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輪廻のFate Line  作者: 怪人アホ面男
6……6……6……3回言ったから悪魔の数字だね
57/133

夏だ! 水着だ! でも海開きはまだだ!

『おめでとうございます。 先生は通算600回のボツを達成しました』


「第一声が辛辣過ぎて泣いた」


開始早々、しかも瑠姫さん久しぶりの登場なのに酷い。 もう少し手加減もしくは言い方を変えてクレメンス。 具体的には


『駄作だ。 書き直せクソ野郎』


って言われた方がなんか安心する。 それはそれでどうなんだ俺。


でも、言われたら言われたで俺が泣きそうだから瑠姫さんはこのままで。


「……一応、どこがダメだったのか聞いても?」


今はちょっと手が離せないからスマホとインカムを接続してる。 スマホは机の上に置いてあるから持つ手は震えないけどドキドキする。 あ、セットする爆〇間違えた。 俺のDSは今だ現役。


『幾つまで言っていいですか?』


「俺の心が折れない程度までなら」


『では5京個言いますね』


「その数が1話に収まってたらもう何かの才能ですよそれは」


今回の話って長編とかじゃなくて普通の長さなんですけど。 いや、長編でもその量は収まらないけど。 それはもう宇宙創世からの世界の記録書か何かですか? ついでに言っちゃうと、さすがにその量は俺のハートがクライシス。


『冗談です。 今回はそこまでありません』


「冗談じゃないと困ります」


『今回の修正箇所は4京です』


「目くそ鼻くそでは?」


1京減っても体感労力は変わりませんよその域に達してるなら。


「と言うか、どっから『5京』なんて数字出てきたんですか」


『先生の戯言はさておき「待てやおい」本当は5箇所です』


「ここで『5京』の伏線回収するのか……」


『驚きました?』


「アルミホイル折りたたんで平らに均す方が有意義な時間過ごせそうって思いました」


あれ意外と時間忘れる。 あとなんか楽しくなってくる。


『では前置きはさておき、今回は水着回という事でいいですね?』


「相変わらず話の切りが急だ……はい、商店街のくじ引きでレジャー施設の無料券を手に入れた主人公達、久しぶりに行くプールにはしゃぎつつ、ヒロインの隠れた魅力に少しだけドキッとするって話です」


『隠れた』で思い付いたから話ズレるけど、隠れ巨乳って、あの質量を何処に隠してるんだろうね。 服選びとかじゃ無理なレベルがポンポン居るけど。 つまり皐月さんにも小百合さんにも可能性が微レ存? でもこの前の水着差分見た時はそんなもの見当たらなかったなぁ……悠ちゃんは原子レベルにまでやっても皆無。


なんというか、俺が今年知った人の中に丁度いい大きさの子が居ない気がする。 大きいか、小さいか、その両極端しか居ない気がする。 普乳のキャラカモン。 あ、いや皐月さんのC(服の上から目測結果で、不知火とも結果を照合して判定。 その後不知火はバレてしばかれてた)は普通サイズか。 普通にあるなら気にする必要無いと思う。


でも、これって多分男で言う身長だとかチン長だとかと同じだよな。 例えるなら、176cmあっても自分より背が高い人って羨ましく感じたり、自分が低く感じるやつ。 俺の身長は未だ180に1歩届かず。 もう少しなんだよなぁ。


『そうです。 今回は水着回です。 読者が待ち望んだヒロイン達の水着差分だったり着痩せ体質だったり水場特有のトキメキイベントが使える機会です』


「そうですね。 俺も着せる水着を考えるために熟考しました」


俺的に三角ビキニが最高だと思う。 スク水も捨て難いが、俺は本能と直感に従った。 三角ビキニの横から拝める横乳と肩紐と乳との三角ゾーンがくっそ好き。 あと白い背中と肩甲骨。 あれはスク水じゃあ拝めないね。 でもスク水じゃないと乳袋は拝めないし、一長一短。 皆違って皆良い。


でもぶっちゃけ、スク水って構造的に乳袋は無理だよね。 余程生地が余ってるとかじゃないと。 でもこの世界はフィクションでノンフィクションだからセフセフにしよう。 この理論は終わり! 気にしたら負けだ!


結論、『水着って、それ自体がエロいんだなぁ……』


『一言で言いますと、リアリティが無いです』


「なんと」


リアリティが無いなんてそんな……あ、リアリティ皆無はリアリー? うーん31点。 妥当な採点だ。


「え、そんなにリアリティ皆無でした? 非現実の作り話なので、最低限の現実感は残して、後はラブコメっぽくしたつもりなんですけど」


2次元に現実を求め過ぎると逆におかしくなるぞ。 無さすぎたらそれはそれでだけど。


『いえ、そうではなくてですね。 もう少しキャラ同士の絡みと言うか、反応に違和感を感じまして』


「ほうほう」


「具体的には14ページの、主人公と一緒にスライダーで遊ぶニ愛の反応なのですが……」


その後20分くらい指摘された。 もうやめて! 俺のライフはもうゼロイチよ! 俺の命が酒に変わっちゃった。 でもライフがゼロになっても残機があるもんね! 残り残機は∞個。


でもこんな指摘も俺の作品が良くなるためだ。 残機とSAN値を削ってでも俺は聞き逃さない。 あ、ダゴン君だ。 僕のSAN値を送ってあげるよ。ハイドラちゃんと仲良くしてね。 まさにSAN値直送つって。 邪神ですら彼女持ちなのに俺は……


『──と言う事で、もう少し現実感を出すか、フィクションに振り切るかどっちかにしてください。 下手に出すと読者は混乱します』


「うぃっす。 わかりました、締切は変わらずですか?」


『むしろ変わると思えたその度胸を褒めるべきですか?』


「ゴメンなさい」


でもちょっとは思うじゃん。 締切って余裕もって決めるじゃん。 まだ締切まで余裕はあるけどさ。


『それではよろしくお願いします』


「はい、早速取り掛かります」


『それでは。 ──あ、そうそう』


通話が終わりそうだからと終了ボタンを押そうとしたらまだ続いてた。 なになに新情報? もしアニメ化するならめちゃくちゃ張り切っちゃう。


『この前終えた『海姫みきと二愛のサプライズバースデー編』なのですが、ドラマCD化の話が来そうです』


ちなみに、海姫は主人公のもう1人の妹で、メインヒロインです。


「まだアニメ化してないのに?」


『まだアニメ化してないのに、です』


まじか……確かに珍しく長めの話だったけど、あれドラマCD化かぁ……声優さんは誰になるのかしら。


『声優が誰になるのか想像している所申し訳ないのですが、まだ話が『来そう』レベルです。 来ている訳ではありません』


「電話越しに思考読んできて怖い」


でもそうか、まだ来てないのか……カモンカモン亜門土門士門左門砲門嘉門からのもんがまえ


『先生と何年一緒にやってきてると思っているんですか。 それくらいなら私でも分かります』


「突然の仲良しアピールはいいですから。 結局のところ、来るんですか?」


『私は責任を負いたくないので断定は出来ませんが……ほぼ確実かと』


「すげぇ汚い本音がケツ丸出しですけど」


もうちょっと隠せないかなその本音。 俺その企画の元になった作者なんですけど。 原作だけど。 絵も自分でやった方がいいのに……


『それでも、好評等のファンレターが沢山来ているのは事実です』


「……えちょっと待って。 俺ファンレターがあること自体今初めて知ったんだけど」


『まぁ今まで先生には殆ど来てませんからね。 今まで来たのは9割が作画担当の・・・・・先生宛ですし』


何それ泣き叫んでもいいですか?


『でも先生宛に来てるのも事実です。 幾つか読み上げますね。 えーコホン』


スピーカーから瑠姫さんの咳払いが聞こえた。 ドキドキ……ドキドキ………ド…………………ピ〜〜〜


やべ、心臓止まったかもしんない。 とりあえず代わりに腎臓をドキドキさせよ。 名前似てるしなんとかなるでしょ。


『先生の作る話は社畜のオレにとって生きがいだドン! ……これで明日も生きられるドン……』

『32話の5コマ目の台詞って伏線ですか? そんなことよりオレはもっと海姫と二愛の百合を見たいドン!』


『……等ですね』


「俺の読者ってそんなド○ちゃんみてぇな口調の奴しか居ないんですか?」


『……あ、読み間違えてますね』


「ですよね。 さすがにそんな頭おかしい奴ばかりじぁ──」


『どれも語尾に『ザウルス』と書いてありますね』


「えちょっと待ってド○ちゃんならまだしもティラノ剣○なの?」


つーかこのネタ伝わる人が限られるだろ。 俺はナノーネ先生推し。


『この手紙は纏まり次第先生宅に郵送します。それで話を戻しますが、まだ確定はしてませんので浮かれないようにしてください。 それではお願いします』


そこで切れた。 くそっ……瑠姫さんの昼飯のパスタにえげつないサイズの鷹の爪入れ。 ペペロンチーノ食ったかは知らねぇけど。


でもそうか、俺の知ってるもしくは頻繁に関わりがある女(?)はアレ・・ばっかりだからな。 参考にはならん。 妄想で補いきれそうにも無いし……どうしたものか。


そういや明日は紅葉のクラスがプールの授業だったな。 そして俺らは外と体育館で別れてクソ暑い中運動か……汗ダクダクでもどうにか涼もうと服で扇いだり設置してある特大扇風機の前に立ったりしているみたいだが……無駄な努力ご苦労さまⰦ 人生で言いたい台詞第27位言えたぜヒャッハー。 ちなみに最後の奴スペードじゃなくてキノコなの分かった?


ちなみに俺は体育を上手いことサボって涼んでるから暑くNothing。 これぞ俺の特殊兵装『己の快適な空間探知レーダー』、通称バックレーダー!


さて、話は置いといて、原稿どうしようか。 いっそ紅葉と小百合さんの絡みでも見に行くか? 暇だし。 でもプール覗きのレッテル貼られんのはなぁ……とりあえずその時の俺がどうにかするだろ。 はァ〜同人誌読も。 今のはいい子節だった。


─────────────────────────


という訳で翌日


「げ〜つ〜よ〜う〜び〜──はモンデー! 」


今聞こえた謎の声(?)は聞かなかったことにしよう。 でもすげぇオペラ、めっちゃオペラ、言うなればオペランド。 別のものになっちゃった。


「柳ー、そろそろ行かないと遅刻するぞー!」


「うーい」


次の時間は体育、その次が昼飯だから、ちょっとだけ早く授業が終わる体育は購買利用者にとってボーナスタイムだ。 更衣室行こ。


それにしても、俺の意識操作が通用しないとは……不知火の奴、やりおる。 いつもなら誰も俺に気付かずもしくは気にせず教室を出るのに。


夏の体育は、2年までは男女別でプールとその他運動を交互にやる。 そして今日のプールは女子が使う。 観察させていただこう。 覗きとかじゃない。 俺の作品が良くなるためだ。 どうせ身知った人メインで観察するし、紅葉らには散々迷惑かけられたからこれくらいは許させるだろ。


……許されるよね? やっぱり許されないかもしんない。


色々心配になってきたけどそれは置いといて、ジャージ装着! 夏でも長袖、それが俺流だど。 プレリュードとちょっと似てる。


そして授業は始まった。 開始早々プールの方からキャイキャイ声が聞こえてくる。 スク水って身体のライン出るから格差が凄いよね。 複数人で組んだ時の皐月さんと小百合さんのメンタルクライシスが危惧される。 二大巨頭がね。


ところで話は変わるけど、バストサイズ的に天音さんとベル達どっちが大きいんだろ。 目測ではベル達だったけど。 自分の測定する力がどの程度が気になる。


「お? どこ行くんだ柳」


人数合わせに巻き込まれる前に居なくなろうと用具倉庫に行くふりをしてその場を去ろうとすると、またもや不知火に見つかった。 こいつも倉庫に来てたのか……


「別に、ちょっと便所行ってくるだけだ」


「便所逆だぞ」


ちぃ、こいつはやはり厄介だ。 莇のように基本無関心な訳でもなく、人並みに好奇心があるタイプは対応が面倒だ。 それに思考も読みにくい。


「あ、ははぁ〜ん」


「なんだそのヌメっとした察しは」


ただでさえ湿度高いんだからセリフまで湿度高くするのやめろ。 ほら、さっさと帰んなさい。


「お前まさか……プール覗きに行くんだろ」


「馬鹿言え、俺はマジで便所に行くだけだ。 正直漏れる」


「まぁそう焦んなって。 別にチクろうって話じゃない。 むしろ俺も乗った」


なんか嫌な方に話が進んでるんだけど。 こいつの飼い主はよ来い。 で、飼い主3人の中で誰?


「若葉、ここに居たのか」


肩を組んでくる不知火コイツをどうしようか考えていたら、飼い主その1の禍塚登場。 連れ帰れ。


「おっす恭平。 お前も行かね?」


「行くって……あぁ、なるほどね。 僕も参加するよ」


察した禍塚は二つ返事で了承。 誤解が止まらねぇ!


「よしっ、これで3人目だな。 あと一人くらい欲しいな……」


不知火が探しているのはもう1人の道連れか、それとも仲間か。 そう居ないだろうに……


「じゃ、僕も参加しようかな」


「うぉびっくりしたァ!?」


不知火の背後から音もなくにゅっと現れたのは──誰だっけ? ああ思い出した。 確か神鳴だ。


「おっす神鳴、お前も覗きに興味があるのか?」


「いや、僕はお嬢様の悔しがる顔を拝みにね。 この学年は胸囲の格差社会が激しいから」


「あ〜確かに小日向さんはペッタンだもんな〜」


「そういう若葉は誰狙いだい?」


「俺は勿論遥ちゃんとベルちゃんのオリンポス山目的よ」


「……オリンポス山ってどこのだっけ?」


「オリンポス山は火星の山だね。 数年前までは『太陽系で最も高い山』とされていたよ」


「ほへ〜 今の1番は?」


「えっと……どこだったかな。 忘れちゃった」


「ま、上には上がいるってことで。 あのおっぱいよりも大きいものはまだまだ居るって思えばなんか……湧いてこない?」


そこの3人、猥談してるとこ悪いけどそろそろつっこむな? 湧いてんの頭じゃねぇの? それと、今1番高い山は『天体名:ベスタ』の《レアシルヴィアの中央丘》で22kmだ。 まぁオリンポス山とはほぼ変わらないが。


「……」


黙ってフェードアウトしよう。 消えれば万事解決。


「行きたい気持ちもわかるが、そう慌てんなって」


どうしよう、不知火がノールックで肩を掴んできたんだけど。 俺に気付くとかこいつ何者だ。


「まだ柳のを聞いてなかったよな? お前は誰目当てよ」


「いや、俺はただ『プールではしゃぐ年頃の娘の一部始終』を観察出来ればそれで」


「なーんだ全員かよ〜 この欲張りさんめ」


純粋にこいつぶん殴りてぇ。 俺の思いは1つに纏まった。 一意専心だ。


「じゃ、ここでだべってると貝原に見つかるからさっさと行こうぜ」


貝原、あの体育教師に見つかるのは面倒だな。 貝原彰一かいばらしょういち、通称二足歩行する筋肉。 巌先輩と筋肉勝負ができそう。


「で、柳。 どのルートで行くか決まってるか?」


「当たり前だ。 とりあえず正面は貝原が仁王立ちして見張ってるから、裏から行くぞ。 宿学のプールは設備点検のために出入口が多いからな。 その後は地下にある使われてないダクトを通る。 ダクトを出ると少し開けた場所と、これまだ都合よく目の高さに穴が空いてるからそこから観察だ。 成功条件は音を出さないこと。 それとこのルートは秘密だ」


「おう!」


「うん、わかった」


「では、行きましょうか」


こうして、己の欲に従った4人の少年……1人少年かどうか怪しいけど、4人の少年は戦場へと向かった。


「そういや、莇はいいのか?」


「あいつの好みは年下だから同級生に興味はねぇだろ」


莇の残り少ない威厳というか尊厳というか、何かしらを守るためにだいぶ柔らかく言ったけど大丈夫かコレ。 うん、嘘は言ってない。


─────────────────────────


「……あれ、奏士殿? 奏士殿どこですかー?」


─────────────────────────


「……で、だ」


現在、プールの覗き中。


……だと良かったんだけどなぁ……


「どうしてこうなった」


「言い訳はいいから洗いざらい吐きなさい」


プールサイドに腕を拘束されて正座する3人を、スク水姿の皐月さん、遥さん、小百合さんが仁王立ちで見下す。


「皐月ちゃん待って! その石はどっから持ってきたの!?」


そして皐月さんの両手には大きな四角い石が二つ。 不知火は既に3つ抱いている。


「黙りなさい覗き魔。 あんたには石を抱く義務を与えるわ」


「ちょっと俺ばっかり酷い! 恭平にも同じ量を乗せてよ!」


「安心しなさい。 恭平は後でドラム缶にコンクリートと一緒に入れて沈めてあげるから。 今は懺悔の準備をしておきなさい」


あれおかしいな安心できる要素何処? 皐月さんの恨みは深そうだ。


「皐月!? くっ……若葉のことはどうなってもいい! やるなら若葉だけをやってくれ!」


「恭平……いや待て! それよく考えたら俺に全責任擦り付けてるだろ! 」


幼なじみの友情は一瞬で消し飛んだ。 この2人良い奴なんだろうけど根本的にゲスいな。 禍塚の爽やかイケメンキャラなんて消し飛ぶ。


「不知火くん、そんなに見たかったの?」


「遥ちゃん!? なんだか怖いよ遥ちゃん! 目が笑ってないよ遥ちゃん!」


口元は笑みを浮かべてるが、放つ殺気はヤバい。 それと、手を身体の前で組んでるから自然と遥さんのオリンポス山が寄せられて不知火の不知火がオリンポス山になりそう。 ならないかもしれない。


「神鳴……まさか貴方まで加担するとは思いませんでしたわ」


その2組の横では、黒髪をポニテにした小百合さんが神鳴に問い詰めてる。


「まぁ僕は暇潰しだからね。 だからお嬢様、そのどこから取り出したのか分からない日本刀をしまってくれませんか」


「お黙り! 貴方……私のを見たんでしょう!」


「見た……お嬢様、無い胸は見れません」


「皐月さん、まずは神鳴から処分しますわ。 手伝ってくださいまし」


「そうね、誰から殺っても結果は変わらないんだし」


「お嬢様、その日本刀は刃が落とされてないように見えるんですが」


表情は普段と変わらないが、神鳴の声に焦りが見える。 まぁ首元に刀添えられたらそうなるわな。


「あら、よくわかりましたわね。 これはお爺様から護身用にと譲り受けた妖刀・黒響ですわ。 人体程度ならバターの様に切れますの。 そして何より、この刀は謎の力によってどこからでも取り出せますの」


何その力スゴーイ。 原理教えておじいさん。


「くっ、やはりあの老耄は早々に始末しておくべきだったか……」


神鳴が何やら物騒な事を呟いた。 純粋に怖ァ……発送が夫婦揃って過激すぎるんよ。 そして仮にも義祖父を老耄呼びすんなよ。 なんて、祖父をクソジジイ呼びしてる俺が思ってみたり。 ソウジはソウジは思ってみたり。 ネタが二つの意味で打ち止めですね。


「つーか柳はどこいった!」


「そうだ! 柳君にも同じ処遇を!」


「柳君……1人だけ逃げ出した罪は重いよ」


「あんたら何見え透いた嘘ついてるの。 アレが3次元の女子プールを覗くなんてそんなことあるわけないじゃない」


どうやら俺は普段の行いが幸をそうしたらしい。 いや、大変不名誉だけど。


「いや、本当なんだって! 俺らは柳の作で動いてたんだから!」


「ふーん、そんなの言うならその指揮官を連れてきなさいよ」


「それがどこにも居ねぇんだって!」


ちなみに、危険を察知した俺はいち早く逃げ出して3人にも言ってない安全地帯から観察している。 ここは誰も知らないはずの場所。万が一の時はスパッと切るために俺しか知らない場所を確保するのは当たり前の事だ。


外道だ何だ言われても、あいつらだって俺の事を生贄にしようとしてるしお互い様って事で無罪だろう。 たとえ俺だけでも無罪。 俺が六法全書ルールブックだ。


まぁ結論から言うと、覗きは失敗した。 3人がもたついて音を出してしまい、幸いその音は誰にも聞こえなかったみたいだがそうこうしてる内にプールは着替えの時間も考慮した20分前終了により覗けず、そして油断した所を皐月さんらに見つかる。


で、今に至る。 担当教師や他の女子生徒は全員帰っているから、プールに居るのは俺らだけだ。さすがの体育教師も女子生徒が使ってるプールには入ってこれまい。 授業中は女性の体育教師が担当してるし。 男側は教師が居なくても球技だから不在。 居ても俺は気付かれない。 移動教室の時窓の外見ながら考え事してたら置いていかれた挙句教室を閉められた俺は……大丈夫。 泣いてない。


「醜い言い訳するような女々しい男には石の増量キャンペーンを開催してあげる。 ほら、下手したら退学モノを折檻とその他で許して上げてるんだから我慢しなさい」


「あーっ! 結局僕にも石を乗せるのか!」


「当たり前でしょ。 幸せってのは気を抜いたら去るものよ」


「しかも一気に4つも!」


「不知火くんももう少し反省しようね〜」


「遥ちゃんセリフと対応が一致してないよ! 石! 石はもう抱けないよぉ!」


「神鳴、この事をお爺様に報告するか今週私に逆らわないか選びなさい」


「くっ……お嬢様程度の言うことを聞かなければ死、聞いたら僕的に死、弱いものいじめがそんなに楽しいですか!」


「貴方が普段やってることですわよ!?」


まぁ神鳴の性格からして、玩具に反撃されること程屈辱は無いだろうし。 なんだかんだ仲良いなあの二人。


それにしても小百合さん、『常に一緒に居なさい』って言ってるのと同じだから結構大胆? こんな方法でデートに誘うなんて……皐月さんも見習ったらいいのに。


ほら、あの人今ちょっと興奮状態でそういうこと頭にないみたいだから。 俺の耳が「まだダイエット成功してないのに……」とか呟いたのを捉えたからね。 そんなに痩せようとするとか年頃の女の子はもしかして修行僧か何か? ダイエットなんて微塵も考えちゃいない紅葉を見習おうぜあれはマジで理解不能な代謝だけど。


さて、俺もそろそろ去るか。 男子の授業も終わる頃だし。 しーらねっと。


そして隠しスペース、女子更衣室のロッカー右から3番目(普段は使用禁止の張り紙+鍵)の扉を開けて出ると、誰も居ないはずの女子更衣室に紅葉とベルの姿が。


「およ? ソージがなんでここに……」


「……大胆な覗き」


2人ともスク水を脱ぎかけていた。 ベルはまだ肩紐を外しただけだったが、紅葉はその豊かな乳が半分近く見えてる。 あっぶね輪が見えかけた。


というか……紅葉って着痩せするタイプだったのね。 目測とは結構違った。 自信あったのに……無念。 胸だけに。


もしくはあれだ。巨乳キャラあるある『初期の頃は平均程度』ってやつ。 作画担当とか作者が慣れてくると巨乳になるやつ。


1番嫌な可能性は、俺の認識が春休みで出会って以来変わってなかったこと。 だとしたら成長はやぁい。 皐月さんが聞いたら泣いちゃう。


にしても……


「はぁー……ちっ」


着替えイベントとかラッキースケベとか要らねってのに……誰だよ仕組んだ神は。


「舌打ち!? 乙女の着替えを見ておいて舌打ち!? ソージ! そこに直れ、デス!」


「……エッチ」


「まあ待て、紅葉に関しては既に俺が今見た以上に見られてるからこれでチャラだ」


「……凄い暴論」


「ベルに関しては……もう下着姿で人の寝込み襲った前科があるから別に今更じゃね?」


「凄いデス! 年頃の乙女の着替えを見たことに対する罪悪感が微塵も感じないデス!」


いやだって……今更感凄いじゃん。 なんなら2人とも人の布団に入り込んで同衾の前科もあるからね? むしろ俺の方が被害者ってことにならない? ならなそう。 世界は厳しい。


「邪魔して悪かったな。 出ていくから存分に着替えてくれ」


そう言い残して更衣室を出ようとドアノブに手をかけると、未だ着替え途中の2人に肩を掴まれた。 掴まれたってか、万力のような握力どころかそれを超える力で掴まれた。 すんごい痛い。


「……逃がさない」


「罪は償ってもらうデス」


うーん曖昧にできると思ったんだけどな。 なんか流れで行けると……


「罪って……だとしたらベルは国家転覆クラスで裁かれるべきだろ」


「失礼なっ! ワタシは着替えを覗かれたことを怒ってるんじゃないデス! その反応に怒ってるデス!」


「んなどうしろと」


「それは勿論、『あ、あ……わ、悪いっ!』とか言いながら顔真っ赤にして扉閉めるとか、そんな感じデス!」


「なんだその童貞。 俺は思春期真っ只中の中学生じゃねぇぞ」


なんて言ったけど俺童貞だった。 泣いてないやい!


「……私が奏士の裸を見るのは無罪」


「はいお前は頭おかしい。 じゃあ今ここで俺のマグナムお披露目してやろうか」


「……爪楊枝の間違い(プススー)」


お、こいつ鼻で笑いやがったな? 後で殺す。


等と言ってみたが、その前に俺が殺されそう。 これ逃げられないな。 あー断頭台で斬首を待つ人ってこんな気分なのかな。


「……みっともなく抵抗していい?」


「「ダメ」デス!」


「ですよね。 お手柔らかに」


目を怖く光らせる2人からの折檻もしくは拷問もしくはお仕置はどう対応しようか。 やっぱり恥とかプライドとか何もかも捨てて泣き喚けば許してもらえない?


「ソージ!」


「……奏士」


さて、どうしようか……あ、今の状況ってすげぇ主人公っぽくない? 現実逃避も限界があるな。


俺が2人に事情を説明……しきれないから所々ぼかして言い訳しても許されず、開放されたのは昼休みに突入してからだった。 そして週末付き合う事を約束させられた。 自白の強要と罰の強制は無効だ!


あ、でもこの経験は漫画に活かせそう。 願ったり叶ったりだ。


その日、プールの方から男の悲鳴が聞こえたらしいが、その正体は当人のみが知る。 神のみぞ知る。 蟹の味噌汁。 それ鍋じゃね?


─────────────────────────


「……奏士殿? どこいったのですかー?」


─────────────────────────


「……さて、これで許して貰えた訳だが」


「女より石を抱いた数の方が多いってどうなんだそれは」


「僕……夢に出てきそうだよ」


「……さすがにはしゃぎすぎたねぇ」


折檻という名の拷問から解放された俺ら4人。 不知火だけ顔面がボコボコの理由が知りたい。


「ってて……紅葉め、頭蓋骨砕け散るかと思ったぞ」


紅葉のアイアンクローはマジでヤバい。 後残ってるしなんか形変わった気がする。 怖い。 覗いたの俺らだけど怖い。


「どこ行ってんのかと思ったら……柳も俺らと似たようなことされてたのか」


今更覗きもその後のお仕置も慣れっこなのか、平然と割れた眼鏡を交換する不知火。 尊敬するわその図太い神経。


「ま、これくらいで済んだだけマシなのかもな〜」


「石抱きを『これくらい』で済ませるお前すげぇな」


両手を頭の後ろで組んで前を歩く不知火に尊敬の念は込めないけど普通に凄いと思う。 こいつ石8個抱いてたのになんでケロッとしてんの?


「そういや神鳴、目的は達成したのか?」


「それは勿論。 『遥様と花伝様とバレンタイン様の胸を見て心が壊れかけてるお嬢様〜師走様を添えて〜』の写真も撮れましたし。 1枚千円でどうです?」


「あ、俺1枚」


「僕も1枚買おう」


「流れるように盗撮写真の売買始めるじゃん。 俺は5枚買おう」


「どうした柳。 お前が3次元に興味を示すなんて」


「いや、その手のブツはとある奴が欲しがるからな」


高値で売り付けてやる。 転売? それがどうしたスーパーマーケットだって転売してるんだからセーフだ。 別に誰も損はしてないからセフセフ。 強いて言うなら皐月さんのメンタルに深刻な被害が出てるだけ。 利益を産む転売だからセフセフ。 業者から仕入れてるしね。 需要と供給もバランス取れてるし。


「じゃあ若葉君1枚、恭平君1枚、奏士君5枚だね。 明日の放課後、図書館で現物と交換にしよう」


「「「了解」」」


こんな頭悪いことも、漫画やラノベで見た学生らしさなのか。 でも不思議と楽しい。 この瞬間はこれだけを考えよう。


ふむ、これも漫画に活かせそうだな。 ネタ不足の俺はたとえ何であろうとネタにする。


キーンコーンカーンコーン


「「「「あっ」」」」


昼休みが終わった。 飯食ってないや。


────────────────────────────


『先生、今回はものすごい良くなってますよ。 一体何があったんですか?』


「いや、ちょっと少年らしい事をしてみて……」


今だ痛む顔を擦りながら答える。 瑠姫さんちょっとテンション高め。


『少年らしい事?』


「いや、気にしないでください。 とりあえず、大丈夫なんですね?」


『はい、これなら行けます』


ほっ……どうやら紅葉から瑠姫さんには話が行ってないらしい。


『それにしても思い切りましたね。 まさか今までとは大きく変えてちょっとハーレム展開を入れるとは』


まぁ確かに今までは基本1体1だったからね。 取り合いとか滅多にしないし。


「いや、まぁ……」


ちょっとだけハーレムの気分がわかった気がする、とは言えない。


『では、次回もよろしくお願いします』


「うす」


やっと今月の原稿が終わった……来月はどうしようか。


『じゃあもう仕事モード切ってもいいわよね? あー! 帰ってお酒飲みたーい!』


「切り替えが早い」


『ねぇ奏士、今週末あんたん家で飲み会でもしましょう』


「……あ、今週末はちょっと」


『何よ、あんたデートの約束でも入れてんの?』


「…………入れてないです」


『……え、うっそホントに?』


「まぁ成り行きで。 付き合わされることになりまして」


『なーんだちゃんと青春してるじゃない。 で、相手は誰? 紅葉ちゃん? ベルちゃん? それとも悠ちゃん?』


「なぜその中に悠ちゃんを入れた貴様」


『あっ、てことはもしかして紅葉ちゃんとベルちゃんの2人と? ヤダーお姉ちゃんドキドキしちゃーう』


「……年齢考えろ」


『あ?』


「何も言ってないです。 もう切りますよ?」


『はいはい、デートの内容と結果、後で聞かせなさいよ』


「さらば!」


『あちょっ』


言い終える前に切った。 あのアマ……何か企んでそうな予感。


そういや、最近出費がなぁ……まぁ痛くも痒くもない出費だけど。 俺の稼ぎ的に余裕で出せる金だし。


……とりあえず、行く場所に目星をつけておこう。 何されるか分からないよりは計画しておいた方がどうとでもなる。 どこにしようかしらん。


────────────────────────────


「ふぉぉぉぉぉ!」


「特別機密写真、1枚1500円だ。 5枚買うなら6000円」


「高っ!? いやでもそれくらいなら妥当か……?」


「今なら紅葉とベルの私服写真も付ける。 お値段変わらずだ」


「う〜ん……買います! このチャンスを逃すと後がありませんからね!」


「まいど。 これが写真だ。 後はお前の自由だから売るなりなんなり好きにしろ」


「いや〜先輩がこんな良いもの持ってきてくれるなんて……とうとう先輩も3次元に目覚めたんですね!」


「いや、これっぽちっちも目覚めてないが」


むしろ目潰し&永眠状態だから目覚めるもくそもないが。


「まぁそこら辺は別にいいとして……柳先輩、今後もよろしくお願いします」


「それはこちらこそだ。 頼金」


そんな怪しい裏取引が職員室の隣の部屋で行われてるなど誰も知らないのだった。

一言言わせてください。 海開きって具体的に何時ですか?


海水浴に行ったことがない、どうも作者です。


近所に海水浴場はあるのですが、それよりも隣の水族館に行きますし、海水浴場は出会い厨がダニのようにわらわらいるとの事で行く気にはなれず、そもそも日焼けがキツイので行かず。 そんなこんなで海開きがいつかも知らずに生きてきました。


そんなことより、今回出した『目くそ鼻くそ』ですが、今回は『同じ程度の比べ』という感覚で使っています。 なので本来の意味とは若干違うかもしれませんが、そこは臨機応変に行きましょう。


では、胃もたれがキツイのでここいらで。

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