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輪廻のFate Line  作者: 怪人アホ面男
第三章 三回目ともなるとだんだんめんどくさくなってくる
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恋の悩みは誰だってある

この作品初めての前書きがお知らせ


以前投稿した話にて、主人公が車を運転している描写が有り、そのことについて説明を忘れていたのでここでやります。

※ 主人公はとある事情で18歳以上です。詳しくは言えないですが、18歳以上です。17歳ではありません。そしてこの作品のキャラは、全員年齢表記はしませんので。


はい、説明をすっかり忘れていました。そしてその指摘をとある読者様にメッセで頂きました。ほんとごみゃーんなさい。


……いや、後で本編の会話文+モノローグ辺りで説明しようとは思ってましたよ? 問題は、その予定話が30話程後だということ。来年どころか下手したら再来年になります。ゴメン、マジでごめん。と、作者が言っております。


そしてこんな意見も頂きました。


「18歳以上とか言ってるけど、つまりこいつらそんな歳なのに学生みたいにキャッキャして馬鹿なことやって楽しんでんのか?」


と。しかし考えてみてください。エロゲの攻略可能キャラは皆、18歳以上です。そう考えると普通のことに思えませんか? これエロゲじゃないですが。

「暇デス……」


「暇ですねぇ……」


ベルと莇が机に突っ伏したり、椅子の背もたれに寄りかかったり、机に突っ伏したりしながら呟く。雰囲気、表情こそはけだるげだが、指はものすごい速さでVitaのボタンを叩いている。懐かしいなVitaとか。


「お前ら話してる内容と行動が一致してねぇぞ」


「……あ〜もう全良のフルコン達成しちゃいました……」


「とうとうやること無いデスよー」


いや、何気に凄いことやってんなおい。つーかベルはともかく莇は今ノールックだったろ。お前この前始めたばかりなのに……上達早すぎ。少し妬け……ないなうん。俺は基本的に一人でエンジョイ派だから。時々本気で取り組むけど。


「暇〜 暇デス〜 暇デストローイ!」


「概念は無理ですね〜」


二人がさらにだらける。そろそろ完全液状化して染みそう。今のうちに凍らしとこうか……そうだ、凍らしてから砕いたらもう再生とか復活はできねぇじゃん。やったぜ災厄が二つも纏めて処理できる。


「えっと、あの……じゃ、じゃあ私はお茶を淹れてきます」


ほら見ろ、泉ちゃん気まずくなって給湯室に避難しちゃっただろ。


「ほらお前ら、シャキッとしろシャキッと」


「……奏士も人の事言えない」


紅葉に言われて俺の今の状態を再確認する。ソファを占領して横になって脱力MAX状態。ふむ……確かにな。でも、このソファは革製だから俺がどれだけ液状化しようとも染みない。ついでに脱力こそしているが、気は抜いてない。何時だって警戒心MAX。


「シャキッとするのは野菜で十分だから、俺は大丈夫だ」


「……なんか理不尽」


紅葉がジトっと見てくるが、残念かな、それが現実だ。理不尽不条理不合理……自分に優しくないし、ほぼ確実にハードモード確定だ。俺の人生はベリーハードどころかもはやバグ。さすが俺、自己肯定はお手の物。


「つっても、さすがにこうやることが無いとさすがにな……」


泉ちゃんが入ってから結構な月日が経過した。と言っても、まだ1ヶ月も経ってないけど。その間にやれるだけの仕事は全て終わってしまった。追加の仕事おかわりもやってこない、生徒会室以外に異常は見当たらない、目安箱も最近は空っぽ。時々紙が二〜三枚ほど入っている時があっても、どれもすぐに解決するものばかり。今学期はイベントも特に無いから超暇。暇すぎて、そろそろ夏だし向日葵育てようか迷っちゃう。ドヒマワリとか育てようかな……それ育て方が『暇であること』だから結局暇だな。


暇潰しのプロとも言える俺も、さすがに道具も無いし、調達しようにも学園内じゃあ手に入りにくい。これが自宅なら全力で遊ぶんだが……時間もそんなに無いし、そもそも動きたく無いし。


「なぁなぁもみちゃんさんさん。やること無いのかえ?」


と、言い訳でとりあえず最高責任者に聴くことにした。つまりは紅葉に聴く。なんか自分から他人に話しかけたの久しぶりな気がする。ついでにダラダラしすぎて変なテンションになって頭悪い呼び名になった。


「……私に言ってる?」


「YES」


伝わらんか紅葉よ。うん、俺の思考もだいぶ脱力している。ちょっと頭に血が上ってきた。起きよ。


「…………」


「そこでそんな困った顔されても……」


紅葉が眉を寄せた。俺も困ってしまってワンワンワワーン。泣いてばかりいる子猫ちゃんは何処? でも俺泣くだけで何もしない奴は嫌いなんだよなぁ……そんなやつの対応絶対ヤダ。お巡りさんになっても拳銃とか撃てないし、そもそも発砲とか余程のことが無いと無理だし。


あー、暇だ。十八番の狂った連想ゲームも飽きた……飽きすぎて、秋過ぎちゃって冬が来る。今春だけど。


「うぉって!」


体勢を変えようと、ついでに血を循環させようとソファの上でごろっと動いたら見事に落ちた。左腕が下敷きになったし肘が脇腹に食い込んだし、地味に痛てぇ……


「……奏士は、何をしているの?」


紅葉のキョトンとした顔が浮かぶ。


「ナニをしているじゃないデスかー?」


そしてベルの腹立つニヤケ顔が浮かぶ。イラッとする。でも、地味に痛くてつっこめない……


「そういえば奏士殿、先程悠殿からこれを預かったのですが……」


え、何? 今度はどんな災いを運んできたの? 運び屋やめなちゃい。


「これを……」


「おい、俺の目の前に設置型を置くな」


莇が置いたのはよくあるアレだった。いや、よくは無いけど。


「誰のだよこれ。悠ちゃんはなんでこれ持ってた」


「知りません」


き、貴様……それでもプロか。プロじゃねぇな。ただの雇われだし。


「これは……ふ、二穴タイプっ!」


うるさいぞベル。耳元で大声出すな。というか驚くポイントそこかよ。


「これは捗る……」


「ソージは別の意味で捗るデスね!」


とりあえず絵を描く紅葉はまだ良いとして、ベル、お前は覚えとけ。具体的には、風呂に入る時に最初に浴びるシャワーが不意打ち冷水になるかもしれない。めっちゃビックリする。


「とりあえずこれは廃棄か、それか送り返しとけ」


「しかし私の役目はもう終わりましたので……とりあえずこれはペン立てとして使いましょう」


「いや、ペン挿入れデス!」


ベルよ、その何故か無駄に太いペン(だと思いたい)を入れては抜いてを繰り返している。硬くて角張ってるもの挿れると中のがボロボロになるからやめなさい。使うならローション必須。


「じゃあ、一緒にこのコケシを……」


紅葉がどこから持ってきたのか、白い電動コケシを手に持ってやってきた。


「コケシの意味が違ぇだろうが。つかなんでんなのあんだよ」


「先代の役員が置いていった」


「バカだろ、この学園の生徒会役員は全員バカだろ」


絶ろくな奴居ない……やはり勉強できるかどうかと、頭が良いかどうかは無関係か……


と言うより、勉強出来るやつほど頭悪い傾向にあるからなぁ……学年首席で特待生の俺が言うのもなんだけど。でもさ、俺の目の前に紅葉って名前のバカが居るんだよなぁ……それが生徒会長だからなぁ……バカと天才は紙一重って本当なんだなぁ……とりあえず、このオ○ホは机に置いとこ。触りたくないし。


そう思って机の真ん中に向かってポイッと投げると、ちょうど設置面が下になって落ちた。こういうのって地味に嬉しい。


「お茶をどうぞ……」


3人がバカやってると。泉ちゃんが戻ってきた。やだ、俺ソファに居るから湯呑み置く場所無いじゃない。手渡ししてもらおうにも、あの湯呑み熱そうだなぁ……


「誰か依頼人来ないデスかー?」


「おいやめろ。そのフラグ今すぐ折れ。嫌な予感がする」


と、湯呑みを受け取りながらベルの発言にツッコミを入れた瞬間に扉が開いた。ほらぁー


「……やぁ、失礼するよ」


入ってきたのは見慣れない爽やかイケメン。なんやこいつ。


「奏士殿」


「了解」


即座に莇と共に扉が開ききって完全に入る前に、扉を蹴り飛ばして閉める。しかし、俺たちが閉める前に開いた扉の隙間から侵入を許してしまった。しまったこれじゃこいつを追い出す唯一の出口を自ら封じたことになった。


「……誰デス?」


「奏士達の同じクラスの……禍塚って人」


ふむ、あいつか……こうして至近距離での対面は初めてだな。


「こうして直接顔を合わせるのは初めて……かな? 僕は禍塚恭平、ついさっき花伝会長が説明したとおり、A組だよ」


染めてあるのか、それとも自毛なのかはわからんが、濃いめの茶髪と、乱れ無くきっちりと着られた制服。そして俺たちと同学年を示す青色のタイ。あ、ちなみに男はネクタイが、女はスカートの色が学年によって違うぞ。


「そうか、かえれ」


「そうですか、おかえりください」


「「土に」」


俺と莇は手厚く、そして手痛い歓迎をする。手(の皮)が厚いなら痛みは少ないはず。超謎理論。


「ハハハ、これはこれは……」


「……殺意が凄い」


「また謎の連携デス……」


「お、お二人共……」


いやだって、こんな全男の敵みたいなやつが現れたらそりゃあ……ねぇ? ほら、莇も頷いてるし。でもこいつも同じく有罪対象なんだよな。それなら執行官の俺が対象しないとな。執行官になった覚えは無いけど。我、裁きの代行者也。


「で、何の用だ? 暇なら帰れ。もしくは還れいやむしろ還れ」


「用があっても還ってください」


「いやいや、実は主に二人に用があってね」


どんなに敵意を向けられても笑顔で返す。さすがに慣れてるな……え、俺たちに? モテ自慢か。そうやって上から見下す気か。残念だが俺は既に泉ちゃんという頂点に懐かれてる……懐かれてるはずだから俺の圧勝だ。でも質より量規定だと俺の大敗ですね。でも質なら俺の圧勝じゃバーカ!


「……じゃあ、私達は席を外した方がいい?」


「いや、それだと僕の命が危ないから出来れば一緒に居てくれるかな。二人ともスコップとロープを用意してるし」


いつの間に椅子に座ったのか、俺たちを見ずに指さすま……マトリ○クス? あ、禍塚か。おっといけねぇ。見られたからには処分しないとな。目撃者を。


「とりあえず二人とも落ち着くデス!」


「奏士、ステイ」


「えっと……お手っ!」


「俺は犬か」


でも泉ちゃんのお手には応じる。お望みとあらば、幾らでも貴方の犬になりましょう。


「……莇、ここは一旦引いた方が良さそうだ。部が悪すぎる」


「ですね、そうなるとやはり人気の無い路地に誘導する方向で行きましょう」


「OK、じゃあ俺は先回りして道を塞いどく。お前は上手く誘導しろ」


「了解」


頷き合う俺と莇。目的が同じなら手を組む。共闘じゃない。お互いに利用し合うだけ。めっちゃ楽。


「二人ともシャラップ!」


なんだよベル。ひそひそ話は聞くもんじゃないぞ。


はぁ、しゃーないのー……今は我慢しよう。


「で、用件は?」


「あぁ、それはね……」


そう言うと禍塚は突然机に肘をついて俯いた。何、土下座? 一眼レフの準備はできてるぜ。


「彼女が……欲しい」


「ふぅ、やっぱり今ここで処理しようぜ」


「では、まずは石抱きから始めましょうか」


「待って、ちょっと待ってくれるかな二人とも。頼むから話を聞いて欲しい。だからまずはその手に持った十露盤そろばん板と重そうな石を床に置いてくれないかな」


ちぃ、ならば水責めか。水が無ェ! ならば火炙りだ! 十字架を持ってこい!


「……やっぱり二人とも追い出す?」


「いや、それでも僕が一番相談したいのは二人なんだよ」


えー 本当に迷惑。これならまだベルにしがみつかれてる方がマシ。いや、どんぐりの背比べだけど。どんぶりじゃなくてどんぐり。ちょっと丼物食いたくなってきたけど、どんぐり。漢字で書くと団栗。この世界の団栗は、別に専用のハンマーとか無くても殻を割れる。


「悪いけど、ここは恋のお悩み相談所じゃねぇんだ。つーかここに適任は居ねぇよ」


紅葉、不明。莇、不可能。俺、無理。ベル、ちょっと異常。泉ちゃん……気にしたことねぇな。どうなんだろ。


とにかく、この生徒会にまともな恋愛相談が出来るやつは居ない。無理です。ハノイの塔(64枚)を今すぐに全部移動し終わることが無理な様に、無理です。クロックアップ&時間停止とかしたら出来るかもしれないけど、無理。


「そうなのかい? でも、理事長が『ここに行け』って」


「……ちっ、またあのアマか……」


本当に疫病神かあいつ。


「……とりあえず、恋愛相談として受理する。まずは内容を話して」


と、俺が悠ちゃんへの制裁を考えていると紅葉が進めてしまった。会長に次ぐ権限を持つが、トップには逆らえないのが副会長という微妙な立ち位置。


「自分で言うのもなんだけど、僕はこの学園でトップクラスにモテていると思う」


「本当にな」


「奏士はちょっと黙ってて」


紅葉に言われてしまったのでお口チャックします。


「僕も男だからさ、誰かを好きになって『恋』っていうのをしてみたかったのもあるんだけど……言い寄ってくる女の子を全員断っていたら、いつしか『みんなのもの』みたいな立ち位置になっちゃってて……それでもやっぱり男として、それ目的でこの学園に入ったからにはしてみたいんだよ」


「恋するために難関な学園に入るとか貴方は主人公ですか……」


莇が呆れ半分引き半分。俺もそう思う。何、おまいは恋愛成就の占いとかしまくって縁がぐちゃぐちゃにでもなったのかよ。そんで縁結びの女神が画面から出てきて、説明を受けた、と……何それなんてエロゲ? 多分ブランド名は梟に関係するな。


「そして友達もできて、部活もそれなりのポジションになって、成績もそれなりの位置を獲得して……そうして一応の位置を獲得するために頑張っていたらますます恋が出来なくなって……もういっそ、運命の出会いとか無いかなって」


ぶっ飛んだなおい。お前それで良いのか。そんな運任せで良いのか。


「というわけで、誰か知り合いに僕に惚れそうで僕も惚れそうな可愛い女神様かケモ耳ケモ尻尾の美少女居ない?」


「人類舐めんなよモテ男」


思わずツッコミを入れてしまった。しょうがない、こいつが悪い。笑顔でとんでもないこと言うんだもの。


「まず、そんな娘が居たら真っ先に俺が告って振られて自害してる」


「貴方死んでるじゃないですか」


莇にツッコミを入れられてしまった。いや、だって振られたらなんか死にたくなるじゃん? ただでさえ俺みたいな二次元大好き人間は告ったら必ず成就する世界の主人公として生きているんだから、振られた時は二度と成就しないことを知っていると、崩壊しちゃう。


「つーか普通の人間から出てくる選択肢じゃねぇよ。てめぇデビュー組だな?」


「デビュー組?」


ベルが聞いてきた。


「デビュー組ってのは、今までのイメージとか雰囲気を全て隠して新たに学生生活を送ろうとするちょっと残念な奴らの事だ」


主に陰キャ・オタクに多い。まれに陽キャにも居る。


「ちなみに、こういう『クラスの人気者』ポジションに居るやつは大抵そのデビュー組」


男も女も問わず多い。見分けるポイントはちょっとした仕草。そしてこいつは時々眼鏡をような仕草をしていた。あとは一般人は『可愛い女神様』や『可愛いケモっ娘』なんて真っ先に出さない。そこから何となくデビュー組だと思った。あとはソファーに置いたままの俺のスマホ……に取り付けている俺特製のイラスト入りの自作ケースをチラチラと見ていた。俺は趣味兼仕事として絵描きもやってるが、そっちの俺は一応それなりに知名度高い……と思うけど、完全にオタク向きの絵だ。要は、一般人は好まないタイプだ。目線だけなら気になっているだけかと思ったが、伝わってくる思考が興味と驚愕だった。よってオタク寄りとして判断した。相変わらずガバガバ判定。そして偏見がだいぶ凄い。


……え、『なんで絵が描けるのに原作やってるのか』って? それは瑠姫さんに言ってくれよ。


「そうさ、僕は元はオタクだ。好きな物は二次元の美少女、家に帰ったらまずはネトゲ、月に一度はブログ更新、寝る前には深夜アニメをリアタイ視聴が日課の立派な陰キャだった……でも、オタクがモテるのはあくまで創作の中だけ。ということで学園に居る時はこうして立派な爽やかイケメンを演じてる訳さ」


キメ顔で何言ってんだこいつ。つーか自分で『爽やか』言いやがった……


「……一応聞いておくが、お前の恋愛対象に三次元の女は入ってるのか?」


「ああ、それはもちろん入っているよ」


なるほどなぁ……とにかく思ったことは、ネタバレが早いよ。発売翌日には完全クリアして攻略情報ブログに書いてる投稿者並。早いし速い。もうちょっとお前のリア充イメージってやつを印象付けようぜ。


ホントにもうさ、こんなやつの相手なんかしたくもねぇのにその初回でこんなとんでもない情報公開されるとかマジでキチィ。酒飲んで酔えばこの記憶消えないかな……


「とりあえず、まずは好みだな。おいそこの主人公ヒーロー、お前の好みのタイプを教えろ」


「ハハ、僕は別に主人公なんてタマじゃないんだけどね……と言っても、僕の好みか……なんだろうね?」


「知らねぇよ」


俺に聞かれても……読心術使っても思い浮かべてないことは読めないです。妖怪覚でも無理です。でも、本人も気づいていない本心ならわかるかも。俺には無理だが。


「いや、僕の好みは結構広くて……一つに絞るとなると……」


「じゃあ、この現実に、今直ぐに当てはまりそうなのを選択しろ」


「後輩先輩教師同級生他校不登校それから大学生かな。あ、落ち着いた娘も好きだけど、どっちかと言えば気が強い娘が好みかな」


わぁ広い&早口。いやそうじゃねぇ。違う、そうじゃない。また使ったぞこのネタ。


「なるほど……その娘を時々追い詰めて弄るのが好きということデスね!」


うわぁ……アホベルが現れた。そして同意してる。この馬鹿どもなんで固い握手してんだよ。


「お前さてはバカだろ。好みが広いんだよ。せめて年齢層を絞れ」


「じゃあ同級生」


「決断早いな」


「残念ながら、先輩と後輩に好みの娘は居なくてね……」


なるほどな。リサーチ済みなのか、それともデートやらなんやらで経験済みなのか、回答次第で対応が変わるな。今はやらんが。


「同級生で気の強い娘……ならもういっそお友達の皐月さんでもデートに誘って告って色々奪っちまえばそれで良くね?」


「ちょっ、ソージ!」


「……ネタバレ」


「え? え?」


わぁ三者三様。そうか、泉ちゃんその時居なかったっけ。


でもさ、もういい加減にめんどくせぇからくっつけちまえばいいじゃん。あの人は確実に押せばコロッと行く。禍塚限定で。


「あぁ、皐月は……なんというかなんというか友達以上に見ていないようでね」


皐月さん、貴女の恋はこの勘違いクソ野郎によってほぼ終わりました。今後の復帰を暇潰し感覚で待ってます。


いや、でもあの人の教室での行動を観察したけど、ちょっとしたスキンシップ多めだし、割とコイツにだけ見えるような角度で不用心だしなぁ……お互い様か。やっぱり待たない。さすがのあ○んも待たない。


殆どの男は、異性に親しくされると勘違いすると言うが、変に理性があるとこういうすれ違いが起こる。俺みたいにもう何かを超越してるような男は、まず最初に目的を探る。怖いです。人が怖いです。


「じゃあその隣の遥さんは?」


「どうにもまず男として見られていない……と言うより、なんだか全てを見透かされている感じがして……」


まぁ、あのタイプの人は色々鋭いのがメジャーだからな。めっちゃ緩いし色々丸いけど、鋭い。


「でもお前、時々遥さんの胸をチラ見してるだろ。具体的には十回に九回は」


なお、それが揺れると即座に視線を移す。こいつもやはり男か……


「ハハハ、男ならそれが自然だろう?」


「いや、俺に聞くな」


俺は見ない。なんなら相手の顔も見ない。全体を観て警戒している。そして生徒会の女三人衆は俺を見るな。泉ちゃんとか、顔真っ赤にしながら見ないで。


「…………何も出ねぇな……」


いっそ悠ちゃんを……いや、それだとこいつが俺の親戚になるな。絶対ヤダ。悠ちゃんごめんなちゃい。ボクはあなたの道を一つ消します。誰だこいつきめぇ。というか時々出てくる謎人格誰だよ。俺の中から出てくるなら全員俺じゃねぇか。


「……いっそ、似た人に話を聞いてみる?」


「似た人?」


紅葉が呟き、ベルがこてんと首を傾げる。ああ、そういや居たな。


「なら、ちょっと待ってろ。今呼んでみる」


俺は試験○喚獣サモン! は無理なので、スマホを取り出して電話する。連絡先は藁人形の中に入っていた。怖かった。


『私です』


「俺だ、今暇ならお嬢様と一緒に生徒会室に来い」


『ご要件は?』


「今生徒会室に恋愛相談が来ている。そいつの好みがお前と似ているからいっそお前らに話でも聞こうと思ってな」


『なるほど、とりあえず貴方は電話をかける相手を間違えていませんか?』


「しょうがない、お前らが一般よりかけ離れているのは事実だ。だが、お前らくらいしかカップルを知らん」


『それはそれは……では、今すぐお嬢様を連れてそちらへ向かいますので』


「悪いな。とりあえず、後ろでそのお嬢様が何か言ってるから気にしてやれよ」


『お嬢様はこれでも寂しがり屋なので。多少放置した方が後々面白いのです』


「もっと恋人を……あぁ、お前そんなやつだったな。それじゃ、とりあえずーー」


俺は通話を切らずに立ち上がり、扉へと向かった。そして扉を片手で開けるとーー


「話しながら近づいてくるのやめろよ。メリーさんか」


「『もしもし私ペリー』」


うわっ、同じ声が重なって聞こえる。気持ち悪っ


「いや、お前黒船に乗ってきてねぇだろ」


お前の場合、黒いのは船じゃなくて腹だ。というか久しぶりの登場ですね。俺は捨てキャラ枠だと思ってた。未だに名前知らないけど。


「……仲良し?」


「やめろ紅葉、ただでさえ低い俺の価値が下がる。最下層貫いて新たな階層創り出す」


今は俺の価値はだいたい外核くらい下。内核突入したらもう回復不可能。


「気が合うデスね」


「いや、気が合う合わないの話じゃない。だからその優しい眼差しをやめろベル」


くぅぅ……また胃がキリキリいってる……最近は少なくなってきたのに……蜂の巣になっちゃう。蜂蜜とかローヤルゼリーとか採れないかしら。


「まったく……一体何用ですの?」


「悪いな嬢さん。あんたら二人に指南役……というよりアドバイザーとして来てもらった」


「アドバイザー……とは?」


お嬢様が扇子を広げながら首を傾げる。あ、扇子が前と違う。なんか『?』って書いてある。便利だねそれ。


「お嬢様、アドバイザーというのは、助言や相談役のことを指します」


「そんなこと知ってますわ! 私が聞きたいのはーー」


えーっと……神鳴? の小声の助言が入り、お嬢様がやはり元気よくツッコミを入れる。うーん……もうちょっとほかのツッコミは無かったのかねぇ……いや、俺は何採点をしてんだよ。


「なぜ、そのお相手が禍塚様なのかってことですわ!」


「やぁ、久しぶりだね日向さん」


小百合さんがビシィ! と禍塚を指さし、それに笑いながら手を振って答える禍塚。なんだこれ。


「……二人は知り合い?」


「子供の頃に日向家主催のパーティで何度か、ね。僕の両親は日向さんのご両親の友人らしくて、よく呼ばれてたんだ」


ふーん……すげーどーでもいい情報ありがとう。


「でも驚きましたわ。まさか禍塚様が恋人を探しているとは」


「そうですねぇ……それで僕達が呼ばれた訳だけど……どうアドバイスすればいいか……」


そこ、なんだよなぁ……この二人、一応好き同士なんだけど……如何せん、その関係が複雑なんだよなぁ。立場的にも、力関係的にも。


「とりあえず馴れ初めとかは知ってるだろうから、普段デートに行ってる場所とか、好きな人に贈るプレゼントをどう選んでいるかとかでいいんじゃねぇの?」


うん、それでいいと思う。あとはこいつが皐月さんにアタックすれば全解決。よかったよかった。やったねた○ちゃん! それはダメだろ。


「いや、別にどうとかは……僕は別に特には考えてないからねぇ……ほとんど直感かな」


「私も、贈る時は直感ですわ。長い付き合いだと、お互いの思考なんて知り尽くしてますもの」


あっちゃ〜 人選本気で間違えた。この人たち隠れバカップルだ。滅びろ。


「じゃ、じゃあデートはどこに行ってるデス?」


ベル、ナイスフォローだ。ちょっと気まずい空気が流れた。


「デート……そういえば、私達二人きりのデートに行ったこと無いですわ」


「まぁ、どうしても護衛が必要だからね。二人きりでも、自然と僕が護衛モードになっちゃうんだよ」


「進んでるんだか停滞してるんだかわかんねぇカップルだな」


「でも、それでも一緒に居るってことはお互いちょうどいい距離感を保ててるってことデス……素敵デス!」


「あら、ベルさん? 貴方は誰か想い人が?」


「YES! ソージにLOCKON! デス!」


いや、お前の場合は照準合わせたのがハートじゃなくて胃袋だから。胃袋を掴むって意味じゃなくて、風穴開ける意味で撃ち抜いてるから。


おかしいな、乙女同士の触れ合い……というか恋バナのはずなのに、どうしてこんなに心配になるし、胃が痛むのだろう。


「あらあらそれは……随分と特殊な……」


お嬢様が少し引き気味に苦笑いで、それでもポーズは変えずに答える。おい、それは俺に言ってんのか? 趣味が悪いのはベルの方だ。


「じゃあもういっそ、誰か一番好感度高そうな人をデートに誘ってみたらどうだい? 幸い、それを見分けるのが得意な彼がここに居ることだし」


ちょっと神鳴きゅん、そんな笑みを浮かべながらこっち見ないで、吐きそう。いや吐かねぇけど。


「なるほどね……柳君、教えてくれるかな。僕に対して一番好感度高い人を。そして僕の好みに合った人を」


う、うーん……そんなに真剣な目で見られると……本当に吐きそうになるからやめて。男に見つめられるとかなんの罰?


「……悪いな、こればかりは相手のためにも教えてやれん。自分で見つけろ」


……うん、これはさすがに、な。主に皐月さんのためにも。


「そうか……君はヒロイン攻略のために好感度やヒントを教えてくれるポジだと思っていたんだがね……」


「告白したら確実に成功するほどこの世界は優しくねぇんだよ。エr……ギャルゲーじゃねぇんだから。あと何時俺がお前の友人になった」


「今、エロゲーって言おうとしてませんでした?」


「言いかけてたデス……『エロ』までほぼ言いかけてたデス」


そこ、外野コソコソうるさい。


「ただ、何も教えないならヒントをやろう。ヒントは……『near』だな」


「near……近いってことかい?」


「そいつは自分で考えな。ほら、とっとと帰った帰った」


パンパンと手を叩いて来人三人を帰らせる。ついでに迷惑かけたお嬢様には、対価として念の為にと事前に用意しておいたデート情報誌をこっそりと渡しておいた。これで何とかなるかねぇ……


「ソージソージ」


くいくい、と服が引っ張られる感覚。ベルよ、伸びる。制服伸びる。


「どうしてサツキのことを教えなかったデスか?」


「皐月のことを教えてあげれば、二人は直ぐに○○や○○して○○○○○したりしてた」


「うん、まず規制音鳴るような発言要らないよな。そして莇だったのかずっとこの音出てたの」


莇の方を見ると、手にはボイスレコーダーが握られていた。


「はい、こっそりと影から鳴らしておりました」


このストーカー一歩手前め。でもありがとう。そのボイスレコーダーを他の目的に使っていたとしても今回は見逃す。


「あのな、まだあの二人はその時じゃねぇんだよ。確かに皐月さんはあいつに惚れてるが、肝心の禍塚本人が意識してねぇだろ。そこに関しちゃ本人が自力で気付くしかねぇよ。だからとりあえずは行先を教えただけ。それ以外に無い」


本当は他にもあるけどな。一人だけヤバいやつ居たし。やっぱり関わりたくねぇなぁ……一人がいい。


「む〜 やっぱり気になるデスよ……」


「まぁそう焦るな。どうせ年内には解決する」


確証は無い。でも、何故か知らないけどそう言える。


「なるほど、姑息な奏士殿が言うのならそうなのですね」


莇は取り出した本を読みながら、


「卑怯な奏士が言うなら多分それでいい……の?」


紅葉は棒状のチョコ菓子をものすごい速度で齧りながら、


「狡猾なソージが言うならそういうことにするデス……」


ベルが机に突っ伏しながら言った。


「ねぇ、まだ根に持ってんのかお前ら。あれはルール内だって言ってんだろ」


「だってだってぇー」


「……やっぱり狡い」


「さすがにあれは……」


「え、えっと……皆さんに何があったんですか?」


それはね泉ちゃん、ただの負け犬の遠吠えだから気にしなくていいんだ。お菓子あげるからこっちおいで。完全に不審者のお手本だこれ。


「奏士が……ゲームでイカサマを使って圧勝した」


「イカサマとはなんだ。俺はただ四五六賽を使っただけだ。ルールには『賽は何を使っても良い』と書いてあるんだから有効だ」


「いや、それはどう見てもイカサマ以外の何物でもないでしょう」


「莇よ、勝つためには手段を選べないんだ」


「それにソージはトランプでも全ての絵柄と数字の位置を把握していたデス!」


ベルが身体を乗り出して、指を指してきた。


「いや、何年も使ってるんだから傷の位置とか覚えるだろ……それを言うならお前だってポーカーの時、配る時自分のやつは下から取ってたろ」


「バレてるデス!?」


いや、さすがにバレるだろ……だって俺はイカサマが得意なことで特に知られていない奏士君だぞ? 自分の熟知している手口くらい確認できる。というか、相手がイカサマしていないか確認するために見るのは当たり前だろ。


「あとは……奏士殿は泉様を惑わす特殊な何かを使うというチートをしていますね……」


「いや待て、そればかりは知らねぇ」


「では! 私に一向になびかないのは仕様だと!?」


「仕様も仕様、公式が認めてる。というかお前はまず無理だろ。泉ちゃんただでさえ人見知りなんだから」


それなのに初対面が……ねぇ。無理っす。ムリムリのムルムル。それは天使。ムリムリのムレムレのヌルヌルのムルムル。意味わかんねぇ。つーかキモイ。こんなこと考える俺キモイ。あらヤダもう奏ちゃんったらお茶目さん。バカみたい。バカだった。なんの話ししてたっけ? 知らね。


「第一、お前らが急に『ゲームに負けたら、負けた回数分だけ一位の言うことに従う』ってルール追加したからだろうが。見ろこのメンツ。万が一俺が負けたら即死確定だろ」


紅葉は何しでかすかわからんし、ベルは既に予想つくし、莇はもはや考えたくない。要するにヤバい。嫁探しが捗りすぎてないのにヤバい。そういや最近嫁探ししてない。二次嫁探し。


「それでも負けたことはクーヤーシーイーデースー!」


ベルが机に突っ伏して手をじたばたさせる。ちょっ、埃舞うからやめて。


「負けても俺がトップだから命令権を今使う気は無いし、そもそも俺のイカサマらしき行為が発覚した時点で無効試合だ。よって何も無い。わかったなベル」


「負けたら……脱ぐ」


「待っていつから脱衣ゲーになった?」


紅葉、お前以外得しない。俺は負けんから脱がん。ついでに厚着してるから多少負けても問題無い。そしてベルは脱ぐことに躊躇いがない。莇は……うん、いまいちよく分からん。あ、泉ちゃんが居るじゃん。守らなければ。


「仕事ねぇなら帰んぞ。俺は今日用事があんだよ」


「あ、買い出しならついでにチーカマ買ってきてください」


「莇、お前またか。好きだなチーカマ」


「……私はポテチ」


「紅葉、菓子ならこの前ゲーセンで大量入手したばかりだろ……自分で買え」


「ワタシは……ソージをtakeout!」


「悪いなお客様。既に在庫切れだ」


俺の身体は泉ちゃんが既に予約……してくれていたらどんなに楽か……現実は厳しい。なので、『俺の都合』が予約してくれたことにした。実際予定あるし。あ、ロッカーから荷物出すの忘れてた。この生徒会室個人ロッカーあるの便利だな。


「じゃ、お先ー」


「……お疲れ様」


「乙デスよー」


「お疲れ様です」


「で、ではまた明日……」


と、四人に見送られて生徒会室を出る。さて、と。ここからが俺の仕事だ。


殆ど役に立ってねぇし、なんなら何一つやってないが、仮にも正式な依頼として受理したのだ。俺にはそれを処理する義務がある。


つーわけで、禍塚があの後どうなったのか追跡しよう。もし無事にデートしているならさりげなくサポートするし、してないならしてないで、そうなるためにあの二人をサポートするのが、後始末が俺の仕事だ。そして俺の得意分野でもある。今までどれだけの後始末を行ってきたと思っている。もうね、数え切れない。それくらいやってきた。


と、考えながら靴箱へ向かう為に廊下を歩いていると……


「……何やってんだあの二人」


何やら前方にコソコソと隠れている遥さんと、カメラを構えて隠密のプロの如き雰囲気で隠れている頼金が。関わらんとこ。


「あ、先輩発見」


「ちっ」


踵を返して全力で去ろうと思った矢先に見つかった。頼金のやつ……やっぱこいつ嫌い。


「……はぁ、何してんだ二人で」


溜息をつきながら諦めて寄ると、頼金はブンブンと手を大きく振り、遥さんは小さく手を振ってなんか招いてくれた。いや、対象は? あんたら尾行が何かしてたんじゃないの?


「先輩、二時の方向を見てください」


「お前は何者だよ」


一般人はそんな言い方しない。で、二時……あ? あれはーー


「えーっと……皐月さんと禍塚? 何あの二人、あんな場所でイチャついて。 え、これ俺に見せるとか恨みでもあんの?」


「いえ、そこじゃなくてですね……」


「今日ね〜 禍塚くんが皐月ちゃんに『一緒に帰ろう』って放課後デートに誘ったの〜」


呆れる頼金と、代わりに答えてくれる遥さん。なるほど、行動早いな。


「で、お前らはなんで尾行してんだよ。想像つくけど」


「だってこれはスクープですよ! 学園一の人気者にようやく想い人現る! そんなもの尾行しない訳には行きませんよ!」


頼金が立ち上がって拳を握りしめて力説する。声でかい。


「あーうるせうるせ。もっと声小さくしろ」


「私は〜 皐月ちゃんの初デートを見守ってるの〜」


遥さんがうふふといつもの如くゆるぽわオーラを出しす。なんかテリトリー塗り替えられそう。


「そこで私と出会ってこうしているという事です」


なるほど、要は暇人同士が同じ目的で動いてるっつーことか。


「じゃ、せいぜい見つからないこったな」


「まぁまぁ待ちなされ先輩殿」


去ろうと踵を返しすと、頼金が腕を掴んできた。すごい力で。


「……離せ頼金、俺は帰る。今からスーパー行くんだ。タイムセールがあんだよ」


腕の痛みはもはや感じず、冷静に返す。そういやそろそろスーパーのスタンプカード貯まるな……


なお、嘘ではない。タイムセールは嘘だが、スーパーに行くことは事実。


「タイムセールて……先輩は主夫ですか」


「ふむ、確かにやってることは主夫だな……いや、独り身だからただの無職だなコレ」


「まぁ先輩の事情はとにかく、もう先輩は私達の秘密を知ってしまった。つまりは共犯です。よって一緒に尾行しましょう」


「いや、それはおかしい。その理屈はおかしい。お前の頭もおかしい」


いくら目的が似ているとはいえ、それは絶対おかしい。


「まぁまぁ柳くん、君も皐月ちゃんと禍塚くんの仲を取り持ったって千聖ちゃんから聞いたよ〜」


遥さんまで頼金の味方をされた。一人VS二人……よし、俺の負けだな。ちくしょう多数決絶対制って時々非情!


「…………はぁ、わーったよ。その変わり、俺は俺なりに動かせてもらう。一人の方がやりやすいんでな」


「そこはご自由に。証拠写真を撮って後々送ってくれれば私は満足です。これはあくまで私の自己満足のためですので」


「あ? お前のことだから新聞に書くのかと……」


「いえいえ、私もさすがに人の恋路にあれこれ言う気も、晒す気も無いですよ。私は日常のちょっとした出来事や自分から公開してくれる秘密などが好きなので」


ふーん……そこは割と分かる。正直不倫だの結婚だの薬物使用だのどうでもいいし。世の中の記者は、その人のしたいようにしておけよ……それで大多数の人に迷惑がかかってないなら別にいいじゃん。『裏切られて迷惑かかった』って言っても、そんなもん自分の勝手だし。


「じゃ、始めますか。とりあえずカメラの手持ちがーーあったあった」


ゴソゴソと懐を探ると出てきた。カメラが。


「このメガネ型カメラしかねぇんだけど」


「いや、十分すぎますよ」


え、そう? 俺ほとんど使ってないから心配なんだけど。どうやって使うんだっけ……あ、確かこのボタン押せばいいんだっけか。


「では後程、報酬は引き換えに出しますので」


「うーい、じゃ」


さてと、人の恋路は興味無ェが、とっととやりますかね。俺としてはこのままホテルだの自宅だの行ってくれたら楽なんだけどなぁ……まぁ行かないだろうけど。皐月さんちょっと照れ屋なところあるし。

初めての登場です。以前、恭平の名前を決める時のことをここで書きましたが、実はもう一つあります。わかった君は凄いぜ!

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