猫に小判? 重政は小判の価値わかるみたいだぞ
「前回生徒会メンバーのインタビューもあらかた終わってとうとう最後の1人となってしまった先輩は最後特有の時間の許す限りの質問攻めをこれからされることも知らぬまま1人ぼーっと待ちつそれでは始めましょうか」
「聞いてた限りでは前回のあらすじらしきもの最後まで言ってないよね」
突然のノーブレス早口やめろ。 それより、俺これから質問されまくるの? 何答えればいいのよさ。 あいあむはぱいなぽぅ(訳:アイアムさんはパイナポゥです)とでも答えればいいの? それとも思いに応えてやればいいの? 誰のだよ。
「無駄なことやってないでさっさと始めるって話なんですけど」
「お前の全てが無駄って話なんですけど」
「はい、言い負かされそうになってきたのでインタビュー始めましょう」
「話を戻す理由がアルティメット汚ぇくたばれ」
それにしてもインタビューか……緊張するなぁ。 漫画はかなり人気なのに未だに雑誌のインタビュー来ないから人生初めてだ。 緊張しすぎて吐きそうオロロ。 やっぱりアニメ化するか公式ファンブックとか出さないとインタビュー来ないかな?
落ち着け、落ち着いてこの前解いたナビエストークス方程式と解の滑らかさ(略してナビス式)を思い出すんだ。 えーとえーと……ヨーロピアン! この方法じゃダメだ逆にバカになる。
とりあえずドクペをゴクッと1口。 最近出てこなかったけど、実はちゃんと飲んでましたってね。 そういや帰りに箱買いしないと。 マッ缶もそろそろ無いな。 箱2つはチャリでもめんどくせぇなぁ……
「では、学年クラスとお名前、それと役職と生年月日を」
「……2-A所属、柳奏士。 役職は副会長(仮)」
まだ就任式というか、正式に公表してないからまだ仮だ。 紅葉ちゃんそのこと忘れてないよね? もうすぐ夏休みですが。 ちなみに俺は今思い出すまで忘れてたぞ。
「生年月日は……ちょっと待て」
スマホをポチポチやってゲームのアイコンをタッチ。 Now Loading……
『あ、ねぇあんた。 確か今日誕生日でしょ。 ほら、これあげるわ。 別に大したものじゃないわよ。 でも……あんたのこと考えて選んだんだから、大切にしなさいよね。 じゃ、今日は一日ゲームに付き合ってもらうわよ! ……誕生日おめでと』
「…………」
「……だ、そうだ」
「いや「だ、そうだ」じゃないです。 なんですか今の物凄くキモイ時間は」
「何って誕生日確認だろ。 ゲーム起動して誕生日ボイスが再生されたってことは誕生日今日だな」
「そんなことよりもう少しマシな確認方法無いですか?」
「ないんだな、それが」
いや、俺もエロゲーの誕生日ボイスで確認はどうかと思ったけど。
「でも俺誕生日覚えてないし。 これも脳死で誕生日入力したやつだから確証は出来ん」
俺に誕生日を祝う文化は無い。 正確には、『俺自身の誕生日を祝う文化は無い』
いや、誕生日を祝う文化は知ってるし、ウチのジジババの誕生日を祝ったこともある。 でも1人で暮らしてると誕生日なんて態々祝わないし、そもそも誕生日ではしゃげる年齢でもないし、というかケーキとかよく自作してるから特別感無いし。
それと何よりの理由が1つ。 この歳になると歳とるのが怖くてねぇ……年齢を重ねる毎に肌の皺やハリ、シミが気になる。 ケアしてても気になるもんは気になる。
こんなこと言うと「女かお前は」って言われるが、寧ろ男だからこそ気にすると俺は思う。 だって俺見た目は良いし。 世の中外見良けりゃ何とかなるもんよ。 痴漢冤罪とか。 まぁアレ結局誰も信じちゃくれないから自分で証明する羽目になったけど。 あの肉塊とポリスメン許さねぇ。
ご覧あれ、これこそが俺の十八番。 『起と結で話が全く違う』だ。 ただ文章脈絡が機能停止してるだけってのはここだけの秘密。
「誕生日覚えてないとかどういうことですか」
「モノローグ聞いとけや。 文字通り、誕生日祝ったことないから忘れた。 戸籍か何かに書いてあるんじゃねぇの?」
そういや生徒手帳も忘れた。 あ、でもあれにも誕生日記入し忘れたっけ。 じゃあもう悠ちゃんに言って学園に保存されてる俺の個人情報見せてもらわないと。 断固阻止するけど。
「私も予想外過ぎて若干困惑してますが、もうめんどくさいので誕生日は秘密ってことで次行きますね」
「話が早いやつは助かる」
俺頼金のこういう所は好き。 情報は握るくせに人の深くまで侵入しようとしない所が。 頼金本人は好きじゃないが。
「じゃあ次の質問です。 何故生徒会役員になろうと思ったんですか? 先輩今の今まで目立たず過ごしてたじゃないですか」
「それは第1章を見返してくれ。 具体的に言うと全部悠ちゃんが悪い」
ちなみに、俺という人間の物語を本にするなら生徒会副会長就任辺りが第1章。 多分紅葉と春休みに遭遇した辺りが第1話。
「つまり強制された、と?」
「ぶっちゃけるとそうだ。 だが、従姉弟でも悠ちゃんは理事長で俺は一学生だから、強制されたとなれば色々面倒なことになる。 だから、副会長になったのはあくまで俺自身の意思だ」
「なるほどです。 先輩って他人に対して宇宙空間よりも冷たいと思ってましたが、意外と気遣う心とか持ってたんですね」
宇宙空間って絶対零度、つまり低温の限界値なんですけど。 言わんとする意味は理解できるけど、これだけは言いたい。 お前の中での物理法則どうなってんの?
「別に、悠ちゃんを思っての事じゃねぇよ。 悠ちゃんが、身内が理事長やってると何かと便利なんでな。 全ては俺の思うがまま生きるためだ」
「その願望は叶いそうですか?」
「ぶっちゃけ面倒事増やしやがったからあの時理事長除籍すれば良かったと思ってる」
主にベルとかベルとかベルとか。
「じゃあ次、先輩は会長さんを超えて常に学年首席ですが、そんな先輩の得意教科と苦手教科、それと普段の勉強方法なんかを」
「得意教科は現国、苦手教科は歴史と古文」
「おや、文系が得意そうとは思ってましたが、苦手教科も文系ですか。 理由をお聞きしても?」
「いや……なんか昔の事を学ぶって、どっかしらで改変だとか隠蔽されてないかつい疑うから何となく、な。 そういう本の読みすぎだとは思うが、無い話ではないだろ」
「う〜ん苦手理由が予想の斜め上すぎますが、先輩らしいと言えばらしいですね。 では普段の勉強方法については」
「普段、つっても、大したことはしてねぇぞ。 授業聞いて板書して、出された課題やって、ワークやって。 忘れない内にやろうとはしてるが、本当にそれくらいだ」
「案外普通ですね〜 なんかこう、一発逆転的な方法はないんですか?」
「あるわけねぇだろンなもん。 一夜漬けにも限度はある。 毎日とは言わずとも、少しづつ積み重ねるのも一気にどかっと積むのも本人の適正次第だ」
「聞いといてなんですが、先輩がまともなこと言ってるのすごい違和感なので「あ?」もう少し狂ったこと言ってくれませんか?」
「俺は温厚だからこれくらいじゃキレたりしない。 しないけどそっと貧○の薔薇を使う」
「辺り一体吹き飛ぶんでやめてください」
この後輩は先輩を敬う思想を持ち合わせてないのか? 俺先輩らしいこと何もしてないけど。 そもそも俺の場合敬うよりも見下すことの方が多そうだけど。 常に見下されることにより、首を傷めさせる副次効果が付与されます。 おっしゃ全員俺を見下せる。 全員首炒めちまえ。 なんだその炒飯は。
「あ、ただ決めてる事は1つだけある」
「あ、急に戻るんだ……で、それは一体?」
「勉強に限ったことじゃないんだが、気が乗らないとやらないことにしてる」
「つまり『気分次第』って事で良いですか?」
「それだと若干意味が変わりそうだが……まぁ大元は間違っちゃいない。 人間、その気にならないと習得効率は1部除いて段違いだからな。だから俺は『勉強しようかな』って思った時にしかしない」
「それが学年首席の勉強法ですかー。 前と後で言ってること真逆のような気がしますが、そういうものだと理解しました」
「ただ、これはあくまで俺が自分用に最適化した方法だから、決してそっくりそのまま真似はしないように。 特に生徒会長」
「おや、名指しですか。 しかも会長さんを」
「いや、なんか知らんけど、あいつ俺を越えようと頑張ってるみたいだから……」
「相変わらずお2人は仲良いですね〜」
「紅葉、だってさ」
「訴訟も辞さない」
「だとよ。 裁判になったら弁護はしないで傍聴席でよそ見してやるから頑張れ」
「いや、所まで来たならせめてちゃんと見てくださいよ」
「……奏士を訴える」
「被害者が加害者に訴えられる事件が発生してますが裁判長はどう思いますか」
「その流れだと裁判長が裁判サボって傍聴席でよそ見してるって更なる問題が発生してるだろ」
あと俺被害者なのはわかるけど紅葉加害者なのか。 どっちかってーと加害者は頼金だと思うが。 罪状『ウ罪』で無期懲役で。 罪が重すぎる。
ティータイム中に巻き込んだ紅葉はお返ししてインタビュー再開。 これってインタビューかなぁ……
「で、話を戻すんですけど。 お次は気になる色恋について聞きましょうか?」
「質問するかどうか聞かれても困りますが? 丁重に断拒!」
「先輩『丁重』って意味知ってますか?」
「とにかく、俺に恋愛云々はねぇ。 そういうのはThe主人公な禍塚辺りに聞け」
俺とお前らじゃ次元が違うんだよ。 この言葉だけならカッコイイのにな。
「いえ、禍塚先輩は順調過ぎて記事に面白味がないので」
「人の恋路を記者的観点から評価するのやめろ」
むしろテンプレだからこその面白さがある……と思わないでもないと思いたい所存。 結局何が言いたいのか一言で纏めると『見てる分には面白い』 って事だな、うん。
例えるならほら、最近のラブコメって最初から同居だったり許嫁だったり一定距離離れられなかったりで、ヒロインと『最初から至近距離』ってのが多いじゃん。 なんかこっち来たブーメランは避けるとして、だ。 だからこそ、禍塚らみてぇな付かず離れずのラブコメは新鮮というかそういう感じ。 要するに実質彼女持ちリア充が憎い。 今は見逃すが、付き合い始めた瞬間に委員会が禍塚を始末する。 不知火も同様。
「確かに先輩は童貞で「あ?」友達の居ないぼっちで「あ?」色々拗らせた頭のおかしい人ですけど」
「なんだ喧嘩か? 自覚してることをいざ他人に言われると腹立つけどそれは置いといて、俺は女子供でも容赦はしない」
「なんですかやる気ですか? いいですよ先輩如き私の無影暗殺拳で塵一つ残さず消してあげますよ」
指をパキパキ鳴らす俺に対抗するべく、頼金も腕まくりして手をぐっぱぐっぱぐっぱっぱ。
「そのルビのみクソダサい必殺技なんなの?」
名前はカッコイイのに……なんか低確率即死効果がありそうな技名。 倍率は240%くらいか? 頼金の攻撃力知らねぇけど。 どうせ個体値厳選しても上限32程度だろ。
「まぁ冗談はさておいてですね」
「あれだけ人のことボロクソに言っておいて冗談で済ますんだこの娘……」
小娘が……でも世渡りは上手そう。 なんだかんだこういう奴が生き残りそう。
「ぶっちゃけた話、先輩は恵まれてる訳ですよ」
頼金に言われて現状を振り返る。 だだっ広い家に俺は一人暮らし、そこに美少女生徒会長で趣味が合う紅葉が下宿。 そして少しの間二人暮しして、ちょっとした定番ハプニングイベントがあってなんだかんだ同じ布団で寝たな。 今思うとヤベぇことした。 未婚の女性と同じ布団で寝るとか、同衾処女を無意識で奪った責任を取る必要があるのか? でもあいつから布団に入ってきたから寧ろ奪われたのは俺か。 じゃあいいか。
そして俺を好き好き言ってくる……あれ、今振り返るとそんなに『好き』とは言われてねぇな。 でもそういうことにしとこう。 で、俺に自称思いを寄せてる美少女転校生のベルが参戦、下宿開始。 その後はほぼ強制とはいえ、一応のデートはした。 そしてそのまま部屋で膝枕されて俺は寝顔を晒してしまった&同衾。 日々のスキンシップが激しいが、俺がどんなに離れても離してもめげずに向かってくるその姿勢に殺意すら覚える。
そしてさらに俺的好感度ナンバーワンの可愛い可愛い美少女妹の泉ちゃんと再開。 下宿はしてないが、昔のように戻──りきってはないが、それなりには戻る。 でも泉ちゃんは恋愛対象外だから別だな。 泉ちゃんスコスコスココーのスコルピオンだけど妹だし。 泉ちゃんが俺を那由多が1好きになっても、俺から泉ちゃんに惚れるとかは無い。 多分。 まぁ理由が理由だし。 妹は恋愛関係ない妹だからいいのであって、恋人になったらそれはもう妹だが妹じゃない。 俺が好きなのはおっとこれ以上はやめよ。
ふむふむへーへーそーなんだー いや悠長な事言ってる場合じゃなく、改めて現状把握するとすごい状況だな。 天涯孤独真っ最中の俺が、いつの間にか三人の美少女──かどうかは知らんけど、2人の少女と1つ屋根の下で、もう1人は幼なじみと再開というなにかのラブコメみたいな展開。
なるほどね……とりあえずレビュー☆1と。 余計な事すんな運命神。 俺の『孤独死するまでの完璧な計画』をガラガラ崩しやがって。 恨むぞ運命神もとい悠ちゃん。
「恵まれてるとか言われても、それに気付くのは失ってからだからよく分からん。 俺には猫に小判だ」
「先輩今は先輩が攻めか受けか議論してる場合じゃないです」
「あれもしかして言語変換機能取り外した?」
頼金君多分だけど猫じゃなくてネコにしたでしょ。 俺は攻めも受けもイけるタイプ。
「いいですか? 先輩の現状を纏めると、『ぼっちだった俺が学園の美少女達に好かれてる件』 となります」
「なろう小説かな?」
言いたいことは理解した。 でも『好かれてる』を恋愛的な意味で当てはまるの誰も居ないんだよね。 ベル? あれはなんか違う気がするからとりあえず別。 紅葉からはいつも通り『美味しいものくれる人』扱いだし、泉ちゃんは親愛だし。 あれ、俺ってもしかして誰からも好かれてない?
「そして先輩は何故か学園でもそんなに認知されていません」
ホントにね。 普段ならそうなるように操作するのに、何故かこの学園じゃそういうの全くしてないのに誰も知らないんだよね。 おっかしーな俺毎回学年首席でしかもこんなに高身長高収入高学歴……学歴はそんなに高くないけど、イケメンでスタイル良くて頭も良くて家事ができて収入もあって惚れた女は大切にする理想の恋人だと思うんだけどな。 目元の濃い隈と性格が悪いこと以外になにかあるのか?
というか、首席の俺より次席の紅葉の方がすげぇ認知されてるよね。 生徒会長云々は抜きにして。あれか、オ○ドリーの方が売れたってのと同じか。 じゃあこれからも紅葉を隠れ蓑にしちゃう。
「だがしぁし! 学年NO.1人気の会長さんが先輩に、ぽっと出の男に懐いている、一緒にいると噂になってから、先輩の注目度は上がってきてます。 主に男子生徒からの注目度が」
「それ殺害対象的な意味での注目度じゃね?」
とりあえず狙われたら反撃できるようには祈っとこ。
「そしてそんな中、謎の美少女転校生からの公衆の面前で愛情表現を繰り返される事でさらに注目度マシマシです!」
……とりあえず遺書は常に持ち歩こう。
「更に更に! 1年生の中でも目立たないながら隠れた人気を持つ泉ちゃんと幼なじみ兼兄という欲張りセット! 今や先輩は学園1の注目度と言ったら過言です!」
「過言なのかよじゃあ今までのなんだよ」
「まぁ分かりやすくすると、先輩は美少女に囲まれてるって事です。 現に先輩の目の前にも居ますし」
「俺の目の前には頼金千聖とかいうプライバシー侵害者しか見えない」
あとお前は美少女じゃない。 どっちがってーと普通寄りだ。 ネタ枠だから普通寄りだ。
「……ぶっちゃけた話、先輩はあの三人のことをどう思ってるんですか? 勿論、異性として」
ここは記録に残したくないのか、頼金が近づいて来て小声でコソッと聞いてきた。
「何度も言うが猫に小判だ。 たとえ美少女だろうと俺には無価値同然だから意味は無い」
実際、3人とも美少女だと思う。 2次元をこよなく愛し、3次元を等しく愛さない俺がなぜそう思うのか、今回は文字数が余ってるからモノローグで説明する。
まずは世間一般で『美少女・美女・美人』とされてる人を基準とする。 そして比較対象の見た目ジャンルから、可愛い系なら美少女、美しい系なら美女、綺麗系なら美人を選択して基準を指定。 そして基準と比較対象のアレコレを比較して部分的に点数化。 一定点数を超えたらそう認定している。 そうした結果、紅葉もベルも泉ちゃんも美少女と認定されたので多分あの3人は美少女。
だいぶ歪んでると思うか? 俺のやってることは『普通』と比べたら違うだろうが、世間一般で言う美少女なんて所詮は比較結果に過ぎない。 平均と比べて可愛いと感じたら美少女としてるだけで、俺のやってる事と何ら変わりはない。 定義はコロコロ変わるから、所詮は受け取る人次第だな。 だからデブ専だとかブス専だとか居る訳だし。
「じゃあ聞き方を変えます。 『彼女にするなら、あの3人の中で誰がいいですか?』」
これは答えに悩むな。 誰もしたくないもん。 正直彼女とか要らんし。 人との距離は『赤の他人』がちょうどいい。 だって、他人ならたとえ破産しても関係無いし、もしこの手で殺すとなっても躊躇しなくて済むし。 情っての意外と厄介だ。
というか俺自身が傷つきたくないから必要以上に関わるのヤダー。 いーやー。 いやいやよ。
「あ、『誰でもない』は却下です」
回答先を潰していくその姿勢は今は嫌い。
「誰が1人、ねぇ……じゃあ紅葉で」
「お? 理由は一体」
「他の2人は料理ができるから。 我が家の厨房はなるべく他人に入られたくないから、料理ができない紅葉と付き合った方が幾分かマシ」
「……もっとこう、違う理由は無いんですか? というか、会長さん料理できないんですね」
「……そこはオフレコで頼む」
やっべ、学園じゃ紅葉は完璧超人で通ってるんだった。
「他の理由も何も、何度も言うが俺は価値を理解できん。 お前だって、5億円の絵画貰っても理解できないだろ」
「まぁ確かに私は絵に興味はありませんが……ちっ」
え今舌打ちした? したよね? 俺は見逃さなかったぞ。
「先輩のアレコレを聞けると思ったんですが……正直残念です」
「女が秘密を着飾って美しくなるように、男も秘密を抱えてる方がカッコイイんだよ」
「つまり浮気を黙ってる男はカッコイイ、と」
「曲解にも程があるし、それはカッコ悪い男の代表格だ」
俺としては浮気はダメだが一夫多妻制は別にいいと思ってる。 要するに本妻に許可取れ。 でももし俺のワイフが俺以外の男作るとか言い出したら全力で却下する辺り、ここら辺は独占欲なのか男女の感覚の違いなのかわからん。 でも『惚れた人を他の人に渡したくない』って思いは一緒だと思う。 要するに俺は生涯1人の女を愛する(俺はゲームをする時は傍観型だけど、主人公の数だけ人生があると思ってるから推しも嫁も複数居るのはノーカン) まぁ2次元位は許して欲しいよね。 許してくれる嫁も居ないけど。
話は変わるけど、嫁、妻、家内、奥さん、女房は若干使い方が違うから気をつけよう。 嫁は息子の奥さんって意味だから俺の嫁=義理の娘だけど、俺のムスコの奥さんって意味なら俺の妻と同じ意味になるんじゃねって思った。 下ネタとかなれないことをすると疲れるね。
「……というか、先輩ナチュラルに付き合ったら同棲前提で考えてたな」
頼金のその独り言は聞き逃さなかった。 でも俺は聞いてないフリをした。 知らない事件は誰も裁けない。
でもそうか、今の今まで忘れてたって言うか当然になってきたけど、下宿をさせてもらう立場じゃなくてさせる立場なのは世間一般で見たら俺の現状はかなり異常だな。 つまり俺はナチュラル異端。 ソースは、クラスの人から時々「いたんだ」って言われるから。け
その後10分ほど質問は続いた。 俺だけ異様に長く感じた。 帰りたい。
「じゃあそろそろ最後にしますか。 先輩は恋人が出来たら初デートは何処に行きたいですか?」
初デート、そういや考えたこと無かったな。 いや、だって漫画もまだそこまで進んでないし、妄想しても無駄だからしなかったし。
「初デート、ねぇ……相手次第だが、もし口数が少ないタイプなら静かな水族館に行くし、活発なら近場の遊園地に行く。 優しいなら動物園辺りだな」
「意外と考えてますね。 先輩は行ったことが?」
「1人なら全部行った。 ふれあい広場とか最高」
「相変わらず1人を満喫している様で。 ではこれにて終了です。 ありがとうございました」
「あざまーす(ありがとうございます、ましたの略。 めんどくさい時はこれで伝わる)」
やっと終わったインタビュー(?) 機材をササッと片付けた頼金は即座に生徒会室を出ていく。
「失礼しましたー」
やっと解放された……3話に渡って無駄なことしてた気がする。
「奏士さん、お茶をどうぞ」
泉ちゃんから泉茶んを受け取って飲み干す。 冷たい茶でよかった。
「ソージソージ、ソージはワタシと遊園地に行きたいデス?」
「お前と行くと疲れそうだから嫌」
「翻訳すると『来週行こうぜ』デスね! イヤンソージったら恥・ず・か・し・が・り・屋♡デス!」
「きっしょ死んでくれや」
「ヒドイ!」
ベルを無視してポ○キーをポリポリ……紅葉の口元に1本近づけると、俺が持ってるクッキー部分を残してチョコ部分だけが物凄い速さで消えた。
「そういえば奏士殿、途中千聖殿と何やらコソコソ話していましたが、一体何をしていたのですか?」
「気にすんな。 内緒話を聞こうとする男はモテねぇぞ」
「私は女児を眺めてるだけで満足ですので」
「無敵かコイツ」
莇は人生楽しそうだ。 最近小学校付近でダークスーツを着た黒髪短髪の男性の姿が目撃されたって情報が回覧板で来たけど、それお前じゃあるまいな。
気にしても仕方ないからこのことは未来の俺に任せるとして、問題は頼金だ。 ちゃんとまともな記事書くんだろうな。
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翌日の昼休み、完成した記事を見に行くとそこには『激写! 宿木学園七不思議の正体!』 の見出しが。 あっちから見てもこっちから見ても回してみても同じ。
「おや先輩じゃないですか」
「「先輩じゃないですか」じゃねぇよ。 お前インタビュー記事は?」
「いやーはっはっはっ。 部長にレコーダーとカメラ提出したらですね……」
『お前は生徒会室にコントをしに行ったのか? お前の無駄話とツッコミの声で殆どわからん』
「って言われまして」
「……過失割合は5:5でいいか?」
「というわけでもう一度インタビューを」
「しません」
これ俺が悪いのか? でも頼金がわかってるなら良くね? おい部長! このアホに記事書かせろ! 書かせろやハゲェ!
「……今誰かハゲって言わなかったか?」
通りすがりの絶海先生は無視。 ヅラ使いなさいよ。
「そんなこと言わずにお願いします!」
「断る!」
足にしがみつく頼金をどうにかするために、俺の昼休みは使われた。 こいつどうしようかマジで。
夏暑っついですね。 どうも作者だと思いましたか私です。
7月に入って夏真っ盛りだと言うのに蝉は鳴かずカナブン無限増殖バグも発生せず、ここが別の国のように思えてきました。 なんてことをあずきバー噛み砕きながら書いてます。
ぶっちゃけると私は虫が嫌いなので夏も嫌いです。 今年の夏は好きになれそう……そう思って時計を見ると36℃/71% (多分こんな感じだったはず)
私夏嫌いです。 どのくらい嫌いかって言うと、満席時に一気に注文するお客さんくらい嫌いです。 あれやられると作業が追いつかないので、やるなら半分くらい空席の時にやって欲しいですよね。
次回からは話が戻ります。 青春します。 お色気はあるのかないのか。 次回もお楽しみに。 よしなに。




