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輪廻のFate Line  作者: 怪人アホ面男
第三章 三回目ともなるとだんだんめんどくさくなってくる
29/133

常識と非常識は人それぞれ でもそれを求めてくるのに肝心の常識を教えてくれないのって酷じゃね?

何はともあれ、これで泉ちゃんの参入が決定した。したんだけど……


「そういえば、今日は悠ちゃんはまだ来てないのか?」


「呼ばれて飛び出てジャジャジャーン!」


俺がそんなことを呟いた瞬間、扉が勢いよく開かれて本人登場。いや、壺から出てこいよ。別にクシャミしてねぇけど。


「……それで泉ちゃん、生徒会の仕事についてなんだけど……」


立ち上がって開いた扉を閉める。


「おい、閉めるな」


悠ちゃんの声が扉越しに聞こえた気がする。そして今度は普通に入ってきた。最初からそうしなさい。


「マジでなんなのあんた」


 俺がそう聴くと、悠ちゃんはポケットに両手を突っ込んで空を見上げる様に上を向いた。


「私か……私は一体、何者なんだろうな……もう自分がどうなのかも分からないや」


「暇つぶしに来たんか己は」


悠ちゃんの謎のカッコつけにもそろそろ飽きてきたな……もっとバリエーションないの? バリエーション。変換するとvariertion


……ねぇちょっと、これ変換ミスじゃないよな? しっかりしてよまったく。


「で、ほんとに何しに来たんだ」


「なんだ、可愛い妹分が生徒会に入るってのに、私が見に来ちゃ悪いのか。邪魔か」


「うん」


「即答すんな」


いや、だってあんためんどくせぇじゃん。ただでさえ生徒会はバ会長とその他が問題だらけなのに……そうか、理事長がこれ・・だから生徒会もこれなのか……納得。というかその情報どこから……あぁ、頼金あいつか。もしくは最初からこの状況を予想していたか。


「あ……お姉、ちゃん」


「おお、泉か。奏士はどうだった?」


珍しく優しい感じになる悠ちゃん。もうこの泉ちゃんの笑顔を用紙に描いて(数京分の一も表現出来ないが)額縁に飾れば、例えそこが銃弾と悲鳴飛び交う戦場であろうと、全てを癒し、悪意を消失させる大聖堂になるんじゃないかな。よし、確か蔵に先祖代々伝わる額縁が保管してあったな……スマン御先祖、有意義に使わせてもらう。先祖何してたかも、誰かも知らんが。


「えへへ……ドッキリ、大成功だったよ」


そして人見知りの泉ちゃんが、慣れた人にだけ見せる笑顔。俺の時はあんまり見せてくれない……まぁ、何度も見れるよりは良いけどさ。レア度……というか新鮮さが増して良い。


……なんというか……こう、二人が並ぶと……


「……姉妹?」


紅葉が俺の思考を読んだのか、察したのか、はたまた偶然か知らんが、ボソッと呟いた。それだ、うん、それだな。


「二人とも、そっくりくりそつイ○ージガムデス!」


いや、ガム関係ねぇし。それただの歌詞じゃん。怪盗でも目指す気か? そしたら名前は……うん、『ベルフラワー』だな。別名『乙女桔梗』 名前も花言葉もベルこいつに合っている。ある意味合ってる。良くも悪くも。


「なんというか……悠殿と並べると、泉様が年上に見えます」


莇、おい莇、それだけは言ってやるな。悠ちゃんちょっとは気にしてるんだから。本人はもう乗り越えたみたいに振舞っているけど、ちょっと気にして大した効果の無い牛乳飲んだり、ちょっと大人っぽい下着買ってみたり、揉める部分が無いのにバストアップマッサージとかしてるんだから。流石の俺もちょっと気を使う。でも、未だに常着がアニマルプリントのパンツなのはどうかと思う。くまさん多め。見た目的に似合うけどさ……


それにしても姉妹、か。確かに、二人に血の繋がりは無いが、とても良く似ている。髪は二人とも茶髪のくせっ毛だし、何かと仲良いし、歳も近い。それと……二人とも同世代に比べるとちょっと……ね、身体の成長の方が……その……ね。成長が遅い所とかそっくり。


「今なんかすごくバカにされた気がするぞ」


「気のせいだ悠ちゃん」


あっぶね悠ちゃんに睨まれた。人ってこういう時って勘が鋭いよな。特に女。


「まぁ悠ちゃんのことはいつのも如く、龍が○く、居ないとものとするとして……」


悠ちゃんにはとりあえずお菓子でも渡しておけば大人しくなるだろう。そして俺は龍如やったことない。


「なぁ奏士郎よ」


悠ちゃんが何やら古風な呼び方をしてくる。


「何用だ悠之介よ」


というわけで俺も空気を読んで乗った。俺は空気を読める男……でも、読みすぎて邪魔にならないように気配とか物音とか完全消滅、通称《基本技能、存在断絶ベーシックスキル・ゼロサイン》を常時無意識下で自動発動しているからか、もはや大気と一体化して男誰にも発見されない現象が発生している。だって同じクラスの焔、皐月さん、遥さんと初めて話したのこの生徒会入ってからだもの。凄いよね。


「お前、『悠ちゃんにはお菓子でも渡しておけばいっかー』的なこと考えてないか?」


「何を言う、早○優」


「古い、ネタが古い。もっとこう……今どきの中学生にわかるやつを使え」


「残念だが、今どきの中学生の殆どは差程昔のことには詳しくないぞ」


クラスに一人か二人くらい通じる人が居るくらいだ。最近の子どもは最新のことばかりで、昔のことは授業で習うこと以外知らないってのが多いらしいし。なんなら大学生でも知らないレベル。そんなネタを知ってる悠ちゃんと俺……いや、割とメジャーだったんだけどさ。


「お前、もしかして……私の事下に見てないか?」


「安心しなさい悠之介よ。俺は今までも、そしてこれからも尊敬したことは無い」


「つまり見下しているということだろうが!」


「遅い」


悠ちゃんの力強い踏み込みから放たれる地獄突きを難なく避ける。速さ以前にそもそも悠ちゃんは力が弱い。避けなくても別に大差は無いが……回避できるならするに限る。万が一、億が一ってこともあるし。男の急所は幼女の力でも大ダメージなのだ。肉質長柔らかいのだ。硬くなっても柔らかいのだ。


というか地獄突きは普通に危ない。そして第一手が回避された途端に躊躇無く男の最大急所を蹴り上げようとするのマジで辞めて。怖い、あんたの思考も行動も危ないし怖い。本当に辞めて。泣くぞ? いい歳した男の号泣程醜いものは無いぞ。まぁ見てる側は割とスカッとするけど。


「貴様……前々から思っていたが、年上に対する敬意が少々欠けているんじゃないか?」


「悠ちゃん、『敬意』って言うのは「敬う意思」って書くから、敬う所が無い人には敬意もクソも無いんだ」


「私にも一つくらい有るだろう」


悠ちゃんの敬う所…………………………


「…………………………………………ごめん、流石の俺も無から悠だけに有を生み出すことは無理」


「なんだとぉ!?」


だってこれ無理じゃん。年齢以外は、筋力体力知能基礎能力財力全て俺の方が上なのに、どこをどうしろと……いや、財力は知らないけど。


まぁ、うん。学園を経営できてるんだし、そこら辺は俺以上だな。俺知識は有しているけどやった事ないし。一の経験は幾千の知識に勝る。安全な学園での評価だけの高ランク者が、実践じゃ使い物にならない様に。例えが限られ過ぎだろ……


「なんでも良いから絞り出してみろ!」


おっと悠ちゃんがぷんぷんしている。地団駄踏んでる。怒り方が古いし、これはさすがに……


「うん、無いものは絞れないな」


幾ら雑巾でも、水に濡らさなきゃ水は絞り出せない。果汁100%のフルーツジュースを作りたくても、絞るフルーツに果汁が無きゃ作れない。高性能なドライヤーが手元にあっても、毛根の絶滅したハゲ頭では意味が無い。無理です。例えがちょっと違う気がするけど、とにかく無理です。無理なものは無理。できまてん。


「うわぁーん!」


「え、えっと……よしよし」


泣き出した悠ちゃんは泉ちゃんに泣きつき、泉ちゃんは母性的なものでなんか癒してる。さすがヒーリングスポット《回復の泉》だな。


「大丈夫です。お姉ちゃんは、私にとって尊敬できる大人です」


「うぅ……そう?」


「はい……奏士さんも、お姉ちゃんをいじめちゃダメですよ?」


「ごめんなさい」


悠ちゃんの頭を撫でる泉ちゃんに叱られてしまった。良かったな俺。


「さて、泉が入会したことで我が宿木学園生徒会はこれで各役職一人ずつ揃った」


悠ちゃんが愛用の黒い外套をバサッと翻して腕組みをする。切り替え早いなおい。あんた数秒前まで年下に泣きついて、頭撫でてもらいながら慰めてもらっていただろ。あ、涙のあと残ってる。


「いや、カッコつけたところ悪いけど、まだ泉ちゃんと莇は役職不明だぞ」


「何っ!?」


驚きながら俺の方へ振り向く悠ちゃん。俺も今思い出したわ。


「そう、ですねぇ……私も泉様も、『入る』とだけで、具体的な役職を決めていませんね……」


「ならば今決めたらどうだ?」


「決めるも何も、残っているのは会計・書記・会計監査の三つだぞ?」


一人足りないじゃないか。え、もしかして幽霊会員が居んの? もしかしてその超絶可愛い美少女幽霊ちゃんとのSF物語が始まるの? 始まらねぇよバカじゃないの? 夢見がちな少年の夢見ガチつって、おもんな。


というか俺見えないし。しっかりと見ることが出来たら未知な幽霊のことも知ることができるんじゃないだろうか。恐怖とは未知、もしくは有智から来るものだと言われているが……恐怖程度、俺の知識欲を阻む壁にもならんわ! いや、実際に見えるようになったらなったで俺には護る力も祓う力も無いんだけどさ。そういやじっちゃんの知り合いに神社で実際にお祓いとかやってる凄腕の兄妹が居たっけな……力の付け方教えてもらおうかしら。確か兄の方は同い年くらいだったはず。


「というか、普通生徒会ってのは最高責任者の生徒会長が一人、副会長が二〜三人、残りの役職は各三〜四人くらいで行うんじゃねぇのか?」


少数でやる生徒会なんて、殆ど二次元でしか聞いたことがない。いや、この部屋にそんな人数が座るような椅子も机も無いが。


「いや、最終決定権は理事長である私に有るが、メンバーの斡旋は基本的に花伝に一任してるからな……その花伝が一人で全てをこなしていたから別に良いかなーっと」


なるほど、サボったってことか。確かに、こいつの人を見る目は……良いとは言いきれない。うん、言いきれない。言いきれないけど悪くは無い。


「つまり元凶お前か」


「……なんで私を見るの?」


要は、大勢でやるような仕事をお前一人が全部こなして、しかも役員すら受け付けなかったからじゃないのか? うん、スペックえげつないけどさすがに頼ろうぜ。俺が言うのもあれだが。


いや、普段のこいつを見るに、基本的に周りに誰も居ないんだよな……合同授業だとか、選択科目で同じクラスになる時がちょくちょくある(ことを最近初めて知った)けど、俺もこいつも誰一人として近くに居ない。俺はそもそもそんな親しい人が居ないし、誰も俺の事を知らないから一人なのは選んだ道だとして……こいつの場合は多分だが、意図的に一人になったんだろう。


なんというか、こいつに向けられる視線というか意識というか……畏怖、尊敬、恋に軽蔑……そんな感情を向けられていた。


状況と結果を独自に解析した結果、おそらく一般学生の間で『不可侵条約』的なものが広まっているのだろう。『生徒会長は仕事を一人で受け持ち、多忙な上に成績優秀だ。それでは休める場を設ける必要がある。なら、あまり近寄らず意識させないようにしよう』って感じか? 事実は知らんが、要は一人でこなすその実力と、学年トップクラスの成績を持ち、かなりの美貌を持つ生徒会長は近づきたいけど恐れ多い……そんな感じだろう。このソースは頼金。俺はあいつの事をほとんど知らんし、あいつも俺の事を知らんはず。お互いの現状の共通点といえば、自然と一人になったことくらい。


「じゃあこうしよう。『会計監査は会長・副会長が連携して行う事にする』と」


悠ちゃんがぽんと手を叩きながら『ナイスアイディア!』と文字が浮かびそうにそう言った。いや、この説明文字だとよくわかんねぇな。こう、絵にするとわかりやすいんだがな。俺の想像力は今日も豊。武豊騎手。俺競馬やった事ないけど。実況はよく聴く。とても作品の参考になる。主に体育祭ネタで。


「俺の仕事増やすな」


「大した仕事もしてない癖に何を言っている」


即座に返された。それを言われると弱い。だって今までやったことって目安箱の処理くらいしか思いつかねぇもん。あ、あと学園内の点検も。今考えると俺大した仕事してねぇな。というか仕事する事に何かしらのイベント発生してる。そうか、俺が仕事しなければ……いや、それでも強制力とやらが発生して軌道修正されるか? ならばいっそ本当に学園を……それもダメだな。回避のしようが無いぞ。成程これが必然か。どうやらこの世界どころか運命すら俺に優しくないようだ……そんなのもう諦めちゃう! 俺しーらね。


「なら、私は会計の方をやらせて頂きます」


「じゃ、じゃあ私は書記を……」


「よし決まり!」


いや早いな。もっとよく考えて。特に泉ちゃん。


「じゃあ全員決まった事だし……今から歓迎会やろうぜ!」


悠ちゃんが拳を天高く掲げながらなんか言ってる。


「あ、俺洗濯物あるからパス」


「私も、仕事があるからパス」


「今日は買ったgameが届くので、ワタシもpassシマース」


「私は……特にないですけどパスで」


「え、えっと……わたしは……」


「全員冷たい!」


悠ちゃんが叫んだ。泉ちゃん以外が拒否をするという大事件。泉ちゃん、言いたいことははっきり言っていいんだよ? こんな世の中だけど。


「ベルはなんのゲーム買ったんだ?」


「The. EROGE!」


ベルはシャキーン!と効果音が出そうなポーズでスマホの画面を見せてくる。エロゲかい。それ言っていいやつなの? というかホーム画面見せられてもどう反応すればいいんだよ。こいつ結構アプリ入れてんな。俺も人のこと言えねぇけど。


「あれ? でもまだその日じゃねぇだろ」


まだ月末じゃない。なんかあったか?


「イエ、前に買えなかった作品を買ったデス」


「……なんの?」


「えーっと……『さ○教』デス」


ベルがスマホを見ながら答える。


「「「さ○教!?」」」


俺と紅葉と泉ちゃんの声がハモる。え、泉ちゃん?


「それはDLですか?」


「No!」


「落ち着けお前ら。ア○ネイターみたいになってるぞ」


うん、まずは落ち着こうぜ紅葉。はーい息を深く吸って〜


「パッケージ版……よく手に入ったな」


あれって確かプレミアついてたはずだ。中古でも結構な値段するのに……


「実は、Niceな保存状態の中古が一万円で売っていたデス」


「中古一万……安いな」


ちょっと不安要素あるけど。それって偽物とか騙せれて無いよね? 美人とうまい話に気をつけろって言うし……とりあえず俺に美人局の心配は無用。


そういや、あれってなんか再販してなかったっけ? 最初に作ったやつとはちょっと違うやつ。


「ちょっと待て。お前現実と虚構の区別ができてねぇんだから買っちゃダメだろ」


パッケージに書いてあるだろ。今すぐ返品……もう出来ねぇじゃん。


「それは……奏士が言っちゃダメ」


紅葉がぼそっと呟く。


「おいそれはどういう意味だ」


「? そのままの意味」


喧嘩売っとんのかワレ


「……あれ、そういやそのさ○教って奴は奏士は既に持ってなかったか?」


悠ちゃんが、指で顎を撫でながら少し考えそう言った。


「何故それを知っている貴様」


俺の自室は二つある。一つは和室で、布団と多少の棚とパソコン、箪笥、その他の普段生活するのに必要なものが揃っている部屋、もう一つはその他の本や、物を閉まっておくための窓の無い広めの部屋。ここは見取り図にも記入されておらず、入口も偽装してあるから俺以外誰も知らない筈だし、誰も入れたことがない。


「いや、前にお前の部屋に入った時に机に置いてあったのを思い出した」


あ、あー……そんな事ね。なーんだ。


……いや待て、俺は一度たりとも悠ちゃんを部屋に入れたことは無い。いつ侵入した。


「ということは貴方も買ってはいけないのでは?」


莇が指をパチンと鳴らしながらそう言った。


「俺はちゃんと区別できてるからセフセフだ」


うん、多分セーフ。きっとセーフ。おそらくセーフ。


「まぁ、個人が何しようと勝手だがな。 ……じゃ、歓迎会やろうぜ」


「やらねぇって」


さっきもやった。天丼は二回まで。タレの二度漬けは禁止。二度漬けしていいのは○ARMだけ。元の話わからなくなってきた。


「良いじゃないか奏士。たまには休むことも大切だぞ?」


「洗濯物は休んだら溜まるし臭いすごいし冷たくなるしでダーメ」


「ブーブー」


はい、そんなに頬を膨らませてもダメなものはダメです。俺は家主として責任が有るのです。


でも俺、責任って言葉嫌い。責任はなるべく負いたくない。できる限り押し付けたい……無能な上司に。上司居ないけど。強いて言うなら瑠姫さんが上司。編集だけど。


「じゃあ、帰りにゲーセン寄っていく程度なら……」


「金の無駄だから俺は帰る」


今は別に新しい景品入荷の情報は無いし、まだメダルは預かり期間内だから行く必要も無い。よって俺は帰る。帰るったら帰る。お家だーいちゅき。キモーイ。


「良いじゃないですか奏士殿」


なっ、貴様裏切るのか。仲間になった覚えはないけど。


「うーん……ワタシもそれくらいなら平気デス!」


ブルーーじゃなかったベル、お前もか。ついでにお前の飲んでるコーヒーはモカ? 俺はモカ派。


「なら、私も行く」


「じゃ、じゃあ私も……」


紅葉に泉ちゃんまで……え、なんで全員俺の方見るの? やめてその視聴率100%


『ほら、最後はお前だけだ……お前もせっかくできた縁を自ら壊したくは無いだろう……休日だけど行かなきゃならない接待ゴルフに行く父親のようにお前も覚悟を決めるのだ……』


お前は……誰だっけ? 議会の何番だったか忘れたけど、仮称で天使としよう。見た目的に。


ちなみに、俺の脳内議会は最高決定者が十名居るってだけで、下は無数に居る。把握不可能。


『行きたくないなら行かなくても良いんだ。そうやって無理するより、自分に合った生き方をしろ』


なんで悪魔の方が良い奴なんだろうな。と言っても、天使より悪魔の方が良い奴なのは割と定番だけどさ。秩序守り、神の命令に従って動く天使より、神に逆らって気の向くまま生きる悪魔の方が好きです。悪魔にも一応の秩序は有るけど。


『悪魔の言うことなんか聞いちゃダメだ俺! お前はゲーセンに行くべきだ! そして俺に絶望を寄越せぇ……』


違う。これ天使じゃなくて邪神だ。帰れ。俺の中の邪神帰れ。もしくは還れ。堕ちろ。存分に堕ちろ。


『スパナフルファーストストライク!』


『あーっ!』


あ、天使もとい邪神吹っ飛んだ。顔面にフルスイングされて吹っ飛んだ。ナイスだ悪魔。やはり善より悪だな。でもさ、それスパナじゃなくて六角レンチなんだけど。まぁ、スパナもレンチも意味的には大差ないけどさ。


「……じ、……うじ、……奏士!」


「……あ、ああ悪い」


悠ちゃんに呼ばれて気がつく。どうやら数瞬の間、飛ばしていたようだ。


「で、お前はどうするんだ? 行くのか、行かないと思わせて行くのか、先に帰る素振りを見せてこっそり後をつけてくるのか」


「実質一択じゃねぇか」


全てが「行く」に繋がっている。こんなもん、長○剛の如く「ろくなもんじゃねぇ」と思わず叫びそうになる。ぴいぴいぴいとアコギを弾きながら言ってみようか……でも家にアコギは置いてないしな……買おうかな。でもアコギって普通に高いしな……今年買うゲームの本数を削ればイケるかもしれんが……いや、止めとこ。


「……む」


視聴率100%再び。こうなったら……


「分かった。分かった俺も行く」


こうなったら諦めよう。不要な無駄は省く。効率良く行こう。何事も諦めが肝心。すまんな悪魔よ。でもなんでお前俺の意識内の存在なのに女の身体してんの? なるほど、これはこれでアリだな……いや、別に自分大好きのナルシストじゃないぞ。違うぞ。自分のことは自分がよく分かってるから安心するだけだぞ。もしこの世界に並列存在として現れたら惚れる自信があるけど。そしてタイミング見計らって告白して、そして自分に振られるんだろうな。その後俺は暫く引きこもるだろう。やだもう不安定。


「「「いぇーい!」」」


うお、びっくらこいた。いきなり大声出すなよ。


莇、悠ちゃん、ベルの三人が拳を掲げ、喜ぶ。ハイテンション。どっかのアメノウズメかってくらいハイテンション。あれって小学生向けゲームにしては露出多めだけど大丈夫なのかね……まぁ、某戦乙女はモーションでパンツ的なものが見えてるから良いか。俺は自分を最古参の上級バトラーだと思ってる。


「い、いぇーい……」


「……いぇーい?」


泉ちゃんが少し恥ずかしそうにしながらも、小声で言いながら拳をちょこっとだけ上げ、紅葉は頭の上に?を浮かべながらもいつもの表情でそう言った。


だが、俺は「でも」と続ける。


「せめて洗濯物を屋内に取り込んでからな。どうせお前ら数時間は滞在するだろ」


ほら、ゲーセンで遊んだ後に「ちょっと見に行こうぜ」と小物とか服を見るに違いない。そして、女の買い物はクソ長い。結局何も買わないのにクソ長い。


「ふむ、そこはさすがに妥協するか……」


悠ちゃんが顎に手をあててそう答えた。よし、これでOK


「じゃあ、私たちは先にゲーセンに行ってるか?」


「そうしても良いが、今日悠ちゃん車あんのか?」


学園の周辺は住宅街だからせいぜいコンビニと薬局くらいしか無いから結構な距離歩く必要がある。というかそもそも近くのゲーセンは結構前に別の店に変わっている。


「……私、今朝どうやってこの学園に来たっけ?」


「知るか」


さすがに記憶力無さすぎる。残念すぎる。若年認知症か?


「前のワゴンはどうしたんだよ」


「あれは父さんのmy carだ」


発音良いなおい。というかあの人あんな車持ってたのか。


「じゃあ、家の車使うか……俺はどっちにしろ、ゲーセン行くなら家にチャリ置いてこないといけないから一回帰ってここまで来ればいいか?」


「おお、それなら解決だな」


よし、これで……あ、バックれることが出来なくなった。しまった誘導された。


「じゃ、俺先に帰るわ。お疲れ様ー」


「おつかれ〜」


俺はそのまま生徒会室を出て我が家へ向かう。愛する我が家へ。お家が好きすぎて数分でホームシックになる。修学旅行とかすごく行きたくない。だって知らない人が大勢(四人)いる部屋に俺だけ外野が混ざって寝るとかなんか怖いし相手に悪いじゃん? だから今まで行ったことない。 宿泊学習も同じく。


俺が全力を出せば頭文字○の如き運転と速度で家に帰れる。完全に法定速度違反なのでやっちゃダメ。それとチャリがぶっ壊れる。主に家の前の砂利道で。転ぶとむちゃくちゃ痛い。主に石が食い込んで痛い。だから自転車から降りて押して歩くしかない。


\ヴー/


家に着いたと同時にポケットに入れたマスホが振動する。なんだ?


「なんだ悠ちゃんからのLINEか……」


てっきりサルからの連絡かと思った。連絡と書いて死の予告と読むけど。


『制服姿で来いよ馬鹿ども!』


……なんやこいつ腹立つわ。後、『ども』とついてるけど俺以外に誰が居るんだよ。まさか見えない誰かが? 家賃払ってもらおうかな……もし超絶可愛い美少女幽霊だとか、美少女妖怪だったら喜んで住んでもらう。美幼女も美人も可。二次元基準で測定するけど。


悠ちゃんから多少意味不明なスタンプが送られてきた。とりあえずなんか返そう……


『了解したぜクソ野郎!』


……俺もなんでこんなスタンプ持ってんだろう……


多少ゴタゴタしたが、洗濯物を取り込んだら「いざ出陣じゃ! 」と、愛馬ロシナンテに跨るドン・キホーテのように外の駐車場に止めてある俺の愛車へ乗り込み、学園へ。


…………


危ねぇ危ねぇ。通り慣れた自宅前の砂利道で危うく事故るところだった。最近運転してなかったからな……今度からもうちょっと車使おうかな……でも大抵の場所には俺の愛車チャリで行けるし、駐車料金高いし。やっぱり自然に優しい自転車最高。




学園に向かうと正門付近で悠ちゃん達が談笑しながら待機していた。どうやら俺に気づいていないようだ。なのでスマホに連絡を入れて呼んでみたのだが……


「…………(キョロキョロ)」


全員が首を左右に動かして俺を探している。しかし俺の事に気づいていない。こうなったらあれをやるしかないか……


「おい、悠ちゃん’S はよ乗れ」


「ソージ!?」


あ、ベルが気付いた。どうやら驚いているようだ。


「……実際には初めて見た」


「これは……予想外ですね」


「お前は……まったく」


何故か全員が呆れて、驚愕している。


「お前ら何している。大声でお前ら呼ぶのさすがに目立つから早くしろ」


「いや、それよりもお前恥ずかしいから安心しろ」


「俺のどこが恥ずかしいと言うんだ」


生き様か? 生き様が恥ずかしいのか? それもと発言か? なるほど恥ずかしいことこの上ないな。まさに痴態のオンパレード。そのパレードは著作権の代名詞だらけの夢の国のパレード並。それはやヴぁい。この例えもやヴぁい。俺の頭もヤバい。やばやばのヤバス。


「いや、車の外装見ろよ」


そう悠ちゃんに言われて窓から乗り出して外装を見る。はて、基本的に車庫に入れっぱなしだから大した傷も汚れも無い。二次元の美少女がプリントされた外装が見あるだけの、なんの変哲もないただの痛車だ。


「……どこが変だ?」


「あの男本気で言ってます?」


「残念だが、奏士は時々本当のバカになる……」


「……末恐ろしい」


莇が聞き、悠が答えるその問いに。座りしままに。言うは会長。 なんか聞いたことあるリズム。多分天下餅。と言うか紅葉、お前いつの間に乗車した。


「う〜ん……これは……ワタシの娘達を乗せる普段使い用に別の車を買う必要があるデス」


そしてベルよ、お前にいつ娘ができたんだ? やはり経産婦か……


「でっ、でも……こういう自分を表に出せる人はすごいと思います……」


そして泉ちゃん、この世界で俺を肯定してくれるのは君だけだよ。でも、何か裏とかないよね? もしダークサイドとか知ったら俺はさらに人間不信になる。


「良いからはよ乗れ。これで三度目だぞ」


そうして全員を押し込んで、いざ出発。席は、運転席に俺、助手席に悠ちゃん、その後ろに紅葉と泉ちゃん、そして一番後ろに莇とベルって感じだ。基本的に俺以外乗らないのになんでこんなデカい車買ったんだ俺は。


通う学園の理事長と、生徒会メンバーを乗せた車は動き出す。俺レベルにもなると地図にない抜け道も知ってる。


「ところで、どこのゲーセンにするんだ? 近場には無いぞ」


助手席に座る悠ちゃんが声をかけてくる。水戸に行けばかなり有るが、時間がかかりすぎる。無いこともないが、あそこはゲームコーナーだからな……子連れの家族向けのゲームが多いから、大人はあまり楽しめない気がする。


「別に、すぐそこのドンキで良いだろ」


あ、やっぱりそこなのね。じゃあそこに行きましょう。


「ドンキってなんですか?」


泉ちゃんがこてんと首を傾げながら聞いてくる。まじか泉ちゃん……


「ドンキってのは……まぁ、格安デパートの小さい版みたいなやつだと思ってくれ」


本来はディスカウントストアみたいなもんだが、あながち間違っちゃ無いだろう。


\駐車券をお取り/


ドンキに着いたから駐車券を取ろうとしたら、最後の「ください」が聞こえずなんか女王様みたいに言われた。渋々取った。なんかすげぇ負けた気分。


「ついでになんか買っていくか……」


駐車料金を払わないために、店内で買い物をしようとするとついでについでに……と、どんどん買ってしまい、結果本来の料金以上の金を払うことになってしまう……やりおるな。


「それじゃ、いざしゅっぱーつ!」


「……おー」


……えっ、ついさっきまでみんなノリに乗ってたのに反応したの紅葉だけ? 悠ちゃんちょっと落ち込んでるぞ。


「ほらほら悠ちゃん、そこに突っ立ってると邪魔だからこっち来なさい」


そう言いながら悠ちゃんを持ち上げて横にずらす。持った瞬間、悠ちゃんの身体がプラーンとした気がする。軽いな。


「バカにするな奏士。私はこれぐらいじゃ屈しない!」


「思いっきり涙浮かんでるぞ。後、店内では静かにな」


「ちくしょー! こうなったら荒稼ぎしてやる」


悠ちゃんが勇ましくずんずんと歩いていく。そんな悠ちゃんを先頭に、勇者パーティのように一列で歩く俺たち。いや、俺殿かよ。


やだなぁ……殿とかやらないで真っ先に逃げたい。いのちだいじに。痛いのとか嫌。さすがの俺も矢で射抜かれたり槍で貫かれたり刀で切られた経験は無い。


「……そういえば、免許は?」


隣を歩く紅葉がぼそっと聞いてきた。


「前にな」


そう、それは数年前の夏。まだ、一人暮らしだった頃、課題も漫画も早々に終わらせ、暇ができたから暇潰しにと免許を取りに行った。早々に受かった。その後悠ちゃん’sの進めで車買った。でも、大して使わないから税金だけ払うことになった。


と言うことを説明したが、紅葉の反応はいまいちだった。興味無いなら聞くなよ。

だんだん書き方がわかってきたような気がします。そして今目がものすごく痒いです。眠いです。でも意地で書きました。全ては目的のため……次回もお楽しみに!


…………あ、この話の更新一時間後、要するに午前一時に次の話が更新されます。なんでかって? それは気まぐれ……じゃないです。この話が微妙な部分で終わるからです。一話にまとめろって? 一話約一万〜一万五千文字辺りでやっているので二話合わせると三万文字になって長いんですよね……というわけで直ぐに更新するのでお楽しみに!

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