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輪廻のFate Line  作者: 怪人アホ面男
5って割と区切りやすいから便利だよね
47/133

夏は水着で盛り上がろう。 何とは言わない

夏、まだ6月、クソ暑い……


「暑っついデス……」


「こうも暑いと……さすがの私も厳しいです」


放課後、紅葉と奏士の二人は会議のため遅れるとの連絡があり、その2人が帰ってくるまではベル・莇・泉の3人で仕事をしなければならない。


「アオバ〜外の自販機でジュース買ってきてクダサ〜イ」


「ご自分で買ってきてください……」


仕事内容は普段通り書類整理や依頼・相談の対応。 今まで一人でこなしてきた紅葉と、なんだかんだ有能な奏士の2トップが不在でも残りの3人で十分対処出来る仕事だ。しかし……


「アオバ〜主人命令デス……至急買ってくるデ〜ス」


「私……今は休暇中なので……律に頼んでください……」


この猛暑に、ベルどころか青葉ですらダウン。 筆は進まず、涼しさ冷たさを求めて机にピットり貼りついてピクリとも動かない。 節電だとかそういうのは完全度外視で冷房を稼働させているが、効果は見ての通り無かった。


「お二人とも、冷たい麦茶が入りました」


そんな中、泉は一人平気そうにしていた。 こうして動かない2人の先輩の為に冷たい飲み物まで持ってきてくれるくらいだ。


「てんきゅーデス……」


「泉殿……有難く頂戴します」


二人は、動かない身体をどうにか動かして湯呑みを受け取ってそれを一気飲み。 泉は空になった湯呑みに透かさず麦茶を注ぐ。


「ソージ達遅いデス……」


「お二人は今頃会議室でしょうか……」


「それじゃあ、休憩もしたので続きをやっちゃいましょう」


「oh......」


「泉殿は、初めてお会いした時と比べてだいぶ変わりましたね……」


笑顔で言う泉を見て、二人は『やっぱりソージ(奏士殿)の妹分だなぁ……』と思った。 ヘロヘロの2人とは違って、泉はどこまでも元気だった。


─────────────────────────


この惑星の気温は高い。


季節は夏真っ只中。 俺的には、7月入るまでは春と夏の間判定だけど。


今日はステキな日だ。 花(向日葵)が咲いてる。 小鳥(蝉だけど)達も囀って(鳴いて)いる。 こんな日にはお前みたいなヤツは地獄で燃えてしまえばいい。


微妙に分かり辛くてくそ長い前置きはさておき、要点をまとめると『帰りたい』だね。


現在は放課後、俺は教室を出たところで紅葉に事前連絡無しに拉致られ、こうして会議室の生徒会役員席で始まるのを待っている。 紅葉ちゃんってばとても強引なんだから。


つーか、まだ入って間もないとはいえ俺は『生徒会副会長兼生徒会長代理筆頭』なんだから連絡くらい寄越せや。 家が近いどころか同じ屋根の下だしなんなら部屋は向かい合わせなんだけど。 『ほう・れん・そう』はしっかりと。『ほうれん草』・『ほうれん草』・『ほうれん草』じゃないぞ。 ほうれん草は身体に良いからちゃんと食べよう。


隣をチラリと見てみれば、暑さで紅葉がダウンしている。 まぁ、ロシアの血が入ってるって言ってるし、銀髪だし、なんか白いから暑さに弱いんだろ。 全部無関係だけど。 そもそも紅葉はハーフはハーフでもロシア住まいじゃないし。


「……何?」


俺の視線に気付いたのか、紅葉は机にうつ伏せの状態を保ったまま顔をゆっくりと動かして俺を見た。


「いや、何でも」


そう、大したことではない。『銀髪=ロシア』ってイメージが安直にも程があるし、そもそも紅葉にロシア要素皆無だから、国とか関係無く唯の銀髪碧眼のハーフで頭のおかしさが決戦機能制限解除エクスドライブアンリミテッドでオタクで口数が少ない美少女生徒会長でしかないとか思った程度だ。 その程度だからなんでもない。


「奏士……会議が始まる前に自販機でジュースを買ってくるように」


「舐めんな」


喉乾いたなら自分の汗か唾液で喉でも潤しとけ、と言って俺は紅葉の対応を諦めた。 だって暑さでめんどくさい感じになってるし、俺も暑いし。 シャツ出し可で有難い。


そして、途中紅葉が俺に団扇を渡してきたから俺自身を扇いで涼んでいたら思いっきり頬を両側に引っ張られたから仕返しに団扇の先端が鼻先をかするように扇いだりしたが、漸く各委員会長が集結し、会議は始まった。


「……それでは、委員会会議を始めます。 始めは報告から。 図書委員会から時計回りでどうぞ」


進行は生徒会長の紅葉、俺は議事録を纏めたり資料配布とか書記の変わり。


ぶっちゃけると、こういうのは普通生徒会役員全員が参加してやるもんだとは思う。 紅葉が『必要無い』と言うから3人は仕事するよう俺が命じたが。 まぁ、紅葉は一人で全部やってたから……とりあえず様子見。


「図書委員会は──」


俺は報告を聞きながらノーパソのキーボードをカタカタ


「広報委員会は──」


キーボードカタカタ


「ヌゥン! 我ら豪傑保険委員会は──」


キーボードカタカタちょっと待って急にキャラ濃いの困る。


「風紀委員会は──」


あ、小百合さんだ。 久しぶりに会った気がする。 体感的には131日ぶりの登場。


そして、定期報告も残り4委員会となった時の事だ。


「儂らは特に無いな。 しっかりと予算内で済んでおる。 強いて言うならもう少し人手が欲しい」


夏服だから生地は薄いが、それを考慮してもなお服越しでも分かる筋肉と、厳つい鬼のような顔、放つオーラは鬼神おにがみの如し。 俺見たことないけど、想像だからセフセフ。


「そう……一般生徒を募って派遣しますか?」


「そうだな……出来れば体力と筋肉、それと虫に怯えない度胸がある奴を頼む」


机に置かれたプレートには、『体育委員会』の文字が。 特徴的な一人称を使うこの人、この漢は、我らが体育委員長兼空手部部長にして宿木学園三年次席、『巌賢星いわおけんせい』先輩だ。 文武両道質実剛健を地で行く男だと聞く。ソースは頼金。 俺この人に搦め手罠暗器仕込みその他諸々『卑怯』とされる手段を用いても、勝つ未来が見えないんだけど。 アマンダさんとならどっちが強いんだろ。 俺との奴は何と言うか、場所が我が家の道場という俺の陣だったし。


「では後ほど、用紙を作っておきます。 次の委員会は報告をお願いします」


「はい」と言ったのは巌先輩の隣、濡場色の黒髪は腰まで長く、その所作、放つオーラは、大和撫子を思わせる美人。 小百合さんを『やかましポンコツお嬢様』とするなら、この人は『純正お嬢様』だ。 そう、我らが美化委員長『宿木学園三年首席、轟天音とどろきあまね』先輩である。 ちなみに、前生徒会長らしい。 そして、紅葉の数少ない本性を出す人……らしい。 俺なーんも知らなさすぎ。


この先輩、生徒会長だった頃副会長だった紅葉をベッタベタに甘やかした結果俺のが入る前の生徒会が出来上がったそうな。 要するに、全ての元凶である。 性格的相性も悪く、俺はこの人が苦手だ。 前述もあってこの人を影で湖の貴婦人ダーム・デュ・ラックと呼んでいる。 皮肉が効いたあだ名だと思う。


「私の所も大丈夫です。 既に整備は終わらせてあります」


「ん」


そこで終わればいいものを、まだ会話は続く。 今だけは生徒会副会長の役目を放棄したい。 今『も』の間違いだろ系の発言は認めません。


「ただ……どうしても一箇所だけ手が届かない場所があって……紅葉ちゃん、手伝ってくれないかな?」


「おねが〜い」と両手を合わせる轟先輩を見て、紅葉が折れた。 この人只者じゃない。 分かりきったことだけど。


「……場所は?」


「手伝ってくれるの? ありがと〜」


ぱぁと花を咲かせる轟先輩。 この人トラブルメーカーの素質がある。捨ててしまえそんな素質。


「そろそろプールの授業が始まる頃じゃない? それで、今週の土曜日に委員会の皆で集まってプール掃除をしようって話になったんだけど……」


「……人手が足りない?」


「そうなの〜 皆予定が重なっちゃって……紅葉ちゃん達生徒会役員も増えてきたし、手を貸してほしいな〜って……ダメ?」


コテっと首を傾げて合わせた手から上目遣いで紅葉の顔を覗く轟先輩はやはり危険な女だと思いました。 小学生の作文か。


「……奏士」


紅葉が意見を求めようと俺を見るが、俺はあくまで副会長、2番手だ。 トップの意思に従うのが役員の務め、紅葉に全責任を押し付ゲフンゲフン、委ねる方針で行く。


「俺に聞くな。 決定権はお前にある」


というか、プール掃除って美化委員の仕事なんだろうか。 体育関連なら体育委員の仕事じゃなかろうか。


「……分かった。 天音さんの頼みなら」


「ありがと〜 お礼にハグしてなでなでしてあげる!」


「大丈夫」


紅葉を後ろからそっと抱きしめて頭を撫で始める天音さんと、どうにか抜け出そうと藻掻く紅葉を3秒ほど見て俺は目を背けた。 男が入るべき世界じゃない。


会議中と言うことも忘れてイチャイチャし始める二人はそっとしておくとして、会議を続行しよう。


「では、次の委員会どうぞ」


─────────────────────────


「……ふぅ」


会議は終わり、各々席を立って会議室から出ていく。 全部の仕事を一人でやったから俺は今日重松をモフモフして癒される。


「……おつかれ」


「お疲れ様〜」


紅葉と轟先輩から言われたことはさておき、そろそろ紅葉を解放したらどうですか先輩。 紅葉が脱出を諦めた猫みたいになってますよ。


「轟よ、そろそろ花伝を離したらどうだ」


振り向くとそこには巌先輩が。 下から見ると逆光で影がヤバいな。 つーか威圧感パない。 パないっす。 パナソ○ックっす。 意味わかんね。


「あら賢星君、そんな『轟』なんて他人行儀な呼び方辞めてっていつも言ってるでしょ? ちゃんと『天音』って名前呼びしてくれないと」


「う、うぬぅ……しかしだな……どうも名前呼びと言うのは恥ずかしくての……儂はやっぱり『轟』の方が呼びやすい」


人差し指を立ててプリプリと怒る轟先輩と、照れて赤い頬をポリポリとかく巌先輩。 何この空気。 とりあえず吐いていい?


「もうっ、賢星君はいつもそうやって照れちゃうんだから……そういうところも可愛いですけど」


頬を膨らませる轟先輩は、何と言うか……行為はぶりっ子なんだけど、天然物で安心した。 怖いなこの人。 とりあえず紅葉離せ。


漸く解放された紅葉を席に座らせて、二人で2人を傍観する。


「いいですか賢星君、名前呼びをするということは親愛の証でもあるのですよ? それなのにいつまで経っても『恥ずかしいから』って理由だけで苗字呼びだと、そのうち心が離れて行っちゃいますからね! 私が他の男の子のものになっても良いんですか!?」


「それは嫌だ! しかし……」


「む〜〜」


……………………


「なぁ紅葉、ちょっと俺吐いていいかオロロロロ」


「……せめて返事を待って」


「ロロロ」


「……ドゥーム混ざってる」


この吐いた砂糖はどうしようか。 というか何この二人。 人前でイチャつくのやめてくんない? ムカつくから男を処刑しよう


「ぬ? どうした柳よ」


とは言ってないからセーフ。 無理です勝てない死にたくない。


「そうです柳君、君からも言ってあげてください!」


「うわこっち降ってきやがった」


急に訳わかんない話降ってくんのやめてくんない?


「賢星君が名前で呼んでくれないんですよ! どう思いますか!?」


「正直に答えるなら知ったっこっちゃ無いです」


名前くらい普通に読んでやれよ賢星君。 というか彼氏彼女 (だろう)なら名前呼びするのが普通だろ。 美人の彼女持ちとかくたばれ。


「ぬ? 柳よ、儂の顔に何かついてるか?」


とは言ってないからセーフ。 俺は強者に弱く弱者に強い、典型的な小物みたいな性格じゃない──と思っているが、少なくとも絶対勝てないような人には逆らわないのが俺。 小物に間違いないのは否定しないが。


「もう面倒臭いから先輩も名前くらい普通に呼んでやればいいじゃないんですか?」


「しかしだなあ……」


それでも巌先輩は踏み出せない。 しかしもおかしもクソもあるかっての。


「……はぁ、まさか、歴代最強とまで謳われた空手部主将が惚れた女の名も呼べぬ小物だったとは……嘆かわしい」


流石にこの発言は効いた様子。 ブチ切れてないよね? もしそうなら全力で土下座する前に轟先輩を盾にする。


「柳よ……そこまで言われては男が廃るものよ。 良いだろう! 名前くらい呼んでやろうではないか!」


そんなに気合い入れることかと思ったけど言わないでおこう。 後が怖い。


「ふーっ!あ」


一息気合を入れた巌先輩はそこで止まった。 今更怖気付いたか。


「あ?」


轟先輩はそれをニッコニコの上目遣いで聞き返すのやめて差しあげろ。 巌先輩固まっちゃったじゃん。とりあえず60°の角度からぶっ叩けば治るか? のびママ直伝の治し方で戻してやろうか……


「 ……あ、あま……あま……天音」


漸く再開したが、噛みまくりの顔真っ赤。 対する轟先輩はニコニコ嬉しそう。


「はい、よく出来ました〜 ご褒美に頭をなでなでしちゃいます」


背伸びして巌先輩の頭をそっと撫でる轟先輩と、先輩の胸が顔に当たって再びフリーズする巌先輩。 意外と初心なのね。


「これ! 儂の頭を撫でるでないぞ!」


巌先輩は漸く気が付いて、轟先輩の手をふりはらうが轟先輩はめげずになでなで再開している。 そのうち巌先輩が物理的に小さくなりそう……そんときは全力で下に見よう。 だって俺より背が低くなるだろうし。


「でも、私の手が届くようにしゃがんでくれる優しい賢星君が私は大好きです」


うわぁ嬉しそうだね良かったね。 とりあえず俺は退散するから後はここでおっぱじめるなり紅葉加えるなり自由してくれ。


そうして席を立った俺だが、紅葉に捕まってしまい諦めた。 何? 俺もこれ見てなきゃダメとか俺が何したって言うんだ。


と、そこで気付いた。 轟先輩が頭を撫でながら、俺の方を見て口パクで何かを伝えている。えーっと……


『あ・り・が・と・ね』


……もしかしてお礼言われた? いや、気のせいか。 何もしてないし、言われる筋合いが無い。


やっとなでなでタイムが終わり、巌先輩はそっぽ向いて照れ隠し、轟先輩はツヤツヤしてる。 お嬢さんどんなケアしてらっしゃるの?


「そうだ柳君、君も試しに私の名前を呼んでくれないかな」


なんてことを急に言われたもんだからさて大変だ。 果たして他人の女を名前呼びして良いものだろうか。 皐月&遥さんペアは同クラだから例外ってことで許してポヨポヨ。


「え、呼んだら殺されそうなんで嫌ですけど」


「大丈夫、賢星君はそんなことじゃ手を出さないから。 私に指一本でも触れたら出しちゃうかもだけど」


あっぶねぇ彼氏だなおい。 そんな人が空手部主将で大丈夫か。対戦相手うっかり殺さないだろうな……


まぁ、死なないなら呼ぼう。 この人って雰囲気とか話し方とか色々合わさって断り辛いんだよなぁ……


「天音先輩、で宜しくて?」


「うんうん、宜しくてよ〜」


そう言いながらニコニコ笑顔で俺の頭に手を伸ばしてくる。 それを間一髪で回避。あっぶねぇなこの人の撫で癖は。


「避けなくても大丈夫なのに〜」


「ぶ〜」と相変わらず天然ぶりっ子の天音先輩を見て俺は後退る。 やっぱり相性最悪だこの人。


「天音さん……奏士はダメ」


と、そこで紅葉が後ろから俺の腰をギュッとしてきた。 腹減ったなら生徒会室の冷蔵庫にシュークリーム冷やしてあるから戻ってからね。 それと後ろからされると手が腹に入って割と苦しいから止めろ。 というか何故腰? 身長的にもう少し上でも良くない? どっちにしろ見栄えくそ悪いけど。


「あら、あらあらあら! もしかして柳君って……紅葉ちゃんの?」


天音先輩も恋愛大好き乙女なのか、流れに食いついてきた。 俺と紅葉は彼氏彼女の関係じゃないんで。 例えるなら俺が保護者で紅葉が手のかかる子供の関係なんで。 余計意味わからん。


「奏士は私の大切なパティ……生徒会副会長」


おっと紅葉さん一瞬本音出たよね? 『パティシエ』って言おうとしたよね? お前が俺の事お菓子くれる人としか見てないってことが分かった。


でも温厚な俺はこんなことじゃ怒らない。 怒らないけどその代わりに無限月読を発動する。


「そう、紅葉も大事な人を見つけたんだ……お姉ちゃん嬉しいな〜」


ヤバいこの人も自称姉だ。 俺が苦手と思うのは瑠姫さんと同じ気配を感じるからか。 納得納得──してたまるか。


というか「も」って事は好きな人いる発言しちゃったよこの人。 アッツアツですね。 二重の意味で。 とりあえず巌先輩はアッツアツの石窯に頬擦りしてくれない?


…………あれ、来ないぞ。 天丼は二回まで理論か……


と、そこで17時のチャイムが鳴り響いた。 残って雑談してる帰宅部は帰れ。


「おっと、流石にもう時間かな。 それじゃあ紅葉ちゃん、土曜日よろしくね〜」


フリフリと手を振りながら会議室を出ていく天音先輩、それに続いて巌先輩も部屋を出た。 部屋を出る時、扉の上の縁に頭ぶつけてた姿を俺はしっかりと見た。 家政婦並みに見た。


そして残された俺と紅葉──と、部屋の隅でパイプ椅子に座って居眠りぶっこいてる監督者のも助。 あんたあの空気で寝ていられるの凄いな。 悠ちゃんに報告しとく。


温厚な俺はここで無理に起こすようなことはしない。 永遠の眠りにつかせる。 とりあえず写メ撮って悠ちゃんに送っとこ。 悠ちゃん忘れがちだけど理事長だから。 この学園の最高権力者だから。


「……戻るか」


「ん」


そうして俺と紅葉も部屋を後にした。 も助を呼ぶ放送が聞こえた気がするが俺は鼓膜破ってあるから聞いてない判定セフセフ。 鼓膜破ってある時点で別の問題がオウッオウッなのは無視する。 俺はアシカか何かか? 正しくは「アウアウ」な。


「ところでお前、さっきはなんであんなことした?」


「……あんなこと?」


さっき紅葉が俺をギュッとした事だぞバカタレ。 チミは唐突なボディタッチを控えなさい。 俺の身体が持たないから。 あと若干恥ずかしいから。


はい、今『お前にも恥ずかしいとかそんな感覚あったんだ』って思った人、両手を上げなさい。


『はーい』


自覚あることはいいことですよね。 久しぶりの登場で忘れてるであろう第二人格俺、とっとと失せろや。


「……?」


「もしかして自覚無い?」


「……無い、と思う」


うんまぁだろうと思ったよ。 だって前から思ってたもん『こいつの反応は園児のお友達に対する奴と同じ』だって。 友達居たこと無いからそうなのか知らないけど。 調べても出てこないんだけど。 誰か教えろ。


とりあえず、自覚が無いことが分かった以上はこれ以上言っても無駄だから話は終わり。 生徒会室に着いたし仕事再開と行こう。


「あー! 遅いデスよソージ!」


「御二人が会議に行ってる間に片付いてしまいましたよ」


「お、お疲れ様です奏士さん……冷たいお茶をどうぞ」


出迎えは左から右に流し、泉ちゃんから湯呑みを受け取って席に着く。 確かに粗方終わってる。 じゃあ残りは放課後ティータイムにしよう。 サボりじゃない。 俺の仕事は終わったんだ。 じゃあ1番仕事してないであろう紅葉にやらせよう。 本格的な仕事は土曜日から……土曜日明後日だけど。


─────────────────────────


「……という訳で、プール掃除を始める」


「うんどういう訳で?」


前置き吹っ飛ばして本編行くのやめてくんね?


時はスキップ機能で吹っ飛んで土曜日。梅雨真っ只中なのに本日は雲一つ無い蒼穹だ。


集まった生徒会メンバー+天音先輩ら美化委員4名と何故か巌先輩、そして、人手確保の為にベルが呼んだ禍塚グループ4名、それと本当に何故か居る頼金の計15名。 それと、監督者として休日出勤を命じられた悲しきも助と暇人なのか来た悠ちゃんの二名。 理事長って学校法人のトップなんだし、もっと仕事あると思うんだけど……そういや宿学のトップの校長ってあんまし見かけないな。 生きてんのか?


とまぁそんな訳で俺らも休日出勤を命じられてプール掃除をしに来てる訳だ。 詳しくは遡れ。


「プール掃除協力の報酬として、内申点の+と掃除後のプールの使用許可を校長先生を脅し……お願いして約束してきた。後は頑張って」


怖いよなぁ……紅葉ちゃんたら、校長脅迫しちゃうんだもん。 実際は交渉しただけだけどさ。 そこで『脅し』が出てくる時点でだいぶ手遅れ感満載だよね。


「それと、悠ちゃん理事長からの私的報酬として冷やした西瓜とアイスを用意してある。 掃除後の楽しみは用意してあるから、ちゃんと綺麗にするように」


紅葉に続いて俺も連絡。 悠ちゃんってば太っ腹。 でもその腹の肉は胸にいかないのが悠ちゃんクオリティ。 最近お腹の弾力がやばくなってきたって言ってたし。 やべ殺意が。


「マジかよ悠ちゃん理事長流石!」


「やるじゃん悠ちゃん理事長」


内申点よりも現物報酬が嬉しかったのか、テンションを上げる不知火と皐月さん。 そうか陽キャには自然と上がる内申点よりも現物の方が嬉しいか。 俺は成績上げて貰える方が嬉しいが。 学生時代の成績良いと後々便利だし。 就職する気無いけど。 卒業後は今まで通り、漫画も投資も何もかも『趣味』と言い切って働かずして金を稼ぐネオニート1歩手前で暮らす。


「おい奏士どうしてくれる。 お前が私の事を『悠ちゃん』と呼ぶせいで皆に悠ちゃんが浸透したじゃないか」


悠ちゃんが文句ブーブー言ってくるが、そんな事言われても俺は知らんし。 悠ちゃんの見た目的に、それが一番しっくりくるからそう呼んでるだけだし……


「まぁまぁ、そう怒らないで下さい……悠ちゃん理事長」


「お前は確か三年首席の轟だったか……おい、頭を撫でるな。 抱き着くな。 持ち上げるな」


「前々から思ってたんですよ……悠ちゃん理事長ってとっても抱き心地良さそうだなって。 予想通り、暖かくて、ふわふわぷにぷにで……ねぇ柳君、私に悠ちゃん理事長をくださらない?」


天音先輩が悠ちゃんを抱き抱えたまま真剣な顔で聞いてくる。 悠ちゃんを抱っこする時の持ち方が違うけど今は言わない。


「天音先輩なら悠ちゃんにどれくらいの値を付けます?」


「私の全財産を差し上げます」


「毎度っ!」


忘れがちだが、この学園に通う奴は親が金持ち、もしくは由緒ある一族の末裔だらけだ。 ベルだって、あれで大企業の社長令嬢、小百合さんは老舗旅館、禍塚は弁護士で不知火は検事、その他もそんなレベルの奴らがゴロゴロと……泉ちゃんの様な一般家庭、俺の様な分類不明なのも居るが、あくまで少数。


そして轟天音先輩、『轟』と言えば、有名和食料亭『三つぐるま』の板長(花板)の娘だ。 つまり……家庭によって異なるとはいえ、それなりに金はあるはず。 悠ちゃん一人が天音先輩の抱き枕になれば俺の生活はもっと安定する。 他を犠牲に己を満たすなんて人間らしい行いじゃないか。 即決!


「おい誰かツッコめ。 私という人間を売買してるあのイカレ共にツッコめ。 というか奏士! お前がボケたら誰がツッコミをするんだ!」


「人を変な役所に入れんな抱き枕」


「私が人ですら無くなった!?」


さて……どこに振り込んでもらおうか。 人身売買だし、バレると不味いな……基本中の基本だが、マネロンをするか。 でも露骨だとバレるしな……『警察の取り調べを受けたことがある』が参考人側だけじゃなくて被疑者側が追加されるのはマズイ。 ここは直接現物受け渡しで……


「まぁ冗談はさておきだ悠ちゃん」


「嘘つけ! お前若干本気だっただろ!」


はてさて南野琴屋良。 変換したら出てきたしそのままにしとこ。


「丁度9時になったな……それではこれより清掃を開始する! 目標時刻は一二三〇ヒトフタサンマル、三時間半以内に清掃を終わらせ、その後昼食を摂り自由行動とする! 散開!」


「「「アイアイサー!」」」


俺が指示を出すと、ビシッと敬礼までしてノリに乗ってくる禍塚ら三人。 やはり陽キャにはこのノリは当たり前なのか……遥さんは乗ってこなかったけど。


「……ユウ、なんでソージのノリは軍隊風デス?」


「知らん。 こういうイベントも初めてだからちょっとテンション上がってるんだろ」


少し黙れそこの二人。


とにかく、これで俺のやるべき事は終わった。 後は日陰でゆっくりしよう……あの『人が話してる間に一人だけしれ〜っとパラソルとチェアを用意して日陰で寝ているも助』を見習って俺も日陰でだらだらするとしよう……流石に疲れたし。 疲労困憊コ○パイルハートだし。 昨日ガチャの出が良すぎてブレイクダンスしたのが間違いだった。 とりあえず後悔しとこうかい。


「よいしょっと……」


野郎の隣で寝るのは果てしなく嫌だからチェアでぐっすり寝てるも助を日向にそっと移動させ、空いたチェアを俺は優雅に占領。 ふぅ……これ意外と座り心地悪いな。 網目というか、隙間が微妙に痛い。


「お前も掃除しろ」


「おぼす!」


ダラっと脱力して腰を癒してたら悠ちゃんにビート板を全力で投げられた。 おでこに縦回転のビート板直撃してクッソ痛いんだけど。 しかも背もたれで力の逃げ場が無いから後頭部も痛い……


「何しやがる」


「うっせバーカ姉を売った罰だバーカ」


そうかそうか、悠ちゃんはそんなこと言うんだ。 でも俺は温厚だから怒らない。 怒らないけど《世界の終局プラネットブレイク》しちゃう。


というか悠ちゃんの怒り方が子ども……何だこのメスガキ。


「ソージも手伝うデス!」


ベルが態々隣に来てプンプンと口で言いながら文句を言ってくる。 今世紀一ウザイ。


「マジで疲れてっから先ずは休ませろよ……」


昨日寝てない──のは何時もの事だから別に関係無いとして、何時もより早起きして昼飯用の弁当作ってたからマジで疲れてんだよ……しかも集合時間8時半とかクソ早いし。


「仕方ないな……じゃあ30分くらいしたら呼びに来るから、その後はちゃんと掃除しろよ奏士だけに掃除しろ」


「最後のカスみてぇなギャグでやる気失せた」


「なんやて」


とりあえず30分は確実に休めるんだし、その後はどうにかして休み時間を伸ばす先方で行こう……嘘と屁理屈は大得意だ。 みっともない選手権殿堂入り出来るくらいには得意。


「くぁぁ……」


欠伸をしながら水を抜かれたプールの方を見る。 中では体操服姿の少年少女+ロリババアが水でびしょ濡れになることも気にせず掃除そっちのけではしゃいでる。 画面越しに何度も見た光景だ。 無論見慣れてる。 見慣れてる……はずなんだが……


「うおっほぃ!?」


「悠ちゃん理事長だからそこ滑るって行ったじゃーん」


「お、お姉ちゃん大丈夫?」


「……水跳ねた」


見知った奴らがキャイキャイワイワイしてる姿を俺はこうして離れた場所で見てると……あれだな。 保護者感パないな。 実際は全員年下(多分)だから保護者に違いは無いんだけどさ。 だからなんかモヤッとするのは気のせい。


とりあえず、先ずは本格的にヤバい腰をどうにかするべくこの騒がしい声はBGM代わりに使わせてもらおう。 願わくば、俺に被害が無いことを。


─────────────────────────


「はひゅーっ、はひゅーっ……」


「ん? どうした悠ちゃんそんなに息切らして」


「奏士……ヤバい、あの若者らはヤバいぞ」


「ああ、悠ちゃんも年齢差には勝てなかったか」


「煩い。 お前も似たようなもんだろ」


「俺は日々鍛えてるから勝てる」


「くそっ、私も道場入ろうかな……」


「止めとけ止めとけ。 悠ちゃん昔2日で辞めただろ」


「……積み重ねって大事だな」


こうして悠ちゃんはまた一歩、大人になったのであった。 というかも助全く起きないんだけど。 あのままだと微妙な形の日焼け後残りそう……もしそうなってたら盛大にバカにしてやろう。

あっぶなー!

最近日が伸びてきたな〜と思う作者です。 原稿ギリギリで終わりました。 一度書いてたものを全て書き直したからです。 これで何回目でしょうか。 答えはCM終わりのCパートで。 要するに次回で言います。 そしてまだまだ続きます。


今回は後書き短いです。 せっかく作ったキーマカレーが冷めそうなので。 よしなに。

















あ、タイトルが変わってるのはTwitterに詳しいことを書いたのでそっちをチェックしてください。 もう一度書くのも貼り付けるのも面倒だからってだけではなく、キーマカレー冷めちゃったからなので。 それでは

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