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輪廻のFate Line  作者: 怪人アホ面男
第三章 三回目ともなるとだんだんめんどくさくなってくる
28/133

人間誰しも罪を犯している でも咎人ってなんか凄い感じするよね

そして待ちに待った放課後ォ! 一刻も早く、もう時を止めて泉ちゃんの元へ……時よ止まれミラ○ンテ!!


……無理か。無理だな。じゃあザクロか? いやでもあれはターン吹っ飛ばしだからな……


とにかく、HR終了と同時に教室を出、イベントで鍛えた世界レベルに届きそうな競歩で生徒会室へと向かう。廊下はなるべく走らない。なるべくだ。なるべく。ここ大事。


「はよーっす」


生徒会室の扉を開けると、泉ちゃんが振り向いて世界を浄化しそうな笑顔で迎えてくれた。それでも晴れない俺の闇って……光を呑み込むブラックホールの近縁種か何かか? でもブラックホールは宇宙中にあるって聞くし……よし、【混沌(ザ・カオス)】と仮称しよう。


「あっ、奏士さん……おっ、おはようございます」


俺がそんなこと考えていても、ぺこりと挨拶してくれるとっても律儀な泉ちゃん。ちょっと会長さん? この娘見習いなさいよ。というかお前さっきから何見て絵を描いてんだ?


「……」


画面を見る目、表情は真剣そのものだが、発するオーラと視線が邪すぎる。そしてペンを持つ手が凄い。残像見えそうなくらい速い。


邪レベルは『真剣2:邪98』くらいの割合。まさかの割合じゃなくてパーセントっていうね。もう手遅れですわ。何をどうしても治らないに決まってますわ。それどこのスーパー勤務お嬢様? 言葉遣いだけだけど。


というか割合換算でやったら十代先まで酷でぇなこいつの子孫……あれ、計算正しいよな? 十割一代計算で合ってるよな? 知ったこっちゃ無いけど。


「おい……おい……おいそこの邪念物」


「……はっ……私?」


ようやく気がついたのか、紅葉が顔を上げる。しかしペンを握る手は止めない。いやノールックとか凄いなおい。さすがの俺もムズい。ちょっと練習しようかな……


「この空間にお前以外の誰が当てはまる」


「……邪念なら奏士も」


俺そんなに邪念とか発してないと思うけどな。怨念とかは発してるかもしれんが。


と、そこで紅葉が先程まで手に持っていたスマホを思い出したかのか、急に隠した。


「お前、今何を隠した?」


「何も隠してない」


問うが、プルプルと首を振って背後に手をやる紅葉。なるほどそこーーと見せかけて実は机の裏の緊急用スペースか。そのスペースはこの前落としたペン探している時に見つけた。


「そうか、言い方を変えよう。その写真を何処で入手した?」


「……何を言っているのか分からない」

 

うんとこしょ、どっこいしょ。それでも紅葉は認めません。まぁ、俺の言ってる内容も現状と確率を計算して予測しただけだから、殆ど間違いも同義だけど。


「……まぁいい。せいぜいバレないようにな」


 関わらなければ俺は何も気にする必要がない。共犯ですか? いいえ、こじ……証拠を見てしまった通りすがりの一般人です。これが取引現場だったら謎の薬とか飲まされていたかもしれない。歩き通学が糞メンドイから戻るならせめて卒業後で頼む。


「……見る?」


「見ない」


「……見ヌキする?」


「すると思うのか?」


「……奏士を元の道に……」


「悪いが分岐点もう無いから諦めろ」


「ちなみに、内容はベルと皐月と遥の下着姿(モザイク無し) 定価二千円 」


「見ねぇって。つーか金取るのかお前」


というか高いなおい。学外イベントの写真でももっと安いぞ。某商会でも、もうちょっと安くなかったか?


「……写真部に持って行けば、良い交渉材料になる」


「それだけは止めとけ。アレに関わるとろくな事がない」


主に頼金が食いつく。というかそれ普通に盗撮。それ普通に犯罪。普通に盗聴した俺が言うのもなんだけど。


「……イラストの参考資料のために仕方なく……背に腹は変えられなかった」


「どっちかってーと、お前は他人の腹で身を守るタイプだろ。主に俺を犠牲にして」


そして自分は無傷でやり過ごす。あらヤダ他人を使う点では俺と同じじゃないのよ。違う点はそこに躊躇いが有るか無いか。俺は無い。こいつは多分ある。最後の最後まで悩んで、そんで結局自分一人で抱え込むけど他人に気づかれないように我慢して嘘をつくタイプ。つーか少しは苦悩したような表情しろよ。いつも通りの能面みたいな無表情なの腹立つわ。いや、よく見ると変化有るけどさ。眼の奥がちょっとドヤ顔になってる。こいつの青い眼見てると何故か腹立つわ。ついでに頭痛い。


……はぁ、やっぱり疲れ溜まってんのかな……


「というか、イラストの資料って自撮りにする人が多いって聞くが?」


「……自分のだと、どうしてか筆、もといペンが乗らない」


筆が乗らないのか気分が乗らないのかはてさて……もしくはその後なにかに使う予定がおありで? 詳しくは聞かないけど。プライベートだから。プライベート。もう俺には失われた言葉。個人情報流出という悠ちゃんの行動によって俺の番号とメアドは知られている。ラブコメにありがちな『好きな人と連絡先交換したいけど恥ずかしくてなかなか言えない』なんてイベントに喧嘩売るような行為だ。アドレスと番号変えようかな……登録しているサイトとアプリの情報変更めんどくせぇな……


「つーか、一体何描いてんだお前……」


そう呟きながら紅葉のデスクの対面から裏へと回り、画面を見る。そこにはーー


『さぁ美鈴みすずちゃん……もう諦めたらどう? ほら、早苗さなえちゃんはもう私のテクで快楽に堕ちちゃって……こんな情けない顔で懇願してるよぉ?』


ものすごく攻め責めな遥さん似の娘が二人に責めて、


『ひっ、ぐぅぅ……わっ、私、はっ……あなたなんか、にっ……まけっ、たりは……』


責められて今にも堕ちそうなベル似の娘が悶えて、


『お、お願い彼方かなた……もっと、もっと激しく……』


皐月さん似の娘が目をハートにし、完全に堕ちて全てを受け入れる○奴隷へと化している。なんか普通に解説しちゃったけど、それよりもーー


「何生徒会室で十八禁の百合漫画描いてんだてめぇは」


「あうぅぅぅぅぅぅ……」


紅葉の脳天に「ズビシッ!」とチョップを入れ、そのまま手を振動させると変な声を出した。なんかアレを思い出す。なんだっけ……そのー……思い出せない。いや、思い出したくないやつだこれ。


「奏士の……硬くて、大きい」


「表現考えろや。「手」まで入れろ」


「ナニを挿れてるのに手まで入れたいタイプ?」


「もうお前黙れ」


それだと俺が泉ちゃんの居る前で襲いかかった性犯罪者になっちゃうよ……獄中でも性犯罪者は地位が低いらしいぞ! 嫌だねそんな娯楽の無い空間に放り込まれるなんて。


というかうん。確実にこれあの三人をモデルにしているだろ。名前もちょっと変えただけで似てるし。


「とにかく、描くなら泉ちゃんに見つかる前に描け。後、そこの○液を指で掬って見せるシーンはもっと粘度を増した方が良いと思う」


「……アドバイス?」


いや、だってこれ俺的に結構ストライクゾーンに来てるし……完成を見せて貰えるならここで描くことを許可する。あわよくば、データのコピーください。PDFで。 please help me? 助け求めちゃダメだろ。どこのハンバーガーショップだよ。


いや、それ以前にこいつ一応プロの絵師だから見せてもらうのは無理だな……だったら発売する時は優先購入させて? 在庫残しておくとか。あ、サイン付き頼めます? 念の為に二部頂戴? 読む用と保存用に。


「それでいいけど……私のはそこまで粘度高くない」


「これ横から入った俺が悪いのかな……」


つーか今とんでもないカミングアウトされちゃったよ。何、色々聞きたいことあるけど、そこは自分の参考にしてる訳? なんかの記事に排卵日前とかだと粘度増すって書いてあったぞ。俺には知ったこっちゃないけど。そうだ思い出した本○汁とか言うやつだ。俺久しぶりにピー音入るような発言したかも。下ネタ的な意味で。


「お、お待たせしましたー!」


と、そんなやり取りをしていると泉ちゃんが隣の給湯室から緑茶を入れて持ってきてくれた。こんな娘今日日レアだぞ。そしてさっきまでの俺の思考よ消え去れ。


「……ありがとう」


「ありがとさん」


「は……はい」


……やっぱりまだ硬いな。元々人見知りする娘だし、生徒会なんてなれない環境で、下級生は自分一人しか居ないし、緊張かはたまたそれ以外かーーまぁ泉ちゃん生徒会役員じゃねぇけど。入ってくれるなら俺の座席を譲ろう。晴れて俺は御役御免で自由だ。なんならこの学園ともおさらばしたい。サラダバーでおさらばーしたい。サラダバー関係無ェな。いや、学園辞めたいのは本当なんだけどさ。通わずとも生活できるし。むしろ通うことにより、日々の時間が削られて結果有意義に使えないし。悠ちゃんいい加減に退学届受理してくんないかな……


「ンモー! アオバが遅いから遅れたデース!」


「しょうがないでしょう! 何故か雌豚三匹から呼び出されたのですから!」


泉ちゃんが全員分の茶を注いだ丁度、二人が入ってくる。なにしてんだおめぇら。つーか相変わらず嫌いな女には口悪いなお前。


「意外と遅かったな」


「あ、ソージ! 聴いてクダサイよ〜」


そう言いながら荷物を自分の席に置いてハグしようとしてくる。ついでにキスもしようとしてくる。


「わかった聞き流してやるからまずは寄るな離れろ近付くな」


近寄ってきたベルの頬に持っていた淹れ立ての茶の御陰で熱々の湯呑みを押し付けた。「あっつあ゛っ!?」と必死な可愛げの欠けらも無い悲鳴を出して離れた。


「ベ、ベルさん……これをどうぞ」


予知していたのか、即座にタオルに包まれた保冷剤を持ってきた。ちなみに、火傷した時は流水で患部の周りを冷やすのが一番いいらしい。氷や保冷剤等の冷たすぎる物は凍傷になるから服の上、もしくは布の上から軽く当てよう。


「おぉ、これはドーモデス! まったく、ソージのいけずーデス」


ブーブー言ってもダメです。細菌が伝染る。もし性病とか持ってたら嫌だし。いや、キスでの感染率かなり低いらしいけどさ。どっちにしろヤダ。


「つまり頬を合わせる行為はお互いの顔ダニを交換し合う儀式ということ?」


「俺が言うのもなんだけどお前の思考回路はおかしい」


紅葉、流石にキスから顔ダニの発想は無いわ……つーか顔ダニ思い出させんな。誰にでも存在すんだよ。可愛いと言われるアイドル、イケメンな芸能人、そこいらのホームレス……うん、思考停止してこの部分の記憶は消却。泉ちゃんにも存在するのかって? すみません、よくわかりません。


「え、えーっと……それで一体どうして……」


泉ちゃんがそっと聞いた。ちょっと顔が赤い。もしかしてさっきのベルのやり取りで照れてる?


「アオバと教室を出ようとシマシタ。そしたら、アオバが後輩Girlに突然呼び出されて、ワタシはそっと着いて行ったデス」


うん、まずその時点でお前要らないよな。別に尾行しなくても来ればよかったじゃん。つーかその説明口調はともかく、お前どこ向いて話してんだ。あれか、二次元キャラとオタクにしか見えないカメラか? すっごい俺にもはっきりと見える。見てるかー? こっち見んな!


「歩くこと数分、誰も居ない空き教室にツキマシタ。そこでアオバはーー」


溜めるベル。早く言え。そしたら、俺は快く莇をシバける。


「love youと告白されマシタ! しかしアオバはそれを『私は身長が低くて胸も小さい、例えるなら理事長のような体型が好みなのでお帰りください』と言って断ったデス!」


判決、《有罪 死刑(ギルティ)》 DAMN IT!!


「お前……もうちょっと他に無かったのか……」


「いえ、もう既に四回告白されているのでもううんざりしてて……」


判決訂正 《拷問後オーバーキル・死刑ギルティ》 fuckin' shit!!! 今度は小文字変換にしてみた。文字見えないけど。


「……モテモテ」


「荷物持て持て係のこいつが女にモテモテとはバカみてぇな話じゃねぇか。いっそお前の本性新聞部に流して全校公開してもらったらどうだ?」


そして死ね。生物的にも社会的にも死ね。大丈夫、新聞部のあいつならしっかりとやってくれるから。良くも悪くも。しっかりと情報操作するはずだから。もししなかった場合、『副会長権限で大した実績の無い新聞部を廃部にする』と言えば快く引き受けてくれるはずだ。まぁ、部室無くなった程度じゃあビクともしないだろうけど。


「いえ、最初はそれを考えたのですが、さすがにお嬢様の地位を下げかねないので」


「アオバ……」


ベルが『信じてたよ』みたいな表情で莇を見る。というか最初に考えたのかお前。


「安心しろ、こいつの地位は既に下げようのないところまで下がっている」


「ソージ?」


そしてベルは『ちょっとあっちで話そうか?』みたいな目で見てくる。なお、主に俺を好きということが原因で下がっている。ついでに内容は「噂の超絶スタイルの良い外国人美少女転校生が好きな人は、とても目立たないクズ男らしい」という内容らしい。早いうちに対策を打っておかないとな。もうやってあるけど。


実は、この噂を耳にした時に新聞部のあいつにこっそりと依頼書を送ってある。そのうち、噂の内容が「その転校生の好きな人はとんでもないゲスで、五股している上に弱みを握って無理やり従わせているらしい」というふうに変わるはずだ。もちろん、俺だとはバレないようにな工作して。大変だったんだぞ。主に頼金に渡す報酬の調達が。


まぁ、それ抜きにしても、あいつは使えるな……今後とも良い雇用関係を築きたい。色々と便利だ。いや、念の為に俺の方でも動いておくか……あいつが敵にならぬとも限らんし。プランは複数用意して、そして何時でも移行できるようにしておくのがプロだ。なんのプロだか知らんが。


「それにしても転校早々連続告白とは、イケメンは違うねぇ……」


そのまま死なねぇかな。出来れば某誠のように滅多刺しで死なねぇかな。むしろ死ね。モテ男は死ね。莇死ね。莇氏ね。莇タヒね。現実の恋人が居てイチャイチャラブラブチュッチュズコバコしている方のリア充は死ね。そうでなくても恋人がいるなら死ね。巨人のように一匹残らず駆逐してやろうか。いや、それだと少子化が……やっぱり残しておく必要があるな畜生。だいぶ荒んでんなー


「おや、奏士殿もご興味が? それなら私と代わってみます? というか代わってください」


「いや、俺三次元に興味ねぇし……それに一人の重めなストーカーの対処で手一杯だから遠慮しとく」


「誰がストーカーですと!」


「おめぇだよ不法侵入者」


ガタッと大きめの音を出して立ち上がったベルにツッコミを入れるが効果が無い。えぇ……こいつのタイプ何? もしくは特性の問題? 問題がペンギンならわかりやすい。


「えっ……不法侵入?」


そうなんだよ泉ちゃん。こいつ人が寝ている好きに無断で部屋に入って既成事実を作ろうとしたんだよ。未遂だけど。


「……さっきから駄弁ってばっかりだけど、今日は仕事ねぇのか?」


「……今日は無い」


紅葉が一拍遅れて顔を上げ、返事をする。


「だ、そうだ」


やったー泉ちゃんとお話できるぜ。朝のこともあるし。声とテンションに抑揚が無い。紅葉のこと言えねぇな。


とにかく、泉ちゃんを椅子に座らせてついでに茶請けも出す。紅葉が今朝俺の分のドーナツも食べやがったが、念の為に落雁も持ってきておいてよかった。


「そんなわけで、泉ちゃんのこととか聞かせてもらっでいい?」


「はっ、はい。なんでも……」


やはり緊張気味な泉ちゃん。ちょっとほぐそうか……


「つっても、まずは自己紹介か? ほれ御三方、この俺照大御神に名乗ることを許そう」


手をパンパンと軽く叩いて呼ぶと、すぐに反応した。ノリいいなお前ら。そして俺照ってなんだ。何司ってんだよ。とりあえず天照が天岩戸に引きこもったんだし、俺照は家に引きこもるか……今までの生活と大差無いな。


「……何様?」


「柳Summerデス?」


「お日様ですか」


「御託はいいから自己紹介せい」


三人がブーブー言ってるが、すぐに気を戻して全員で泉ちゃんの方を向く。うん、すげぇ俺何様だって感じするな。とりあえず紅葉はティッシュで鼻かめ。風邪気味か?


「えっと……生徒会長の花伝紅葉……」


自己紹介は紅葉が簡潔に


「ワタシは、副会長? のベルフローラ・バレンタインと申すデス! ヨロシクオネガイシマース!」


ベルが元気よくバカらしく


「私は莇青葉と申します。泉様、どうか今後ともよろしお願いします。つきましては、連絡先の交換の方をどうっ」


「長い離れろ消え失せろ」


変態が泉ちゃんに迫りかけていたから何故か鞄に入っていた吹き矢を後頭部に向かって放つ。もちろん、矢先は安全のため丸い。ただし、超絶硬いがな! いや、なして入っていた?


「……七点」


「ん〜 惜しいデス」


いつから吹き矢勝負になったんだよ。つーか中心どこだ。旋毛か? 脳天か?


「全く……痛いではありませんか」


「痛いくらいが丁度いいだろ」


お前の場合、そこまで痛いわけでもあるまいし。


「そしてまぁ、俺も含めたこの四人が、生徒会って訳だな」


「は、はい……奏士さんは、自分の居場所を見つけられたんです、ね」


泉ちゃんが安心したような表情で何か言いだした。ちょっと泉ちゃんその話はあっちでしようか?


「居場所?」


そこに反応すんのかベルよ。無視しろ無視。


「は、はい……昔、引っ越す前は忙しかったお父さんとお母さんに代わって、奏士さんとおじいちゃんがよく、時々お姉ちゃんが一緒に居てくれたんですけど……ずっと何か悩んでいたと言うか……色んなことを考えていたような感じがしたので……」


そうか? 俺としてはあんまし自覚がねぇし、昔のこととか殆ど覚えちゃいねぇし。なんなら昨日の晩飯も覚えてねぇし。あれ、俺昼飯何食ったっけ……若年性認知症か? 一応検査とかしとこうかな……


あ、おじいちゃんってのは柳家前当主の事な。要は俺のじいさん。昔泉ちゃんが小さくて、親が多忙だった時によく家に遊びに来ていた時があってな……俺のじっさまは本当の孫のように可愛がってた。そして俺も可愛がった。今も尚可愛がってる。だって可愛いもの。


「……奏士がお兄ちゃんしてた……信じられない」


紅葉がじーっと俺の事を見ながら呟いた。


「ばっかお前俺とか超絶スーパーろくでなしお兄ちゃんだぞ」


「自分でろくでなしって自覚してるデスか……」


「自覚してるだけマシと言うことですかね」


「……どっち?」


「ろくでなしなのは認める」


「そ、奏士さんは私にとってろくでなしなんかじゃなくて……私の大切な、大切な人です」


えっ、泉ちゃん……俺の事をそんなに……今すぐ結婚しよう? 籍を入れようか。大丈夫、お互い婚姻可能年齢に達してるから。あれ、でも最近成人年齢と可能年齢が変わったような……まぁ大丈夫だろ。というか、冗談だけど。それ以前に、泉ちゃんは俺の事をそんなふうに言わないでくれ。心が痛い。痛まないけど。俺は何がしたいんだ。とりあえず落ち着け。そして餅つけ。餅はただついただけのノーマルが好き。


「やっぱり娘さんをください」


「あげません」


しつこい。しつこいぞ似非外人。お前カタコト消えたらもう誰か聴き分けられねぇんだよ。そしてそのキリッとした顔止めろや。地味にイラッとくんだよ。っと、茶が無くなった。入れてこよ。


「……奏士、この娘も生徒会に入れよ?」


俺が席を立ったと同時に聞いてくる紅葉。泉ちゃんに抱きつく数秒前ってところか……うん、お前はーーギリギリ許す。泉ちゃんをハグすることを許す。


「……泉ちゃんはどうしたい?」


しょうがなく給湯室から背中を向けて答える。


正直全く何もしてねぇし、こんなバカとアホと終わらない思春期が集まる生徒会に入るやつなんて酔狂だろ。そこに俺が入ってるのがものすごく不服だけど。


「入っても仕事内容はくだらないし、毎日バカ騒ぎが絶えないし、メンバーはろくな奴居ないし、もうすぐやる演説は面倒臭いし……入っても良いことないと思うけど……どうする?」


「え、えっと……」


「私は泉様と一緒だと嬉しいです!」


「おめーは黙っとれ!」


「たとばっ!」


恒例のバカ言い出した莇に、上着のポケットに入ってた縁が金色で、面が赤いメダルと黄色のメダルと緑色のメダルの三つを投げつけたら変な声出して崩れ落ちた。そのまま眠ってろ。


「そっ、奏士さん、は……私が入ってくれたら……嬉しい、ですか?」


そんな顔赤らめてモジモジしながら言わないでくれ。下手したら本気で惚れる。俺の強固な幾層にも亘る自制心を舐めるな。イメージだと、巨人の進行にも耐えられる。さて問題、ここでの『巨人』とはどっちでしょう? 霜か、進撃か。正解者にはなーんもありません。ねぇのかよ時間返せ。


「えっ、ああ、うん。そうだな……入ってくれたら……いや、泉ちゃんと一緒に居られたら嬉しい、かな。多分」


「ちょっとあの男、なんか本当にラブコメ始めようとしてません?」


「新参ヒロインに寝取られ……BSSは描いたこと無かった」


「でも、この中だったら一番の古株らしいデスよ……」


「うるせぇ」


泉ちゃんの声が聞こえないだろうが。というか莇、お前丈夫だな。そして紅葉さん、頼むからBSSを描くのはよして。俺苦手なんだよそういうの。


「嬉しい……そうですか……」


ちょっと下を向いて考える泉ちゃん。耳が赤い。すげぇ可愛い。写真撮ろ。


「えっと……会長さん」


そして紅葉の方をむく泉ちゃん。その目は、覚悟のようなものが宿っている。そんなもの込めなくてもいいのに……


「カリカリカリカリ……何?」


そして俺の席に座って俺の落雁を食べながら返事をする紅葉。てめぇ人が席を立ってる間に何してんだ。というか口周り汚してんのになんでそんなキリッとした顔でいられるんだろう。ほら、お口フキフキしなさい。この紙やすりで。粗目から細目まで用意してあるから。


とはいえ、これくらいは許そう。紅葉も俺以外にやらない辺り、見極めてるようだし。


……ねぇ、それって俺が下に見られてるってことでいいんだよな? 別にいいけどさ。なんか紅葉に菓子をあげるの生活の一部になってきたし。


「わ、私も……私も生徒会に入れてください!」


ぺこりと頭を下げる泉ちゃん。


「ん、わかった。ならこの紙に書いて」


そしていつものごとく真顔で対応する紅葉。いや、少しだけ微笑んでいる。


「それと、私は紅葉でいい」


「はっはい……紅葉、さん」


「ん」


ちょっと照れながら紅葉の名を口にする泉ちゃん。そして素っ気ない返事をするが、口元が少し緩んでる紅葉。


というか、生徒会入会ってそんな簡単に承諾いいもんなんかねぇ……


「ワタシもベルと呼んで欲しいデース!」


「えっと……ベル、さん」


「やっぱりこの娘ください」


「あげねぇって。だからなんでそんなキリッとした顔でいられるんだおめぇは」


はぁ、泉ちゃんの癒しを超えるストレスが……また頭痛くなってきた。


「なら、私はお兄ちゃんと」


「呼ばせねぇよ」


泉ちゃんに近寄った不審者の肩を掴み、全力で握りつぶす。日々鍛えた俺の握力なめんなよ。


「いだだだだだだだっ!?」


「泉ちゃん、こんなやつの言葉間に受けなくていいからね? 普通に『莇さん』って言ってやればいいから」


もしくは汚物オブ汚物とかでも可。オブが多すぎる。略してオブさんオブース・リーだな。~さんと、オブが三つで三をかけているのがミソじゃない。じゃあどこだよって話しね。ついでにそんな武道家みたいな名前は危なそう。というか、最初におブスって言ってるし。今変わっちゃう。


「え、えーっと……じゃあ、間をとって青葉さん、と」


「……」


突如、莇の身体から力が抜けたような気がした。ついさっきから無反応だ。


「おい、莇? ……死んでら」


肩を揺らすも、頬を叩くも、とりあえず瞳孔を確認するも、反応無し。とりあえず、死因:尊死


「そうデスか……土葬と火葬どっちにするデス?」


「日本だと、火葬が主流」


「葬儀代無駄だからとりあえず焼却炉に放り込んどきゃ良いか。後で富士の樹海にでも埋めとくか?」


「あそこは、一度入ったら出られない」


「それデマらしいぞ」


「!?」


そんな驚かなくても……まぁ自分の信じてたことが間違いだったと知ると驚くよな……普通はそうだよな。


「私のその後を雑に決めないで頂きたい!」


床に転がしておいた死体が突如大声を出しながら動き出し、全員が退避した。俺以外。


「うわこいつ目覚めやがった」


「川の向こうで笑顔の泉様が手を振っておりました」


「まだ生きとるわ」


勝手に殺すな。


「お、お帰りなさい……青葉さん」


泉ちゃんからの新妻感溢れるお帰りなさいが発動した。


「っー!!!」


そして再びガクリと動かなくなった。そのまま川渡っちまえ。そしてそのまま二度と帰ってくるな。


その後、蘇生と死亡を繰り返した莇は、俺の手によって気絶させられ、二度と、目覚めることは無かったーー


「勝手に殺さないで頂きたい」


「勝手に死ねよ邪魔だから」


そのまま三途川の江深淵で溺れて大蛇に食われて二度と戻ってくんな。

最近青葉がネタキャラと化して来てませんか? いいえ、元からネタキャラです。

はい、今回はここまで。次回からラストスパートでどんどんやります。ゴリラのフルスイング並にどかっとやります。どのくらいかは知りませんが、多分くらったら一溜りも無いでしょう。命が助かっても、骨が死にます。

それはさておき、この話を書いてる時は、投稿予定日の大体4ヶ月ほど前です。予約ははもっと後ですが、下書きはそれくらいに書きます。今すぐにでも予定日取り下げて投稿したいです。だからみんな読んでください。そして感想ください。 ついでにTwitterのフォローもしてください。

連携できなかったので下のユーザー名が名前検索してフォローよろし。と言っても、ほぼ宣伝しかしてませんが……


@ahoduraotoko

怪人アホ面男

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