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輪廻のFate Line  作者: 怪人アホ面男
5って割と区切りやすいから便利だよね
52/133

サブタイトルは副題なので、私はここに何かを書く。 構文

「──つーわけで来週から期末テストだから、前回の中間悪かった奴は今回平均点上げとけー」


帰りのHRで担任からの《最終狂乱勧告ジャッジメント・ウィーク》が告げられ、それに文句を言い始めるクラスメイト諸君。 そんな俺のショートコント『熱したフライパンの上で踊り狂うフラダンサー』並にどうでもいい事はさて置き、HRの読み方は『ホームルーム』であって、『ハ○ターランク』じゃないぞ。 あのネタウケがイマイチなんだよなぁ……


「よーしお前らもっとその絶望に染る表情カオを俺に見せろ。この前の街コンでハズレ引いた挙句終了時間まで相手させられた恨みをここではらさせてもらう」


教卓の前で腕を組んで笑みを浮かべているも助だが、目尻に涙を浮かべていた。 多分だけど今この瞬間クラス全員がも助に哀れみの眼差しを向けてた。


流石も助、《凶災不転バッドラック・ギャンブラー》の異名を──持ってないから今付けたけど、尽く女運の無い男だ。 だからこそ、あの男を漢と認めるが。 俺は何視点なの? 何視点で何してんの? このネタは前使った気がするけど3R運動の為だから致し方なし、退路なし。


「ま、精々頑張れ。 委員長、号令」


そう言われた委員長(何故か顔が分からない)が「ひりーつ、れいん、らくせーき」と言って本日の学業は終了した。 あの委員長翻訳すると「比率、レイン、落石」じゃねえか。 ちょっと遊んだのかなガッツリ聞こえてるけど。


各々席を立って速帰したり友人と集まってだべったりしている中、俺は生徒会室へ向かう。 なんか『生徒会』って設定久しぶりな気がする。 本当に設定だったら消せたのに。 辞任したい。


こういう時、大体『同じクラスメイトだし〜』って一緒に行ったりもするんだろうけど、俺は生憎とそんな思考は持ち合わせてない。 莇はどうか知らんが。 ベル? 知らない人ですね……


「stop! 待つデスよソージぐへっ!」


先に行った俺を、ベルと思わしき生き物が慌ててリュックを背負って小走りで追ってきた。 まぁ、途中でズッコケたけど。 それを見た莇が指をさして嘲笑ってる。 お前そんなに笑うタイプだった? 最近登場してないからキャラ崩壊起こしてない? 俺先週のプール掃除以降お前を見た記憶が無いんだけど。


……元のキャラが『クールでイケメンでミステリアス』って俺とキャラ被り(違う)してんのに『小学生限定のアリコン』という属性まで追加されてる残念な奴(それはお前も)だったな。 さっきから煩い黙れ俺。


ま、『他人の不幸は極上の蜜の味』って言ってたし、そういう事だろ。 その対象に主人が入ってる事を除けば普通。


とりあえず、綺麗にズッコケたベルの写真はスマホでパシャっておくとしよう。


「……生きてるか?」


「それを写真撮る前に聞くデス!」


セミファイナル(ベルVer.)を警戒して3メートルくらい離れた場所から安否確認をすると、予想通りベルはガバッと飛び起きた。 危ねぇ危ねぇ……あのアマさっきまで俺が居た場所に飛び込んできやがった。 手段くらい選ぼうぜ。 選んでも回避防御妨害消沈してやるけど。 慢心が凄いが、俺は王だから慢心する。 ニートピアの国王だからな! 革命はまだですか?


「ちっ」


「え舌打ち? 恋する乙女に対してマジトーンの舌打ち?」


ベルがキャラすら忘れて困惑していようと俺はガン無視で先へ進む。 素が出るなら片言キャラ辞めればいいのに。 キャラかどうかは俺の独断だけど。


こんな場所でダラダラやってると紅葉──はどうでもいいけど泉ちゃんを目に焼きつける時間が減るから早く行こう。 そして薄まった『生徒会』って設定を濃くするためにも早く行こう。 この世界は現実リアルであり、非現実アンリアルだから設定が存在するのだ。そんな訳ねぇだろカス。 今日も俺の二次元脳もとい狂気は絶好調で絶校長で絶交中だ。 ゴミギャグ言ったくらいで絶交される校長が可哀想でマジ哀れみ〜


……ちょっとギャルっぽくしてみたけどなんか違う気がするな。 やっぱりリアルギャルに聞くしかないか……


ちなみに、『ギャル』って奇抜なファッションとメイクをした痴女未遂の女だと思う人がいるが、本来の意味は『10代少女』だぞ。 だから美少女との恋愛をするゲームを『ギャルゲー』って言い方をする。 でもギャルってみんなスカート短いよね。 あれって狩りをしてた時代の毛皮服リスペクトというか、原点回帰というか、先祖返りかなんかなのかな……もしくはイヴの無花果の腰当て。 人類の母を尊敬するとか世のギャルめっちゃいい子じゃん。


面倒臭いけどとりあえずスーパー面倒臭いけどベルをアルティメット面倒臭いけど立ち上がらせる。 どんだけ面倒臭いんだ。


「ちっ……さっさと行くぞ」


まぁ、『立ち上がらせる』と言っても手を差し伸ばすとかそんな事はしない。 だって床にペタンと座ってるだけだもの。 いや、普通にずっこけても手は差し伸べないけど。


「そうですよお嬢様、さっさと行きましょう」


「なんかこの二人冷たいデス!」


ベルが立ち上がりながら俺らに文句を言うが、最近暑くなったからクールビズって奴だ。 だから人当たりも冷たくするクールビズ。 常にクソつまんないギャグというかボケをかましてる俺の周囲は低温空間。 つまり物体は固定されるから一種のバリアってことにならない? これがあったらベル対策に便利なのに。 どんな事でもポジティブに考えていこう。 有効活用じゃよ。


……あ、でもそれだと重政をモフれないじゃん。 盲点でもう目が点。 現在気温マイナス97.6℃となっております。 やったね『地球上で最も気温が低い場所』ギネス記録更新だよ奏士くん。 これポジティブとかじゃなくて狂乱だろ。 むしろ狂乱が平常だから俺にとっての狂乱ってなんだ? 最初からクライマックスだから限界突破すると……第4の壁でも突き破るか? でもそれ今と大差無いな。


なんていつも通りのバグだらけでプログラマー泣かせの思考回路を活用しながら歩いていると、俺の右足は何かを踏んだ。 うんまあズッコケるよねこの流れだと。


背中を廊下に打ち付けるまでの数瞬、世界の時間と俺の時間はアンバランスになる。 あ、あの五寸釘が原因か……なんでここに落ちてんだ?


「ぐぇっ」


原因を確認した後はしっかりと衝撃に備えて受け身──は無理そうだからとりあえず後頭部はぶつからないようにして後はお祈りタイム。 五寸釘でよくもこんな盛大にコケたもんだ。 背中痛い。


「ぶぶっ! くくく……」


「ぶっ!」


それを見た莇もベルも吹き出して笑いを堪えてるのが見えた。 いや、莇に関しては口元を手で隠してるけど笑ってる。 肩の震えがバイブ。


「ぶっふふ……ソージっくく……だ、ダイジョブデスか……くくっ……」


ベルが俺の頭の直ぐ近くにしゃがんで安否確認をしてくるが、笑いを我慢しきれてないのがすげぇムカつく。 ムカつくけど俺も笑ってないにしろ何もしなかったから何も言えねぇ。


というか普通にベルのパンツ見えてる。 今日は赤ですか。

毎日洗濯してるけどこいつ紅葉と違って多色だな。 紅葉は寒色を好むけど、ベルは暖色寒色関係無く色が豊富。 それにしても邪魔だからそこから失せてちょんまげ。 途中から言語力どうした。


「よっと……」


背中よりも地味に痛むケツを我慢して起き上がる。 莇まだ笑ってやがるコイツの横隔膜切除してぇ。


「お二人共注意力散漫ですよ。 もっと私を見習いなさい」


そう言いながら莇はスタスタと歩く。 あいつの足の甲に岩落としてぇ。


とりあえず犠牲者ゲフンゲフン、同胞を増やそうと思ってさっき俺が踏んだ五寸釘を蹴る。 蹴った釘は廊下を滑り、足を下ろした莇の足の下へ。 そして釘踏んだ莇は盛大に足を滑らせて廊下へ背面フルダイブRPG。 デスゲーム強制参加じゃい。


「およよ?」


その一声が、莇の最後の声だった。 なわけないか。 ただ思いっきりケツをぶつけただけだし。 というか踏まれた釘も前方に滑って行ったな。 この廊下意外と滑るのか?


「……で、お前の何処を見習えば良いんだ?」


足を滑らせたことを誤魔化すように即座に足を折って胡座をかく莇を見下ろすようにさっきの発言について問い質してみる。 すると莇は「ふっ……」と顔に手を当ててキメ顔&決めポーズ。 なんだコイツキメ顔じゃなくてキメェ顔だろうが。


「……たとえ足を滑らせても着地は綺麗な所、ですかね」


「なんだコイツ無敵かよ」


でもみっともない声出した醜態は見逃してないからそこは別。 まぁたとえ星で無敵になっても落下とマグマは対象外だし。 なんというか、漸くメジャーな喩え出した気がする。 今までがマイナーか専門的だったのよ。


立ち上がった莇を確認して渋々三人一緒に生徒会室へ向かう。縦列で歩いてると勇者一行みたいだな。 ベルが勇者で莇は遊び人、俺は宿屋の主人か絶対に先へと行かせない門番──とは無関係の敵──の経験値。 俺倒されてんじゃん。 しかも最早勇者関係ねぇし。 この俺クオリティに【流石ストリーム・ハーデン】と言わざるを得ない。 クソムカつく言い方だなコレ。 英語とドイツ語の複合ってのがよりムカつく。


「おうっ!?」


突如、前を歩いていたベルがアシカと化して後ろを歩く莇と俺へ背面ダイブしてきた。 確かに俺は動物というかアニマルもビーストもフィッシュも好きだけど自ら動物になってまで好かれたいのかコイツ。


という思考は置いといて、倒れてくるベルを莇は──受け止めようとせず横にズレて避ける。 つまりベルはその後ろにいる俺へやって来る訳で──俺も避ける。


「っ〜 痛いデス……受け止めて欲しかったデス……」


「ああすまん。 なんか面倒くさくて」


「というか、お嬢様今日は足を滑らせすぎでは? 急にスケート選手でも目指したんですか?」


「二人ともヒドイ!」


「うわーん!」と叫ぶベルを黙らせるべく、手を貸して立ち上がらせる。 滑った原因はなんだ……


チラッとその場所を見ると、またもや五寸釘釘が。 あれ莇が踏んで前に吹っ飛んだ奴だな。 原因莇──に踏ませた俺──じゃなくて廊下に放置した奴だな、うん。 流れるような責任転嫁。


つーかなんで廊下に落ちてんだマジで。 彼女持ちの男を呪うなら俺も呼べよ……そんなツテ無いけど。 なんなら俺は俺で呪うけど。


とりあえずこの釘はバレないように後で委員会に戻しておこう。 踵で蹴り上げてっと……


そして、色々あったが生徒会室に着いた。 なんか列出来てるー


「み、皆さんちゃんと一列で……」


「……何だこの列」


列を観察するが、生徒から教師、制服からユニフォームまで統一性は無い。 でも全員この学園の奴だな……あ、泉ちゃんだ。なんでプラカード持ってんの?


「あ、奏士さん……」


俺らに気付いた泉ちゃんが大きなプラカードを持ってパタパタと近付いてくる。 とりあえず持つ?


「じ、実は……」


泉ちゃんが説明してくれた事を意訳翻訳要約するとこうだな。


「何故か今日は『生徒会長に直接相談したい』って人が多くて困ってます奏士お兄ちゃん大好き♡」って事だ。 後半は違うけど。 そんなことより。


「でもこれは流石に多すぎるデス!」


ざっと数えてみても約80人。 この処理速度的に終わるのは時間ギリギリになるだろうが、相談者が増えないとは限らない。 列を見たら並びたくなるのが人の性だ。 まともな相談ならともかく、『ちょっとついでだし〜』でやられてはキリがない。


中をチラッと見てみるが、紅葉と相談者のタイマンだ。 そして紅葉専用の机には今朝俺が与えた今日の分のクッキーと紅茶。 匂い的に多分ミルクティー。そして湯気が少ないという事は、それなりに時間が経過してる。 まだ放課後になって10分程度だけど。


紅葉はいつも通りぼーっとした顔だが、クッキーを食べようとしたその時に来たからか、だいぶソワソワしている。 俺も自分で作ったものを放置されるのは気分が悪い。 さて、どうするか。 最短時間で最低限の疲労で最高率の結果を。 夏で水着着る機会も増えたからリスクもシェイプアップしないと。 俺夏だろうが冬だろうが必修授業以外で着ないけど。


「……よし、コミケ方式で行こう」


毎年壁サーとしてソロで出てる俺の捌きの実力、今存分に発揮する時。 壁サーが凄いのかって聞かれると「他の凄い絵師様と比べると全然」と言わざるを得ないけど。 ちなみにソロの理由は頼む人も信頼できる人も居ないから。 だって何されるか分からんし。 呼子レイヤーさんはともかく売り子は絶対ダメ。


そうと決まったら即行動。 ベル達は生徒会室に入れ、泉ちゃんからカードを貰って深呼吸。 心臓バクバクなんですけど。 あ、心臓止まっちゃった。

じゃあ代わりに腎臓バクバクさせないと。 名前ほぼ同じだしなんとかなるだろ。 あ、無理? じゃあ代わりは肝臓が頼む。


「はいちゅーもーく」


列の先頭まで移動して後方まで聞こえるように声を大きくして言う。 おっと後方はまだしも俺のすぐ目の前の奴も無視しやがったぞくたばれ。


「……花伝生徒会長からのありがた〜いお話があります」


「「「っ!!」」」


うわ紅葉の名前出したら全員こっち向きやがった。 何この統率力怖い。 というか紅葉どれだけファン多いのよ。


「あー、あー……っんん゛ん゛!」


声帯を弄って紅葉そっくりの声に変える。 よし、これくらいか。


「……相談内容別で2列に並んで。 至急が左、それ以外が右」


よし、声もイントネーションも紅葉クリソツだ。 暇つぶしもとい空いた時間で練習したかいがあった。


「お前如きが我らの会長様のお声を穢すなー!」


「そもそもお前は生徒会長様に近付く事すら許されないのだ!」


「そーだそーだー!」


しかし不評だった様で、中身入りペットボトルやら紙屑やら投げられた。


「うるせぇハゲェ! どうせてめぇらの悩みなんか『あ〜今夜の晩御飯何食べようかしら』とか『告白するにはどのタイミングが良いですかね』とかクソどうでもいい事だろ帰れんなもん!」


「ハゲ……」


俺が全員を黙らせる為に言った事だが、偶然近くを通った模型部顧問で老人の海絶かいぜつ先生(最近薄毛の進行が気になる)の耳に入った様で、生え際を抑えながらトボトボと去っていった。 先生あんたの事じゃねぇ。 あんたと話したことないけどあんたの事じゃねぇ。


「晩飯に迷ってんなら豚バラ大根でも食え! 告白するなら夕焼けバックの校舎裏でも使え! それと服は迷ったら左手に持ってるもん着ろ! ほら解決したら帰れバーカ!」


だいぶ強引な方法だ。 しかし紅葉のやる気は俺の問題に繋がるから仕方nothing。 漫画描いてもらわないと続き読めないし。


「うるせぇバーカ!」


「くたばれバーカ!」


「でも解決したわバーカ!」


「去ねバーカ!」


「滅べ滅べ滅べ」


「うるせぇ帰れ!」


これでだいぶ減った。 具体的には49人減ったぞ嘘だろマジか。 それくらいの相談は知○袋にでもしてろ。


ガキの喧嘩みたいなやり方で強引だったが、結果オーライ最短時間だから良しとする。 後は最初の通り。


「はい、残った人はさっきも言った通り2列に並べー。 最後尾はプラカード持って並べー」


列を整えて最後尾の二人にはお手製プラカードを掲げさせる。 左は『至急解決列』、右は『後日でも可能列』と書いた奴を。 後は……


「並び終わったなー? じゃあ至急の相談から処理していくから、左列から部屋に入れ。 右列の奴らは現在並んでる左列の分が解決次第案内していくからしばし待て。 この時間内に解決しなかったら整理券を渡すから、後日それを渡してくれれば優先的に案内する。 今はそれで我慢しろー」


俺が言い終わると、並ぶ奴らから返事が返ってくる。 とりあえずこれでなんとかなるだろ。


そして徐々に処理していき、最後の一人になった。 野球少年か。こんがり焼けた肌と坊主頭とかまるっきり野球少年だな。 俺の白い肌と長い髪とは真逆や。


「……名前と学年を」


紅葉はだいぶ疲れた様子。 覇気が微塵も無い。 最初からほぼ無いけど。


「はい! 1年B組──」


野球少年の名前は聞いてなかったけど、とりあえず半田くんと呼ぼう。 名前の由来は野球少年がパンダのワッペン使ってたから。


「……あ」


「あ、逆無さん」


泉ちゃんが何かに気づいたような声を出したと同時に、半田の野郎が泉ちゃんとお知り合いかのように話す。


「貴様……うちの泉とどんな関係だ」


「クラスメイトッス! それ以上でもそれ以下でもないッス!」


全力(制限を1時解除済み)で半田の肩を掴むと、半田くんはスラスラと話してくれる。 話のわかる人で良かった。 銃口を向けての話し合いはなるべくしたくないからね。


「……それで、半田くんの相談は?」


「あの、俺半田じゃなくて──」


また名前聴き逃したが、要するに『幼なじみの彼女が居るんですけど次のデートでファーストキスがしたい』ってことらしい死ねば?


「おい、こいつ殺すぞ」


「奏士殿、スコップと手袋なら用意してあります」


「この先輩達怖い!」


即行動しようと思ったけど、紅葉とベルに止められたから目標の始末は見送ることにした。 ちぃ!


「つーか付き合って何年よ」


「5年です」


「よし殺す」


「ソージステイ!」


「犬か俺は。 手は繋いだか?」


「そりゃぁ幼なじみですから。 昔は普通に繋いでました」


「……じゃあ今は?」


「ちょっと恥ずかしくて……」


「う〜ん存命!」


「ちょっと俺の命軽くないスか!?」


「黙れじゃあ最後だが……貴様、ヤったか?」


「……お、お恥ずかしながら未だ……」


「そうかならば許す」


「ソージのキャラがブレブレデス……」


対象が2次元だろうと3次元だろうと彼女持ちに対する非リアの恨みは深い。 恨みの元は? 私は喉から。


「つっても彼女とキスねぇ……」


簡単なんじゃ無いの? 知らんけど。 終身名誉童貞の俺には分からん。 なんせ2次元基準だからな。 3次元は分からん。


「紅葉とベルはどうだ?」


女側の意見も欲しい。 ベルは自称恋する乙女だからちったあマシな──


「……奏士が私にキスをするって事?」


「ヤン♡ ソージったらダ・イ・タ・ン♡」


「死ね」


「直球過ぎる罵倒!?」


バカ2人に聞いた俺も馬鹿だった。 莇は対象が違うし、泉ちゃんにはまだ早いし……


「……好き同士ならとりあえずそれっぽいムードというか、とりあえず家デートする時なるべく近くに座ったり、小さなスキンシップをちょこちょこやってみたりすればいいんじゃないか? 流れ作っちまえば後はこっちのもんだろ」


少なくとも昨日読んだエロ同人ではそうだった。 ソースが何の役にも立たねぇ。


「あ、お泊まり!」


ベルが突然立ち上がって少年にビシィっと指を指した。


「好きな人と同じ部屋で寝る事はとてもドキドキするデス! だから、寝るまではあえて手を出さず、布団に入りながらおしゃべりして仲を深め、次第に重なり合う手!」


「ふむ」


多少はまともなこと言ってるなコイツ。


「重なり合う唇!」


「達成したな」


「重なり合う身体!」


「うん?」


なかに注がれる愛する人の液!」


「本番行ってんじゃねぇよ」


「という感じで今夜どうですかソージ!」


「しかも俺との話だったのかよ却下だボケナス」


途中からなんかおかしいと思ったらズレまくってんじゃねぇか。 マジでくたばれそして滅べ。


「成程……」


「え、今の話に参考になる部分あった?」


しかも野球少年の半田くんはなんか「感銘を受けました!」みてぇな顔してるし。 バカだろコイツ。


「……後は媚薬」


「自力で何とかしようって話してんのに薬持ち出してきたよこの娘」


もしかして紅葉ちゃんそういうタイプの人? 惚れた男は気をつけてね。


「ありがとうございます先輩! 早速今夜試してみます!」


少年は止める暇もなく生徒会室を飛び出して行った。 行っちゃった。


「……お前あれどーすんだよ」


「いや……ワタシもあんなに信じ込まれるとは思わなかったデス」


とりあえず彼女が無事でありますように。 そして半田くんが帰り道トラックに撥ねられて惨たらしく死にますように。 俺はそう願う。


─────────────────────────


そして後日。


「ありがとうございました先輩方! お陰で彼女とできました!」


「嘘だろ成功したのかよ」


半田くんは態々お礼に来た。


「はい! 色んな意味でセイコウしました!」


「……ほう」


今こいつなんつった? セイコウしました? 色んな意味で? ほうほうほうなるほどなるほど。


コイツの話を聞いた俺は即座に行動した。校内放送用のマイクのスイッチをオンにして──


「野郎共! 狩の時間だ!」


その放送と共に、大勢の足音が近付いてくる。 場所も教えてないのに正確に場所を捕えるとは相変わらずだ。


「な、なんスかこれは!?」


半田くんが動揺している間にも足音は止まらず、生徒会室の扉が開く。


「対象は1年B組の野球少年! 先日幼なじみの彼女とキスをし、あろうことか本番まで言ったと自白した! これは立派な会則違反である! よってこやつを拷問し、さらなる自白を求める! 者共かかれ!」


「うおぉぉぉぉぉ!!!」


「リア充死ねぇー!!!」


「彼女持ちは滅べぇぇぇぇ!!!」


俺の指示で一斉に襲いかかる委員会の同志、それから逃げ回る半田。 生徒会室で暴れ回る男共を無視してティータイム中の紅葉達。 カオスだ。


「うぉぉぉぉぉ! こんな場所で死ねないってスー!」


「逃げたぞ! 追え、追えーっ!」


その後も大捕物は続いた。 捕縛後の事は関与しないから、詳しいことは知らないが、仮面の男達に捕縛される1人の少年を見たそうな。 しーらね。

後書き書くのめんどいです。 エアコンの竜田揚げが食べたい。




という訳で6章かそこらの一発目と言うわけで肩慣らし代わりに書いたんですけどね。 準備運動で力尽きる体力なの忘れてました。 という訳で次回から本気出す。 多分。

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