 人手が欲しいならバイトを雇え」
『んな連日の人手なんか要らないよ。 ここ数日の人手があればそれでいい』
「それこそ俺以外に頼めよ。 俺は無理でも、紅葉ならイけんじゃないのか?」
『残念だけど、力仕事があるから紅葉ちゃんには頼めないねぇ。 何より、あの娘目的でバカが集まってきそうだ』
その紅葉は俺より力が強いんですけどね。 馬鹿力的な意味で。
でもそうだな。 紅葉に悪い虫が着くのは困る。 漫画の絵を描いてもらわなきゃ。 俺に紅葉の恋人云々に口出しする権利は無いけど。
『とりあえずあんたは店に来な。 飯食ってるならかっこんで来な 』
それだけ言われて切れた。 あのババア人に物頼む態度じゃねぇな……店に着いたら引導プレゼントしてやろうか。 遺影はババアの無様な死に顔仕様。
「な〜(どっか行くのか?)」
「おう重政。 ちょっとババアぶち殺してくる」
「な〜(俺の昼飯は置いてけ)」
「……りっかい(了解の意)」
片手で重政をもふもふしながらもう片方の手で重政の皿にフードを盛って蓋をして部屋を出る。 今日は重政をモフりながらゲームして過ごそうと思ったのに……やはり紅葉を連れていこうかしら。 客引きパンダとしてじゃなくて、力要因として。 紅葉は絶対パワータイプ。 緑色のディスクだ。 竜巻相手に呼び出したい。 このネタ伝わる人少なそう。
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「来たぞババアー」
店の自動ドアを潜って店に入り、いつも通り店そっちのけで競馬を見ているであろうババアを呼ぶ。 しかし反応は無い。 まーた盛り上がってんな?
「はよ出て来いやババアー!」
これでも反応は無い。 いつもならこれで逆ギレして怒鳴ってくるんだが。 ふむ。
「入んぞー!」
靴(草履)を脱いで店の奥のババア宅にあがる。 もしおっちんでんなら俺としては気分上々のパーリナイだ。
今更ながら俺、よくもまぁ裸足に草履でチャリ漕げたな。 すげぇ。
そういや、草履って現代だとサンダルと同じ分類なのかしら。昔は一般靴だったけど。 草履で海とか行ったら砂ヤバそう。
「……居ねぇな……」
まさか店開けたままどっか行ったのか? 人呼んどいて。 帰ってきたらババアの腰骨をこう、親指と人差し指で摘んでクイってしてやる。 『クイっ』ってのは、端的に表すと関節を外すことを意味する。冗談奥義《柊》と名付けよう。
「……あ、居た」
最奥にあるボス部屋……もとい寝室に入るとババアがまだ生きていた。 ちっ……この店売った金で泉ちゃんに給料三ヶ月分の指輪でもプレゼントしようと思ったのに。 俺の3ヶ月分の月収とか指輪の値段がやばい事になりそう。
まぁこんな廃屋寸前ハイオク満タンオイルOKな店じゃあ売っても金は微々たるものだろうけど。
「っててて……」
ババアは腰に湿布を貼って横になっていた。 涅槃? ニルヴァーナ? ニルヴァーナの響きのカッコ良さヤバい。 『意味:涅槃』だけど。
「ババア、生きてっか?」
「まだ死ぬ気は無いよバラガキ」
どうやら動けない状態でも減らず口は達者な様子。 なんだ今なら殺れるじゃん。 動けないババアが最後に暴言吐いてくたばるのをこの目で見られるのか。 おいおいおいこいつ殺すわ。
「で、呼んだ理由を聞かせろ。 簡潔且つ10秒以内だ。 1文字につき300兆ジンバブエドル払ってもらう」
「価格設定がだいぶ良心的と思ったけど日本円に換算すると1文字1円じゃないか」
「だから1字1句選んで喋れ」
「……なんでこんなテロリストみたいな奴を呼んじまったんだあたしは……」
ババアは布団に横になりながら理由を話す。 要約すると、「腰をやって動けないから代わりの店番をしろ」との事。
「…………」
「あんた、どうしたんだい口を抑えながら震えて」
「いや……ちょっとな」
まさかこのババア、俺に頼むしかないくらい友達も知り合いも居ないとは思わなくて哀れでな。 今ここで嘲笑っていい?
「店番は何時間だ?」
「今から夕方6時半までさね。 店番つっても、どうせ搬入の手続きと夏休みで浮かれたガキ共の会計くらいしかやる事無いからただ座ってるだけで結構だよ」
ふむ……今が昼飯食った後の午後1時。 ざっと6時間勤務か……駄菓子屋のバイトなんて貴重だし、漫画にいかせるかもな。
「何日間?」
「今日と……明日、いや明後日まで。 私の腰次第だよ」
「不確定要素でっか」
ババアの腰次第とか、人外のババアが腰やる程の事なんていつ治るか分からないじゃないか! 人間辞めてるから人間用保険効かないだろうし。 死亡保険降りなそう。
「報酬は?」
「返事する前に報酬の話かい。 爺さんに似て用心深いねぇ……合計して500円まで駄菓子でもアイスでもなんでも食いな。 在庫管理があるから、食ったもんの読み取りはしておくんだよ」
バイト代やっす。 6時間で500円とかまねきねこの早朝パック(+ドリンクバーと1人料金)かよ。早朝パック3時間しかないけど。 経験がプライスレスつっても限度があるだろ。 つーかプライスレスって要するに0円だし。 笑顔かよ。 俺はスマイル浮かべれば良いんですかぁ
「おい時給は幾らだ」
「それと煙草を買いに来る客も居るから、そんときは銘柄表を出してやりな。 タバコはカウンターの横の棚に置いてあるから、あんたは吸うんじゃないよ」
「俺は元からタバコ吸わねぇから時給は幾らだ」
「あ、後酒は売ってないから新規にはそれも伝えてやんな」
「いやだから時給……」
俺が時給の話をする度にババアは話を変える。 こいつさては無銭でこき使う気だな?
まぁ、うん。 駄菓子屋勤務はちょっと興味あるからやるけどね。 元々今日一日はゲームして過ごす予定だったし。
今日は原稿明けの休息だったし、息抜きできるなら別にいい。 ヤダ、あれだけ文句垂れといて結局引き受けちゃう俺って働き者。 社畜適正ありよりのあり? 社会不適合者だから社畜もクソもないなしよりのなしです。
ヤダ。 絶対働きたくない。 会社勤めヤダ。 アルバイトもしたくない。 完成された輪に入りたくない。 ボクちゃん対人メンタル弱弱なの。 世は弱。 独特な一人称で自虐する人になっちゃった。
「よし、良いだろう。 今から3日間引き受けてやる。 詳しいことはその場その場で聞くから起きてるか声が聞こえる場所で寝てろ」
「…………」
「どうしたババア。 人ならざるものを見たような顔をして。 そんなもん鏡見れば何時でも見られるだろ」
「ああやっぱりいつものクソガキだ。 つーか誰が魔神だよ!」
「いやそこまでは言ってねーよ」
ランプに封印してやろうがクソババア。 もしくは壺。 呼び出しても「願いを3回叶えろ」って言われそう。 速攻廃棄だろそんなランプ。 溶かして金細工に変えてやる。
「あんたが手伝うなんて、珍しいこともあるもんだねぇ」
「別に、今日は予定に融通が効くだけだ」
なんてことを言うと悠ちゃんは俺を「男のツンデレ乙」とか言ってくるが、俺はツンデレじゃない。 ツァンデレでもない。 禁止カード使ってくるヒロインじゃない。
そう、俺は言わば────
……
…………
………………
特に良さげなの思いつかなかったからパス。 よし、これで50文字くらいは稼げた筈だ。 最近総文字数が5000とかに落ち着いてたからな。 8~9000まで戻さないと。 いや思いつかなかったのはマジ。
まぁあれだよね、うん。 俺もなんだかんだ人に甘いってことだ。 普段厳しいこと言うのに心の深層はベタ甘とか俺は孫バカな頑固ジジイか?
「じゃ、とりあえず3日間、店は任せるよ」
「はいよ。 納品は書類に判子押せばそれでいいから、後はそこら辺に置いておきな」
「はいはい」
横になりながらテレビを見るババアをその場に放置して部屋を出る。 あ、そういや……
「おいババア」
「ああん?」
「なんで腰やったんだ?」
「パチンコの景品持って変える途中で限界が来た」
「やっぱ帰っていい?」
腰弱すぎんだろババア。
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「はぁー」
やる事が無さすぎて椅子に座ったまま息を吐く。 だーれも来ない。 いや来なくて結構だけど。
幸い、この店は環境問題に真っ向から逆らう決意の如くクーラーガンガンで暑さは感じない。
何より静かだ。 静かで狭い場所は好き。 レジの椅子もババアが座る為か、すげぇ座り心地いい。 これやっぱりゲーミングチェアじゃね? 前回はこんなの置いてなかったよな……
夏休みに駄菓子屋に来る奴なんて午前午後通して遊ぶ近所のガキ共しか居ないだろう。 そのガキ共も、駄菓子屋に来るのは小腹が空いてくる午後3時頃。 あと1時間ある。
何より、今どき外で遊ぶ奴なんてそうそう居ない。 温暖化で夏はクソ暑い。 外で遊ぶくらいならクーラーの効いた室内で遊ぶだろうし、家なら菓子もジュースもある。
つーか現代っ子はネット対戦とかだろどうせ。 俺外でサッカーして遊んでる奴見た記憶ねぇぞ。 俺誰かとサッカーした事ないからどこでやるのかは知らないけど。
はーどうか誰も来ませんように。 無客希望。千客万帰。
しかし次の瞬間、希望は儚く潰えた。 儚いからこそ希望とも言う。
店のドアが開く音がした。 納品にはまだ早い。 客か……店から追い出せ追い出せ。 客を蹴っちゃう。 客をキックつって。
「えらっしゃっせー」
椅子のローラーをシャーってやって客が見える位置まで移動する。
「うごっ!?」
途中でローラーがなにかに躓いて転んだ。 すげぇ痛い。
「ってて……」
「…………」
カウンターに手をついて立ち上がる俺を、その客はバカを見る目で見つめていた。 つーかなんか喋れよ。
「お客様、当店では店員を見下すようなサービスは行なっておりません」
「…………」
更にゴミを見る目をしてくる客。 だからなんか言えよ。
「……コホン。 何の用だ紅葉」
誤魔化すように一咳して、銀髪の客────紅葉に問う。 こいつ夏休み初日なのに駄菓子屋に顔出すとか暇なんか?ブーメランはミニガンで蜂の巣にした。
「……お買い物…………だけど帰ろうか迷ってる」
「俺は帰宅を勧める」
むしろ大歓迎。 花の女子校生が寂れた駄菓子屋なんかに来てんじゃないよ。 漢字は間違ってない。
「…………」
紅葉は無言でキョロキョロと辺りを見回す。 何? 万引きする為に物色してんの? 店員の目の前でなんて大胆。
「……おばあちゃんは?」
「……あ、ババア探してたん? ババアなら腰やって横んなってるぞ」
奥を親指で指すと紅葉が覗き込む。 ババアは今テレビのあるリビングで横になってるから、こっから見える筈だ。
「……大丈夫?」
「いつも通りギャンブルの後遺症みたいなもんだから気にすんな」
紅葉はあっさりと頷いた。 意外と淡白。 卵の白い部分は卵白。 近所のガキ共腕白。 俺の腕も白い。
「で、何をご所望だ?」
「……コギト・エルゴスム」
「合言葉言われてもウチ裏商店とかやってねぇから」
後それデカルトの言葉だろ。
「……見てていい?」
「ごじゆーに」
紅葉は棚の駄菓子をじーっと物色する。 俺は椅子の背もたれに寄りかかって仕事用の携帯を弄る。 そういや瑠姫さんからメール来てたな……
「……奏士」
「あん?」
10分ほど仕事のメールを返していると、物色中の紅葉から声をかけられた。 どうでもいいけど、この位置からだとしゃがんでる紅葉のワンピースから谷間が見える。 I型の。
そういや、寄せてない胸は谷間がI型になって、寄せてるとY型になるって聞いたな。 俺はぶっちゃけるとY型の方が好き。 あの谷間に入り始めの胸の形が変わってる部分が凄く好きです。
「……これ、在庫無い?」
「どれよ」
カウンターから出て紅葉の所まで行く。 紅葉が指さしてたのは、みんな大好きシガレット。 俺も好き。
「あー……ちょっと待ってろ」
在庫表を確認する。 あーはいはいなるほどね。
「えーと……それは今日の搬入で追加されるな。 だからそれまではそこにあるので全部だ」
まぁ全部(25箱)あるんですけどね。 お前仕入れでもする気か?
「……じゃあそれまで待つ」
「いや帰れよ」
「……私はあ○ん」
「お前はあみ○じゃなくて愚民だ帰れ」
なんて返しをしたら紅葉にアイアンクローされました。 あれ、俺もしかして頭蓋骨粉になってない? 俺のビューティフルフェイスが不細工になったらどうすんだお前。
「……そんなこと言う店員は、私が成敗する」
「どこの厄介正義マンだお前は」
「……奏士が他のお客さんに同じ対応しないか心配」
「安心しろ。 俺が特別扱いするのはお前だけだ」
「……嬉しくない特別扱い」
はいひっさびさのジト目頂きましたぁーっ。 いやーほんとひっさびさですよね。 それもこれも作者が忘れてたのが悪いんだけど。
「……後純粋に暑い」
「お前そっちが本音だろ」
現在時刻14時、気温37℃の猛暑だ。 この店は避暑地である。 というかこの時間に家から遠いこの店に来た理由が謎。
「……という事で失礼」
「ん? おい」
カウンターに肘ついて対応してたらお客の紅葉が内側に入ってきました。 ちょっとお客さん困るよこっち入られちゃ。
と思ったが、紅葉は侵入早々キョロキョロと何かを探す。 何探してんの? 生きる希望? とりあえず絶望しときゃ残ったヤツは希望だろ。 蜂以外。
「……椅子が無い」
あ、椅子探してたのね。 まぁ俺は椅子の場所を知っているけど2人はキツいから渡さないがな! 俺が自由に過ごせないし。
「……これでいい」
何を血迷ったか、紅葉ちゃん俺を椅子と勘違いしちゃった。 俺そんな趣味無い……とは言いきれないけど少なくとも2次元と泉ちゃん以外には無い。 多分。
「俺は椅子じゃねぇ」
「……奏士が退けば万事解決」
「控えめに言ってお前の脳細胞死滅してね?」
紅葉に肘打ちされた。 肝臓の辺りに。 クソ痛ぇ。 避けられないこの状況で急所狙うとか鬼め。 まぁペンネームが鬼由来だからあながち間違ってないけど。
「……涼しい」
「俺は暑い」
紅葉が背もたれに背を預けてきたから、自然とその間にいる俺が受け止める形になる。 紅葉の体温高い。 おこちゃま体温め。
と、紅葉がモゾモゾと動いている。 痒いの?
「……大きくなってる?」
「その手には乗らん。 お前で興奮するほど俺は落ちてない」
「……その発言はムカつく」
「逆ギレ怖」
紅葉のわがままにも慣れるのって、俺も成長したなぁ……寛容マジ寛容。
紅葉と嫌々同じ椅子に座っているとさすがに暑すぎる。
電気代の事は俺の金じゃないから考えずに扇風機のスイッチを入れると、紅葉がファンの前で口を開けた。
「……あ゛〜〜〜」
「扇風機で遊ぶ子どもか」
「……エアコンには無いボイスチェンジ機能」
「その機能偶然の産物だから」
「……わーれーわーれーは〜〜」
「宇宙人か?」
「……ちきゅうをせーふくしたー」
「もう手遅れだった助けて」
支配したのはかつて不知火が侵略宣言した部族か? 紅葉も同族説立証か? とりあえず立ち上がろう。 侵略には革命じゃ。 シールド0で奥義発動じゃい。
つーか髪邪魔! 紅葉の銀髪邪魔! 扇風機の風でめっちゃ靡く。 消したい。 もしくは纏めろ。
そうこうしてると時刻は午後3時過ぎ。 そろそろガキ共が来る時間だ。
「「「ばあちゃんこんちゃー」」」
「らっせー」
本日最初のお客はガキ共3人。 今日も日焼けしまくり汗ダラダラでのご来店だ。
「あー! 奏士が女抱いてるー!」
「誤解を招く発言は寄せクソガキが。 潰すぞ」
「相変わらず口わりーなお前。 お前がそこに居るってことはばあちゃん居ねーの?」
「口わりーのはてめぇだろ。 ババアなら奥で休んでる。 今日は俺がここの主だ。 ひれ伏せ愚民ども」
「いい歳した男が遊ぶ友達も彼女も居ねーのかよ寂しー!」
「お前幻想見てられんのも今のうちだぞ? どうせ後5〜6年したら現実見んだよ自然と結婚できるわけじゃねぇんだぞ」
「非モテの僻みじゃん」
「ぼっちの妬みだね」
「陰キャの嫉みかっこわりー」
「いいかクソガキ共。 言葉のナイフは本物より傷をつけることを良く知っておけ」
まぁ元々独り身を気にしてない俺には効かないがな。 強いて言うなら肺をぶっ刺されたくらいか。
「なんも買わねぇなら帰れてめぇら。 人をボロくそ言うだけならクラスのあけみちゃんにこのこと漏らすぞ」
「おいやめろー! それだけは……それだけは勘弁してくれ! このとおりだ!」
「本当に居んのかよあけみちゃん。 後そのセリフは土下座する流れだろ」
「お前……小学生の土下座が見たいのか?」
「ん? 正直クソ生意気な奴が俺に言い負かされて泣きながら土下座してるのを見下すのは好きだぞ?」
「おいやべぇよこいつ……色々歪んでるよ……」
ガキ共3人が集まってヒソヒソやってる。 なんだよ悪口はちょっと聞こえるぐらいの声量で言うのが常識だろ。
と、俺の膝の間に座ってリクライニングしてる紅葉が後頭部で頭突きしてきた。 何? 面倒だからって後頭部を使うな。
「……誰?」
「近所の小学校に通うスポーツ大好きクソガキ3人だ。 名前は知らん」
どうせ今回限りのゲストキャラだろうし、誰も気にしねぇよ。 作者も考えてねぇし。
「タケだよ!」
身体中絆創膏だらけの短髪ボーイが叫んだ。 こいつを野球小僧と呼ぼう。
「ミツだよ!」
黒髪ショートボーイが叫んだ。 こいつをサッカー少年と呼ぼう。
「ヨウだよ!」
こいつは────作者が容姿を考えてないからなんも分からねぇな。 スキンヘッドだし、流星ボーイと呼ぼう。 引き返せないぜ。
「あーうるせうるせ。 ぽっと出のキャラが無駄に行稼ぎに貢献すんじゃねぇよ。 俺の出番が減るだろうが」
読者は紅葉の出番を求めてるんであって、汗臭いクソガキの出番は求めてねぇの。 知らんけど。
「まぁ奏士の頭がおかしいのはいつもの事か……じゃあこれ、会計よろしく」
「あ、僕のも」
「俺のもー」
タケ・ミツ・ヨウが一斉に駄菓子をカウンターに置く。 おい邪魔だ。 ミツとヨウ邪魔だ。
※ 先程呼ぶと決めた名はクソ長いから却下されました。
「これ会計バラか?」
「あーどうする?」
「纏めて会計でそれぞれ必要分だけ出す?」
「おいお前ら会計時の面倒な団体客みたいなことやめろ」
こういう予め支払いを『決めない・用意しない・ドラゲナイ』な客って迷惑だよね。 みんなも気をつけよう!
「じゃあ俺から会計してくれ。 ほら」
「あいよ」
他2人の商品を端に退けると、タケが500円玉1枚をカルトンに置いた。
「ちょっと待ってな……えーっとスキャナスキャナ……」
バーコードリーダーを探すが見当たらない。 あれまじで何処だ?
「おいババアー! バーコードリーダーどこだー?」
「んなもんあるわけないよ! 駄菓子屋なら店にある商品の価格全て覚えてるもんさ!」
「なんて不親切な駄菓子屋!」
しょうがねぇから一覧表で一つ一つ確認しながら値段をレジに入れる。 あのババアマジで不親切。 用意くらいしとけよ……
「えーっと……357円だ。 お釣りだりいから57円出せ」
「それくらい頑張ろうぜ……」
タケは渋々財布から7円出す。 こいつ50円出さないのは嫌がらせか?
「はい、お釣り150円。 袋要るなら3円追加だ」
「それは払う前に言えよ!?」
なお、この間紅葉は何もしてない。 普通に動き辛いし邪魔!
「ちょ、ちょっと紅葉退け。 邪魔だ」
「……めんどくさい……」
一向に動く気配が無い紅葉ちゃん。 くたばれ。
動かない紅葉は”今は”放置して、残り2人の会計も終わらせる。 最近のガキは金持ちだな。 ちらっと見えた財布の中には野口が5枚入ってた。 俺がガキの時はそんなに持ってなかったな……
まぁ今はその数百倍以上持ってますけどね!
「…………で」
「……んにゅ……」
「これどーすっかなー……」
人に背中を預けてすっかり寝こけた紅葉の肩を掴んで揺する。 目覚める気配は無い。 ならば○ざめるパワー! 俺の個体値的にタイプは……計算めんどくさいから有志でよろしく。
「おーい」
「……にゅぅ……すー」
「マジで寝てやがる」
今の紅葉はワンピース1枚。(その下は知らん) クソ暑い夏でも、クーラーガンガンな低気温空間のここでそのまま寝るのは風邪を引くかもしれない。 正直ここにいても戦力外だし、奥で寝かせよう。
「紅葉ー……ちょーっとだけ触れるが、訴えるなよ? そうなったら抵抗するで? 示談金で」
「……んにゃぅ……」
今のを了承の返事と認識して、一先ずは前に座る紅葉の肩を掴んで起こす。 落ちないようにお腹に手を添えて。 肩出しワンピースなのに日焼けしてねぇ……たぶん紅葉の事だから日焼け止めとか塗ってないだろうにこの白さ。 凄い。 体質なのか?
「……んっ……んん……」
腹に添えた手が服越しに少し腹に当たった瞬間、紅葉が変な声を出した。 起きてる気がするのは気の所為か?
「……んんっ……」
「変な声を出すな」
どうにか立とうと悪戦苦闘してみた。 でも紅葉は起きないしなんか意地でも椅子から離れないし寧ろより背を預けてきた。 なんかもう醤油ちゅるちゅる。
「紅葉ー 起きろー 一旦起きろー」
「……やっ」
「起きてるよな? おい、起きてんだろ?」
「……すー」
「っ!……こいつっ……っ!」
舌打ちだってしちゃう。 だって男の子だもん。 年齢の話はするな。
でもまぁ、そこは甘ちゃんの俺。 諦めて寧ろ紅葉が寝やすいように整えちゃう。 椅子の背もたれ倒したり、カウンターの下にあった膝掛け使ったり。 これで風邪引かない。
「……すー」
まぁ、これくらいやったんだし、少しくらいは報酬があってもいいはずだ。 紅葉が起きるまで、存分に頭弄らせてもらおう。 あっ あっ その弄るじゃない。 俺はネ○ェルピトーか?紅葉は寝てる人ーつって。
紅葉の頭をポンポン軽く叩いて安眠を促すと共に俺も撫りんこする。 なんか知らんけど、撫でるのって凄いリラックス。 重政とか。
それと、紅葉の長い髪を少しまとめさせてもらう。 えーっとこの店に櫛は……あ、あった。 うっ、100円か……
「すー」
紅葉の長い髪は、軽く櫛を入れただけでスっと通る程にサラサラで、蛍光灯の光を反射して銀色に美しく輝いている。 ここをこうして……
「……限定紅葉:ツインテールver.(星4)」
ボソッと呟いてから微妙な恥ずかしさに見舞われた。 髪を纏めるのには紅葉愛用のリボンを使用しました。
「……フンスッ」
寝ている紅葉が少しだけドヤ顔したように見えたのは気の所為とは思えない。お前やっぱり起きてんだろ。
「こんちわーっす」
紅葉の髪型差分を作って遊んでいたら搬入のおっちゃんが来てしまった。おいどーすんだこれ。
「おい紅葉起きろ。 マジで起きろ。 搬入あるからマジで起きろ」
その後、紅葉をどうにか起こして書類にサインして、ババアの世話をして寝ぼける紅葉を連れて帰る(ココアのシガレットを2箱買った)事で俺のバイト初日は終わった。
「……眠い」
「人の邪魔をしながらの寝心地は如何かな小娘」
「……悪くない」
「そのドヤ顔うぜー」
紅葉の買ったシガレットの箱は俺の自転車のカゴに入れてある。 そして紅葉は荷台に乗って歩こうとしない。 今ここでハンドル手放したらこいつ泣かせられない? 泣かせていいよね? 俺の愛車が傷付くからしないけど。
「……奏士」
「んだ?」
「今日のご飯は?」
「夏休み初日だしな〜……希望はあるか?」
「……奏士の作ったものならなんでも美味しい」
「そりゃありがとよ」
「………今夜も期待してるぜ、ダーリン」
「なら愛しのハニーには合成皮革の素揚げでも食わせてやるよ」
「……味が無いからヤダ」
「俺が言ってなんだけど食うことを視野に入れんな」
夕焼け空の下、紅葉とどうでもいい話をしながら帰る。 なーんかデジャブ。
これあれだよな。 紅葉の言ってた『仲良しの男の子』ってたぶん俺だよな。 初対面なのに妙に懐かれたり、波長が合ったり、既視感感じたり。
何より、あの無能作者が凝ったストーリー考えられるわけが無い。 だったらもう俺だよねー
はいここでこのお話終わり! 次回からの新作に乞うご期待しなくていいよ!
ってならないかなぁ……
「……奏士」
「おん?」
「……明日もバイト手伝う」
紅葉は微笑みながら荷台の上でそう言った。 ならば俺の答えはただ一つだ。
「絶対やめろ」
足で蹴られた。 解せぬ。
私はうさぎをもふもふしたい。
どうも、動物を飼いたい欲が止まりそうにない作者です。
私の住処は水産物以外ペット禁止でして、温もりが足らないのです。 なぜ水産物という海藻類までカバーしてるのかは不明ですが。 時々潮の香りがします。
最近はコロナで動物園のふれあい広場もやってなかったりしますし、動物カフェはかなり敷居もお値段もお高いですから温もりが足らんとです。 うさぎをもふりた過ぎて私がうさぎになりそうです。
話は変わるのですが、この前3分クッキングを久しぶりに見ました。 中々面白いです。 あの曲頭に残りますよね。
ぱらぱぱぱ ぱらぱぱぱ
ぱらぱぱぱらぱぱぱらっぱっぱっぱー im rabbit!
これがやりたかっただけなので終わりです。 さらば!
IS このアニメなんで2期だけ配信少ないんですかね。




